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真夜中乙女戦争 の商品レビュー

3.2

87件のお客様レビュー

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2023/09/29

厭世観と虚無感に苛まれたひとりの男子大学生の真夜中乙女戦記。我々はみんな乙女。 退屈でつまらなくて寂しくて寂しくて寂しくて。かといってInstagramで幸福を装うことも、狂ったフリをして奇を衒うこともできない。だから退屈には理性的に闘わんとして入会した「かくれんぼ同好会」という...

厭世観と虚無感に苛まれたひとりの男子大学生の真夜中乙女戦記。我々はみんな乙女。 退屈でつまらなくて寂しくて寂しくて寂しくて。かといってInstagramで幸福を装うことも、狂ったフリをして奇を衒うこともできない。だから退屈には理性的に闘わんとして入会した「かくれんぼ同好会」というサークルで出会ったのは、真夜中のように真っ暗な髪をショートにした非常に憂鬱で美しい顔立ちをした女、先輩だった。 すべての価値が暴落し消え去ってしまう世界で、何かを好きになることの意味が見出せず好きなものは一つもなかった彼だったが、好き嫌いを超えたそばには東京タワーがあった。 馴れ合い標準化してしまったサークルもすぐに辞めたが、先輩がいて、東京タワーがあって、大学内の喫煙所では黒服と出会い、やがて映画鑑賞にも現実にも嘘にも飽き、そして真夜中乙女戦争が始まるのだ。我々は旧石器時代に立ち返り、東京に星を取り戻す。 この物語は都会に生息したコインロッカー・ベイビーズのようでもあったし、漂う行き場のない孤独はノルウェイの森のようでもあった。 森見登美彦のような掴み所のない黒髪の乙女がいて、伊坂幸太郎のようなウィットに富んだ会話の応酬があった。 私はそういう既視感満載の小説は嫌いだと思ったし、けれど同時に多分どうしようもなく惹かれてしまっている自分に呆れた。 ポエムじみた文体はダサいし、気取った世界観は吐き気がする。好きとは言いたくないし多分知人にも薦めない。 この小説を、でも私は真夜中にいる気分になりたいとき折りに触れ一人で思い出すのかもしれない。 ラストは最悪。生ぬるい。彼は責任を持ってきちんと破壊し尽くすべきだったのでは?

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2018/07/13

孤独で、寂しい。 戦争が始まる。世界が終わる。 どうしてこうなってしまったのだろう。 それでも、生きているならよし、と言ってくれる人がいる。 そんな世界の話です。

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2018/07/04

寂しい淋しいさびしい,愛して愛して愛してと全力で叫んでいる様な小説.かくれんぼサークルはちょっと面白かったけれど,黒服が出てきてどんどん物語がエスカレートして何もかもを否定する破壊へと向かう.眠れぬ夜の物語.東京タワーの意味するものが結局よくわからなかった.

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2022/02/02

何かに苦しんでいる時に、世界なんてなくなって仕舞えばいいと思っている時に読みたいなと思った。今は精神的に安定しているので、読めなかった笑

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2018/06/10

こんなくだらない世界なんか存在する価値はない、と何か越しに世界を憎む人達が、戦争を起こすお話。 読み終わったときの爽快感はない。胸キュンなんてものも、もちろんない。生きるためのヒントもくれない。明日を迎えるための元気もくれない。 ただ、眠れない夜に寄り添ってくれる。誰にも言えない...

こんなくだらない世界なんか存在する価値はない、と何か越しに世界を憎む人達が、戦争を起こすお話。 読み終わったときの爽快感はない。胸キュンなんてものも、もちろんない。生きるためのヒントもくれない。明日を迎えるための元気もくれない。 ただ、眠れない夜に寄り添ってくれる。誰にも言えない、なんと言ったらいいか分からない、そんな気持ちに言葉を与えてくれる。だからこそ、苦しめられる。 大切なものを大切にしようとするからこそ、壊してしまう。帯に書いてあった、「どうせ、愛は、間違える」そんな物語だった。

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2018/05/28

2018.5.28 冒頭がめちゃくちゃ長いのと、黒服のやりたかったこともよくわかんなかった、、著者は佐藤みたいなやつなのかもしれないとちょっと思った、本文に引用が多いので。あと直近のトレンドがとても多くて、筆の速い人なのだろうな。ほとんどエッセイみたいな感じなのかしら?文章が肩...

2018.5.28 冒頭がめちゃくちゃ長いのと、黒服のやりたかったこともよくわかんなかった、、著者は佐藤みたいなやつなのかもしれないとちょっと思った、本文に引用が多いので。あと直近のトレンドがとても多くて、筆の速い人なのだろうな。ほとんどエッセイみたいな感じなのかしら?文章が肩肘張ってる感じで疲れた

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2018/05/07

真夜中乙女戦争 自分は一人であり何者でもないことの絶望感を大きな大きな火の玉にしてそれを崖に立つ私に向けて力と心を込めて投げつけてくるような本。 生きるにあたり、何者でもないということは何者にでもなれるということではなく、きっと何者でもないままにもがいて自ら答えを見出していくこ...

真夜中乙女戦争 自分は一人であり何者でもないことの絶望感を大きな大きな火の玉にしてそれを崖に立つ私に向けて力と心を込めて投げつけてくるような本。 生きるにあたり、何者でもないということは何者にでもなれるということではなく、きっと何者でもないままにもがいて自ら答えを見出していくこと以外に逃げ道などないのだ。 自分以外の人や物に期待をすることはどうしてこんなにも怖いのか。期待をするとその先に半分以上の確率で(もはや8割と言ってもいい)落胆し苦しむことになる。それであれば初めから無関心でいることを選ぶのであろう。期待とはそれくらいあてにならず他人頼みの頼りない感情だと知っておいた方がいい。 ただしかし、それでも静かに何かを期待するという美しく潔い感情も私は推奨されるべきだとは思っている。 何も知らず落ち込むことと、知った上で傷つくこと、その二種類はおそらく私とあなた以上の違いがある。 知った上でもしもそれを乗り越える場面に出会うことができたら、それはもう人生の至上な光景と言っても許されるはずである。 この本は全編を通して自分にも他人にも期待をすることを怖がり拒み逃げ続けているような人間に突き刺さる。 きっとその絶望に身を浸し苦しみながら本当は強く生きたい私たちに向けてのエールのような気もするし、きっと作者は絶望しきった世界を本心から憎んでいるわけではないのだと思う。 私は絶望に浸りがちな空想めいた反逆的な生意気な子供だったはずだから、思春期にこの話に出会わなくてよかった。 出会っていたら誰かを傷つける言葉を発してしまいそうで。自分は黒服になんてなれないのに。 個人的には先輩が大事なことを話すときには目を見ないという場面の解釈にとても共感した。 いつも空気を読んでしまうしょうもない(私のような)人間にとって、人の目を見ると気持ちが伝わってしまうから無意識なのか意識してなのかは分からないがおそらく同じ行動をしているのだろう。 まあ、例え目を見なかったとしても、きちんと別れ話すら打ち明けることができないくらいずるい人間なので、話が違う可能性もあるが。 とにかく、自分や他人や環境に期待し絶望し死にたいと思ったりしても結局死ぬほど生きたい誰かがうらやましいあの人のようになりたいと思っている悩みたがりな私たちに、速球で痛いものを投げつけてくれる本。ヒリヒリして、生きていることを思い出そう。そしてうんざりしながら散歩をしよう。

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