R帝国 の商品レビュー

中村文則(著者)

2019/07/28

読みながら、これはお化けもモンスターも出てこないけどホラーだなって思った。こうなっていくかもしれない、という恐怖。読みながら、息を吸うのが辛くなってくる感覚というか。

集団心理。承認欲求。国とは。思想とは。宗教とは。

今置かれている状況や、この国のことを考えながら読み進めて、最終的にザワザワした気持ちになってしまった。

それでも、やはり1人100円ずつでも1億人なら100億になるんだってことを忘れてはいけないのだ。きっと。

ちゃんと考えようと思いました。

私はチンパンジーでいたくないから。

2019/07/27

携帯端末HPに操られている近未来。
進化したHPは、感情を持ち始める。
否応無しに戦争に巻き込まれる怖さ。

2019/07/16

前回読んだ教団Xと比べると見劣りしてしまった。
著者の作品には何らかの毒のようなものを期待して読んだが、政治を扱っていることもあるのか風刺の色を強く感じてしまい何だか説教臭く思えてしまった。
著者の作品はどれも好きだが今作は今まで読んだ中でも一番印象に残らないだろうと思う。
ただつまらなくはない。サクサク読める読みやすさもあり、あっという間に読み終わってしまった。
もしかしたらそれも物足りないというマイナスポイントになってしまっているのかも…

2019/06/01

ブンガク（たぶん）
かかった時間２００分弱くらいかなあ

仮装の国、Ｒ帝国の話。
しかし、情報社会やら大衆社会やら反知性主義やら、ほぼそれ真実じゃん、という世界が描かれており、物事を多少は考えられる人にとっては非常におもしろい小説だと思う。物事をものすごくきちんと考えられる人にとっては…わたしはそうではないのでわからない。笑

ディストピア小説が好き。というか最近ときどき読んではいるのだが、この作品はまさに現代日本のディストピア小説で、読む価値はあると思う。読む価値はあるし、ほんとうは読んで、作品世界と今生きている世界について、たくさんの話をするべきなんだろう。

物語としてまず、とても面白かった。語彙？表現？が内容とややアンバランスだと思うところもあったけど、この人の他の作品を読んでみて、また、考えたいところ。

2019/05/30

中村文則作品を読むのは17冊目。

おもしろかったー！！
読みながら、9.11のこととか、第二次世界大戦のことを改めて調べた。自分は目を背けてきたことがたくさんあるよなぁ、と痛感。怖いから、悲しいから、日本はもう二度と戦争をしないからと、ずっと知らんぷりしてきた。その現実を目の前に突き付けられた感じ。

中村文則って初期の頃はそれこそ“半径５メートル”の話を書いていた、と思っていて。
私と銃。私とあなた。私のトラウマ。的な。一つの町で完成するような。基本は感情の揺れ動きというか。さすが芥川賞作家って感じの。
でももう世界を書いてるんだよなって。教団Ｘでもそうだったけど。今回もそうだし。
教団Ｘは表、Ａ面、光って感じだけど、Ｒ帝国は裏、Ｂ面、闇って感じ。Ｒ帝国にほぼ救いはない。そういえば中村文則ってそうだったよね。教団Ｘもあなたが消えた夜にも光あるラストだったから忘れてたけど、中村文則ってそうだったよねって思い出した。
そもそも題材が重いし現実と割とリンクしてるので、これでハッピーエンドだったら「あーよかった！ほら！なんとかなった！」ってまた現実から目を逸らしていたかもしれない。
これは“警告”だ。
私のように、日本はもう制度とか財政とか政治家とか終わってるし色々破綻してるけど、それでも戦争はもう終わったものだし、テロは日本では起こらない、私は確かに貧困だけど、それでも日本は安全だ、そのうちなんとかなるだろう、と思ってる人にほど読んでもらいたい。危機感持たされるし色々調べるしもっと知りたくなる。
大人の課題図書にならんかなぁ。

私は中村文則さんの作品が好きで、書き方とか表現とか、紡がれている言葉が好きで、だからずっと作品を読み続けている。
だからこの小説とも出会えた。中村文則さんの作品じゃなきゃ、こういったタイプの小説は読まなかったろうなと自覚している。中村文則に連れていってもらってる。新しい世界へ、そして現実へ。

2020/09/25

集権的な管理社会となった架空の国の物語です。
恐らくは筆者が危惧する未来の日本の姿がモチーフになっており、ディストピアを描く事で、よりリベラルで明るい方向に日本が進むように啓蒙する目的で書かれています。
その目的に照らし合わせると、後味が悪い結末にした事も納得できるのですが、完全に娯楽を期待して読んだ分、途中でLが出てきた時が面白さのピークで後は尻すぼみでした。
社会がどういう方向へ進んでいるのか、常にアンテナを張ることは大切だと思いますが、自分にとって、それはフィクションを通してではなく、自分の目と、可能な限りの多角的なニュースを通して考えるべきものだと感じました。

2019/02/08

すごく現実味のある話。ネットのあり方なんて、まさに！という感じでした。
あと何十年もしたら、AIとの関係はこうなっているのかもな…とも。

党の意見は、今の日本そのものだと思いました。
あまりに現実的過ぎて、自分は夢にまで出てきましたが笑、迷っている方や今の世の中に疑問を感じている方は、ぜひ。

2019/01/24

中村さんの作品にしては分かりやすい性格をした登場人物、誇張された風刺表現、ありきたりなストーリー展開。
否定的に捉えれば稚拙で雑な内容と解釈できますが、私としてはメッセージ性を強くするために、敢えてシンプルに描いていると肯定的に捉えています。著者がそこまでして伝えようとした現代社会に対する危機感、じっくり考えたいです。

2019/01/14

近未来を象徴するHPが登場し、面白い読み始めだったけど、嫌悪感を催す表現も多く、読後感も良くなかった。
国家機密法等が現実化する中、空想的なSF 小説と言えないところがまた恐ろしいですが---。

2019/01/08

一部は「合衆国最後の日」みたいな感じで二部は「地球爆破作戦」みたいになるのかと思ったら全然違った。何もかもが中途半端なまま終わってしまった。「希望は捨てないように。共に生きましょう」って何だそれ。15歳で本国に帰ったアルファが何故アニメの女兵士みたいな口調で喋れるのか不思議。