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不死身の特攻兵 の商品レビュー

4.3

159件のお客様レビュー

  1. 5つ

    65

  2. 4つ

    64

  3. 3つ

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2024/08/29

「人間は、容易なことで死ぬもんじゃないぞ」日露戦争を生き延びた父親の言葉が生きる道を選んだ。時代背景や軍隊という特殊な世界と現代とでは比べ物にならないが、周りに流されることなく、意思を貫き通した人がいたことが信じられなかった。偏った戦争観が染みついていたことを実感した。後半のなぜ...

「人間は、容易なことで死ぬもんじゃないぞ」日露戦争を生き延びた父親の言葉が生きる道を選んだ。時代背景や軍隊という特殊な世界と現代とでは比べ物にならないが、周りに流されることなく、意思を貫き通した人がいたことが信じられなかった。偏った戦争観が染みついていたことを実感した。後半のなぜ特攻がなされたのか、「命令する側」と「命令される側」にわけた考察は核心を突いているように感じた。

Posted byブクログ

2024/07/16

特攻隊とは、戦時中の上からの命令が絶対という軍隊の異常な状況の中で、若者達がお国の為にと自らの命を捧げて自爆攻撃をしたものというような漠然としたイメージを持っていたが、9回出撃して9回生還した人がいたという事実に、そんなことが可能だったのかとすごく驚いた。 この本によると、特攻に...

特攻隊とは、戦時中の上からの命令が絶対という軍隊の異常な状況の中で、若者達がお国の為にと自らの命を捧げて自爆攻撃をしたものというような漠然としたイメージを持っていたが、9回出撃して9回生還した人がいたという事実に、そんなことが可能だったのかとすごく驚いた。 この本によると、特攻による自爆攻撃で相手の艦隊を撃破するということは実際には難しく、特に作戦の末期には攻撃に相応しい飛行機もなくなっており、飛行訓練の足りていない若者が、効果がなく絶対に生きて帰れない攻撃を、訳の分からない精神論のもと実行し、犬死にさせられていたような状況だったようだ。 それでも、当時の新聞は戦争や特攻隊のことをエモーショナルに何度も記事にして、それを読んだ人々は感動して、こんなに若い人が命をかけてお国の為にと頑張っているんだからと戦争を続ける意志を強くした。戦争反対の新聞は部数がどんどん落ちるのに対し、賛成派の新聞はどんどん伸びたそう。メディアにとっては戦争は儲かるものだったのだ。 この戦争時の状況がコロナ禍の日本とそっくりに感じてゾッとした。毎日のように感染者数を報じ、新しいウイルスの株が出たと騒ぎ立て、本当に検証がされているか不明なのに"基本的な'感染症対策としてマスクやアクリル板や予防接種を人々に半ば強要。散々騒いだわりに、今となっては当時の対応が正しかったのかどうか誰も検証していない。 戦争中から何も変わっていないじゃないかと絶望的な気持ちになってしまうが、特攻隊として出撃し、9回も生還した佐々木さんという存在がかつて日本にいたんだと知ることは、希望になると思った。

Posted byブクログ

2024/06/06

特攻とは何だったのか 9回出撃して9回帰還した特攻兵の実話を通じてこの問題に取り組んでいる。 冷静・客観的な筆致においても、強い怒りが伝わってくる。 特攻に関する漠然とした認識を改めて考えなおさせられる本

Posted byブクログ

2024/05/05

「永遠のゼロ」に胸のどこかで抗う気持ちに気づく。 命令した側への追求がまるでなっていないのだ。 カミカゼや特攻が声高に語られるときは、それが誰によって語られるのか用心が必要だ。

Posted byブクログ

2024/06/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

9回特攻に出撃して生き残った特攻兵のインタビューとその物語。戦争をする以前に戦わない選択をすることによって落とさなくてもいい命がある。先の大戦の時、闘うことを選んだ日本が結果的にどうなったか、戦争を経験した人たちは少なくても戦争は絶対してはならないと思ったはず。いつの時代でも犠牲になるのは末端の庶民で、命令する人間は(国民のためと言いながら)自分のことだけを考える。

Posted byブクログ

2024/02/01

酒と紅白餅で必勝祈願 し死地へ送り出される。 死のツノと積載量超過 の八百㌔爆弾を抱える 離陸直後の緊張の時間。 高度五千メートルの空。 雲が割れて目標の湾が 見える。 そして爆弾の安全装置 を解除して・・・ 当事者にしか語れない 鮮やかな光景が眼前に 広がりました。 ...

