1,800円以上の注文で送料無料

折りたたみ北京 現代中国SFアンソロジー の商品レビュー

4.2

38件のお客様レビュー

  1. 5つ

    10

  2. 4つ

    16

  3. 3つ

    4

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/04/11

中国現代SFのアンソロジーである。序文や収録されているエッセイで、中国SFはどう中国なのか質問されるという話が出てくるが、今回紹介されているSFはバラエティに富んでいて、一口で中国SFを定義できない。 面白いのは、このアンソロジーが英語経由で日本語に訳されているということ。英語圏...

中国現代SFのアンソロジーである。序文や収録されているエッセイで、中国SFはどう中国なのか質問されるという話が出てくるが、今回紹介されているSFはバラエティに富んでいて、一口で中国SFを定義できない。 面白いのは、このアンソロジーが英語経由で日本語に訳されているということ。英語圏において中国現代SFが広く紹介されていることにも気づかされる。 表題作の『折りたたみ北京』を読んでファーマーの『ディワールド』とあさのあつこの『No.6』を思い出した。一週間を平等に分けるディワールドと違って、功利主義の行く末としての折りたたみ北京の怖ろしさ。これは国の差というよりは、時代の差なんだろうと思った。

Posted byブクログ

2019/02/20

ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロ』読了。中国出張に際し積んでたのを思い出し機中で読み出すや、その面白さ多様さに引き込まれる。冒頭の『鼠年』や表題作『折りたたみ北京』も良作だけど、荊軻が始皇帝暗殺の代わりに三百万の兵で円周率を計算する歴史改変ハードSF『円』が白...

ケン・リュウ編『折りたたみ北京 現代中国SFアンソロ』読了。中国出張に際し積んでたのを思い出し機中で読み出すや、その面白さ多様さに引き込まれる。冒頭の『鼠年』や表題作『折りたたみ北京』も良作だけど、荊軻が始皇帝暗殺の代わりに三百万の兵で円周率を計算する歴史改変ハードSF『円』が白眉。

Posted byブクログ

2018/12/25

表題作はじめ、いずれの短編も面白かった。中でも女性作家の作品が楽しめました。たまに味わいの異なる中国SFを読むのは良いかも。

Posted byブクログ

2019/01/05

ケン・リュウの本を読んだのは、紙の動物園に続き2冊目ですが、今回も綺麗な文章で、秀逸な内容の短編集でした。前よりも理系カラーに傾き踏み込んだストーリーが多いかもしれません。

Posted byブクログ

2018/12/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

陳楸帆「鼠年」★★★ 陳楸帆「麗江の魚」★★★ 陳楸帆「沙嘴の花」★★★ 夏笳「百鬼夜行街」★★ 夏笳「童童の夏」★★★★ 夏笳「龍馬夜行」★★★ 馬伯庸「沈黙都市」★★★ 郝景芳「見えない惑星」★★★ 郝景芳「折りたたみ北京」★★★ 糖匪「コールガール」★★ 程婧波「蛍火の墓」★ 劉慈欣「円」★★★★★ 劉慈欣「神様の介護係」★★★

Posted byブクログ

2019/07/21

現代中国の本には全く馴染みがなかったが、この本はとても良かった。アジア的ディストピアの描写はなんとなく肌馴染みが良いし、翻訳もとても自然で読みやすい。また著者紹介のページを見ると、プロ作家専業というよりもいろいろな分野との兼業作家が多いのも興味深い。ここら辺、中国の検閲文化と関係...

現代中国の本には全く馴染みがなかったが、この本はとても良かった。アジア的ディストピアの描写はなんとなく肌馴染みが良いし、翻訳もとても自然で読みやすい。また著者紹介のページを見ると、プロ作家専業というよりもいろいろな分野との兼業作家が多いのも興味深い。ここら辺、中国の検閲文化と関係しているんだろうか… 名作『紙の動物園』のケン・リュウ氏の作品は残念ながら入っていないけれども、アンソロジーとしてのレベルは高くまとまっている。

Posted byブクログ

2022/03/04

「お話は液体じゃないわ」 「お話は犬に似ているの」 - Call Girl/糖匪 未来を描くには大まかに分けてふたつの方法がある。帰納と演繹だ。 前者の一番わかりやすい例はスチームパンクだろうか。理想としての未来像が目の前にあり、それに沿う形で世界をの輪郭を引いていく。例えば、...

