意識のリボン の商品レビュー
困難を数値化したいと いう人なかなかいない ですよね。 ニーズのあるなしじゃ なく、 そんな発想はわかない という意味で。 高校や大学の偏差値が 示されてるおかげで、 無謀な挑戦で散ってく 受験生が最小限に抑え られてるのはたしか。 同様にその夢をその人 が実現できる可...
困難を数値化したいと いう人なかなかいない ですよね。 ニーズのあるなしじゃ なく、 そんな発想はわかない という意味で。 高校や大学の偏差値が 示されてるおかげで、 無謀な挑戦で散ってく 受験生が最小限に抑え られてるのはたしか。 同様にその夢をその人 が実現できる可能性が 数値化できれば、 無謀な夢で人生を棒に 振る人はもっと少なく なるんじゃないかと。 或いはその人にとって 実はお茶の子さいさい なことなのに、 怖気づいて夢をつかむ チャンスを逃すことも なくなるんじゃないか と。 それが良いか悪いかは 別として、 思いつきにしてもこの 独特な切り口はさすが。 フィーリングがピタッ と合う感じで綿矢さん 推しです♡
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短編集だった。 はじめの岩盤浴の話で出てくるパワーバランスがおかしい二人組。あーいるいる、って思いながら読んだ。聞き手が何も話さないのって、話を聞いてあげてて優しいね感出てるけど、ほんとは優しくなくて、相手に自分の情報を与えたくないだけじゃないかってモヤモヤしてたからなんかそれを...
短編集だった。 はじめの岩盤浴の話で出てくるパワーバランスがおかしい二人組。あーいるいる、って思いながら読んだ。聞き手が何も話さないのって、話を聞いてあげてて優しいね感出てるけど、ほんとは優しくなくて、相手に自分の情報を与えたくないだけじゃないかってモヤモヤしてたからなんかそれを言語化してくれてスッキリした。 1番好きな話は、『声のない誰か』っていう、デマだけど不審者情報が広がっていく話。 ラストの声のない誰かのサインを感じ取ることで事件を未然に防ぐしかないってのが良かった。小さな事件でも大きな事件にならないように、、。 最後の、題名にもなってる意識のリボンは死んでしまった時の魂になる感じとか?よく書かれていた。本当にこうだったら良いなぁ
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すごいなこの人は、、、 息継ぎせずに捲し立てるみたいな文章に感じてポルノグラフィティの歌詞みたいだなと思った。 言葉選びが独特で不思議。
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綿矢りささんの本も、素敵な装丁がとても多い。 この本もポップで可愛いイラストが描かれているけれど、色鉛筆で描かれているため、どこか優しく温かい雰囲気。 本作は8つの作品から成る短編集。短編小説と随筆が混ざったような感じ。 最初の作品『岩盤浴にて』は、『私をくいとめて』のマッサ...
綿矢りささんの本も、素敵な装丁がとても多い。 この本もポップで可愛いイラストが描かれているけれど、色鉛筆で描かれているため、どこか優しく温かい雰囲気。 本作は8つの作品から成る短編集。短編小説と随筆が混ざったような感じ。 最初の作品『岩盤浴にて』は、『私をくいとめて』のマッサージの描写然り、リラクゼーション好きの私としては「今すぐにで岩盤浴に行きたい!!」となった。近くのおばさん方の会話を盗み聞きしながら、二人の関係性を邪推したり、あれやこれやと思いを巡らせるシンプルな展開。とても好きだった。 P. 12 ウォーターサーバーに近寄り、置いてあった紙コップに水素水を注ぐと、かぼそい一筋の流水が紙の底を打つ音が聞こえた。紙コップにプラスしてこの音を聞くと、どうしても検尿を思い浮かべてしまう。一回り小さめのコップのサイズまで同じだ。検尿しているときにウォーターサーバーの水は思い出さないのに、不思議だ。 二番目に収録されているこたつのUFOは、作家がぶつくさと頭のなかで考えているだけの話。こういうのが結局一番共感できたりする。 P.38 人と話すのが嫌いとか、引きこもりになって何年とかではなく、私はごくごく普通に人と接するのは好きだ。バイト先でも同じシフトの子と仲良くなり昼ごはんもいっしょに食べてたし、年末に開かれた忘年会にも出席した。でも辞めたあとも会うほど仲良くなれた人は1人もいなかった。元カレもそう。(略) 人間たちにコミットしようと扉を叩く、彼らは出迎えてくれる、そのなかで一定の期間を過ごす、そして、んじゃ。と外に出るともう二度と元の場所には帰れない。きっと外に出るから悪いんだよね。居心地が悪くなっても空気が薄くても、彼らに囲まれて過ごしたいのなら、自分の椅子をしっかり守り、我慢強く居続けなければいけない。(略) みんな、こんなぷっつり切れちゃうものかな。家はあるけどまるでノラだよ、ノラ女だよ。街で見かける人はみんな他人さ。 でも悲壮感はない。それは自分でも気に入ってる。 中盤に連続で収録されている『履歴のない女』と『履歴のない妹』は唯一内容が繋がっている。とりわけ私は妹の方に登場するいわくつきの写真が、文章だけでこうも魅力的な写真であるということを表現できるのか、とちょっと感動した。 P.95 それまでの写真とはまったく雰囲気の違う写真にぶち当たり、思わず手が止まった。 はだか。 薄暗い部屋のなか、ベッドの上に二人の女が全裸で寝そべっている。よくあるタイプの写真かもしれないが、女のうち一人が妹だった。(略)もう一人のやせ形で、妹より背の高い美人は、前髪と顎までの髪を切りそろえたクレオパトラみたいなボブカットで、ずっとリラックスしている。撮られ慣れた雰囲気がある。