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教誨師 の商品レビュー

4.5

59件のお客様レビュー

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2022/11/23

死刑確定囚に携わる教誨師のノンフィクション作品。 最終的には死刑制度の存続か廃止論に行き着くかもしれない。 ただ、序章の会話の中で、賛成か反対という単純な話しても仕方ない、という前振りを理解した上で読むと、教誨師の苦悶を聞く事ができる。 『聞』とは簡単な様で難しい。その人の悩...

死刑確定囚に携わる教誨師のノンフィクション作品。 最終的には死刑制度の存続か廃止論に行き着くかもしれない。 ただ、序章の会話の中で、賛成か反対という単純な話しても仕方ない、という前振りを理解した上で読むと、教誨師の苦悶を聞く事ができる。 『聞』とは簡単な様で難しい。その人の悩みなどの一部を分かち合う、一緒に背負う事でもある。この教誨師さんは文字通り 死 を一緒に背負ってたんだなと思う。 非常に貴重な一冊。

Posted byブクログ

2022/11/23
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忘れることのない本になると思います。 半世紀に渡り教誨師を勤め上げた渡邉さんには敬服いたします。 死刑執行の場面は自然に手に汗が湧いてくるほど重い。 死の直前のふるまい。緊迫する刑務官。読経の響き。 ロープがギッシギシと音を立てる。 加害者側の背景や死刑執行までの過程が描かれていくが、もしここに被害者のほうからの視点も織り交ぜながら描かれていれば私はどうしても死刑制度はありと答えてしまう… そもそも、死刑制度について賛成か否定か そんな話ではないくらい深い本でした。 

Posted byブクログ

2022/10/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「この話は、わしが死んでから世に出して下さいの」    教誨師という仕事をご存知だろうか。  死刑囚と唯一自由に面会することを許された民間人。対話を重ね、最後はその死刑執行の場に立ち会う。報酬もなく、精神的にも肉体的にも過酷なボランティアである。  生とは、死とは。  法の裁きとはいえ、寿命がまだあるものに強制的に死を与える。  これを「人殺し」と呼ばずして、何と呼ぶのか。  約50年間 教誨師の職を担った渡邉普相(わたなべ ふそう)の遺書的作品である。 ☆構成がえぐい  ニュースだけでは伝わってこない死刑囚1人1人の性格を丹念に描き、教誨師との何気ないやりとりで読者を和ませ、親近感を覚え始めたところで死刑執行の現場を克明に記す。  読者は読み進めるうちに知らず知らず場に引き込まれているため、教誨師と死刑囚の絆が無情にも引き裂かれる瞬間 精神的に大ダメージを受ける。  特に第5章「娑婆の縁つきて」の篠田龍雄と桜井の最期のやりとりは涙なくして読むことができない。 ☆読みやすさ◎  小説を読むような気持ちで最後まで読める作品。  ノンフィクション初心者にオススメしたい本。  ただ、渡邉の少年時代の話は若干集中が切れる。 ☆テーマ  生と死

Posted byブクログ

2022/10/24

「死刑囚」という少しそそられる単語で「教誨師」が何かすらもイマイチ分からないまま読んでみたけど、地上波では堂々と語れない内容を遺言書として長きに渡る教誨師人生を公にした本作は、読み終わった後の重みが凄すぎた… 自分の国の事なのに、死刑なんてドラマの中か、短期的に移り変わるニュー...

「死刑囚」という少しそそられる単語で「教誨師」が何かすらもイマイチ分からないまま読んでみたけど、地上波では堂々と語れない内容を遺言書として長きに渡る教誨師人生を公にした本作は、読み終わった後の重みが凄すぎた… 自分の国の事なのに、死刑なんてドラマの中か、短期的に移り変わるニュースくらいでしか知らなかった無知な自分に対して、色々考えさせられました。自分が結論付けるにはあまりにも重すぎますが、かと言って考える事の放置は、自らの国(法律)の責任転移になると思います。自分らの知らぬうちに、知らない職種があり、知らぬ間に、世間が忘れてしまった事件の犯人を死刑に処する。これで一体誰が報われるというのでしょうか。 もっともっと、多くの国民に読んで頂きたいです。

Posted byブクログ

2022/05/22

以前この方の本を読んだので 引き続き読んでみたいと思ってこの本を選びました。 死刑囚という人達を見たこともない私にとっては、 メディアの情報のみから受ける印象しかありませんでした。 数々の接点やタイミング 条件が違っていれば 彼らは死刑囚というほどの犯罪を犯さずにすんだかも...

