意識のリボン の商品レビュー

3.4

49件のお客様レビュー

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  2. 4つ

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2022/08/18

この本には、どこかしら太宰治臭が漂う。作中でも『千代女』や『人間失格』にも言及しているし。 しかしそれ以上に、〈私〉という一人称で仮構されたそれぞれの物語の主人公の意識の流れが、もとい語りが、太宰っぽいのだ。『女生徒』っぽいのだ。 『岩盤浴』は、デトックスを求めて行ってるはず...

この本には、どこかしら太宰治臭が漂う。作中でも『千代女』や『人間失格』にも言及しているし。 しかしそれ以上に、〈私〉という一人称で仮構されたそれぞれの物語の主人公の意識の流れが、もとい語りが、太宰っぽいのだ。『女生徒』っぽいのだ。 『岩盤浴』は、デトックスを求めて行ってるはずなのに、いつのまにか周囲の会話に毒され、意識を他人に乗っ取られる「おひとりさま」あるあるを描いた傑作! そして忘れられないのが『こたつのUFO』! 綿矢りさの創作エッセイですか?と思わせる序盤から、いきなりの飛躍。 「オトコトハ、ドウイウ生キ物デスカ」という問いに対する、プリミティブな答え! たしかに2014から2017年の短編を寄せ集めたもんだから一冊の本としてはまとまりに欠けるけれど、書くという営みをつづけるこの作家の格闘の軌跡を、垣間見た気がした。

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2021/12/22

前半はエッセイみたいなお話で、 アラサー女子の日常がかかれて 笑えるところもありました。 後半はミステリとかオカルトっぽい フワッとしたお話の印象です。

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2021/08/16
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編。 ブームの去った岩盤浴に一人で行き デトックスしてくるはずが、ヨガの声や常連客の会話を 惰性で盗み聞きしては頭の中ぐるぐる状態の人。 気だるい体に鞭打ってなんとか図書館に行き こたつに対する愛と、鍋料理を自分で作って食べた誕生日の日に そのこたつでうたた寝した時に見た宇宙人の夢。 結婚したての姉と手伝いにきた妹の会話、 女の順応性に感心すると同時に沸き起こる不安。 結婚する妹の引っ越しを手伝う姉との会話。 妹が昔付き合っていた男が撮った彼女の裸の写真を見たことによって 芸術的な不自然さなんかよりも真っ直ぐで嘘くさくてありきたりなことの方を信じていきたい。 近所付き合いのない街で誰もが話す猟奇的な事件の噂。 噂に不安がる一方で被害者の情報も犯人も曖昧なまま 結局デマだという結論の後に声のない被害者の姿を見たような気が、した夜。 母が亡くなり、父と二人で悲しみを共有していた矢先に 自身もバイク事故で生死を彷徨って見てきたもの。 他あと2つお話あったけどそれは正直あんまりよくわからんかった省略。 綿矢さんの話って面白いなあ。女女してる感じ。 こたつのUFOは自分が船橋で一人暮らししていたことを 思い出して面白かったなあ。 流石にこたつは持ってなかったけど。

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2021/08/15

エッセイのような小説のような、不思議なお話が8個入っている。 どのお話も作者の鋭い人間観察力が光っていて、読んでいてドキッとすることが多かった。 8つのお話の中で特に気に入った3つの感想を書いておく。 「岩盤浴にて」 パワーバランスの偏った女性二人組をひたすら観察しているお話...

エッセイのような小説のような、不思議なお話が8個入っている。 どのお話も作者の鋭い人間観察力が光っていて、読んでいてドキッとすることが多かった。 8つのお話の中で特に気に入った3つの感想を書いておく。 「岩盤浴にて」 パワーバランスの偏った女性二人組をひたすら観察しているお話。私自身聞き役でいることが多いので読んでいて冷や汗が出てしまいそうだった。 「こたつのUFO」 訳がわからないけど何か勢いがあって面白いから好き。 「履歴のない女」 姉妹の会話にほっこりした。

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2021/02/12

綿谷りささんの話はどれも好みなのですが この話もとても好きでした。 8編の物語が入ってる短編集です。 個人的には「岩盤浴にて」、「怒りの漂白剤」、「意識のリボン」が気持ちを入れて読んだ話でした。 「岩盤浴にて」 の中で聞き役の女性と喋り倒す女性の会話を盗みぎく主人公が、聞き...

