1,800円以上の注文で送料無料

不死身の特攻兵 の商品レビュー

4.3

159件のお客様レビュー

  1. 5つ

    65

  2. 4つ

    64

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2019/01/28

美化されがちな特攻… その実態を生の声で描いた作品。 命令するとされる、どちらの視点で見るか?今まで命令される側の作品は読んだことがなく新たな認識を持った。 不条理の一言…学ぶ点は多い

Posted byブクログ

2019/01/27

つい最近まで特攻隊の方が生きていたことに驚きました。 軍事にはリアリズムしかなく、精神論に頼りだしたらそれだけで負けるということが良く分かりました。

Posted byブクログ

2019/01/20

俺にとって、鴻上尚史といえば、学生時代に聞いた金曜オールナイトの下品なおっさん。TV番組の企画として知った、特攻隊から生きて帰ってきた男の存在を「青空に飛ぶ」という小説と本作のノンフィクションにまとめたもの。 勝つため、国を守るための戦争だったのに、メンツを守るためだけの攻撃に成...

俺にとって、鴻上尚史といえば、学生時代に聞いた金曜オールナイトの下品なおっさん。TV番組の企画として知った、特攻隊から生きて帰ってきた男の存在を「青空に飛ぶ」という小説と本作のノンフィクションにまとめたもの。 勝つため、国を守るための戦争だったのに、メンツを守るためだけの攻撃に成り下がっていった日本軍。勝てなかったのは必然です。 「軍神」とありますが、飛行機乗りとしてのプライドだけですよね、きっと本人は。

Posted byブクログ

2019/01/14

太平洋戦争における軍部の愚かさを示す特攻隊について、我々は基本的に出撃した兵士が生の世界に帰還することはなかった、と認識している。しかし、本書は9回出撃しながらも、命令に背き生還を果たした一人の特攻兵がいたことを語るノンフィクションである。 件の特攻兵である札幌の北に位置する当...

太平洋戦争における軍部の愚かさを示す特攻隊について、我々は基本的に出撃した兵士が生の世界に帰還することはなかった、と認識している。しかし、本書は9回出撃しながらも、命令に背き生還を果たした一人の特攻兵がいたことを語るノンフィクションである。 件の特攻兵である札幌の北に位置する当別で生まれた佐々木友次氏は、陸軍の特攻兵として特攻を命じられるも、上官の命令に背き9回の生還を果たす。その理由は極めて当たり前のものであった。それは「特攻という一か八かの攻撃に出るよりも、自らの爆撃の腕を生かして攻撃を仕掛け、貴重な飛行機をムダにせずに生還した方が、戦果は大きい」という至極真っ当なものであった。にも関わらずそうした”理”が歪められ、特攻兵は美しく戦場で散るべきという”情”に支配された軍部のいびつさを、本書は淡々と描く。 太平洋戦争が終結して73年が過ぎたが、まだまだ我々が知るべき歴史的事実がある、という真っ当な点を改めて思い知らされた。

Posted byブクログ

2019/01/03

自我は集団我を含んで拡大強化される。そうして集団の持つ決定力を、自己の決定力と思い込み、集団の実行力を自分の実行力と見なすようになり、自我は集団我によって強化されることで、個人の決定不安を一応解消することができる

Posted byブクログ

2018/12/23

佐々木友次伍長の過酷な経験が綴られた箇所に引き込まれたのだが、それ以上に「“特攻”というのは何故発生した?何だった?」という論考や、「日本の人達の性格、性質?」のようなことや、「リーダー?指導者?」というようなテーマに踏み込んでいる部分が酷く考えさせられた。偶々“平成”をテーマに...

佐々木友次伍長の過酷な経験が綴られた箇所に引き込まれたのだが、それ以上に「“特攻”というのは何故発生した?何だった?」という論考や、「日本の人達の性格、性質?」のようなことや、「リーダー?指導者?」というようなテーマに踏み込んでいる部分が酷く考えさせられた。偶々“平成”をテーマに、人々の性格や性質に関するようなことを論じている別な本を読んだところでもあったが…「特攻が組織的に敢行された時代」の思考様式のようなモノが、実は現在も「健在?!」というようにさえ見受けられ、驚愕する。 「色々な意味」で考えさせられる、新書のヴォリュームを大きく超える読み応えの一冊。広く薦めたい!!

Posted byブクログ

2018/12/20

特攻兵だったが帰還した兵士がいた。その人の証言から見えてくる、当時の現場の気概。そして参謀本部の気狂いぐあい  組織の頭が悪いと組織は崩壊するというけれど、どうして大日本帝国軍は崩壊できなかったのか。それをさせてしまった優秀な現場の軍人の存在がよく見えてくる。  現代の日本の...

