冬虫夏草 の商品レビュー
「冬虫夏草」(梨木香歩)を読んだ。 少しだけアブノーマルで仄暗い領域と緩やかに混じり合い静かな時間が緩々と流れているこの物語がたまらなく好き。 「家守綺譚」と合わせて何度でも読みたい。 「冬虫夏草」(梨木香歩)を読んだ。 旅行中のホテルの部屋でゆっくり読みました。 「家守綺譚」...
「冬虫夏草」(梨木香歩)を読んだ。 少しだけアブノーマルで仄暗い領域と緩やかに混じり合い静かな時間が緩々と流れているこの物語がたまらなく好き。 「家守綺譚」と合わせて何度でも読みたい。 「冬虫夏草」(梨木香歩)を読んだ。 旅行中のホテルの部屋でゆっくり読みました。 「家守綺譚」と合わせてこの二冊は本当に愛おしい作品です。 この先も何度でも読むだろうな。 ここのところが特に好き。 『おかみさんは、自分の柿の葉ずしが、秋を急かせたことを知らない。』(本文より引用)
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植物の名前がつけられた章立ての短編が連なった構成で、ひとつ、ひとつ、読んでいくうちに、綿貫さんのお庭からはるか鈴鹿の山奥まで旅していて、話も不在の竜が復活するのかしないのかどんどん壮大になって、どうなるんだと、思っていたら、ストンと迎えた終わり方に、ああ良かったと安堵していました...
植物の名前がつけられた章立ての短編が連なった構成で、ひとつ、ひとつ、読んでいくうちに、綿貫さんのお庭からはるか鈴鹿の山奥まで旅していて、話も不在の竜が復活するのかしないのかどんどん壮大になって、どうなるんだと、思っていたら、ストンと迎えた終わり方に、ああ良かったと安堵していました。 イワナの夫婦がどうなるのか、河童の子どもは宿をどうするのか、赤竜は、高堂は、南川は… 物語は途中で、でもそれは綿貫さんの預かり知らない話で。冒険もいいけれど、締め切りもあることだし、いつものお家に帰りましょう、綿貫さん。
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「家守綺譚」の続編。主人公綿貫が(飼犬ゴロー探しのために)歩き回りはじめたためか、かかわるものたちが、土地がどんどん広がって行く。それでも、おおきな流れのなかで縁が生まれ、それまでの生活とも、思いもよらないかたちで続いて行くようすは変わらなくて快い。縁の糸が見えなくなることも(も...
「家守綺譚」の続編。主人公綿貫が(飼犬ゴロー探しのために)歩き回りはじめたためか、かかわるものたちが、土地がどんどん広がって行く。それでも、おおきな流れのなかで縁が生まれ、それまでの生活とも、思いもよらないかたちで続いて行くようすは変わらなくて快い。縁の糸が見えなくなることも(もしかしたら切れてしまうことも)、もちろんある。でも、それは、もちろん悲しいことではあるけれど、自然ではとうぜんにあり得ることなのだと思う。終わりはどうしようもなく訪れる、しかしそのとき、奇妙な出会いから新たな縁が生まれることもあって、結果、いのちや歴史、記憶がつながっていくこともまたあり得る。……そんなことを、綿貫の行動やその結果を楽しむとともに、救いのように感じ続けていた。 前作や、同著者長編『ピスタチオ』と併せ、現代性の孤独に溺れそうなたれかの助けになり得ると思う、多くの方々に読まれて欲しい本。 ……本作には、さらに続きもありそうな予感がする。このまま終わっても、偽りらしくなくて好きだけど。
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あらすじにはゴローを探しに行くとあった。 で、読み始めるといつも通りの生活で。 ?と思っているうちにゴローがいなくなりゴロー探しに出掛けていく。 出掛けた先でいろんな人と話すのだけれど、主人公はパラレルワールドとこちら側を行ったり来たりしているのでは?と少し思った。 そんな訳...
あらすじにはゴローを探しに行くとあった。 で、読み始めるといつも通りの生活で。 ?と思っているうちにゴローがいなくなりゴロー探しに出掛けていく。 出掛けた先でいろんな人と話すのだけれど、主人公はパラレルワールドとこちら側を行ったり来たりしているのでは?と少し思った。 そんな訳は無いのだけれど。
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じわりじわりと染み入るような面白さを持つ物語。 その物語を構成する、美しく趣のある文書。 その文書を構成する、真珠のような日本語の数々。 あの「家守綺譚」の続編。 河童が、天狗が、イワナの夫婦が、ごく自然にそこにいる。 読書の時間を「これほどに贅沢な時間」と...
じわりじわりと染み入るような面白さを持つ物語。 その物語を構成する、美しく趣のある文書。 その文書を構成する、真珠のような日本語の数々。 あの「家守綺譚」の続編。 河童が、天狗が、イワナの夫婦が、ごく自然にそこにいる。 読書の時間を「これほどに贅沢な時間」と思わせてくれる数少ない作品の一つ。 終了してほしくない世界。 今から続編を待ち望む。
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大好きな「家守綺譚」の続編! 家守綿貫が愛犬ゴローを探しに旅に出る。 たくさんの植物とともに河童やイワナなど 不思議な存在が当たり前のように存在する。 その雰囲気がとても好きです。
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終わってしまうのがもったいなくて、ゆっくりすこしずつ読んだ。もっとずっと読んでいたいなあと、おもった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『家守奇譚』の続編。 今回綿貫は家を出て外へと旅に出る。行方不明の愛犬ゴローを探しに。 なんだかわからなけど、このシリーズには本当に癒やされます。 綿貫が飄々として動じないのがいいのかもしれません。彼にとって人も物の怪も神さまも幽霊も同じ立ち位置にいるものなのでしょうね。だからあんなに優しい視線でいられるのかもしれません。 どの話も好きですが、特にラストが好き。ゴローにあんなに慕われて、綿貫は果報者(笑)。 続編出てくれると嬉しいな。
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20170929 不思議な感性の物語。時代や場所は具体的なのに出来事がみなおとぎ話のようでした。入っていけるかは感性しだいたと思う。ただ、普通に読んでいても異空間の旅に出ている気分になれると思う。
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前作とは違って、家ではなく外へ出て行く話。家で、同じ物/者や時の移ろいを見つめ思案するのが前作なら、今作は外から刺激を受けて自らを見つめ直すのが今作かな。外へのアプローチは違うけど、相変わらず境界が曖昧で溶かされるような読み心地。 幻想文学でいいのかな。 彼我の違いを見つけても...
前作とは違って、家ではなく外へ出て行く話。家で、同じ物/者や時の移ろいを見つめ思案するのが前作なら、今作は外から刺激を受けて自らを見つめ直すのが今作かな。外へのアプローチは違うけど、相変わらず境界が曖昧で溶かされるような読み心地。 幻想文学でいいのかな。 彼我の違いを見つけても、そこに隔てを設けなければ、あらゆる境界は溶け合う。あるいは境界の概念自体なくなる、このゆるやかな物語感たまらない。やさしい。
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