右の彼女の方がスタイリッシュでフォトジェニックなのに、被写体のメインは明らかに、落ち着きなく体を動かし続けている妹の方だ。(略) 隣の女性は終始横向きで寝そべって、きれいな形の乳房を腕を折り曲げた隙間からちょっと見せたり、長い脚をシーツに泳がせたり、挑戦的だがどこか媚を含んだ視線をカメラに投げかけていて、十分に色っぽいはずなのに、妹の隣だと、やせっぽちの木の背景みたいだった。 P.104 「(略)この写真に鋏を入れて、私とこの女を切り離そうとしたの。でも試しに切る前に、もう一人の女を手で隠してみたんだ。そしたら、この写真には何の魅力もなくなっちゃったんだよ。ほら」 妹が手で右側の女性を隠すと、左の妹はたちまち色を失った。なんの魅力もなく、ただベッドにだらしなく横たわる女だ。太っているわけでもないのに、妙にたるんでいる腹ばかりに目が行く。笑顔が野放図すぎて、歯を見せすぎているのが気になる。ただの裸をさらけ出して身をくねっている、エロ本に出てくる黒い目線の入った素人の娘みたい。ただの背景に見えたもう一人の女の裸身が、写真の大切な、繊細な部分を支えていたのだ。 『怒りの漂白剤』も印象に残った。 P.119 半年間怒らない習慣を心がけた結果、たどり着いたのは意外な答えだった。 好きを好きすぎないようにする。 一見怒りとはなんの関係もなく思えるこの心の持ちようが、私にとっては重要だった。私の性格の特徴として怒りっぽさが挙げられるが、同じくらい"好きなものはとことん好き"というひいき癖がある。目を輝かせて語るほど好きな対象の数が多く、想いが濃いほど、その他の影が濃くなる。好きなものを神格化しすぎず、距離をおいてよい面も悪い面も見極められるようになると、ものすごく嫌いだと思っていた物事のちょっとした良い面も見つけられ、あんまり嫌いでなくなる。 強烈に印象的な文章を書けるという点が綿矢りささんの一番好きなところかもしれない。
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「履歴の無い女」の子供が重い病気にかかっている時に「自分は健康で幸せ」と感じてしまう話にざわざわした。
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タイトルと同じ「意識のリボン」が一番よかった。 死後の世界の本は色々読んだけど、だいたい同じ。 家族のふれあいがとても温かいストーリーだった。
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綿矢さんの短編集 「岩盤浴にて」「こたつのUFO」「ベッドの上の手紙」「履歴の無い女」 「履歴の無い妹」「怒りの漂白剤」「声の無い誰か」「意識のリボン」 8篇が収録されています。 最近気になってずっと読んでいる綿矢りささん 今回はひょっとして好き・嫌いが分かれる作品かも知れな...
綿矢さんの短編集 「岩盤浴にて」「こたつのUFO」「ベッドの上の手紙」「履歴の無い女」 「履歴の無い妹」「怒りの漂白剤」「声の無い誰か」「意識のリボン」 8篇が収録されています。 最近気になってずっと読んでいる綿矢りささん 今回はひょっとして好き・嫌いが分かれる作品かも知れない。 でも私は凄く好きだ。 8篇共に小説でありながらそのうちの何篇かはエッセイを読んでいる様な錯覚に陥る。 それはきっとリアリティがあって年代が違えども登場人物に共感、共鳴出来る面が多々あるから。 綿矢さんならではの独特な言葉の言い回しも新鮮で時々「おお!」と唸ってしまった。 激しい展開があるわけではないけれど、ヒトの内面にぐぐっと切り込むサマは小気味良かった。 個人的に印象深かったのは「怒りの漂白剤」 怒りを溜めこむ自分にはドンピシャな作品 なるほどと思えたり参考になる点もあったり。 表題作の「意識のリボン」も好き しみじみと心に沁み渡る作品でした。
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最後のタイトルにもなっている「意識のリボン」が良かった 死んだらこんな感じなのかな〜とぼんやり不思議な気持ち。 「履歴のない妹」も心に残る。 確かにどんなに魅力的な写真でも、裸体は残しておけない。 でも、そんな危うい写真だからこそ人の心を揺さぶるのかなと考えたりした
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この本には、どこかしら太宰治臭が漂う。作中でも『千代女』や『人間失格』にも言及しているし。 しかしそれ以上に、〈私〉という一人称で仮構されたそれぞれの物語の主人公の意識の流れが、もとい語りが、太宰っぽいのだ。『女生徒』っぽいのだ。 『岩盤浴』は、デトックスを求めて行ってるはず...
この本には、どこかしら太宰治臭が漂う。作中でも『千代女』や『人間失格』にも言及しているし。 しかしそれ以上に、〈私〉という一人称で仮構されたそれぞれの物語の主人公の意識の流れが、もとい語りが、太宰っぽいのだ。『女生徒』っぽいのだ。 『岩盤浴』は、デトックスを求めて行ってるはずなのに、いつのまにか周囲の会話に毒され、意識を他人に乗っ取られる「おひとりさま」あるあるを描いた傑作! そして忘れられないのが『こたつのUFO』! 綿矢りさの創作エッセイですか?と思わせる序盤から、いきなりの飛躍。 「オトコトハ、ドウイウ生キ物デスカ」という問いに対する、プリミティブな答え! たしかに2014から2017年の短編を寄せ集めたもんだから一冊の本としてはまとまりに欠けるけれど、書くという営みをつづけるこの作家の格闘の軌跡を、垣間見た気がした。
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