許されざる者 の商品レビュー
タイトルからイーストウッドの映画が思い浮かぶけれど無関係 。原題の直訳で良かった気がするが、内容に関わるという判断なのかな。 時効を迎えた凶悪犯罪をどう扱うかが一つの見所だが、某登場人物の超人化で非現実的な方向へ舵が切られた感じ。 主人公の家族や友人とのやりとりは親しみやすく微笑...
タイトルからイーストウッドの映画が思い浮かぶけれど無関係 。原題の直訳で良かった気がするが、内容に関わるという判断なのかな。 時効を迎えた凶悪犯罪をどう扱うかが一つの見所だが、某登場人物の超人化で非現実的な方向へ舵が切られた感じ。 主人公の家族や友人とのやりとりは親しみやすく微笑ましい。しかし「制裁」ルースルンド、ヘルストレム(著)を思わせる後味の悪さが尾を引く。
Posted by
元国家犯罪捜査局長官が脳塞栓(心臓由来の脳梗塞)で倒れた。入院先の病院で女性主治医から25年前の未解決事件を聞かされる。9歳の少女を強姦した犯人は捕まっていなかった。ラーシュ・マッティン・ヨハンソンは車椅子生活を余儀なくされながらも非公式の捜査に取り掛かる。昨今話題の北欧ミステリ...
元国家犯罪捜査局長官が脳塞栓(心臓由来の脳梗塞)で倒れた。入院先の病院で女性主治医から25年前の未解決事件を聞かされる。9歳の少女を強姦した犯人は捕まっていなかった。ラーシュ・マッティン・ヨハンソンは車椅子生活を余儀なくされながらも非公式の捜査に取り掛かる。昨今話題の北欧ミステリだがスウェーデンの微妙な地政学が伺えて興味深い。 https://sessendo.blogspot.com/2019/12/gw.html
Posted by
スウェーデン産のミステリで、クリントイーストウッドは無関係です。 いきなり引退した警察重鎮が倒れるところから始まるのですが。。。。。
Posted by
通りの向こう側を見通せるといわれた元犯罪捜査局長官が犯人を追う。体調の悪さと闘いながら。ののしりながら。 すでに時効の切れた事件、見つけてどうする。 武器は、的確な指示と判断力。 物語は脇へそれることなく、事件の中心をグイグイ進んでゆく。飽きさせない。 垣間見える頑固さがかわい...
通りの向こう側を見通せるといわれた元犯罪捜査局長官が犯人を追う。体調の悪さと闘いながら。ののしりながら。 すでに時効の切れた事件、見つけてどうする。 武器は、的確な指示と判断力。 物語は脇へそれることなく、事件の中心をグイグイ進んでゆく。飽きさせない。 垣間見える頑固さがかわいい。 いい仲間たちだ。
Posted by
退職した警官が過去の事件の調査を依頼され‥ スウェーデンの人気シリーズの最終作。 ガラスの鍵賞など、各賞総嘗めにした作品です。 警官と言っても、このラーシュ・ヨハンソン、ただの警官じゃない。 凄腕で知られる、国家犯罪捜査局の長官だったのです。 退職後のある日、脳梗塞で倒れます。...
