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教誨師 の商品レビュー

4.5

59件のお客様レビュー

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2020/04/03

死刑囚に「救い」を与えることは出来ない。 そのような結論に至ってもなお、どうにか救ってあげたい一心で死刑囚と向き合う教誨師。 このような厳しくも尊い役割について、私たちはもっと知ろうとしなければならない。 世界的には少数派となった死刑制度をとる日本においては特に。

Posted byブクログ

2020/01/12

死刑制度に関し深く考えるキッカケをくれた本。 死刑囚は最後まで悪魔ではなく、 善なる心を教誨師や刑務官の努力によって 持ち直すことができることが記載されています。 ただ法は絶対なので、 どんなに更生しても迫りくる死は避けられず、 職業の意と反する現状の苦悩。 また彼らの行為...

死刑制度に関し深く考えるキッカケをくれた本。 死刑囚は最後まで悪魔ではなく、 善なる心を教誨師や刑務官の努力によって 持ち直すことができることが記載されています。 ただ法は絶対なので、 どんなに更生しても迫りくる死は避けられず、 職業の意と反する現状の苦悩。 また彼らの行為は決して許される事はないが、 一部の死刑囚たちのバックグラウンドから もし、ちゃんと向き合う人(愛を与えてくれる人)と出会っていれば、どうなっていたのか。 さらに死刑執行(人殺し)する人達の心境。 上記を考えると死刑制度の是非はシンプルに YES or NOでは問えないのかもと感じました。 なので事件に関し報道されている 表面的な情報だけでなく、 もっと全体(見えにくい背景)を見て 死刑の是非を問うべきと思います。 (ただ被害者遺族の立場だったら、そんな事は思えないですね。難しすぎる問題と思います 。)

Posted byブクログ

2020/01/02

死刑執行の場にも立ち会う教誨師。ドラマや映画で見かけますね。教誨師の仕事だけじゃなかく、死刑囚の生活なども知らなかったことが多かった。私自身は死刑制度肯定者です。でも、死刑を実際に執行する人の心の負担には考えが及んでいませんでした。仕事とはいえ、心の無いロボットじゃない、私達と同...

死刑執行の場にも立ち会う教誨師。ドラマや映画で見かけますね。教誨師の仕事だけじゃなかく、死刑囚の生活なども知らなかったことが多かった。私自身は死刑制度肯定者です。でも、死刑を実際に執行する人の心の負担には考えが及んでいませんでした。仕事とはいえ、心の無いロボットじゃない、私達と同じ人間がやっているんですよね。かといって、死刑制度否定派になる気もないのですが。

Posted byブクログ

2019/11/10

この本世読むと死刑は不要なようなものに思えてくる。ここに書かれている死刑囚ばかりではないのかもしれないが、無期懲役でも代わりはないのかもしれない。 死刑執行に立ち会う人のことまでなかなか思いが至らない。

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2019/09/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