「お話は液体じゃないわ」 「お話は犬に似ているの」 - Call Girl/糖匪 未来を描くには大まかに分けてふたつの方法がある。帰納と演繹だ。 前者の一番わかりやすい例はスチームパンクだろうか。理想としての未来像が目の前にあり、それに沿う形で世界をの輪郭を引いていく。例えば、もし今より一世紀まえに蒸気機関によるコンピューターが普及していたら、都市はいったいどのような景観をしているのだろうか、と。 対して後者の場合は、まず現実を出来るだけ高解像度で量子化する。そのデータセットを分析し、どうにか方程式を組み立てて、納得できる「世界」という関数を作り出したら、ひとつまたひとつと作者が考える時間単位を加味していく。そうして「世界」が十分現実から離れ、「不思議さ」を提供できるほどの未来になったら、その世界の普通を描くのだ。 もちろん、おおよそほとんどの作品はこの二つの方法の両方が使われている。しかし、未来を描くのがその時代に生きる人間である以上、どんな望遠鏡あれ地球に置かれている限り光速に縛られるのに似て、「いま」という時代性からは例え星新一であろうとも自由になれない。 だから、「未来」は偶に、作者も意図していなかったほど鮮明にその時代の精神を写しとる。 例えばヴィーナス・シティという作品は、あまりにも当然のようにバブルが永続した世界を描いているから、そのまぶしさは今を生きる我々からすると直視することすら困難だ。 先の方程式の例をだすと、「世界」関数の傾きは「その時代/その瞬間の定数」として描かれる。だからこそ、当時の人たちはいったいどのような変化の割合を体感していたのかが、文章の節々から漂ってくる。 そんな訳で私はてっきり「現代中国SF精選」なんて本に描かれている未来は、目くるめく千年帝国の見本市のようなものかと思っていた。 だがこの本を読むに、それはどうやら違うらしい。ここで描かれているのはその構成員すら無視するようになった大企業に磨り潰される勤め人であったり、資本主義の尻拭いをするために兵士になった大学生だったり、神を介護する人々の憂鬱だったりする。 なんとなくだが、威勢のいい数字を喧伝する経済紙や公式レポートを読み漁るより、こっちの方が実態に近いように思う。 きっと向こうも向こうで私たちみたいなゆとり/さとり世代がいて、おじさんたちの吐く気炎に辟易しているのだと思うと、ちょっと安心できるじゃないか。

Posted byブクログ

2018/10/24

色々身構えて読み始めたけどそんな心配はいらなかった。 中国とSFの結び付きとは、とか最近SF読んでいなかったな、とかポケットブック版は情報量多そうだな、とかそんな事を色々考えていたけど。 子供の頃読んだジュブナイルSFを思い出すような、とにかくわくわくして読めた。 カタログ的に...

色々身構えて読み始めたけどそんな心配はいらなかった。 中国とSFの結び付きとは、とか最近SF読んでいなかったな、とかポケットブック版は情報量多そうだな、とかそんな事を色々考えていたけど。 子供の頃読んだジュブナイルSFを思い出すような、とにかくわくわくして読めた。 カタログ的にどれか気に入った作品があればという感じでも読もうとしていて、作品の中では「蛍火の墓」が美しく哀しく印象に残ったけど、どの作品も異なった世界観が魅力的で、次に読んだらまた新しい良さが発見できると思う。

Posted byブクログ

2018/10/22

現代中国SFアンソロジーという副題にたがわぬ、面白いSFが詰まっていた。ケンリュウの英訳をさらに日本語に訳してあるので、言葉使いは原典からどのくらい違うのかわからないが、発想やストーリーは十分堪能できる。 劉慈欣(リュウツーシン)の三体はぜひ読んでみたい(オバマも読んでる) 鼠...

現代中国SFアンソロジーという副題にたがわぬ、面白いSFが詰まっていた。ケンリュウの英訳をさらに日本語に訳してあるので、言葉使いは原典からどのくらい違うのかわからないが、発想やストーリーは十分堪能できる。 劉慈欣(リュウツーシン)の三体はぜひ読んでみたい(オバマも読んでる) 鼠年/陳楸帆:まだ鼠の毛一本見つけていない 麗江の魚/陳楸帆:再訪した。今回は病人として 沙嘴の花/陳楸帆:深圳湾の夏は10か月続く 百鬼夜行街/夏笳:百鬼夜行街は藍色の帯のように細く長い通りです。 童童の夏/夏笳:おじいちゃんがうちに引っ越してくるわよ 龍馬夜行/夏笳:りゅうまは月夜に目覚めた。 沈黙都市/馬伯庸:時は2046年。中国政府への風刺? 見えない惑星/郝景芳:魅力的だった惑星の話をきかせて 折りたたみ北京/郝景芳:ごみ処理施設での勤務が終わったあと老刀は・・・ コールガール/糖匪:小一のほっそりした裸体だけが、細い朝陽に照らされている。 蛍火の墓/程婧波:雪止鳥が空にあらわれ、世界の混乱は深まりました。 円/劉慈欣:秦の首都咸陽紀元前二二七年 神様の介護係/劉慈欣:神のせいで秋生一家はまたしても大騒ぎだった。

Posted byブクログ

2018/08/28

ギブスン調、オーウェル調、カルヴィーノ調、クラーク調といった影響元が明らかなものから、中国調としか言いようのない不思議な幻想小説まで。

Posted byブクログ