長いお別れ の商品レビュー
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認知症になってしまったお父さん。 自分の親とも重ねて読んだせいか 涙腺が緩みっぱなし。 過酷な老々介護に胸苦しくなることもあったが、 ところどころユーモアもあって 中島京子さんの懐の深さを感じた。 追い詰められて「ギュー」っとなる 母のシーンは思わず大爆笑してしまったよ。
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淡々と話は進んでいくけれど、実際にはとても大変なんだろう。 色んなことが遠いと認知症になった祖父が孫に話をするが、そうやって人はこの世とお別れするのかな。
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いつかやってくる両親、義両親が老いて助けが必要となる日。長いお別れになるだろうか。それまでに知識と体力と対応できる心を持っていたい。
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寿ぐ(ことほぐ)、労う(ねぎらう)、隔靴掻痒(かつかそうよう) 認知症の介護の大変さを描いた作品であるものの、重苦しい雰囲気ではなく柔らかい、家族愛の溢れた雰囲気の小説。映画では山崎努が演じるらしいけど、ぴったりのキャスティング。
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中島京子さんの作品は「小さいおうち」しか読んだことなかった。 本作はまた全然違った雰囲気の文体で、文体自体はコミカルな感じ。 認知症と診断され、だんだんと家族の手を借りないと生活できなくなってゆく老人と、その妻、三人の娘たちを描いている。認知症で、記憶も徐々に失くしていくのだから、悲しい物語には違いない。実際、悲しい。 しかし、「夫の世話は自分がする」と確固とした信念を持つ妻と、現実的に限界がありながらも、できる限り関わろうとする娘たちの様子は、必要以上にセンチメンタルでもなく、とにかく一生懸命その場その場を乗り切ろうとしていて、あぁ、現実には介護ってこういうことなんだろうな、と納得させられる。いちいち落ち込んだり悲しんだりする暇はない。あとから考えて、「あの時こうすれば良かった」などと思うものなのかもしれない。 やはり心打たれるのは、時々垣間見られる夫婦の絆の強さ。たとえ言葉をなくしても、夫のことは自分が一番よくわかると思っている妻、妻のことが記憶から抜け落ちているようなのに、妻がいないと様子がヘンになる夫。 認知症。もちろん決してありがたくない症状ではあるが、身内が認知症になるというのは、「突然のお別れ」ではなく「長いお別れ」の始まりなのだと考えることもできるのか。どんな別れが良いとかではなく、一つの考え方として。
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よかった。久々に本読んでジワリと泣いた。 物語の主人公が誰だろうって思えたって事は、 みんなのそれぞれを感じられたってこと。
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元中学教員で、校長まで務めた男性が、認知症となり、十年後に世を去る。 その間の家族に寄り添って、物語が進む。 年代的にも、自分にとって介護は、明日にも迫った問題。 とてもよそ事とは思えない。 道を忘れ、家族の顔を忘れ、やがて言葉も壊れていく。 家にいても、「帰る」と言い出して...
元中学教員で、校長まで務めた男性が、認知症となり、十年後に世を去る。 その間の家族に寄り添って、物語が進む。 年代的にも、自分にとって介護は、明日にも迫った問題。 とてもよそ事とは思えない。 道を忘れ、家族の顔を忘れ、やがて言葉も壊れていく。 家にいても、「帰る」と言い出して聞かない。 家へ入ることさえ、頑として拒む。 夜中におむつの中の排泄物を、となりに寝ている妻のベッドに一つず並べていく。 こういう描写、実体験もないくせに、リアリティを感じてしまう。 妻と娘たちも、それぞれの事情を抱えながら、夫・父の昇平に関わっていく。 しかし、この作品のすごいところは、こういった家族の経験を、ただ壮絶な体験で終わらせないところだ。 昇平は、状況を飲みこめていないながらも、人と関わり、偶然ながら人を癒したりもする。 同窓会に場所に行きつけなくなっても、知らない子どもたちを守ってメリーゴーランドに乗ったりできる。 言葉が壊れた状態でも、娘と気持ちを通じ合わせられる時がある。 最後の場面に、アメリカで認知症が「長いお別れ」と言われているという話が出てくる。 アメリカで育つ昇平の孫のタカシが、校長先生から聞かされる。 あの病を、ゆっくりと、あちらに行くのだ、という理解のしかたがある。 それがいい意味で衝撃的だった。
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心に響く作品。認知症になったを父をもつ家族のありのままが描かれている。「長いお別れ」という言葉は、認知症を表現するいい言葉だと思う。
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認知症になった元中学校の校長。 その病気の進行を、妻と3人の娘 2人の孫を中心にユーモアを交えて 描かれてました。 読みながら、去年亡くなった父のことを 思い出していました。 8年間の認知症介護の日々。 この小説に描かれている内容に 「あーそうそう!」と何度も頷いてました。...
認知症になった元中学校の校長。 その病気の進行を、妻と3人の娘 2人の孫を中心にユーモアを交えて 描かれてました。 読みながら、去年亡くなった父のことを 思い出していました。 8年間の認知症介護の日々。 この小説に描かれている内容に 「あーそうそう!」と何度も頷いてました。 ラストは少しあっけなく終わるのですが 妻の曜子が言ったこの言葉がとても 心に残りました。 この人が何かを忘れてしまったからと いって、この人以外の何者かに変わって しまったわけではない。 ええ、夫はわたしのことを忘れてしまい ましたとも。で、それが何か? 父も最期は息子である私の事を忘れていた。 もちろん悲しかったけど、私にとって父は 父で変わりない。 そんなことを思い出しました。
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「長いお別れ」は自分の親や自分自身の将来にもあり得る話だなと考えながら読んでいたら、遠い自分の未来を見ているような気がして心に刺さるものがあった。人間人間は早ければ明日、遅くて何十年後かに突然の別れがやってくる。認知症は介護が大変でマイナスなイメージを抱きがちだったけど、東家のよ...
「長いお別れ」は自分の親や自分自身の将来にもあり得る話だなと考えながら読んでいたら、遠い自分の未来を見ているような気がして心に刺さるものがあった。人間人間は早ければ明日、遅くて何十年後かに突然の別れがやってくる。認知症は介護が大変でマイナスなイメージを抱きがちだったけど、東家のように時間をかけてお別れが出来ることは良いことなのかもしれないと思った。考えさせられ、また心があたたかくなった。
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