それまでの明日 の商品レビュー
沢崎シリーズ最新作。 『14年もの歳月を費やして遂に完成した』という煽り文句の割には内容が薄いなとは感じたが、それでも久しぶりに皮肉屋の沢崎探偵に再会してこのシリーズの雰囲気を味わえたのは良かった。 昭和の遺物のような沢崎や、錦織警部や、ヤクザの橋爪も健在で何より。 スマホどころ...
沢崎シリーズ最新作。 『14年もの歳月を費やして遂に完成した』という煽り文句の割には内容が薄いなとは感じたが、それでも久しぶりに皮肉屋の沢崎探偵に再会してこのシリーズの雰囲気を味わえたのは良かった。 昭和の遺物のような沢崎や、錦織警部や、ヤクザの橋爪も健在で何より。 スマホどころか携帯すら持たない沢崎がこの現代で探偵としてどのように生業を成り立たせているのか、電話サービスの〈T・A・S〉は伝言サービスだけでは商売が成り立たないだろうから他のどんなサービスを提供しているのだろうかとか、そんなことはともかく、平成も終盤に入っているらしいこの時代設定でも激しい違和感なく入っていけたのは、一方で海津という少し落ち着きのあるものの現代らしい商売をしている青年や、それなりに時代に順応しているらしい田島警部補や、これから探偵業に入っていこうとしている若者や、ヤクザ業から一旦身を引こうとしている相良など、それなりに時代も感じさせているからだろうか。 沢崎の周囲だけ時が止まっているという訳ではなく、時の流れも感じつつ、置いてきぼり感も時代に逆らっている感もなく、沢崎は沢崎らしいやり方で探偵業に従事しているということが分かった。それに沢崎が調べるのは現代ではなく過去なので、その辺りも馴染みやすい理由かも知れない。 ただ最後の演出はいただけない。あの震災後、猫も杓子もと言った感じで様々な作家さん方がそれぞれの作品の中に震災を取り入れようとしていたけれど(もちろんそれだけ衝撃的な災害だったからではあるけれど)、何もここでそうしなくても良いじゃないか、と思った。特に海津の結末がそうなってしまうならばあまりにも悲しい。 これがこのシリーズの完結編となるのか、それとも次が沢崎最後の事件となるのか。 何れにしても昭和の遺物の沢崎が時代に入り込める余地があるうちは探偵でいて欲しい。
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テナーサックスを始めた学生時代、アルバイト先のJAZZ喫茶で知ったフリー・ジャズ集団の『ニュー・ジャズ・シンジケート』。 そのピアニストでもある原尞さんの第1作『そして夜は甦る』以来、エッセイで渇きをいやしつつ、14年待った。 ハードでジェントル、様式美かもしれないが、嫌いでは...
テナーサックスを始めた学生時代、アルバイト先のJAZZ喫茶で知ったフリー・ジャズ集団の『ニュー・ジャズ・シンジケート』。 そのピアニストでもある原尞さんの第1作『そして夜は甦る』以来、エッセイで渇きをいやしつつ、14年待った。 ハードでジェントル、様式美かもしれないが、嫌いではない。 次作をいつまでも待ちたい。
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沢崎の台詞は本当にスタイリッシュ。散りばめられた伏線もぴたりと解き明かされる。でもなんだか平板で深みがない。ラストにあのエピソードを持ってくるのは反則だと思う。
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章立ての場面転換がちょうどコマーシャルが入るタイミングのようで、内容も含めて懐かしい刑事ドラマを見ているようだった。やっと動き出した作者の時計にやや物足りなさを感じていたのだが、最後の1ページで「こんな終わり方があるのか」と、待っていた辛抱がやや報われた気がした。さらに、タイトル...
章立ての場面転換がちょうどコマーシャルが入るタイミングのようで、内容も含めて懐かしい刑事ドラマを見ているようだった。やっと動き出した作者の時計にやや物足りなさを感じていたのだが、最後の1ページで「こんな終わり方があるのか」と、待っていた辛抱がやや報われた気がした。さらに、タイトルの意味の深さに、もう10年ぐらいなら次作を待ってもいいかと思った。
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好きな人は好きかも知れないがハードボイルドはカッコつけすぎ。 なついてくる青年がこんなに胡散臭いのに、おまけに確実な根拠もなくあんなこと聞いたら、馬鹿か危ない人。 自分の世界によってる。単に嫌い。
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6月-8。3.5点。 久しぶりの沢崎シリーズ。相変わらずのハードボイルド。 金融機関の支店長より、料亭女将の周辺調査を依頼される。 調査が変な方向に行き、支店長を訪ねると、金融機関強盗に巻き込まれる。 相変わらずの沢崎節。古臭くも感じるが、まあ良し。 味のあるストーリー。次作も...
6月-8。3.5点。 久しぶりの沢崎シリーズ。相変わらずのハードボイルド。 金融機関の支店長より、料亭女将の周辺調査を依頼される。 調査が変な方向に行き、支店長を訪ねると、金融機関強盗に巻き込まれる。 相変わらずの沢崎節。古臭くも感じるが、まあ良し。 味のあるストーリー。次作も期待。
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時代を超え脈々と息づくハードボイルド作品。超寡作の作家さんの名作シリーズで読めるだけでありがたい。沢崎の独特の言い回しにも惹かれる。出来不出来を置いといても別格の印象。
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著者の作品を初めて読ませて頂きました。グイグイと物語に引き込まれてしまう会話と描写の妙。強盗事件が主たる線かと思えば軽くいなされ、親子や家族の関係性をそこはかとなく描き、かと思えば最後まで何も明らかにならないのに成程そうだったんだと思わせる、語らずの妙。軽妙な会話も嫌味なところが...
著者の作品を初めて読ませて頂きました。グイグイと物語に引き込まれてしまう会話と描写の妙。強盗事件が主たる線かと思えば軽くいなされ、親子や家族の関係性をそこはかとなく描き、かと思えば最後まで何も明らかにならないのに成程そうだったんだと思わせる、語らずの妙。軽妙な会話も嫌味なところが全くなし。ひとつだけ難点かなと思ったのは、海津くんの好奇心の塊のような行動力が少し嘘っぽいと感じたこと程度。もう文句無しの作品。柔らかなハードボイルド作品。また順番は逆になりましたが、沢崎探偵シリーズを最初から読みたいと思います。こういう作品があるから読書はやめられないんですな。
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そして14年ぶりの沢崎シリーズ 変わらず一気読みしちゃう展開、読みやすさなんだけど、 沢崎もケーサツもヤクザも、なんか優しくなっちゃったのは年のせい?時代のせい?( ´ー`)y-~~
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五十を超えた沢崎ですが変わらないな。 ホームズにも引けを取らない名探偵ぶりを今回は見ることができませんでしたが、権力に媚びず、暴力に屈せず、財力にも懐柔されない。何年経っても変らない姿を見られたことに、自然と笑みがこみあげてきました。 でも、小説の登場人物の生き様として魅力的だと...
五十を超えた沢崎ですが変わらないな。 ホームズにも引けを取らない名探偵ぶりを今回は見ることができませんでしたが、権力に媚びず、暴力に屈せず、財力にも懐柔されない。何年経っても変らない姿を見られたことに、自然と笑みがこみあげてきました。 でも、小説の登場人物の生き様として魅力的だと思うけど、一緒に働きたくはないかな。
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