以前この方の本を読んだので 引き続き読んでみたいと思ってこの本を選びました。 死刑囚という人達を見たこともない私にとっては、 メディアの情報のみから受ける印象しかありませんでした。 数々の接点やタイミング 条件が違っていれば 彼らは死刑囚というほどの犯罪を犯さずにすんだかもしれない。 私達は人を裁く事は できない。 でも、罪を犯した人をほおって置く事もできない。 まして 死刑を!と 声高々に言えないし、廃止!とも 言えません。 この教誨師の死刑囚に対する態度などは  他の場面でも共通の事なのかもしれないと思った。 多くの人の命を 目の前で失い 僧侶といっても つらかった事だと思います。 しんどい本ですが 若い人たちにも読んでもらいたい 一冊です。

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2022/05/08

渡邉普相は、絞首刑の現場を 「落ちた時に筋が切れて打ち首したのと同じ」 「本人の意識はなく楽」 「執行までが辛く、執行そのものは辛くないはず」 と話していた。 そのほか、 ・執行までの教誨師の役割や死刑囚の日常 ・執行する刑務官の苦労 などが描かれている。 「生きる」ことを含...

渡邉普相は、絞首刑の現場を 「落ちた時に筋が切れて打ち首したのと同じ」 「本人の意識はなく楽」 「執行までが辛く、執行そのものは辛くないはず」 と話していた。 そのほか、 ・執行までの教誨師の役割や死刑囚の日常 ・執行する刑務官の苦労 などが描かれている。 「生きる」ことを含め「当たり前」として捉えるのではなく、一つひとつの「当たり前」に感謝して生きていかなければならないと考えさせられた本であった。

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2022/05/07

刑務所や拘置所の受刑者が、自らの罪を悔い、罪を償って、新たな気持ちで社会復帰することを支援することで、「生きていく」ことを説くのが<教誨師>の務めだが、独房という狭い空間で、明日をも知れぬ命を抱えた死刑囚との面談では「死んでいく」手伝いをするという「生と死」の相矛盾した救いの道を...

刑務所や拘置所の受刑者が、自らの罪を悔い、罪を償って、新たな気持ちで社会復帰することを支援することで、「生きていく」ことを説くのが<教誨師>の務めだが、独房という狭い空間で、明日をも知れぬ命を抱えた死刑囚との面談では「死んでいく」手伝いをするという「生と死」の相矛盾した救いの道を模索し、死刑執行を迎える日まで、否、終生自問自答を繰返し、もがき苦しむ<教誨師>の心情を、浄土真宗僧侶・渡邉普相さん(1931-2012)の人生を通してルポタ-ジュし、命と倫理に深くかかわる死刑の内実を描いた衝撃のドキュメント。

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2022/04/27

メディアで取り上げられる凶悪犯罪者に対して 「死刑になればいい」そんな思いを誰もがいだいたことがあるだろう。 教誨師という職業を通して、死刑制度について思考させられた作品。 死刑囚は毎日死と隣り合わせ。 残された時間を自分の犯した罪と向き合い、残された遺族と向き合う。 ...

メディアで取り上げられる凶悪犯罪者に対して 「死刑になればいい」そんな思いを誰もがいだいたことがあるだろう。 教誨師という職業を通して、死刑制度について思考させられた作品。 死刑囚は毎日死と隣り合わせ。 残された時間を自分の犯した罪と向き合い、残された遺族と向き合う。 この作品で取り上げられた人々は、描写のせいか 更生したように感じ、死ぬ必要はないのではないかと。同じ過ちは犯さないのではないかと思ってしまう。 閑話休題 死刑制度があるならば、それに携わる人間がいる。 そして、執行する人間も同じく「人殺し」をしている。 同じ人殺しで人間が人間を捌く制度。 とてつもなく矛盾している。 世論が「死刑制度の廃止反対」の声をあげている限り、矛盾は終わらず、執行するもの、残されたものの苦しみは終わらない。 しかし、犯罪者はやってはいけないこと、罰則があると知っているにもかからわず犯罪を犯している。 その側面からみると、死刑囚になってしまう可能性も承知なのではないか? このテーマに関しては様々な知見に触れてみたい。 そして、作者の取材力には脱帽された。 見事なノンフィクション作品。 作者の作品は他にも読んでみたい。

Posted byブクログ

2022/03/01

みんなで人殺しをしている、という言葉も、そこに第三者の宗教者を置いた方が良いとの助言も、読めば読むほど本当に自分が何も考えられていないことに気付かされた。 教誨師として接していくうちに再審の運動をした者、その行動になってしまうことの方が自然なのではないかと思わされる。話していくう...

みんなで人殺しをしている、という言葉も、そこに第三者の宗教者を置いた方が良いとの助言も、読めば読むほど本当に自分が何も考えられていないことに気付かされた。 教誨師として接していくうちに再審の運動をした者、その行動になってしまうことの方が自然なのではないかと思わされる。話していくうちに感情移入してしまうような中、あくまでも教誨師として接していた渡邉さんの言葉や行動、思考は、深く重すぎる。 これを読んで死刑制度への価値観が変わると軽率に言えないが、そこに関わる人への視点は持ちたい。

Posted byブクログ

2022/02/20

表紙が仏像なのはどういう意味か? 死刑囚。 教誨師。 死刑制度。 過去の大きな罪、人を殺して今度は法に殺される人。 冤罪は。 心は? 罪とは? 反省とは? 自分も考えてしまう。

Posted byブクログ