酒と紅白餅で必勝祈願 し死地へ送り出される。 死のツノと積載量超過 の八百㌔爆弾を抱える 離陸直後の緊張の時間。 高度五千メートルの空。 雲が割れて目標の湾が 見える。 そして爆弾の安全装置 を解除して・・・ 当事者にしか語れない 鮮やかな光景が眼前に 広がりました。 体当たりの命令に背き、 けれども逃げずに戦い 何度でも何度でも生還 を果たした八十年前の 一人の若者に、 大概のことは乗り越え られるはずだよと、 生きる勇気を与えられ ました。 一方で、精神論の末路 というべき特攻という 愚かな作戦を、 エモーショナルに語る べきでないと学びとり ました。 故郷の北海道当別町に 眠る佐々木友次さんに 哀悼の意を捧げます。

Posted byブクログ

2024/01/08

今現在もこの地球上で、人が人を殺める行為を必然とした戦争が起きています。 この日本でもそう遠くない過去には戦争がありました。しかし、既に戦争を体験した方が少なくなった現在、私も含め戦争を知らない人々も、学校の授業や終戦記念日など何かのきっかけで、その実態を知り、考えることも大切な...

今現在もこの地球上で、人が人を殺める行為を必然とした戦争が起きています。 この日本でもそう遠くない過去には戦争がありました。しかし、既に戦争を体験した方が少なくなった現在、私も含め戦争を知らない人々も、学校の授業や終戦記念日など何かのきっかけで、その実態を知り、考えることも大切なのではないかと思います。 私は年に一度くらいは戦争について真剣に考えようと思っています。本を読んだり映画を観たり、その方法は様々ですが、本作はそんな思いで手に取った一冊です。 <作品紹介> 太平洋戦争末期に実施された“特別攻撃隊”により、多くの若者が亡くなっていった。だが、「必ず死んでこい」という上官の命令に背き、9回の出撃から生還した特攻兵がいた。その特攻兵、佐々木友次氏に鴻上尚史氏がインタビュー。 飛行機がただ好きだった男が、なぜ、絶対命令から免れ、命の尊厳を守りぬけたのか。 「第一章:帰ってきた特攻兵」「第二章:戦争のリアル」「第三章:2015年のインタビュー」「第四章:特攻の実像」の4部構成になっているのですが、私は第二章を読み終えるまでに4ヶ月かかりました。辛くてなかなか読み進められなかったのです。 攻撃をして帰還した部下に対して、「次は死んでこい」という上司って何?目的が「死ぬこと」になってしまっている。 現代の自分が生きていく上でも、会社であったり人との関係であったりのなかで、目的達成のための方法はいくつもありますが、私はそれを取り違えてはいけない。といつも思っています。当時の日本軍の上層部においては、まさにその方法を間違えてしまったのだと思うのです。 劣勢になったときに、勝つためには国民を鼓舞しなければならない。そのためには、優秀な操縦士が先陣を切って特攻することに意味がある。と・・・。 冷静に考えれば、優秀な操縦士は貴重であり、先陣を切って後のものを率いて攻撃し、生還させることが重要だと思うのですが。生きていればまた出撃できますし、後に続くものを育成することもできます。 そもそも、生きて帰ることを前提としない攻撃なんてありえない。そんなことを考えた人もそれに同意した人も許可した人も、どうかしているとしか思えない。 ですが、時として人間は過ちを犯すのです。それは多かれ少なかれ自分も含めすべての人に言えることです。 当時の状況から、特攻兵でありながら、9回の出撃から生還するということがどれほど特異であることかは想像に難しくありません。 とにかく怒りを抱きながら、胃が痛くなるような辛さを抱えながら第二章までを読み終えました。 第三章では、それを成し遂げた佐々木友次(ともじ)さんへの、鴻上さんによるインタビューです。佐々木さんがお亡くなりになる数ヶ月前だったようです。体調もよくないなか淡々と鴻上さんの質問に答えられている様子でした。会話から、お人柄の良さが伝わってくる内容でした。 そして、佐々木さんは、ただただ純粋に飛行機を操縦することが大好きで、その操縦にも自信を持っていた。だからこその抵抗だったのかもしれないと思いました。 第四章では、特攻隊の実像について鴻上さんの見解が綴られていました。 また、後書きには佐々木さんのお墓に刻まれた文章が記されています。 21歳の時に9回の出撃にも関わらず生還し、92歳まで生き抜いた彼の言葉は、とても重く心に響きました。 佐々木友次さんのことや特攻隊の話については沢山の書物がありますが、それぞれ見解が違います。命令をする側と受ける側では見えている現実が違うのです。 また、誰かの思惑によって事実が湾曲されていることもあります。 それは遠い過去のことばかりではありません。現在でもそれを感じることが沢山あります。それに踊らされ振り回されてはいけないと心にとめたいと思います。 過去のことを変えることは出来ませんが、未来は変えられるはず。何かを判断する際は一度立ち止まってよく考えることが大切だなと思います。

