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不死身の特攻兵 の商品レビュー

4.3

159件のお客様レビュー

  1. 5つ

    65

  2. 4つ

    64

  3. 3つ

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  5. 1つ

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2019/05/25

劇団第三舞台、演出家、劇作家鴻上尚史氏が書いた特攻機操縦者についての本。若者向け(?)小説「青空に飛ぶ」とセットで書かなければならなかった一冊。読む方はどちらか一方でも良し、両方読んでも良し。 軍用機による軍艦に対する体当たり攻撃という全く無意味な命令を出した上層部。 無意味な命...

劇団第三舞台、演出家、劇作家鴻上尚史氏が書いた特攻機操縦者についての本。若者向け(?)小説「青空に飛ぶ」とセットで書かなければならなかった一冊。読む方はどちらか一方でも良し、両方読んでも良し。 軍用機による軍艦に対する体当たり攻撃という全く無意味な命令を出した上層部。 無意味な命令に抵抗する部隊長と軍隊という組織の中で無意味と分かっても従うしかない部下。そしてその家族。 現実を知らない上層部が無意味な指示を出し、効果判定をせず、責任を取らないという構図は現代まで脈々と受け継がれている。 鴻上尚史氏は、命令した側と命令され側を区別して考えることや、社会と世間の違いについて言及しており興味深い。 日本を、戦争を、軍隊を、特攻をいろいろな角度から考える上で読んでみて損はない本だと思われる。

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2019/05/07

ひとり、エンジン音の中、空の青さと向き合う張りつめた緊張と孤独、飛ぶことへの心からの喜び、まっすぐな責任感。 組織論の考察と史実を知る目的で読み始めたが、青春小説として感動的でもあった。 知識はどこかに置きっ放しになる。私の特攻隊は埃をかぶったままだった。知っている自覚は当てにな...

ひとり、エンジン音の中、空の青さと向き合う張りつめた緊張と孤独、飛ぶことへの心からの喜び、まっすぐな責任感。 組織論の考察と史実を知る目的で読み始めたが、青春小説として感動的でもあった。 知識はどこかに置きっ放しになる。私の特攻隊は埃をかぶったままだった。知っている自覚は当てにならない。私は知らないんだ何も。学ぶことができて良かった。

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2019/04/28

第4章で、本書の価値が集約される。 特に、リーダーとしての器、思考の放棄と集団我、所与性についての論述は、これまでの無意識を目覚めさせる指摘であった。 鴻上氏が伝えたいことを受け取り、これからの世代に受け継いでいくことが大切と感じる一方で、本書で指摘されているように、リーダーが現...

第4章で、本書の価値が集約される。 特に、リーダーとしての器、思考の放棄と集団我、所与性についての論述は、これまでの無意識を目覚めさせる指摘であった。 鴻上氏が伝えたいことを受け取り、これからの世代に受け継いでいくことが大切と感じる一方で、本書で指摘されているように、リーダーが現状を維持することに注力する思考の愚かな点も十分に認識しておかねばなるまい。

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2019/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

良い本なのだけどときどき感じる違和感は読み流さないようにしたい。 特攻をヒューマニズムで語ってはだめだということ。雰囲気で安易に意思決定しないこと。自分の「価値観」は絶対?ではきっとない。 何がなんでも、よいように生きること。 「平和よ永遠なれ」

Posted byブクログ

2019/04/26

何故か戦争を題材にした書籍は、数年おきに読んでいる。時々発作的に手に取り、読んで憤慨し、今の自分や社会に置き換え、変わらないなとちょっと絶望し、またボーッとした日常に戻るというサイクル。 9回も出撃し生還と謳われた佐々木さんの当時の心境や状況に、純粋に興味があった。取材当時まだご...