教誨師渡邊普相は、世に出すのは1970年ごろまでの話に限ってほしいと著者に頼んだという。近しい類縁の者が存命のうちはという理由はもちろん、むしろそのころまでは拘置所にもまだいくぶん長閑さがあり死刑囚の人間味を垣間見る環境が残っていたからであろう。 現在は、死刑囚は周囲との接点を遮断し生きる意欲をなくさせるための拘留生活を送らせるのだという。本書で触れられなかった近年の事例では渡邊氏がどんな思いを抱いていたのだろうか。 筆者の、あともうちょっと表現してしまったらノンフィクションといえなくなるんじゃないかと思われるギリギリの豊かな文章が圧巻。何度も涙。 P48 でもわっしね、どこかいい加減なところがある。[中略]まじめな人間に教誨師はできません。ええ務まりゃしません。突き詰めて考えておったりしたら。自分自身がおかしゅうなります。 P64(脱獄囚の山本が)拘置所の庭に噴水を作らせてほしいと言い出した。元配管工の腕を生かして教誨面接にも屋外での運動にも参加せず独房に引きこもっている死刑囚の心をせめて慰める方法はないものかと考えた末に思いついた計画だという。 P98 (10年間面接を重ねた二人の死刑囚の無実を確信し、その再審請求を求める運動に奔走したものもいた。一方で、先祖の悪行の因縁で無実の罪で苦しむことになっている、その因縁を甘んじて受け入れることが仏の意に沿うことになっていると再審を思いとどまらせようとする僧侶がいる。 P150 幼いころから家や社会で虐げられ謂れのない差別や人一倍の不運にさらされて生きてきた者が。成長するにつれ自己防衛のための価値観しか持てなくなっていく。 P158 渡邊は、ロシアの文豪が書いた小説の一説をふと思い出した。‐幸福な家庭はどこも同じだが、不幸な家庭にはそれぞれの不幸がある。 P192 彼らの腹の中や頭の中には、雑然としていろいろの妄念妄想が蟠踞していることは確かだから。死刑囚の口からその怪物を吐き出させ、思うている腹の中を空にする機会をめぐんでやってこそ、初めて母のような教誨といえるのではなかろうか。幼い子がよそで泣かされて帰ってくると、お母さんはその訳を尋ねる、すると子供は始終を告げる。そして告げ終わると泣き止んで寝込んでしまう。これは子供の腹が空になったからなのである。[中略]教誨の基本は、彼ら死刑囚たちに、空間の喜びを与えるということを根本とせなくては、到底、教誨の目的を達するものでないということを私は高調したい(篠田) P297 私が行かなくても死刑はあると。現場(法律)がそうならない限り、誰かがやらなきゃならない。拘置所っていうのは人殺しがついているんですから。その人殺しをね、宗教者も誰も外部の人間抜きでやったら、それこそ本当に人殺しの現場になってしまいますよ。 P324 「実はわっし、今アル中で病院に入っとるんじゃ。酒がやめられんでね、たびたび面接も休んでしもうて、申し訳ないことですな。」平素は”先生”である教誨師の思わぬ告白に、さらに思わぬ反響が返ってきた。[中略]病との闘いは、教誨師としての生き方に行き詰っていた渡邊に思わぬ副産物をもたらすことになったのである。

Posted byブクログ

2019/07/14

人を殺した者が、人によって殺されるまでの間、宗教者に何ができるのか。 死刑制度の是非を問うとか、そういうことではなく、死刑執行の現場はこうであり、執行される側の人間はこういう人間だった、そして執行する人間がいるという事実を教えてもらった。 最後のほうの渡邉普相の言葉が、リーガル...

人を殺した者が、人によって殺されるまでの間、宗教者に何ができるのか。 死刑制度の是非を問うとか、そういうことではなく、死刑執行の現場はこうであり、執行される側の人間はこういう人間だった、そして執行する人間がいるという事実を教えてもらった。 最後のほうの渡邉普相の言葉が、リーガル・ハイの堺雅人の言葉と重なっていく。。

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2019/06/06

「わしが死んでから世に出して下さいの」死刑囚と面談し教誨(教えさとし)する一人の僧侶の証言から、その仕事と死刑を見つめるドキュメンタリー。 死が確定した者たちと年単位に渡って話しをし最期を見届ける僧侶の、迷いと苦悩が丁寧な取材で詳らかにされた。 当たり前だが、死刑囚の事情も背...

