誰がアパレルを殺すのか の商品レビュー
日本のアパレル業界がなぜこんなにも衰退してしまったのか、その真因に切り込んでいます。 本書の題材こそアパレルですが、内包する問題の多くは多かれ少なかれ他の産業にも共通していると言えます。 何より一番の問題は、「衰退に向かっているのにそれに気付かない」あるいは「気付いているけど見て...
日本のアパレル業界がなぜこんなにも衰退してしまったのか、その真因に切り込んでいます。 本書の題材こそアパレルですが、内包する問題の多くは多かれ少なかれ他の産業にも共通していると言えます。 何より一番の問題は、「衰退に向かっているのにそれに気付かない」あるいは「気付いているけど見て見ぬふりをしている」ことではないでしょうか。 ただ、後半部分でIT等の活用により活路を見出しているアパレル企業の事例紹介があるように、新しい風が吹きつつあることもまた事実です。現状を正しく認識し、その上で将来に向けてやるべきことを考えることの重要さに気付かせてくれます。
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日経ビジネスの記事「買いたい服がない」を読んだ。当時、私自身がそう思っていたので、タイトルだけでツボにはまった。それに大幅な加筆・修正をしたというこの本は興味ありありで手に取った。 大きく分けて内容は老舗アパレルの衰退、SPA、通販が主力の新興勢力、そして海外を見ている企業とそれ...
日経ビジネスの記事「買いたい服がない」を読んだ。当時、私自身がそう思っていたので、タイトルだけでツボにはまった。それに大幅な加筆・修正をしたというこの本は興味ありありで手に取った。 大きく分けて内容は老舗アパレルの衰退、SPA、通販が主力の新興勢力、そして海外を見ている企業とそれ以外の企業の動向といったところでしょうか。 アパレル不振が叫ばれて長いけれども、読後は、業界自体が不振なわけではないと思うようになった。著者も、最初は誰がアパレルを殺すのか?という視点で見ていたのが、取材をしていくうちに死にそうなのは旧態を脱することができない会社だけという結論になったのではないだろうか。業界が不振と言われるのは、それらの会社の声が大きいからでしょう。 個人的には、ミナペルホネンについて取材されていたのも良かった。注目ブランドだったのと、そういう背景があるとは知らなかったので。 1つだけ難を言うと、製造現場への取材が少なすぎる。ただ、そこに足を突っ込むと1冊では終わらなくなってしまうので、この本はこれで良しかな。
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物が安く買えるのは消費者にとって有り難いことだが、何にでも適正な価格、適正な量というものはあるはずである。 企業の努力も必要であろうけれど、消費者も安いから買うどんどん買ってどんどん捨てるというのではなく、考えて選択していかないと、先々自らの首を締めることになるのを避けられない。
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誰がアパレルを殺すのか。 それは変われない体質のままの業界による自殺行為だ。 これからもアパレルは死にっぱなしなのか。 高度経済成長期の気分のまま、バブル崩壊に至りデフレ経済の中で過去のビジネスモデルに縋り付いたまま体力を無くして弱っていく。 どこにでもある日本企業の...
誰がアパレルを殺すのか。 それは変われない体質のままの業界による自殺行為だ。 これからもアパレルは死にっぱなしなのか。 高度経済成長期の気分のまま、バブル崩壊に至りデフレ経済の中で過去のビジネスモデルに縋り付いたまま体力を無くして弱っていく。 どこにでもある日本企業の普遍的な構造はアパレル業界にも存在する。 低成長が続く業界内でも、注目を浴びる企業がいくつも生まれてきている。 まずビジネスモデルが違う。 そしてビジョンが違う。
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もはや服においてのブランド価値は お金をかけて所有・誇示することから いかにうまく組み合わせて・使いこなす 利用価値(それを見いだせるセンス)に移ってきているように思える。 何回も着ない服をメルカリや総合リース・スタイリスト機能で済ましてしまうところなど。 お金を無駄に使わ...
もはや服においてのブランド価値は お金をかけて所有・誇示することから いかにうまく組み合わせて・使いこなす 利用価値(それを見いだせるセンス)に移ってきているように思える。 何回も着ない服をメルカリや総合リース・スタイリスト機能で済ましてしまうところなど。 お金を無駄に使わなくなっただけで アパレル業界に未来がないわけではない。
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アパレル業界の栄枯盛衰が分かります。 外部環境の変化に対応できた企業、できなかった企業がわかります。 どのように外部環境が変化したか、対応できた企業はどのように対応したのか、できなかった企業はなぜできなかったのか、分析されています。 おもしろかったです。
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戦略立案のヒントを他業界から、学ぶたいという人に是非読んでほしい。 いま、アパレル業界で起きている変化は、全ての業界で起こりうることが濃縮されている。 グローバルのメガプレイヤーの存在。テクノロジーを活用した新しい購入、利用体験の提供。スタートアップによる、これまでの業界慣行を...