退職した警官が過去の事件の調査を依頼され‥ スウェーデンの人気シリーズの最終作。 ガラスの鍵賞など、各賞総嘗めにした作品です。 警官と言っても、このラーシュ・ヨハンソン、ただの警官じゃない。 凄腕で知られる、国家犯罪捜査局の長官だったのです。 退職後のある日、脳梗塞で倒れます。 入院先の担当医の女性から、父親が気にしていたという、昔の事件を調べてほしいと頼まれます。 牧師だった父が、犯人を知っているという懺悔を聞いたというのです。 懺悔は本来秘匿すべきものなので、犯人の名前まではわからないのですが。 すでに時効になった、25年も前の未解決殺人事件。 かっての部下にも連絡を取り、少しずつ調べるうちにのめり込んでいきます。 不自由な身となり命の危険を感じつつ、生への執念を燃やすように。 ヨハンソンは兄との共同の事業でも成功しているし、年の離れた美人の妻もいる幸せ者。 頑固なヨハンソンのもとへ、見た目が派手な若い女性の介護士が来たり、ヨハンソンを上回って押しが強い兄が心配して送り込んだ屈強な若い男性が傍に付き従ったり。 思わぬ闘病&安楽椅子探偵生活を描く筆致はユーモラスです。 当初は雲をつかむような話だった昔の事情が、微妙に違った角度で見え始める。 部下たちが全幅の信頼を寄せている様子も微笑ましい。 さぞ豪胆で頼りになる上司だったんだろうな、と。 しかし倒れたというのに、好きなものを食べるのを全然やめないの、この男。 引退したとはいえ、時効とはいえ事件を抱えているのだから、もう少し健康に気を配ったほうが!という気はしますが。 最終作なのでオールスターキャストなのでしょう。 この作品からの翻訳で、これっきり?なのかどうか。 ちょっと、惜しいですねえ。 次はどの作品が翻訳されるか?楽しみにしてますよ。
Posted by
時効となってしまった殺人事件を、引退した警官が捜査していく物語です。 犯人自体のめぼしは割合早くついてしまうのですが、時効になっているケースだからこそ、「犯人をどう罰するのか?」というテーマについても触れられていて、これが中々興味深かったです。 また、事件と同じくらいのボリュ...
時効となってしまった殺人事件を、引退した警官が捜査していく物語です。 犯人自体のめぼしは割合早くついてしまうのですが、時効になっているケースだからこそ、「犯人をどう罰するのか?」というテーマについても触れられていて、これが中々興味深かったです。 また、事件と同じくらいのボリューム感で、主人公の人生模様についても同時進行で話が進んでいきます。 個人的には事件の真相に迫っていく一連の流れは面白く、読むのを止められませんでしたが、主人公自身の話の割合がちょっと多いかなと思いました(途中で中だるんでしまいました…)
Posted by
ストックホルムにあるスウェーデン一のホットドッグを出す屋台「ギュンテシュ」の、挽きたてのコショウとパプリカ、オニオン、軽く塩漬けにしてから粗く挽いた豚肉でつくられたジプシーソーセージをバゲットにはさんだやつ、想像しただけでお腹がなる。 脳梗塞で倒れた国家犯罪捜査局元長官が時効にな...
ストックホルムにあるスウェーデン一のホットドッグを出す屋台「ギュンテシュ」の、挽きたてのコショウとパプリカ、オニオン、軽く塩漬けにしてから粗く挽いた豚肉でつくられたジプシーソーセージをバゲットにはさんだやつ、想像しただけでお腹がなる。 脳梗塞で倒れた国家犯罪捜査局元長官が時効になってしまった25年前の事件を調べ直す。主人公がいつまた倒れるのじゃないかとはらはらしながら読了。長官が美しい景色のなかで幸せに幕を降ろせてよかった。事件当時も25年後も仕事のできない警部が最後はそれ故にうまく絡んでニヤリとさせられる。
Posted by
2018年秋に読んで、とても印象に残る作品だったので、昨年の『このミス』では5位に投票したのだが、今思えばもっと上位に入れてもよかったかもしれない。本国スウェーデンでは、いくつかのシリーズ作でヒットを飛ばし、うち何本かはTVシリーズにもなっているこのレイフ・GW・ペーションであ...