「わしが死んでから世に出して下さいの」死刑囚と面談し教誨(教えさとし)する一人の僧侶の証言から、その仕事と死刑を見つめるドキュメンタリー。 死が確定した者たちと年単位に渡って話しをし最期を見届ける僧侶の、迷いと苦悩が丁寧な取材で詳らかにされた。 当たり前だが、死刑囚の事情も背景も様々だ。しかし僧侶は、彼らに足りなかった、彼らと向き合う「たったひとり」の人間たろうと努力をする。さらに死刑囚に携わる刑務官、執行官の「職務」の過酷さも垣間見える。 善悪や法を越えたところにある「人」の姿、それを見つめ直す一冊だった。 余談。 ワシは神道の信仰を持っているので、宗教的な死生観も持ち合わせているが、確定した死を前にどのような生活が出来るのかについては正直、想像が巡らない。逆に、死刑囚達が確定した死を前に信仰にすがるのは、分かる気がする。どんな人間でも、多くは死の先の「安心」が欲しいのだ(これを衝撃的なワンワードで描いた小説に、野﨑まどの「Know」がある)。 また晩年、苦悩の果てにアル中となった僧侶が、死刑囚に弱さを見せることで新たに学び成長する僧侶の姿が印象的だった。弱さを見せるのが苦手なので、その先に信頼関係が築けると予測していても踏み込めない自分にも投影される。

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2019/03/22

その「たったひとり」との出会いにすら恵まれない人生を不運と片付けるのは 何ともやりきれない。 何度も出てきたこの「たったひとり」との出会い という言葉。誰か信じられるひとや大切に思い思われるひとと どこかで出会っていたら。出会ったことに気づいていたら。 まさに最期の時まで 教誨...

その「たったひとり」との出会いにすら恵まれない人生を不運と片付けるのは 何ともやりきれない。 何度も出てきたこの「たったひとり」との出会い という言葉。誰か信じられるひとや大切に思い思われるひとと どこかで出会っていたら。出会ったことに気づいていたら。 まさに最期の時まで 教誨師として走り続けた 篠田龍雄 自らの身を削り 迷いながらも進み続けた 渡邉普相 どちらかの僧侶もまさにこれぞ宗教家。 相手の心にそっと寄り添うあたたかさ。 その生き様の激しさに圧倒された。 買ってから 何度も手に取りながら なかなか読み始めることができなかった本。 重くて心が暗くなりそうで 日常の中で少しずつ読めるかなぁと思うと なかなか思いきれず。 新年早々読むにはなぁと思いつつ じっくり時間のあるときと いったら 今しかないなぁと決心。 たしかに重い。たしかにつらい。 でも 読み始めたら 途中でやめる事はできなかった。 今まで たくさんの死刑に関わる本を読んできたけど 教誨師がここまで心のうちをさらけ出したのは初めて読んだ。 正直言うと 教誨師に対して ここまで熱いものがあるとは思ってなかった。あんまりいいイメージなかったし。誤解してたかも。ごめんなさいという気持ち。 だれも恨まずに その時を迎えられるように。 被害者の無念さに思い至ることができるように。 うーん そこまでの境地に至るのは難しいことだろうなぁ。 もちろん そうなってほしいけど その道の険しさに ため息が出る。

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2019/03/21

序章 坂道 第1章 教誨師への道 第2章 ある日の教誨室 第3章 生と死の狭間 第4章 予兆 第5章 娑婆の縁つきて 第6章 倶会一処 終章 四十九日の雪 第1回城山三郎賞 著者:堀川惠子(1969-、広島県、ジャーナリスト) 解説:石塚伸一(法学)

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2019/01/23

二度と娑婆に出ることのできず、狭い房に収監されている死刑囚に、精神的な広がりを与えようと取り組む僧侶である教誨師の話。 死刑囚との面談だけではなく、彼らの刑の執行にも立ち会う、非常に精神的に辛い役割も担っている。 教誨師である渡邉普相は、そういったストレスからアルコール中毒になっ...

二度と娑婆に出ることのできず、狭い房に収監されている死刑囚に、精神的な広がりを与えようと取り組む僧侶である教誨師の話。 死刑囚との面談だけではなく、彼らの刑の執行にも立ち会う、非常に精神的に辛い役割も担っている。 教誨師である渡邉普相は、そういったストレスからアルコール中毒になっていくが、その弱さ・人間らしさにより、死刑囚からの信頼を得ていくのには「なるほど」と感じた。 普通に生きている限り世話になることのない職業であるが、死刑囚のセーフティネットとしては必要なものだろう。

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