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R帝国 の商品レビュー

3.5

102件のお客様レビュー

  1. 5つ

    16

  2. 4つ

    25

  3. 3つ

    38

  4. 2つ

    9

  5. 1つ

    3

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2018/12/26

架空の国であるR帝国の話。Y宗主国はイランかイスラム国か?登場人物は日本名でありながら、日本やアメリカは架空の小説の中の国として登場する。沖縄戦の話はこまかく描写。 北の島の都市は札幌もしくは北海道をあらわしているようだ。この小説そのものはアイデアは面白いが、いろんな要素を詰め込...

架空の国であるR帝国の話。Y宗主国はイランかイスラム国か?登場人物は日本名でありながら、日本やアメリカは架空の小説の中の国として登場する。沖縄戦の話はこまかく描写。 北の島の都市は札幌もしくは北海道をあらわしているようだ。この小説そのものはアイデアは面白いが、いろんな要素を詰め込みすぎて、何を言いたいのかわかりづらくなっている。原発、戦争、宗教、生物兵器、IT革命、AI、シンギュラリティ(特異点)、移民問題、格差問題、政治家、一党独裁、プロパガンダ、陰謀、等々ありそれぞれのテーマの中途半端感は否めない。作者は書きたいことを書いたのだろうが。 スマホの進化系であるHP(Human Phone)は近い将来実現しそうな雰囲気。

Posted byブクログ

2018/12/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「R帝国」 中村文則18作目。 「ななにー」での誕生日サプライズで小説やインタビューからは見え難い中村文則の人間的な魅力が見えた。あの日以降、小説以外の面で妙に気になる作家さんである。自らを暗い性格でそれが小説に反映されていると何かの媒体で聞いた気がする。でもユーモアな小説を書いたらとても面白いのでは無いか?と思っている。 R帝国はどうみてもユーモアなものでは無く、絶対権力の「党」が支配する国で人々はどのように振る舞うのか?が一つのポイントになっている。もう一つは、あとがきにある「現実にあるものを風刺していると一目で分かるもの」から「一見何を風刺しているか分からないもの」「風刺ではなく根源を見ることで文学として表現したもの」が盛り込まれていると言う所。 後者については、現実世界に生きる我々の社会の行く末がこの小説の将来を決める構図になっている点をも踏まえると、現実世界に生きる私達はR帝国の戦争を見届けて終わりと言う訳にはいかない。ただのフィクションであればお終いで良いが、フィクションに沢山の風刺が盛り込まれ、其々が重要な役目を果たしている。全ての風刺を言い当てることは出来ないが、分かる範囲の風刺だけで、このR帝国はフィクションでは無いと感じ取れてしまう。吉川のメッセージ「誰か僕達を助けてくれ」。現実世界の社会の行く末がR帝国の将来を決める。そうであれば、私達は吉川の叫びを聞き、助けてあげることが出来る。 吉川だけではなく、アルファ、矢崎、サキ、栗原と、様々な立場の人間がメッセージを発している。そして、加賀。彼の独白は、現実世界に生きる人間における芯を言い当てている部分がある。特に、人々が欲しいのは、真実ではなく半径5メートルの幸福だ、は痛烈、痛快、皮肉、正論、大論点なメッセージだと感じた。このメッセージは、間違いなく今の世界に該当する。 前者は、後者と連動していたと感じた。絶対権力の「党」が支配する国は、支配とだけ聞けばR帝国は住み難い国である。党が真実を制御し、正しいとしたい真実だけを人々に流している。一方で、人々はと言うと、その真実が自分達に都合の良いものと解釈し、そこで満足する。又は、都合良く処理し、不適当なものには罵詈雑言を吐く。彼らにとってみれば、都合良い真実があれば、自分達の暮らしは維持される訳で、それはそれで都合の良いR帝国となっている。人々が欲しいのは、真実ではなく半径5メートルの幸福だから、5メートル以上は関係無い。 Lとしては、対峙すべき相手は党だけでは不十分で、本当は人々であった。この追加された「人々」が最も対処困難であり、ラスボスはこっち。しかし、攻略は容易では無い。それは、現実世界に生きる私達が最も良く理解していると思う。党が制御する真実以上に、その真実をどう捉えるかと言った個々人の思考までを正す、説得するのは非常に困難。それは、例えばどんなに理論整然に説明しても納得しない、できない、しようとしない人がいるのと同じと考える。 風刺を盛り込んでいる分、R帝国の世界は無視出来ないもう一つの現実とはっきり見えてくる。中村文則の言わんとしたメッセージがじわじわ、ぞろぞろ、のそのそと這い出てくる。R帝国の先を占う意味でも、現実世界で生きる意味でも、頭を捻りながら、メッセージを考慮する必要がありそうだ。