何故か戦争を題材にした書籍は、数年おきに読んでいる。時々発作的に手に取り、読んで憤慨し、今の自分や社会に置き換え、変わらないなとちょっと絶望し、またボーッとした日常に戻るというサイクル。 9回も出撃し生還と謳われた佐々木さんの当時の心境や状況に、純粋に興味があった。取材当時まだご存命だったことは鴻上さん同様驚きだったし、貴重なことだと思った一方で、やっぱり、戦後の私たちにとっては、過ぎた過去の歴史的なものなのだと意識させられた。 プライドだけが高い無能な上司によって散った命たち。現代だって変わらない。 人間って、なんだろうな。

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2021/08/29

本書のように懇切丁寧に説いてもまだ分からぬお方はいらっしゃるのでしょうね。 何事も大変。 ■ すると、末席にいた29歳の美濃部正少佐が立ち上がりました。 「劣速の練習機(赤トンボ)まで狩り出しても、十重二十重のグラマンの防御陣を突破することは不可能です。特攻のかけ声ばかりでは勝て...

本書のように懇切丁寧に説いてもまだ分からぬお方はいらっしゃるのでしょうね。 何事も大変。 ■ すると、末席にいた29歳の美濃部正少佐が立ち上がりました。 「劣速の練習機(赤トンボ)まで狩り出しても、十重二十重のグラマンの防御陣を突破することは不可能です。特攻のかけ声ばかりでは勝てるとは思えません」 全軍特攻化の説明をした参謀は、意外な反論に色をなして怒鳴りつけました。 「断じて行えば鬼神も之を避く」 東條首相が大好きな精神力をあらわす言葉です。 問題は「精神」であって、技術や装備のリアリズムではない、ということです。 それに対して、美濃部少佐はなんと答えたか。 「私は箱根の上空で零戦一機で待っています。ここにおられる方のうち50人が赤トンボに乗って来て下さい。私が一人で全部たたき落としてみせましょう」 同席した生出寿少尉が「誰も何も言わなかった。美濃部の言う通りだったから」と報告しています。

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2019/04/17

特攻隊の概念を根底から覆された本だった。戦争から月日が流れて言えなかったことも言えるようになって見えてきた現実。特攻自体がとてもやるせない作戦であったにも関わらず政府や新聞、軍の中での思惑に憤りを感じた。 命令される側の生の声、を丁寧に拾って作品にしてくれた鴻上さんはすごい。演劇...

特攻隊の概念を根底から覆された本だった。戦争から月日が流れて言えなかったことも言えるようになって見えてきた現実。特攻自体がとてもやるせない作戦であったにも関わらず政府や新聞、軍の中での思惑に憤りを感じた。 命令される側の生の声、を丁寧に拾って作品にしてくれた鴻上さんはすごい。演劇という舞台で生の声を日々拾っているお仕事に携わっているだけに。 こういった戦争ものはホント読んでいて辛くなる。絶対に繰り返すべきではない。

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2019/04/07

特攻兵を作り出した日本がいかにいびつであったか、がよくわかる。読んでいて馬鹿らしくなるような信じ難い話が多い。命じられた特攻兵のどうしようもない不条理を強く感じた。▼一方、第3章の佐々木友次さんへのインタビュー記事は、佐々木さんが淡々と自分の特攻兵としての運命を受け入れたこと、下...

特攻兵を作り出した日本がいかにいびつであったか、がよくわかる。読んでいて馬鹿らしくなるような信じ難い話が多い。命じられた特攻兵のどうしようもない不条理を強く感じた。▼一方、第3章の佐々木友次さんへのインタビュー記事は、佐々木さんが淡々と自分の特攻兵としての運命を受け入れたこと、下級兵士は上級兵士の理不尽に対して憤りなど思いもつかないことを話す。9回も生還できた理由は「寿命」という言葉で応えている。あくまで自分の意志ではなく、生かされる運命だったということか。佐々木さんの話のイメージは、筆者の日本軍隊への憤りとは異次元ののように感じた。

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2019/03/21

前半は、陸軍パイロットであり、組織の嫌がらせからも、生き残った佐々木友次伍長のノンフィクション。 後半は、特攻を命令した側と、命令を受けた側の特攻隊員を明確に分けて、分析し、論理的に特攻を美化する風潮に反対を唱える。

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2019/02/08

あの時代こんな人がいたのだな。私だったらまかれているな。現代でも巻かれているもの。。。 いろいろな立場から戦争を考えることができ勉強になった。これは現代、会社でもあてはめて考えることができるなあ。ざっくり読んでしまった。また時間を見てじっくり読みたい。小説も!

Posted byブクログ