ある奴隷少女に起こった出来事 の商品レビュー
自由になってもなお、ペンをとって戦い続けるリンダの勇気に拍手を送る。また、出版の機会を得られなかったが、確かに実在した奴隷制度の犠牲者たちのことを、我々は忘れてはいけない。そして、本書が実話であることを証明するために勢力を尽くした人々へ感謝したい。次の世代のためにも、リンダを救う...
自由になってもなお、ペンをとって戦い続けるリンダの勇気に拍手を送る。また、出版の機会を得られなかったが、確かに実在した奴隷制度の犠牲者たちのことを、我々は忘れてはいけない。そして、本書が実話であることを証明するために勢力を尽くした人々へ感謝したい。次の世代のためにも、リンダを救う手を差し伸べてくれた人々のような、愛と優しさに満ちた世界にしなければならないと強く感じた。
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闘いの「ノンフィクション・ノベルズ」だ。 たとえ奴隷制や女性史に関心がなくても、何かしらマイノリティに所属した経験のある者は励まされるのではないか。海外旅行で黄色人種として冷たい対応をうけたとか学校でいじめにあったとか、そういう低いレベル(この奴隷少女に比べたらの意)でさえ...
闘いの「ノンフィクション・ノベルズ」だ。 たとえ奴隷制や女性史に関心がなくても、何かしらマイノリティに所属した経験のある者は励まされるのではないか。海外旅行で黄色人種として冷たい対応をうけたとか学校でいじめにあったとか、そういう低いレベル(この奴隷少女に比べたらの意)でさえ、生き抜くための気合いが入る。リンダに方法論を学ぶことはなくても状況に心を寄せて、いかに強く耐えるか、願うか、闘いを学ぶことができる。 死んだほうがマシだという圧倒的絶望の中でも小さな希望や偶然を疎かにしてはならないと感じた。個々の読者にとどめずに社会に還元していくことが、本書の存在意義を強めることになろうか。広めたいと思う本だった。 ※後日追記予定
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19世紀のアメリカ南部に奴隷少女として産まれた著者が自らの体験をもとに記したノンフィクション。奴隷制度がいかに当時の南部において、黒人奴隷だけではなく、奴隷所有者に対しても、残酷で荒廃した風土を蔓延らせていたか。いったい、人を支配するということがどれだけ人を誤らせるのか、という角...
19世紀のアメリカ南部に奴隷少女として産まれた著者が自らの体験をもとに記したノンフィクション。奴隷制度がいかに当時の南部において、黒人奴隷だけではなく、奴隷所有者に対しても、残酷で荒廃した風土を蔓延らせていたか。いったい、人を支配するということがどれだけ人を誤らせるのか、という角度でこの本を読んだ。また、苦しみに満ちた奴隷生活、逃亡生活を支えたのが子供とのつながりであったことから、人の親であることが人にどれだけの力を与えるのか、ということも考えさせられる。
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「 ある奴隷少女に起こった出来事 」 奴隷として生まれ育った 少女リンダが 自由を勝ち得るまでの物語。 自由とは勝利であり、自由を得るための行動は リスクを負うことがわかる *私の物語は自由で終わる〜北部の白人と同様に 奴隷所有者の力からの自由 *奴隷時代は 忘れたい過去〜希...
「 ある奴隷少女に起こった出来事 」 奴隷として生まれ育った 少女リンダが 自由を勝ち得るまでの物語。 自由とは勝利であり、自由を得るための行動は リスクを負うことがわかる *私の物語は自由で終わる〜北部の白人と同様に 奴隷所有者の力からの自由 *奴隷時代は 忘れたい過去〜希望を失いかけた日々と共に心によみがえったのは 祖母に愛された 思い出 「奴隷制は〜白人にとっても災い〜白人の父親を残酷で好色にし、その息子を乱暴で淫らにし、それは娘を汚染し、妻をみじめにする」 少し性的奴隷が強調されていて、この本に 奴隷制度の構造が描かれているとは思わなかった
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2018/12/26 詳細は、こちらをご覧ください。 『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1205.html 古い時代から世界中にあった奴隷制度、 多くの悲劇や困難をのりこえて 今は...