Posted byブクログ

2018/12/12

今ある日本の姿を少しだけデフォルメして、ほんの少し時計の針を進めると、R帝国の姿が見えてくるのかもしれない。 いや、もう我々はすでにR帝国に住んでいるのかもしれない。まだ、われわれはそんな処置はされてはいないと思うけど。 そう信じているけど。

Posted byブクログ

2018/11/22

現実の何を風刺しているかすぐわかるもの、何を風刺しているか、一見わからないもの、風刺ではなく、根源を見る事で、文学として表現したものなど、濃淡を帯びながらグラデーションのように、様々に物語の中に入っている。今僕達が住むこの世界の続きが、この小説の行く先を、明るいものにするか、...

現実の何を風刺しているかすぐわかるもの、何を風刺しているか、一見わからないもの、風刺ではなく、根源を見る事で、文学として表現したものなど、濃淡を帯びながらグラデーションのように、様々に物語の中に入っている。今僕達が住むこの世界の続きが、この小説の行く先を、明るいものにするか、暗いものにするか、決める構図にしたかった。と作者はあとがきで描いている。

Posted byブクログ

2018/11/04

日本やアメリカが小説の世界で日本のような国はR帝国。意思を持つHPというスマートフォンをもち、ネット社会がかなり発達している。 全体主義の国。 その国に生きる人々の群像劇。 矢崎、栗原、サキそしてその他国家の中枢にいる人々の思惑。 現実世界の風刺のようなものも多数感じたし、...

日本やアメリカが小説の世界で日本のような国はR帝国。意思を持つHPというスマートフォンをもち、ネット社会がかなり発達している。 全体主義の国。 その国に生きる人々の群像劇。 矢崎、栗原、サキそしてその他国家の中枢にいる人々の思惑。 現実世界の風刺のようなものも多数感じたし、戦争なんて利害の衝突以外のなんでもないよなーとさらに思った。 満州のくだりはそうだったのかと思う部分も多かったし、最近のイスラム国家のテロにしたって大国の思惑が垣間見えてるんだなって。 この小説を読んでさらに浮き彫りになったし、R帝国が進むような未来に日本が進んでほしくないなって切に願ってる。

Posted byブクログ

2018/10/08

こちらのほうが読みやすかったですが、個人的には教団Xのほうが好きでした。 それぞれに正義があって、理念があって、思惑があって、策略があって。 個人の意思なんか、暮らしなんか、愛なんか、簡単にひねりつぶされてしまうような世の中は、人の脆さは、危うさは、とても苦しいと思いました。

Posted byブクログ

2018/09/22

ここでも記憶を操作する事で、人間を支配するという手法がとられている 早見の告白は、真実なんだよなぁ。今でも当てはまる。気づかずに支配下に置かれている 80%が貧困層ながら、そう思わせない手法とか実に巧み。アメリカもおんなじなのかな。 中村作品としては、スッゲェ、という感じでは...

ここでも記憶を操作する事で、人間を支配するという手法がとられている 早見の告白は、真実なんだよなぁ。今でも当てはまる。気づかずに支配下に置かれている 80%が貧困層ながら、そう思わせない手法とか実に巧み。アメリカもおんなじなのかな。 中村作品としては、スッゲェ、という感じではなかったかなー。

Posted byブクログ

2018/09/15

いやにリアルだったからなるほどって感じ。 中村文則の作品はいい感じの虚無感を与えてくる。 それがすごくたまらないんだよね。 もう少しで新刊も出るからとても楽しみ。

Posted byブクログ

2018/09/09

希望がことごとく砕かれていく。 何を信じれば良いか、恐怖すら感じる。 考えた事も無かった。 未来はAIはどうなるのだろう。 でもきっと我々の想像を超えるのだろう。

Posted byブクログ

2018/08/30

今年一番重かった本。政治、国家、国民、戦争、宗教、神。そういう重いテーマをがっつり正面から書いている。今の日本そして世界で既にこの物語は始まっている。中村氏、体力と頭を酷使する本得意だね。でもまあこういう本は読んだ方がバカにならなくて良い。最終章の加賀の語り、読み終わるとぐったり...

今年一番重かった本。政治、国家、国民、戦争、宗教、神。そういう重いテーマをがっつり正面から書いている。今の日本そして世界で既にこの物語は始まっている。中村氏、体力と頭を酷使する本得意だね。でもまあこういう本は読んだ方がバカにならなくて良い。最終章の加賀の語り、読み終わるとぐったりする。

Posted byブクログ