折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー の商品レビュー
SFといえば宇宙や科学というイメージだったが身近な題材や怪談のような話もあり思ったより親しみやすかった。これは中華SFの特徴なのだろうか?無知なだけで他の国にもあるのだろうか?こういうSFなら苦手感なく読める。 表題作の他、鼠年、百鬼夜行街、沈黙都市、蛍火の墓、円が良かった。
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親しみやすさを意識して構成されているようで、初心者の私でもとても読みやすかった。 あと、「三体」の第一巻と第二巻は大衆向けのテーマを入れ込んだけど、第三巻はハードなSFファン向けだから出版社も作者も諦めてたのに、シリーズ全体の成功につながったのはSFファン向けに書いた第三巻だった...
親しみやすさを意識して構成されているようで、初心者の私でもとても読みやすかった。 あと、「三体」の第一巻と第二巻は大衆向けのテーマを入れ込んだけど、第三巻はハードなSFファン向けだから出版社も作者も諦めてたのに、シリーズ全体の成功につながったのはSFファン向けに書いた第三巻だった、という話はこの本に掲載されてるエッセイに書いてあったんですねぇ。読めてうれしい。 収録作家と作品は以下の通り。 ●陳楸帆(チェン・チウファン) ・鼠年 ・麗江(リージャン)の魚 ・沙嘴(シャーズイ)の花 ●夏茄(シア・ジア) ・百鬼夜行街 ・童童(トントン)の夏 ・龍馬夜行 ●馬伯庸(マー・ボーヨン) ・沈黙都市 ●郝景芳(ハオ・ジンファン) ・見えない惑星 ・折りたたみ北京 ●糖匪(タン・フェイ) ・コールガール ●程婧波(チョン・ジンボー) ・蛍火の墓 ●劉慈欣(リウ・ツーシン) ・円 ・神様の介護係 <エッセイ> ・ありとあらゆる可能性の中で最悪の宇宙と最良の地球:三体と中国SF / 劉慈欣 ・引き裂かれた世代:移行期の文化における中国SF / 陳楸帆 ・中国SFを中国たらしめているものは何か? / 夏茄
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三体と同じタイミングで買ってしまって少しずつ読んでいた。編者のケン・リュウ氏による解説が興味深い。小学生の頃児童書で中国SF作品集を読んだ時の印象とさほど変わらないのはやはり停滞していた証拠なのか?思想統制や、監視、ヒューゴー賞での不正、激しい技術革新の日常や「資本主義の危機を乗...
三体と同じタイミングで買ってしまって少しずつ読んでいた。編者のケン・リュウ氏による解説が興味深い。小学生の頃児童書で中国SF作品集を読んだ時の印象とさほど変わらないのはやはり停滞していた証拠なのか?思想統制や、監視、ヒューゴー賞での不正、激しい技術革新の日常や「資本主義の危機を乗り越える代替手段としての共産主義が失敗した・・・」と堂々と書いている割には収録されている作品群はおとなしめであり玉石混交。言えないことはたくさんあるのだろうけれど今の中国の現実の方がよっぽどSFしてるぞ。中国ではSFはアウトサイダーではないのかもしれない。
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ケン・リュウ氏が編んだ中国SFの短編集。様々な賞を受賞している作品も多く、どれも面白い。中国SFだから何か特殊な作風があるのかというとそうでもなく、欧米のSF作品と似た読み方ができる。もちろん、読者は中国の事情を踏まえて読むことも多いだろうから、それはそれで読者が楽しめばよい。収...
ケン・リュウ氏が編んだ中国SFの短編集。様々な賞を受賞している作品も多く、どれも面白い。中国SFだから何か特殊な作風があるのかというとそうでもなく、欧米のSF作品と似た読み方ができる。もちろん、読者は中国の事情を踏まえて読むことも多いだろうから、それはそれで読者が楽しめばよい。収録作品で印象に残ったのは「折りたたみ北京」で、これは何度読んでも良い。「沈黙都市」(馬伯庸)は言葉狩りの究極の姿を描いたディストピア。単純に息苦しさを感じる。「神様の介護係」(劉慈欣)は流転を感じる大きな時間軸の物語。「円」(劉慈欣)は既読で、IT技術の黎明と戦術いうか謀(はかりごと)を絡ませているのが面白い。
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短篇の名手ケン・リュウが精選する中国SFアンソロジー。ヒューゴー賞の表題作を含む、7作家13作品を収録。 ケン・リュウの英訳によって広く知られるようになった近年の中国SFがアツい。三体の劉慈欣は別格だが、それ以外にもクオリティの高い作品が多く、作家層の厚さをみせてくれた傑作短篇...