2018/12/26 詳細は、こちらをご覧ください。 『あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート』 → http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1205.html 古い時代から世界中にあった奴隷制度、 多くの悲劇や困難をのりこえて 今はもうなくなったと思いますが、そんな時代に生まれてこなくてホントよかった。 アメリカの奴隷のことは、「ハックルベリーの冒険」、「風と共に去りぬ」から始まり、様々な映画や本で見聞きしてきたが、こんなに生々しく悲惨な話は初めてです。 作者は賢く誇り高い少女ですが、なんと言っても奴隷の身です。 その人生は、到底想像もできないほど辛い日々。とうとう 途中で読み進めなくなってしまい、ハッピーエンドな最後を読んで 胸をなでおろした次第です。 作者は繰り返し語ります。(P84) 『奴隷制度は、黒人だけではなく、白人にとっても災いなのだ。それは白人の父親を残酷で好色にし、その息子を乱暴でみだらにし、それは娘を汚染し、妻をみじめにする。 黒人に関しては、彼らの極度の苦しみ、人格破壊の深さを表現するには、私のペンの力は弱すぎる』 『・・・抵抗しても希望はないのだ』 と思われていた奴隷制度も人々の努力で廃止されました。 奴隷制度とは違うが、社会制度や政治経済・国家対立など 現代でも多くの困難なことは多いでしょう。 解決は無理と考えられていることも、おおぜいの人がきちんと認識し努力していけば、きっと快方に向かう、そんなことを本書で思いました。
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奴隷制。 人がモノとして売り買いされていた時代の実話。 人間の愚かさ残酷さ。 そして悲しいまでの少女の強さ。 必読の一冊。
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人間が生まれてきた役割というのは大きいものです。 150年後の我々が読むことになり、知ることになるのですから。
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以下、思ったことをただ書き殴る。 ☟☟☟ なんか、すごく嫌な嫌悪感しかない表現がたくさんあった。 人をあげるとかもらうとか買うとか売るとか、もうなんなの?意味わかんない。 女だから、15歳を超えたら、性暴力の対象になるの?なんで?は? 特にこの2つ。なんでそんなことを考えられるん...
以下、思ったことをただ書き殴る。 ☟☟☟ なんか、すごく嫌な嫌悪感しかない表現がたくさんあった。 人をあげるとかもらうとか買うとか売るとか、もうなんなの?意味わかんない。 女だから、15歳を超えたら、性暴力の対象になるの?なんで?は? 特にこの2つ。なんでそんなことを考えられるんだ... でもそんなこと言ったって、わたしが同じ立場で、しかも白人側だったら、小さい頃からそれが普通の環境だったら、喜んですることなんて決してないって言いたいけど、少なくとも批判する勇気はなかったと思う。 書店でたまたま見つけて、たまたま手に取った本だったけど、この本に出合えてよかった。 夢中で読んだ。 自分の中で勝手に想像していた奴隷制とは違うところもあって、勉強になった。 でもなんか、同じ人間なのに、ただ肌の色が違うってだけのほんっとしょうもない理由で、なんでこんなひどい扱いを受けなくちゃいけなかったのかって考えると涙が出る。わたしが日本人だから、島国だから、人種差別なんて接してこなかったから、そう思うのかもしれないけど。 ジェイコブズさんの折れない強い心と聡明さ、よくこんな時代に、ちゃんと教育を受けられなかったにも関わらず、、すごい。死んだ方がマシなくらいひどい扱いだったのに。 けど最後は自由になれて、たくさんのいい人に出会えて、本当によかった。もちろん運もあると思うけど、けどまっすぐ折れない生き方をしてきたから、素敵な人に出会えたんだろうな。 (表現は違うけど)奴隷制は白人も黒人もだめにする。当事者だったのに、しかも被害者側だったのに、そう思えたことがすごい。 今の日本でもまだ差別は残ってるし、男尊女卑的考えもまだまだ蔓延ってる。けどこの時代よりは確実にマシだから、だから頑張るって変だけど、もっと社会が変わっていくように折れないで生きていこう。
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南北戦争当時の南部を舞台にした「風と共に去りぬ」には、奴隷解放を謳って南北戦争を勝利した北部の人間たちが必ずしも黒人を同じ人間として尊重していなかったこと、南部人たちは奴隷を所有してはいるが、その健康に心を砕き、病気の時は屋敷の女主人が献身的に看護するなど、奴隷たちは家族同然であ...