2018年秋に読んで、とても印象に残る作品だったので、昨年の『このミス』では5位に投票したのだが、今思えばもっと上位に入れてもよかったかもしれない。本国スウェーデンでは、いくつかのシリーズ作でヒットを飛ばし、うち何本かはTVシリーズにもなっているこのレイフ・GW・ペーションであるが、日本ではほとんど知られていない。本邦初訳となるペーションのこの作品は、各賞を総舐めにした傑作である。この作品に出会えて本当によかった。 主人公は国家犯罪捜査局長官のラーシュ・マッティン・ヨハンソン。何と、この主人公、作品のスタート時点で、ホットドッグ屋台の前で脳塞栓を起こし、意識不明の状態で病院に運ばれてしまう。やがて意識は戻るが、元の体に戻る見込みは相当に薄い重病である。このヨハンソンは、シリーズ主人公であり、これはその最終作なのである。シリーズ読者は驚くだろう。ぼくのように邦訳作品を手に取る者は、初対面の主人公がいきなり病床で、未解決事件の捜査指示を開始しやがて解決に導いてゆく本書の構成を、普通のこととして読んでしまうが、巻末解説で各種シリーズの紹介がなされており、実は、これがこの存在感ある主人公の結末かと思うと、とても複雑な気持ちになった。もっと早くシリーズ初作から邦訳されていれば……。 スウェーデン本国のファンには後れを取ったものの、それでもこの一作は素晴らしい。身体は動けないが、事件と生命への執念を燃やす頑固親父の主人公は、25年前の幼女殺しという未解決事件にのめり込む。彼を手助けする個性的なメンバーが集められ、古い資料が取り寄せられ、ここからは捜査の面白さの中で、最初は薄ぼんやりとしている人間関係の深淵が、次第に明確な真実の形を成してゆく様を読んでゆくことになる。捜査小説の王道である。ディテールから徐々に見えてくる真実。ほぼ捜査だけで、事件を終結させる一冊であり、その語り口に一切のけれんも感じさせない。 しかもこの事件は、時効法成立前の未解決事件であるため、もし真犯人がわかったとしても法的処罰を下せない。罪と罰という因果に、この作品はどう決着をつけてゆくのか? 本作で最も素晴らしいのは、いわゆる「キャラが立っている」ことだ。多くの人物が登場するのに、それぞれに見事なほど存在感があり、個性がある。アンナ・ホルト刑事もエーヴェルト刑事も、それぞれが主役でのTVシリーズになっているらしいので、人物像がしっかりしているのもむべなるかな。さらに本書も、3話構成でドラマ化されており、この作家は、小説のみならず映像作品でも本国では著名であるようだ。 最後に、緻密な捜査について。作者自身が犯罪学者として、国家警察省長官の補佐役まで勤めた経歴のある現実に根を下ろしたという、文芸界では極めて稀有な存在であるため、地に足のついた捜査模様が積み重ねられてゆく、本書ならではの着実なリズム感も、そうした素地から生み出されたものだろう。 北欧ミステリの面白さは、歴史的かつ社会的事実に、時間軸かつ地形軸で、しっかり考証された現実味というところあるように思う。現実は、小説世界と読者の側の世界とを結びつける共通のものだからである。本書の犯罪一つとっても他人事とは思えぬリアルな事件であり、いくつもの真実の要素を身に纏っているからこそ、我々読者側の真剣さを引きずり出してくれるものなのだろうと思う。 折角の機会だ。この作品を機に、ペーション作品が多く邦訳されることを強く願ってやまない。 追記:ちなみにタイトルの『許されざる者』だが、ジョン・ヒューストン(1960年)、クリント・イーストウッド(1992年)、李相日(2013年)、いずれの監督作品とも無関係である。
Posted by
スウェーデンの小説は初めて読んだとおもうが、こんなの表現が面白いとは思わなかった。ストーリーも単純ではあるが引き込まれる。
Posted by
福祉国家、人権重視国家でさえ、子供への性犯罪は止められぬと思うと、絶望的になる。スウェーデンミステリは陰鬱な印象があるが、本作はユーモア系といってもいい程。 そういえば、『名探偵カッレくん』、読み逃していたな。 ラーシュの長兄とダメ捜査官のファーストネームが同じなのは何か意味があ...
福祉国家、人権重視国家でさえ、子供への性犯罪は止められぬと思うと、絶望的になる。スウェーデンミステリは陰鬱な印象があるが、本作はユーモア系といってもいい程。 そういえば、『名探偵カッレくん』、読み逃していたな。 ラーシュの長兄とダメ捜査官のファーストネームが同じなのは何か意味があるの?綴りが違うのか? 警察幹部の妻が銀行重役なんて、まず日本ではあり得ない。 マックスの存在は真犯人の邪悪さを際立たせる。 ラストで、真犯人に下されたのは人の手によるものだが、ある女性を見舞った運命は天意なのだろうか。 <いかなる慈悲も与えるな>
Posted by