戦略立案のヒントを他業界から、学ぶたいという人に是非読んでほしい。 いま、アパレル業界で起きている変化は、全ての業界で起こりうることが濃縮されている。 グローバルのメガプレイヤーの存在。テクノロジーを活用した新しい購入、利用体験の提供。スタートアップによる、これまでの業界慣行を壊すビジネスモデルの浸透。それに対して、後手後手の既存勢力。 アパレル業界のそれぞれの立場で、戦略を考えてみることで、自分自身のヒントをたくさんのヒントをもらえると思う。
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自らの利益と論理を優先し、消費者や事業パートーナーをその下に置く企業が、いかに衰退していくことになるかを知ることができるドキュメント。ちきりんさんの言っていた「変わらないと替えられる」を示した好例。 --------------- ・素材の価格が下がれば商品価格を下げるのも当然で...
自らの利益と論理を優先し、消費者や事業パートーナーをその下に置く企業が、いかに衰退していくことになるかを知ることができるドキュメント。ちきりんさんの言っていた「変わらないと替えられる」を示した好例。 --------------- ・素材の価格が下がれば商品価格を下げるのも当然です。にもかかわらず、既存のアパレル企業は、素材の価格が下がってもそれを商品価格に反映せず、利益としていたのが常でした。私たちは、そのやり方は消費者に対して、誠実ではないと感じています。(p.134)
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・インターネットやSNSの普及は、消費者に一般的なアパレルの原価構造を知らしめた。 アパレル企業の都合で消費者の求めていない大量の商品が生産され、その過程で生まれた多様なコストが 「定価」に含まれることが白日の下にさらされたのだ ・アパレル輸入品の割合は、2014年時点で9...
・インターネットやSNSの普及は、消費者に一般的なアパレルの原価構造を知らしめた。 アパレル企業の都合で消費者の求めていない大量の商品が生産され、その過程で生まれた多様なコストが 「定価」に含まれることが白日の下にさらされたのだ ・アパレル輸入品の割合は、2014年時点で97%に達する。 内訳は、中国68%・ベトナム10.5%・インドネシア3.3% ・ODM(相手先ブランドによる設計・生産) ・原価を顧客に開示するオンラインSPA「Everlane」 https://www.everlane.com/ NYとサンフランシスコに店舗があり、店内に在庫はない。 店頭で購入する場合、タブレット端末でEverlaneのサイトにログイン。購入手続きもすべてWeb上で完結させる。店舗にレジはない。 原価を開示し、自分たちの利益を開示し、一般的なアパレルとの価格差異を打ち出す。 ・ミレニアル世代にとってのラグジュアリーは、どこで作られたか、どのように作られたかに価値がある。 ブランドの名前よりも質、職人技、信頼性が、はるかに大切になっている。 ・不要なコストを省き、その分を商品開発やデザイン、顧客サポートに費やす。 それがフェアであり、あるべき姿なのだと消費者に示す。 この姿勢が彼らのブランド価値になっている。つまり彼らが示すのは、「安さ」ではなく「価格の妥当性」の大切さだ。 ・オンラインSPA オンラインSPAの台頭によって、消費者はアパレル販売の中に、企業側の都合によって積みあがったコストが多分に含まれていることを知った。 ・その他のオンラインSPA マットレスEC「Casper(キャスパー)」 https://casper.com/ ・柳井さん:中国ほどきっちりと商品を作る国はない。ベトナムくらい ・ZOZOTOWN アパレル企業はまず商品を、ゾゾの倉庫に納品する。 この段階では商品はアパレル企業側の在庫だ。 利用者に売れた段階で、ゾゾタウンに受託手数料が支払われる。この受託手数料は百貨店に比べて安く、20~30%程度といわれる。 「百貨店を中心とした消化仕入になじんでいたアパレル企業に対して、圧倒的にメリットのある条件を提示した」 ゾゾタウンの倉庫に商品を納めれば、撮影や検品、梱包といった作業は任せることができる。
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