長いお別れ の商品レビュー
痴呆症が進んでいく過程や、介護の大変さ(きっともっとずっと現実はたいへんだろうけど)を感じさせられつつも、ユーモアもあり読みやすい。 登場人物たちに日常生活のいろいろなことがある中で、父の痴呆症も進んでいく。自分の日常をどのぐらい犠牲にして介護に向き合うべきか、どのぐらいを金銭で...
痴呆症が進んでいく過程や、介護の大変さ(きっともっとずっと現実はたいへんだろうけど)を感じさせられつつも、ユーモアもあり読みやすい。 登場人物たちに日常生活のいろいろなことがある中で、父の痴呆症も進んでいく。自分の日常をどのぐらい犠牲にして介護に向き合うべきか、どのぐらいを金銭で解決するのが正当なのか、自分にも迫っているとはわかりつつ、いま致命的な問題がないからと後回しにしている「親の介護」について考えさせられた。
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痴呆症になった元校長の夫を支える妻と、娘たちと、その家族の、看取るまでの10年の話。段々と痴呆が進んでいく様子、戸惑い振り回されながらも介護する家族たちが、リアルに、でも笑いも忘れずに描かれていて、家族の温かさが溢れた話だった。親はまだ元気だが、そう遠くない将来に自分に起こりうる...
痴呆症になった元校長の夫を支える妻と、娘たちと、その家族の、看取るまでの10年の話。段々と痴呆が進んでいく様子、戸惑い振り回されながらも介護する家族たちが、リアルに、でも笑いも忘れずに描かれていて、家族の温かさが溢れた話だった。親はまだ元気だが、そう遠くない将来に自分に起こりうることとして、色々と考えさせられた。
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つらい症状の進行と、そこに織り込まれるさまざまなエピソードが「生きてゆく」とは、単一の出来事でなくて、さまざな人の人生とからまりあって、助け合って、想い合っていくことなのだと思った。 悲しいけど、あたたかい気持ちになれる読書時間。 これから老いに向かっていくなかで、 これを読めたということを 大切にしたいと思えた、よい読書時間だった。
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認知症になった夫(あるいは娘視点からの父)の介護の日常と悪化していく認知症への対応に苦しむ家族の姿が描かれた作品(いやマジで)。 これ、読んでて心が苦しくなるだけじゃないんですかね… 長いお別れ(ロング・グッドバイ)なんて介護疲れするだけで美談になんてならないですよー。
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認知症になった家族の話。もし親が、もし夫がそうなったら、と、人ごとでない気持ちになった。自分の親にも読んでほしいと思った。
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認知症の父をもつ家族のお話。リアリティでユーモア溢れるライトな書きっぷりがとても読みやすく、くすっと笑ってしまう。共感できるところばかりで、わざとらしい名台詞もなく、心にすっと届く言葉や日常が、「幸せ」や「愛情」をゆるーく考えさせてくれた。素敵な1冊。
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認知症を患った父と、自宅で介護を行う母とそれぞれに暮らす3人の娘、孫たちとのやりとりがコミカルに進行する前半。それでも少しづつ状態が悪化していく後半に、妻(母)が自分の名前を忘れても、二人で育てた娘たちを忘れても、帰る場所(家)を忘れてもそれが何だというのだ、というくだりが印象的。それでも自分たちは理解しあえてる、言葉を忘れても嫌なことをはきっぱり否定する意思表示が生きてる証。と懸命に介護する姿勢は実際に直面しないとわからない気持ちが沢山あるのだと思う。ある日訪れる日まできっと何もわからない。
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認知症が少しづつ進む父親 その父親が引き起こす数々のアクシデントを、妻と3人の娘の視点から描かれる。 認知症の父親が何を思っていたかは、描かれない。 認知症は、外部への表現が壊れているため、その人の中で何を考え、思っているかをうかがい知ることが難しい。 そのむず痒く、困惑する...
認知症が少しづつ進む父親 その父親が引き起こす数々のアクシデントを、妻と3人の娘の視点から描かれる。 認知症の父親が何を思っていたかは、描かれない。 認知症は、外部への表現が壊れているため、その人の中で何を考え、思っているかをうかがい知ることが難しい。 そのむず痒く、困惑するところは、認知症の方を介護している家族がいつも抱えているジレンマなのだろう。 この本では、妻が「この人が何かを忘れてしまったからと言ってこの人以外の何者かに変わってしまったわけではない」と言い、認知症の夫に寄り添う。 そんな風に思える夫婦になっているだろうか?相手に心をどれだけ向けてきただろうか?改めて、目の前の相手に心を向けた言動をしようと思う。
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アメリカでは、認知症のことを「長いお別れ」というらしい。 そう語ることによって、病気というイメージから「詩的」イメージへと昇華する。いかにもアメリカらしい言い方か。 本作も、妻や娘の目を通して、認知症の夫(父親)の行状が語られているが、決して暗くならず、ユーモアさえ感じられる。 ...
アメリカでは、認知症のことを「長いお別れ」というらしい。 そう語ることによって、病気というイメージから「詩的」イメージへと昇華する。いかにもアメリカらしい言い方か。 本作も、妻や娘の目を通して、認知症の夫(父親)の行状が語られているが、決して暗くならず、ユーモアさえ感じられる。 妻の介護は自らも網膜剥離に罹るなど困難の極みだし、三人の娘たちもそれぞれ事情を抱えて余裕などなく、深刻で大変な状況であるが、悲惨な状況には描かれておらず、読後感も悪くない。 長寿高齢社会の現代にあって、認知症は、本人家族あるいは近親者など、誰でもが避けては通れない問題かもしれない。 しかし、せめてこの小説世界ぐらいの気持ちの持ち様で、対処したいと思うが。
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認知症で徐々に自分(としての生活能力、思考能力)を失っていく父を取り巻く家族の物語。 介護の現実を突きつけられて静かにぞっとしたり、、、 ただ、夫や父を強く強く想うあまりの家族の姿にユーモアが含まれていて、その軽やかさが救いを感じさせてくれる。それこそがこの作品の魅力だと想う...
認知症で徐々に自分(としての生活能力、思考能力)を失っていく父を取り巻く家族の物語。 介護の現実を突きつけられて静かにぞっとしたり、、、 ただ、夫や父を強く強く想うあまりの家族の姿にユーモアが含まれていて、その軽やかさが救いを感じさせてくれる。それこそがこの作品の魅力だと想う。 「私、とにかく1日も早く網膜をくっつけて家に帰る。 とにかく、一日も無駄にせずに、うつぶせを頑張り抜くわ。この目にガスがある限り、うつぶせて、うつぶせて、うつぶせぬくわよ。」 「この人が何かを忘れてしまったからと言って、この人以外の何者かに変わってしまったわけではない。ええ、夫は私のことを忘れてしまいましたとも。それが何か?」 将来、私もそんな気持ちで親や夫を守る強さを持つぞと思えた。
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