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長いお別れ の商品レビュー

3.8

124件のお客様レビュー

  1. 5つ

    23

  2. 4つ

    57

  3. 3つ

    26

  4. 2つ

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2024/03/08

いい話しでした。 ボケていく中学の校長だったお父さん いいひとだったんだなあ! と思いました。 必死で世話するお母さんは 私と近い 私も何人も同時に介護して必死だった時は こんな風でした。 娘たち3人も孫も みんないいこですね。 最後に学校に行かなくなったタカシという孫に アメリ...

いい話しでした。 ボケていく中学の校長だったお父さん いいひとだったんだなあ! と思いました。 必死で世話するお母さんは 私と近い 私も何人も同時に介護して必死だった時は こんな風でした。 娘たち3人も孫も みんないいこですね。 最後に学校に行かなくなったタカシという孫に アメリカの校長先生が どんなことでもいい。君の話しをして! という。 タカシは おじいさんが亡くなった話しをする。 そうしたら 校長先生が プライベートな話しをしてくれてありがとう。光栄だったよ。 痴呆でゆっくりとあの世に行く人のことを ロンググッドバイ というんだそうだ。 レイモンドチャンドラーの小説みたいだけど。 この校長先生が自分の話しをちゃんと聴いてくれた っていうことが この子の人生を支えるんだろうね。 ボケた人を見送る話しはいっぱいあるけど いい話しでした。

Posted byブクログ

2024/02/27

少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかっていく認知症という病気は、アメリカでは長いお別れ=ロンググッドバイというらしい。もう何年も前になるが、義母は認知症の義父を一人で介護していた。孫を忘れ、嫁を忘れ、息子を忘れ、最後の最後には妻もわからなくなってしまった。よく義母が「説...

少しずつ記憶を失くして、ゆっくりゆっくり遠ざかっていく認知症という病気は、アメリカでは長いお別れ=ロンググッドバイというらしい。もう何年も前になるが、義母は認知症の義父を一人で介護していた。孫を忘れ、嫁を忘れ、息子を忘れ、最後の最後には妻もわからなくなってしまった。よく義母が「説得より納得だ」と言っていたのを思い出す。 本書では、妻である自分のことを忘れてしまった夫の老老介護が淡々と書かれている。自分はこんな風に向き合って寄り添うことができるのかな。 ええ、夫は私のことを忘れてしまいましたとも。で、それが何か?

Posted byブクログ

2023/12/14

よく聞く、「帰りたい」という言葉 それは物理的な場所だけでなく、時間環境状況心情色々あるんだろうな、どこなのだろう、とその度に思う。 生まれた家。育んだ家。家族。人生の長い時間を占めた教師という仕事 認知症によって緩やかに、そして取り巻く人達には時に突然に、そこから離されてい...

よく聞く、「帰りたい」という言葉 それは物理的な場所だけでなく、時間環境状況心情色々あるんだろうな、どこなのだろう、とその度に思う。 生まれた家。育んだ家。家族。人生の長い時間を占めた教師という仕事 認知症によって緩やかに、そして取り巻く人達には時に突然に、そこから離されていく。 ラストシーン、学校に行かなくなった孫君が、呼び出された校長に何でも良いから話を聞かせて、と促されて話したのは、その理由とは「関係ない」長い別れとなった祖父の話。 その話を聞いた校長は、読者は何を思うだろう。 色々な目線で物語が進むので、それぞれの立場からも思いを馳せ、そこから読む側の現実の立場からも感情を動かされそう。 重くなりそうな題材だけど、くすりとするようなエピソードが時々心を軽くしてくれて良かった。

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2023/10/18

この本を、図書館で、3回借りた。 1回目は、他の本を読むのに忙しく1ページも読まずに返却。 2回目は、読んでる途中で返却期限が来てしまい、やむなく返却。 今回が3回目の借覧。 割と手前、全体の三分の一あたりのところに、スピンが挟んであった。開いてみると、ちょうど第二章が終わった...