短篇の名手ケン・リュウが精選する中国SFアンソロジー。ヒューゴー賞の表題作を含む、7作家13作品を収録。 ケン・リュウの英訳によって広く知られるようになった近年の中国SFがアツい。三体の劉慈欣は別格だが、それ以外にもクオリティの高い作品が多く、作家層の厚さをみせてくれた傑作短篇集が本書。ケン・リュウ自身の作品はないが、彼に劣らず魅力的なタイトルが目立ち、非常に読み応えのある一冊だった。 「童童の夏/夏笳」介護における近未来技術の予測、すぐにも実現しそうで興味深い。 「沈黙都市/馬伯庸」個人番号がウェブ上に延長され、匿名が許されない超管理ネット社会が描かれる。ネットの閲覧が管理国家によって制限されており、インターネットが最悪の方向に進んだらこうなるかもといわんばかりのディストピアが印象的。作中でも扱われる「1984年/ジョージ・オーウェル」の現代的なアプローチといえる。その中でも本作がスポットを当てているのは言葉の規制。言葉を制限することがすべてを制限することにつながるのがよくわかる空想実験だ。 「折りたたみ北京」ヒューゴー賞 中編小説部門を受賞した本作は文字通り、都市のダイナミックな変形によってヒエラルキーを描くというワクワクする作品。これぞSFを読む醍醐味といった感じ。 「神様の介護係/劉慈欣」はさすがのひとこと。コミカルな光景に見えて、深遠なテーマを含んだガチSF。 中国SFおそるべし。食わず嫌いは損をする一冊。ぜひご賞味あれ。
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表題作の他、数篇を読んだ。「折りたたみ北京」は、わかりやすいディストピア小説だが、その発想とそれを読みやすい作品にする構想力には畏れ入る。
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2021年10月22日読了。中国出身SF作家ケン・リュウ訳の現代中国SF小説のアンソロジー。7人の作家から1~3作品が収録されている。まずいずれの作品からも濃厚に香る「現代中国」がたまらない!共産党が支配し反日教育を受けテクノロジーに囲まれた国、という自分のイメージがまあ間違って...
2021年10月22日読了。中国出身SF作家ケン・リュウ訳の現代中国SF小説のアンソロジー。7人の作家から1~3作品が収録されている。まずいずれの作品からも濃厚に香る「現代中国」がたまらない!共産党が支配し反日教育を受けテクノロジーに囲まれた国、という自分のイメージがまあ間違っていないにしてもいかにも一面的で、このような抑圧された社会の中でSF作家の想像力というものはかくも豊かに広がるものなのか、と感心させられた。夏笳の短編はブラッドベリみたいな詩情に満ちているし、『三体』の劉慈欣の短編2篇はいずれも中国らしいSFホラ話で、日本人からはこんなスケールの発想は生まれないだろうし、生まれたとしてもしっくりこないだろうなあ…と感じた。他の作品も捨てがなくどれも展開・ラストに驚きがあり普通に面白いSFとして楽しめた。是非他の作品も読んでみたい。
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ケン・リュウ編集、中国SF文学の名手7名(しかし序文の表現を借りるなら、大半は“新星”世代に属する)の作品を収めた短編集。劉慈欣やっぱりすげー。「円」「神様の介護係」抜きん出て面白かったですが、他にも「童童の夏」「沈黙都市」「折りたたみ北京」が好きでした。「わたしが〈三体〉であら...
ケン・リュウ編集、中国SF文学の名手7名(しかし序文の表現を借りるなら、大半は“新星”世代に属する)の作品を収めた短編集。劉慈欣やっぱりすげー。「円」「神様の介護係」抜きん出て面白かったですが、他にも「童童の夏」「沈黙都市」「折りたたみ北京」が好きでした。「わたしが〈三体〉であらゆる可能性の中から最悪の宇宙を書いたのは、われわれが最良の地球を求めて努力できると願うからである」。
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中国については個人的にそれなりの思い入れがあって、定期的に現地を訪れていたものの、もう色々あって現地を10年以上訪れていないていたらく(?)です。 現地のエピソードで一番印象的だったのが、「中国では、もし警察の車にはねられたら、はねられた側の人が謝って逃げる」という話。国家権力の...