特攻兵だったが帰還した兵士がいた。その人の証言から見えてくる、当時の現場の気概。そして参謀本部の気狂いぐあい  組織の頭が悪いと組織は崩壊するというけれど、どうして大日本帝国軍は崩壊できなかったのか。それをさせてしまった優秀な現場の軍人の存在がよく見えてくる。  現代の日本のブラック企業もそうだ。経営者がおかしいのだから崩壊すべき組織、がなぜか存続してしまう。それはブラック企業の経営者も悪いけれど、会社を存続させてしまう社員も悪い。悪い会社は人手不足で潰れなくてはいけないのである。  読んでて気になったポイント。 ● 特攻隊は敵艦の撃沈力が高いという幻想。これは自分も飛行機で突っ込むのは攻撃力高いと思っていた。そしたら、装甲板を貫通しないと戦艦は沈められないとあった。確かに、肉を切らせて骨を断つの真逆を行く作戦だ。しかも爆弾投下も800kgの爆弾を高度3000mの上空から落とさないと米軍戦艦の装甲板は貫けないというのだから、相当だな。 ● 特攻作戦の初期メンバーは優秀なパイロットが選出された。特攻作戦の失敗はその作戦立案の間違いのエビデンスになるからである。作戦参謀は自分たちの立てた無謀な作戦の責任を取りたくないから優秀な軍人を犠牲にした。やばいやばい。組織のやばいやつの見本である。どうしてそれを否定せず受理してしまうのか。これは言い方悪いけど、上司の命令をきいたパイロットも悪いと言える。決して可哀そうだからといって同情でその責任を見過ごしてはいけない。 ● 特攻隊の帰還兵だった佐々木友次さんは、終戦間際には殺害命令が出されていた。大本営発表で見事に特攻による戦果を挙げて散っていったという新聞発表がされたのに、何度も生還した兵士が生きているということは不都合だったからである。特攻の成果報告が嘘だったということもだし、特攻しなくても戦艦は撃沈できるし、そのほうが良いんじゃないかという現実が国民に知られるからである。作戦立案者の建前を守るために、死んでもらわなきゃいけなかったのである。 ● 特攻兵は志願制だったという嘘。「熱望する/希望する/希望せず」という三択で、その場の空気で否定できないようにしたという。日本人らしく真ん中に印をつけると、結局希望することになる。これは心理学を悪用した悪いやつである。 ● 作戦効果の逓減。軍事作戦は必ず効果が薄れていく。なぜなら相手が対策を立ててくるからである。シンプル。  日本軍の特攻攻撃に対しても米軍はすぐ対策した。レーダー艦の配備、護衛戦闘機の配備、船上の機銃掃射の増配。この結果、特攻作戦の成功率は激減した。敵戦艦に接近する前に撃墜されるようになってしまったのである。しかも、特攻兵に選ばれるのは未熟なパイロットで、しかも訓練機や旧式戦闘機や鈍足の爆撃機で特攻させられたもんだから、戦果はみるみる落ちた。  それでも続けた日本軍ヤバイ ● 国民の熱狂が特攻を継続させた。新聞社が届ける日本軍の軍勇に国民は熱狂して楽しんだ。新聞社は派手な内容の方が売れるから、特攻隊のことを劇的に記事にした。戦争を金目にしていたのはマスメディアだからひどい。 ● パイロットの気概。優秀な戦闘機乗りほど特攻を嫌った。プライドに抵触した。自分たちの戦闘技術を信頼しないから特攻させる。爆弾投下の技術を信頼されてないから、特攻しろと言われる。死ぬほどの訓練を積んだ優秀なパイロットほど、その気持ちは強いだろう。 ● 「所与性」という思考回路が日本人には強い。世の中は与えられたものだから、自分たちが手を加えるべきではない。自然を大事にする感情が拡大解釈を生んでしまった。だから現状維持が目的化する現象が日本ではよくあるという。  甲子園をやめられないのもそうだし、相撲の古いしきたりもそうだし、お客様は神様という思考もそうだ。  この所与性は適用範囲をきちんと定めて、人々の総意にしないと、いつまでも日本人は「現代版特攻兵」を礼賛し続けるだろう…。  一番怖いのは、熱狂した傍観者である。いじめと同じ。空気が人を殺すのである。

Posted byブクログ

2018/12/12

特攻を命令した側の語る物語と命令された側の実態の乖離 命令した側の責任逃れと命令された側の命の尊さの混同 命令した側への批判を命令された側への批判と混同して怒る当事者以外の存在 集団的自我の形成されやすい豊かな自然と度重なる自然災害 夏の高校野球を命令する側と命令される側 自衛隊...

特攻を命令した側の語る物語と命令された側の実態の乖離 命令した側の責任逃れと命令された側の命の尊さの混同 命令した側への批判を命令された側への批判と混同して怒る当事者以外の存在 集団的自我の形成されやすい豊かな自然と度重なる自然災害 夏の高校野球を命令する側と命令される側 自衛隊南スーダン駆け付け警護参加に対しての三択

Posted byブクログ

2018/12/04

年に1冊は「戦争」関係の本を読もうと思っているのですが、この夏は読み損ねてしまいました。ようやく読んだのがこの本です。圧倒的な不条理、まだまだ読まなくてはならない本、知らなくてはならない事実が山のようにあります。

Posted byブクログ

2018/12/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

陸軍の第一回特攻を命じられながら生還し、有効な爆撃に成功しながら毎度生還し、2016年まで生きた特攻兵の記録。 先行書を元に、本人へインタビューを重ね、特攻を命じた側と命じられた側を通して起きていたことを推測する主張には、説得力があった。

Posted byブクログ