この本を、図書館で、3回借りた。 1回目は、他の本を読むのに忙しく1ページも読まずに返却。 2回目は、読んでる途中で返却期限が来てしまい、やむなく返却。 今回が3回目の借覧。 割と手前、全体の三分の一あたりのところに、スピンが挟んであった。開いてみると、ちょうど第二章が終わった所だった。 そうそう、この辺りまで読んだかな。 返却したままの状態で貸し出されていたのだろう。 スピンを外し、1ページ目からまた読み始める。 もともと読みやすい話だが、2度目なので、よりスイスイと進んでいく。 うん、読んだ読んだ。 第二章が終わる。第三章が始まる。 あら、ここも読んだことある。 スピン挟んで、その先も少し読んでたんだな。 続けて読んでいく。 そして、私は不安を覚えた。 徐に本を閉じ、裏返し、後ろのページから数枚捲る。 見覚えがある。 そうなのだ。 私はこれを一度、読了していた。 言い訳するとね、ずっとブクログでこの本、「今読んでる」になってたんだもの… そうだと思うじゃん… 他人事じゃないと知る、ロンググッドバイ。

Posted byブクログ

2023/10/06

認知症の当事者とその家族の10年を 窓の外からまるで隣人の視点で眺めているような作品でした。 淡々とした文体の中三姉妹の名前で混乱しながら読み進めていきました。 妻は最後まで旦那を介護しようとしていました。 サービスをうまく活用しながら程よい距離間で介護するのが互いのためになる場...

認知症の当事者とその家族の10年を 窓の外からまるで隣人の視点で眺めているような作品でした。 淡々とした文体の中三姉妹の名前で混乱しながら読み進めていきました。 妻は最後まで旦那を介護しようとしていました。 サービスをうまく活用しながら程よい距離間で介護するのが互いのためになる場合もありますが 日々の旦那の対応に追われ、妻も思考停止の状態だったのだろうなと思います。 海外と離れてても親を心配する娘。近くに住む身重の娘。仕事の鬼でドライに見えて冷静に家族をみて接することのできる娘。三女は個人的にカッコイイと思いました。 義歯のエピソード職場でもあるあるで笑ってしまいました。 最後、家族が一体となり旦那(父)の思いを想像し話し合うところが美しくおそらく納得のいく最期を迎えられたのだろうなと思いました。 妻は自分の健康を害してまで旦那の最期まで本当によく頑張り抜いたので、旦那の事を想いながら、幸せに余生を過ごしてほしいと思いました。

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2023/08/28

思ったより淡々とした内容だった。 リアルな話で身の上に起こったらどうなるだろうと想像してしまう。 家族を支えあって生きていかなければならない問題は誰にでもある問題で、向き合うことから逃げたり考えないように先延ばしにしてしまうけど、想像もしなかったことが起こりうるのでその時は臨機応...

思ったより淡々とした内容だった。 リアルな話で身の上に起こったらどうなるだろうと想像してしまう。 家族を支えあって生きていかなければならない問題は誰にでもある問題で、向き合うことから逃げたり考えないように先延ばしにしてしまうけど、想像もしなかったことが起こりうるのでその時は臨機応変に対応できる適応力が欲しいなと思いました。 認知症は本人も周りにとってもとても辛い病気ですね。。。

Posted byブクログ

2023/07/14

家族が認知症になってしまった妻や娘達の葛藤や奮闘が詳細に描かれている。 認知症は当の本人は何も感じてないと思われがちだけど、実際苦しいのは自分の人格や記憶が崩壊していく事を周囲の雰囲気から感じ取っている本人なんだと教えられた事がある。それだけ残酷な病気なんだと。 癌やALSみたい...

家族が認知症になってしまった妻や娘達の葛藤や奮闘が詳細に描かれている。 認知症は当の本人は何も感じてないと思われがちだけど、実際苦しいのは自分の人格や記憶が崩壊していく事を周囲の雰囲気から感じ取っている本人なんだと教えられた事がある。それだけ残酷な病気なんだと。 癌やALSみたいな難病も勿論だけれども認知症の特効薬が1日でも早く出来ることを願っている。