Posted byブクログ

2024/01/07

特攻命令を9回受けるも、生還した佐々木友次氏に関する本です。 佐々木氏は、死んでこいと発狂して命令してくる参謀長へも毅然と、死んできます、と答えるも生還。 次々と軍人が特攻で死んでいく中、そんなことがどういう精神状態で可能だったのか、本人へのインタビューも含め解説しています。 ...

特攻命令を9回受けるも、生還した佐々木友次氏に関する本です。 佐々木氏は、死んでこいと発狂して命令してくる参謀長へも毅然と、死んできます、と答えるも生還。 次々と軍人が特攻で死んでいく中、そんなことがどういう精神状態で可能だったのか、本人へのインタビューも含め解説しています。 寿命がまだ来ていなかった、という言葉が印象的でした。 また、終盤は鴻上氏が当時の社会情勢なども鋭く分析しており、日本人特有の空気感で大本営発表を信じ国全体が狂ってしまったと言っています。 しかし、この時から何も日本人は成長していません。戦時下のようなことがここ数年前にありました。 コロナ禍による自粛警察、マスク警察、ワクチン警察です。 結局、アホみたいに一生懸命だったパーテーションは意味があったのか? とっくの昔に検査などを辞め、社会を正常化させた外国はコロナで全滅したのか? 何故もう誰もワクチンを打たないで良いのか? などなど、ほぼ誰も振り返っていません。 今振り返っている人は、やれ陰謀論者だなんだとレッテル貼りをされていますね。 恐らくは数十年したら学者などが、あの時の狂気を振り返って批判を行うでしょうが、その時は一緒になって自粛警察に協力していたマスコミも、日本人の国民性を手のひらを返し叩くでしょう。 そう、何も変わっていません。そして変わっていないことすら把握できていないので、未来永劫日本は変わることはないでしょう。

Posted byブクログ

2024/01/07

戦後72年たってようやく特攻のことを書けるということ、渦中の命令した側が亡くなったからこそ…というのが、戦争を美化する人々や傍観者側の罪が深いと思った。。

Posted byブクログ

2023/08/26

テレビから流れる都合よく編集された戦争しか知らなかったことを改めて思い知らされた。この先、真実はもっと消されて行くのかもしれない。どうかたくさんの人に知ってもらいたい。 「命令する側」「命令を受ける側」、「世間」と「社会」。

Posted byブクログ