南北戦争当時の南部を舞台にした「風と共に去りぬ」には、奴隷解放を謳って南北戦争を勝利した北部の人間たちが必ずしも黒人を同じ人間として尊重していなかったこと、南部人たちは奴隷を所有してはいるが、その健康に心を砕き、病気の時は屋敷の女主人が献身的に看護するなど、奴隷たちは家族同然であったと描かれている。 オールコットの「若草物語」が同時代の北部の家族の物語だとすれば、「風と共に去りぬ」は南部側の視点から切り取った物語であり、物事の二面性を示す好例だと思っていた。 本書はその見方をまた新たに、そして強力に覆す。過酷な運命に抗い、自由と人間としての尊厳を求めて闘い抜く奴隷少女の物語である本書の稀有であるのは、奴隷であった人間にこれほど知的で正確で鋭い文章が書けるのかという疑問から長らくフィクションだと思われていたのが、ある研究者により著者および本書に登場する人物が実在したこと、数々の事実と符合するノンフィクションであることが判明し、120年の時を経てベストセラーとなった点だ。 著者ハリエット・アン・ジェイコブズは、奴隷所有者を忌み嫌うと同時に、彼らもまた、この社会制度の元に生まれていなければ、真のキリスト教徒として誰にも恥じない価値観を持って人生を歩めたかもしれないと語る。部落差別、人種差別、民族差別など、現代にも残る全ての差別に通じる洞察に、この時代の、人生の前半を奴隷として過ごした人物が、過酷な生活の中で到達したことに尊敬の念を覚える。 翻訳家ではない訳者の堀越ゆきさんと本書との偶然の出会い、堀越さんがこの本を今の格差社会に生きる日本の少女たちに届けたいと自ら翻訳に乗り出し、出版社に持ち込んで日本での刊行にこぎつけたという経緯もドラマチックで、この人に訳されるべくして訳されたという感じである。極めて読みやすく、それでいながら著者の心情が文字の後ろから立ち上ってくるような翻訳に仕上がっている。 ただ、あとがきの中の「地方に生まれ落ちた少女たちにデフォルトで与えられた人生から抜け出すこと」云々の記述は、やはり一面的な見方と感じざるを得ない。高校大学をアメリカで過ごし、大手コンサルタント会社でグローバルビジネスの真っ只中ではたらく著者からは、大手住宅メーカーが低予算で建てた画一的で無個性な家が立ち並び、量販店とファミレスとパチンコ屋が目立つ閉塞感に満ちた地方都市は、少女たちが夢を抱けない、抜け出したいと思う場所なのだろう。そして「地元の大手企業の工場に運良く勤められる」ことが才覚を生かしてその土地から抜け出せなかった少女たちの最大の成功であり、それさえもいつ何時巨大な権力を持った者たちに予告なく奪われるかもしれないといった状況が、自らアッパーミドルクラス出身と称する訳者には、当時の陰湿な南部の空気と重なるのかもしれない。 地方に住んでいると、都市部との格差、ギャップ、地方であるが故のハンディを感じることは確かに多い。しかし、人生とか豊かさとかは、もっと多面的で多様なものである。可能性も無限である。「どんなに努力しても、あの子たちが今持っている正しい価値観を曲げることなく、自分らしく自由に働ける仕事は、あそこにはない」との言葉は、おそらく何かに反発しながら闘いながら努力を重ねて今の場所にたどり着いたであろう訳者にとっては真実であっても、やはり一面でしかない。
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奴隷はお手伝いさんではなく、女中でもなく、相続や売り買いの対象となる所有物だということが、この本を読むまでわかっていなかった。
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