Posted byブクログ

2023/05/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

目次 ・全地球測位システム ・私の心はサンフランシスコに ・おうちへ帰ろう ・フレンズ ・つながらないものたち ・入れ歯をめぐる冒険 ・うつぶせ ・QOL(クオリティ・オブ・ライフ) 連作短編集のようなていを取っていますが、長編小説です。 東昇平の認知症になってからの10年を、折々のエピソードで綴っている。 妻曜子は都内の一戸建ての家で、ひとりで在宅介護をしている。 娘は3人。 長女・茉莉は夫の仕事の関係でアメリカ在住。 次女・菜奈は専業主婦なので一番頼られてはいるが、自分の家庭の都合だってある。 三女・芙美は独身だが、フリーのフードコーディネーターとして忙しい日を送っている。 娘には頼れない。 曜子のその気持ちはわかるけど、やっぱり家でひとりで面倒を見るというのには限界がある。 精神的にも、体力的にも。 デイサービスや、症状が進むにつれてショートステイなども利用してはいるが、なんといっても曜子が「お父さんの面倒は私が見なくちゃ」という思いが、却って昇平の社会性を阻止して症状を悪化させているようにも見える。 そして昇平の面倒を見るということが、曜子の支えになってもいるのだろう。 忘れっぽくはなってきたけど、ちゃんとしている時もあるんだから、わたしが支えていれば大丈夫。 男女は逆だが、実家の父もそう言って、なかなか母の症状を認めようとはしなかった。 というか、今でも、ちゃんと話せばわかるはず、と思っている。 子どもの気持ちも、曜子の思いもわかるから、最後は「ああ、やっぱりそうなるのですね…」と思ってしまうけど、実際人間というか生物として、そうならざるを得ないんだよなあ。 クオリティ・オブ・ライフ(生活の質)。 これも人それぞれ、何を大事と考えるかは違って来るし、同じ人でも元気なときと気弱になったときでは違うと思うので、常日頃、自分は人生の最終局面をどうしたいのかを考えておかないと。 大抵は好きなことができなくなったら、がっくり気力が落ちると思うよね。 本を読めなくなったら、好きな食べ物を食べられなくなったら、歩けなくなったら、その時々に「それでも生き続けたいのか」と自分に確認しなくては。 ”夫は妻の名前を忘れた。結婚記念日も、三人の娘をいっしょに育てたこともどうやら忘れた。(中略)妻、という言葉も、家族、という言葉も忘れてしまった。それでも夫は妻が近くにいないと不安そうに探す。不愉快なことがあれば、目で訴えてくる。何が変わってしまったというのだろう。言葉は失われた。記憶も。知性の大部分も。けれど、長い結婚生活の中で二人の間に常に、あるときは強く、ある時はさほど強くもなかったかもしれないけれども、たしかに存在した何かと同じものでもって、夫は妻とコミュニケーションを保っているのだ。”

Posted byブクログ

2023/05/22

認知症になってしまった父親をめぐり、3人の娘と母親、孫たちが、それぞれに戸惑い、混乱しながらも、それでも何とか試練を乗り越えていく物語。 徘徊、異食、不潔行為などなど認知症の様々な問題行動がとてもリアルに描かれて、壮絶な介護を担っているにも関わらず、所々で心の和むエピソードが散...

認知症になってしまった父親をめぐり、3人の娘と母親、孫たちが、それぞれに戸惑い、混乱しながらも、それでも何とか試練を乗り越えていく物語。 徘徊、異食、不潔行為などなど認知症の様々な問題行動がとてもリアルに描かれて、壮絶な介護を担っているにも関わらず、所々で心の和むエピソードが散りばめられており、心温まる物語に仕上がっている。 現在進行形の高齢化社会において、どういった介護が必要なのか。介護者である家族の生活も担保しつつ、本人のQOLをどう確保していかなければならないのか。現代社会においても、今後の社会においても一考しなければならない問題である。 認知症という重いテーマの物語だったが、どこかあたたかくて切ない、家族の物語でした。

Posted byブクログ

2023/05/18

介護の現実を、闘病記のような重いものにせず、だからといってコメディにもせず、絶妙なコミカルタッチで描いている。重たくて読めないとか、介護の現実を描いてないとか、どちらの批判からも距離を置けるのは見事(言う人は言うでしょうけど)。 繰り返し描かれるシーンとして、父・昇平は「もう帰...

介護の現実を、闘病記のような重いものにせず、だからといってコメディにもせず、絶妙なコミカルタッチで描いている。重たくて読めないとか、介護の現実を描いてないとか、どちらの批判からも距離を置けるのは見事(言う人は言うでしょうけど)。 繰り返し描かれるシーンとして、父・昇平は「もう帰る」と言う。家にいる時でさえ。 これは多分、ここは自分の居場所じゃ無いという実感なのだろう。老いが、知らない間に自分の感覚を、認識を、狂わせていく。これまで60年、70年、自分の足で歩き、自分の目で耳で感じてきた、慣れ親しんだ世界とは違うとさえ感じる。言葉にできない違和感。それを説明できないもどかしさ。 ほんの少し前まで確かにあった、僕の愛した世界に、妻と娘のいる世界に帰してくれ。 読了後、そのように考えながら、冒頭の遊園地のシーンを読むと、また涙を誘うのである。

Posted byブクログ