中国については個人的にそれなりの思い入れがあって、定期的に現地を訪れていたものの、もう色々あって現地を10年以上訪れていないていたらく(?)です。 現地のエピソードで一番印象的だったのが、「中国では、もし警察の車にはねられたら、はねられた側の人が謝って逃げる」という話。国家権力の強さと、民衆の弱さを象徴していて、まぁ日本とは逆ですね(皮肉って言うつもりもあまりなく、正直この関連の議論を続けていくと、結局どっちもダメという結論になると思います)。 そして、このアンソロジーを読んで思いを馳せたのが、上記のくだり。良くも悪くも、国家権力の傷跡が大きいんだなぁと。日常の暮らしにまで染み付いた国家権力の強さは、創作者の思考の根っこに消せない影響を及ぼしているんだと思いました。(そういう意味では、『1984年』を読了しておいた良かったなぁという感も(笑) あと、現代中国的な拝金主義も本著の通奏低音の役割を果たしていて、特に『コールガール』では、お金にモノを言わせるものの、結局それでは満ち足りないという矛盾も感じます。 ただ、そんな中でも本著の短編たちの面白さは飛び抜けているとも感じます。切り口の多様さ、舞台設定の奇抜さ、読み通すだけの価値はあるのではないかと思います。 (『三体』のオチが著者解説であっさり出てきてしまうのは、まだ結末を未読の自分としては辛いですが・・・) 中国は日進月歩だと思うので、今は私が一方的に持っている印象は今の実情とは違うのかもしれません。世界的にも刺激的な場所となり、世界中の金を惹き付け、これからどうなっていくのか・・・。 ただ、本著の創作上にあるような、「独裁的な政府」や、一定の経済的地位に就きながらもトップにはなれないとする卑屈なスタンス…。今後の楽しい世界?のためにも、これが永続的に続く中国のキャラクターにならないと良いなぁとも思いました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
全般的に非常に品質が高く、多様性に富んでいて、とてもよかった。共通して美しい世界観があるのもよい。 作者に女性が多いところがちょっと意外で、日本とは違うところだなと思った。 圧巻だったのはやはり「三体」の劉慈欣。「神様の介護係」がよかった。 あとは馬伯庸と郝景芳の作品をもっと読んでみたい。 ## 劉慈欣 ### 円 古代中国を舞台にして、兵隊を演算素子としてコンピューターのようなものを作った歴史改変もの。 あれだけの大国の大量の兵をもってすればできなくもなかったかもと思えて面白い。 ### 神様の介護係 最高に面白い。 神様は確かに存在したが、それは何億年も前に栄えた文明に生きた人々のこと。その文明は高度に発達していたが、ピークを超えて停滞し、文明自体が老年に差し掛かったため、自分たちの世話をさせるために地球に生命を誕生させたという話。地球人から見れば神の位置付けとしては間違っていないし、それにSF的な設定をうまく融合させている。 ## 陳楸帆 ### 鼠年 遺伝子操作で製品化された鼠が逃げ出したので、学生までが鼠胎児に駆り出される。 鼠はただの鼠ではなくいろいろな能力を持っているみたいで、最後はよくわからなくなる。 なんとなく椎名誠のSF作品を連想した。 ### 麗江の魚 ### 沙嘴の花 舞台や装置がサイバーパンク的になっているが、テーマとしてはSFではない。 こっち系の話は苦手というかあまり興味がない。ただ、ノスタルジックな雰囲気はなかなかよかった。 ## 夏笳 ### 百鬼夜行街 幽霊や妖怪が出てくる話。SFとの境界が曖昧だし、そもそも境界なんて気にしなくてよいという思いがありそう。 ### 童童の夏 自らも要介護者の老人がロボットを遠隔で操って、別の老人を介護する。中国も高齢化が深刻なのが分かる。よい。 ### 龍馬夜行 龍馬が蜘蛛と一緒にパレードして、ラ・マシンぽいなと思ったらまさにそうだった。人類滅亡後に残された機械の話で、想像が膨らむ。 ## 馬伯庸 ### 沈黙都市 オーウェルの一九八四をオマージュしたような、検閲が強烈なディストピアの話。もちろん、現在の中国の状況とも重ねているはず。最高。長編でも読みたい。 ## 郝景芳 ### 見えない惑星 男が女に、今までに訪れた数々の不思議な惑星の話を聞かせる。惑星ごとに文化の発展の仕方に独特のエピソードがあり、文化人類学的に面白い。男が女に話している状況にも何かありそうな不思議な雰囲気がある。よく分からないが、いい感じ。 ### 折りたたみ北京 3つのエリアに分けられ、それぞれの割り当て時間が決められて、街が折りたたまれながら入れ替わる。格差と分断を可視化したようなディストピア。この短編ではそこでの1シーンを切り取った感じだったが、是非とも長編で読みたい。 ## 糖匪 ### コールガール 性的なサービスではなく、夢を見せる娼婦の話。夢の内容が乾というのがよく分からなかった。 ## 程婧波 ### 蛍火の墓 時間と空間を超越したような不思議な世界の話。創世神話のようでもあるし、超未来のようでもあるし、完全な別世界のようでもある。イメージが飛びすぎていてちょっとついていけなかった。
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