綿谷りささんの話はどれも好みなのですが この話もとても好きでした。 8編の物語が入ってる短編集です。 個人的には「岩盤浴にて」、「怒りの漂白剤」、「意識のリボン」が気持ちを入れて読んだ話でした。 「岩盤浴にて」 の中で聞き役の女性と喋り倒す女性の会話を盗みぎく主人公が、聞き役の女性の態度によってもう1人の女性は喋さざるを得ない状況になるのではないか、という考え方とか、面白いなぁ、と。 「未来に出会う女友達とは、歳を取れば取るほど、何てことの無い、ささやかな無邪気な会話で盛り上がりたい。」という、フレーズがとても共感できました。 「怒りの漂白剤」 怒りの感情をどうなくしていくか、ということをひたすら考える女性の物語。「嫌いなものを無理やり好きになろうとするより、ものすごく好きと執着している気持ちを平かにしていけば、自然とものすごく嫌いの方の気持ちも薄まる」というところも面白い考え方だなぁ、と。 綿谷さんの話は情景の描き方が興味深いなーとも思います。 「街路樹は葉どころか枝さえ刈られて、精神鑑定のテストでこの木を描いた人間がいたら、即異常と判断されそうな無惨さだ」というところとか、なるほどなーと。 この本はまた読み返したいな。

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2020/12/28

夫が珍しく早く寝てしまった夜に、読み切った。 声のない誰かが、ホラーが主役の話では無いのに怖くて、一人暮らしをしていた頃を思い出した。 当時は外が暗くなると、窓の側やドアの隙間に何かが潜んでいそうで怖くて、寝る直前まで明るいアニメや動画を見ていたな、と。 夫と一緒に暮らすようにな...

夫が珍しく早く寝てしまった夜に、読み切った。 声のない誰かが、ホラーが主役の話では無いのに怖くて、一人暮らしをしていた頃を思い出した。 当時は外が暗くなると、窓の側やドアの隙間に何かが潜んでいそうで怖くて、寝る直前まで明るいアニメや動画を見ていたな、と。 夫と一緒に暮らすようになってすっかり意識していなかったが、誰かが一緒にいてくれることの心強さを思い出した。 綿矢りさは露悪的な作品が多い印象だったが、本作は等身大の、どちらかというと前向きな語りの短編集。 物語の動きは少なくて、 一言では伝えられない考えや思いを、第三者に納得できるよう伝える補助としてキャラクターやストーリーがあるという印象。 この本で仲の良い女友達と読書会をしたら、色々な本音が聞けそう。

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2021/01/15

どの話も考えさせられる。 自分だけが悩んでいると思いがちだが、同じように悩んでいる人は腐るほどいる。そう思うと安心するような、なんだか切ないような。

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2020/08/18

履歴のない妹→元彼が撮った裸の写真 声のない誰か→通り魔の噂 意識のリボン→臨死体験 は、よかった。 短いから物足りないけど、長くてもなーみたいな、淡々とした文章。

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2020/08/06

短編集で、「意識のリボン」を読みました。交通事故の話しのようでしたが、イメージが次から次へと流れて行くような印象です。物語の筋らしきものを感じることなく終わりました。僕も原付バイクに乗っていて、軽トラと田舎道で衝突して、2、3メーターほど飛ばされたことがあります。死ぬことはなく、...

短編集で、「意識のリボン」を読みました。交通事故の話しのようでしたが、イメージが次から次へと流れて行くような印象です。物語の筋らしきものを感じることなく終わりました。僕も原付バイクに乗っていて、軽トラと田舎道で衝突して、2、3メーターほど飛ばされたことがあります。死ぬことはなく、意識はありました。聖書の言葉で「すべてのことがともに働いて益となる」(ローマ8:28)が何度も浮かびました。

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2020/06/28

2020.6 読了。 30を手前にした自分自身にとって、とても考えさせられ、強く共感するフレーズが沢山散りばめられていた。 時に自意識過剰と言えるほど人の目を気にしてしまったり、自分の未熟さを思って現実逃避したくなったり、身勝手に振る舞ってみたり。 簡単に、前からそうだったよう...

2020.6 読了。 30を手前にした自分自身にとって、とても考えさせられ、強く共感するフレーズが沢山散りばめられていた。 時に自意識過剰と言えるほど人の目を気にしてしまったり、自分の未熟さを思って現実逃避したくなったり、身勝手に振る舞ってみたり。 簡単に、前からそうだったように変わってしまう自分への疑問。一旦育ってきた家を出ることの心細さのようなもの。 怒りっぽい自分に疲れきったり、デマに翻弄されたり、固執してきたものも、一旦手放すと楽になることに気付いたり...。 自分だけが気にしたり考えたりしているわけではないと、ある意味安心させられるというか、そんな印象を与える物語が詰まった短編集。 また読み返したい。

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