風神の手 の商品レビュー
22これは二度読みしないとあかんやつ。全てのお話しが繋がってるから相関図いるよ笑。三代にわたる思いが最後に収斂していくストーリーは晩秋の夕暮れにも似た寂寥感がありました。
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久しぶりの道尾さん作品。フォローしている方のレビューを読んで興味を持った。 読み終えてみれば実に道尾さんらしい、よく練り上げられた複雑に絡み合うストーリーだった。 冒頭は遺影専門の写真館に余命わずからしい女性とその娘がやって来るシーン。そしてそこで見つけたある『サキムラ』という...
久しぶりの道尾さん作品。フォローしている方のレビューを読んで興味を持った。 読み終えてみれば実に道尾さんらしい、よく練り上げられた複雑に絡み合うストーリーだった。 冒頭は遺影専門の写真館に余命わずからしい女性とその娘がやって来るシーン。そしてそこで見つけたある『サキムラ』という男性の遺影写真を見て、遺影を撮りに来た女性は態度を一変させる。 『ーお母さんのせいで、サキムラさんは死んじゃったの』 余命わずかな女性の何とも意味深な言葉に加え、この第一章のタイトルが『心中花』。 そして時代は遡りその女性が高校生だったころの『サキムラ』なる男性との恋の物語が綴られていくのだが、その物語もなんとも危うい綱渡りという感じでハラハラさせられる。 これはもう嫌な予感しかしない…と思っていたらやはり。 しかしここからが道尾さんの真骨頂。どんでん返しが始まる。あれもこれもそうだったのか、と。 そして第二章、第三章は第一章の物語の関係者たちへ主人公と世代をバトンタッチしながら展開していくのだが、これもまた思わぬ展開と見事な伏線回収が待っている。 物語のベースにあるのは<上上(かみあげ)町><下上(しもあげ)町>という変わった町を流れる<西取川>でかつて行われた護岸工事での事故。 工事業者のミスで消石灰が川に流出し、そのために多数の魚が死んでしまった事故が、業者の隠ぺいにより事件に発展し業者は倒産。 この事件が作品を通して様々な人々の人生を変え、その下の世代にも繋がっていく。 そして事件そのものの様相も各章で違って見えていく。 作品のテーマとしては『嘘』。 作中には様々な嘘が出てくる。嫌われたくないためについた嘘、自分を守るための嘘、他愛のない嘘、友情を確かめ合う嘘、家族のための嘘、そして他人を陥れるための嘘…。 この嘘の果てにどんな破滅と恐ろしい結末が…とハラハラしていたが、意外だった。どう意外だったのかは読まれてのお楽しみに。 作品のタイトル『風神の手』とは、風神がちょっと手を動かせば大きな風が吹くように、ちょっとしたことで様々な人々の人生が変わっていくということだろうか。 作中、悪人が出てこなかったのが逆に怖い。普通の人々のちょっとした気の持ちよう、ネガティブな感情、魔がさしたとしか言えないタイミング…様々なもので状況はガラッと変わる。
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鮎漁が季節の風物詩として盛んな川沿いの町に起こった水質汚染事件。数年後、その事件に少しずつ関わっていた人たちの話を合わせてみると思いがけない真実が浮かびあがるミステリー小説。 女子高生と若い漁師の悲しい恋、小学生の友達同士が敵に立ち向かおうと決意する話、汚染事件で成功をおさめた...
鮎漁が季節の風物詩として盛んな川沿いの町に起こった水質汚染事件。数年後、その事件に少しずつ関わっていた人たちの話を合わせてみると思いがけない真実が浮かびあがるミステリー小説。 女子高生と若い漁師の悲しい恋、小学生の友達同士が敵に立ち向かおうと決意する話、汚染事件で成功をおさめた業者社長の思わぬ苦悩。この3つの話が思いがけない形で組み合わさり、意外な真実が見えてくる。 少しずつ組み合わさっていく過程が面白い、「え!あ!そうなのか」と。ずーっと出ていた「どすと」は必要かしら。
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「風が吹けば桶屋が儲かる」世界観を、独立した挿話が全部繋がっているというプロットで描いているが、完成度は今一つだなあ。「雷神」の見事な完成度を目の当たりにした後で読むと、どの作品も今一つと思ってしまうのは仕方ないのかも。
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面白い。 最初から最後まで話が繋がっていく その人にとっては その時に大した事ではなくとも 後々、重要な意味を成していく 人と人とが 1つの町 1つの事件を通して 世代を超えて どんどん繋がっていく... まるで 一筋の風が吹くように 人の絆や縁が 色々な物に細く長く 繋がって...
面白い。 最初から最後まで話が繋がっていく その人にとっては その時に大した事ではなくとも 後々、重要な意味を成していく 人と人とが 1つの町 1つの事件を通して 世代を超えて どんどん繋がっていく... まるで 一筋の風が吹くように 人の絆や縁が 色々な物に細く長く 繋がっていくものなのだと この本を読んで考えさせられました。 私の行動や発言も 人に影響を与え、 後々に色々な事に関わってしまうのだろうか と、少し怖くもなる1冊。
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久しぶりに道尾作品を読んだがいつも通りのうまさ。 人物や事件の絡み合いが終盤にこれでもかという具合に明かされて、そうだったのかと感心する。いつも通りだ。どんな頭脳なんだろう、
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ある小さな遺影専門の写真館での出会いから始まり、昔、西取川という川がある小さな町で起きた事件の謎が解かれていく。その事件に関わった、または結果的に関係者となった、異なる年代の人たちのそれぞれの関わり方が3つの章から構成されている。各章を読むうちに、年代を遡って事件の真相が明らかになっていき、また、その事件に関わった人たちの人生の糸が繋がっていく。 たった1つの嘘や出来事が、実はある大きな事件のきっかけになっていたり、その後の人生に大きく繋がったりする。 でも実際にはその事実に気づかないことが大半だと思う。 今回は一つの偶然の出会いから、また色んな偶然が重なり合って、年代を超えて、事件が人の人生を変え、新しい命が生まれていた不思議な因果を思い知らさせることになる。 独創的でトリッキーな発想と展開は面白かった。
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読んでいると あっ、あの時の・・・と思い当たり前のページに戻って読み返していました。 私はなんと言っても最初のふたりの恋が良かったですね。 直接的な事は言わないけれど、ふたりの想いが伝わって来ます。
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意外な展開は 最後まで いっきに 行けました。 最後の いろいろな登場人物が 関係しているところが さすがだな と 思いました。 最後に なんで 風神の手なのでしょうか。 アダムスミスみたいな 見えざる神の手でしょうか。
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タイトルがすばらしい。ラストに近づくにつれ、なるほど「風神の手」なんだねと納得した。誰かの悲しみの先に自分の存在があるってどんな気持ちだろう。でも誰にもそんな隠れた因果のつながりはあるのかもしれない。月といえばこの作者の秀作『月と蟹』を思い出す。この作品も夜の描写が美しい。二組の...
タイトルがすばらしい。ラストに近づくにつれ、なるほど「風神の手」なんだねと納得した。誰かの悲しみの先に自分の存在があるってどんな気持ちだろう。でも誰にもそんな隠れた因果のつながりはあるのかもしれない。月といえばこの作者の秀作『月と蟹』を思い出す。この作品も夜の描写が美しい。二組の少年少女のエピソードがつながり、だんだんにミステリーになっていく過程がおもしろい。命は奇蹟、そして自分一人のものじゃない。そんなふうに思った。
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