1,800円以上の注文で送料無料

冬虫夏草 の商品レビュー

4.4

71件のお客様レビュー

  1. 5つ

    32

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    8

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/03/17

初読。松子さんの話がよかった。綿貫から教えられた想像力という概念が、彼女の助けになったのだろうか。綿貫とのあの一時をずっと大切に覚えていた松子さんにとってあれは救いだったんだろうね。 あと、村田がトルコに行ってたのが自分が思ってたより長い期間だってことがこの本を読んでわかった。

Posted byブクログ

2023/12/02
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

家守奇譚に次ぐ作品。西魔女と比べると、文体が慣れない。相変わらず不思議な話で、頭のイメージが追いつかない。いつの間にかゴロー探しの話になる印象。この2作品を読みながら、日常生活からの離脱を味わう。

Posted byブクログ

2023/08/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

作品的には前作のほうがよかったけれども こちらも負けず劣らずに不思議な雰囲気を 醸し出しています。 今回も不思議なものたちに出会います。 河童にも出会いますし、 死が近づいているものにも出会います。 そしてこの世の者でないものも… 綿貫はどうも優しすぎるんですよ。 死んでしまった人をついてこさせるとは まあ罪深い…

Posted byブクログ

2023/02/10

地図帳を開いて、綿貫の旅路を指でたどりながら読む。旅とは見知らぬ地にいる自分に出会うためにするのかもしれない。

Posted byブクログ

2023/02/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

続編があるとは知らず…見つけた時は小躍りした(笑)ゴローの出演回数が少なかったのが残念だが、最後は感動して涙が出そうになった。ゴロー、ちゃんと愛されてる…ダアリヤにももっと出てほしかった。

Posted byブクログ

2023/01/11

作家の綿貫征四郎に起こる不思議な話である。語り口が 夏目漱石の時代の作家風の語りで、少しむづかしく感じるところもある。愛犬のゴローを探しに鈴鹿の山中に旅に出る。そこで、天狗や河童などと思われるものと出会う。その雰囲気は昔の日本の風景に合っているというか、変に落ち着く。盛り上がりが...

作家の綿貫征四郎に起こる不思議な話である。語り口が 夏目漱石の時代の作家風の語りで、少しむづかしく感じるところもある。愛犬のゴローを探しに鈴鹿の山中に旅に出る。そこで、天狗や河童などと思われるものと出会う。その雰囲気は昔の日本の風景に合っているというか、変に落ち着く。盛り上がりがあるストーリーではないが、現代の人間社会ではなく、昔むかしの天狗や河童が出てきそうな、まだ電気も来てないような村での出来事でなにか惹かれるものを感じる。

Posted byブクログ

2022/04/26

ハードカバーですでに読んでいるけど、文庫で再読。 隅々まで行き届いた丁寧で静かな描写と最後まで読ませる文章には、前作の家守綺譚と共に何度読んでもたまらない読了感がある。 人一人ひとりが見ている世界は同じようで違う。人と人ではない者、神、自然、自然を超越した何か。一昔前まで日本人が...

ハードカバーですでに読んでいるけど、文庫で再読。 隅々まで行き届いた丁寧で静かな描写と最後まで読ませる文章には、前作の家守綺譚と共に何度読んでもたまらない読了感がある。 人一人ひとりが見ている世界は同じようで違う。人と人ではない者、神、自然、自然を超越した何か。一昔前まで日本人が感じていた畏れを思い出させてくれる怖いだけじゃない何かが感じられるのが、特に良い。 最後の数ページには涙がぐっとくる。

Posted byブクログ

2022/02/06

「家守綺譚」シリーズの2作目。前作では主人公綿貫の住む「家」が中心のお話だったが、本作では旅先での出来事が描かれる。 愛犬ゴローと「イワナの宿」を探して、愛知川を上っていく歩き旅である。途中で出会う人々とその生活、自然、そして妖怪の類。前作にも増して不思議なことだらけだが、綿貫...

「家守綺譚」シリーズの2作目。前作では主人公綿貫の住む「家」が中心のお話だったが、本作では旅先での出来事が描かれる。 愛犬ゴローと「イワナの宿」を探して、愛知川を上っていく歩き旅である。途中で出会う人々とその生活、自然、そして妖怪の類。前作にも増して不思議なことだらけだが、綿貫も地元の人も、さして不思議とも思っていない様子。そのおおらかさが心地よい。 雰囲気が似ているのか、脳内にジブリ映画の映像が浮かぶことも多々あった(「千と千尋の神隠し」「平成狸合戦ぽんぽこ」「崖の上のポニョ」あたり)。 本書の解説には「終わることなく読んでいたい」とあるが、同感である。前作からしてそうであったのだが、今回も、ゆっくりと味わいながら読んだ。 旅先は愛知川の永源寺あたりらしい。読み終えたら、旅先を地図で探してみるのもよいと思う。高堂の謎の言葉が何を意味しているのか、少しは想像できるかもしれない。

Posted byブクログ

2021/12/15

名作「家守奇譚」の続編。   「家守奇譚」が、あの世界で暮らす綿貫征四郎の日常的エッセイだったのに反し、今作の「冬虫夏草」には一貫した目的があります。   ゴローを探せ!   綿貫征四郎は姿を見せなくなった犬のゴローを探しに、鈴鹿の山中を駆け巡ります。   いや、半分は旅行気分、...

名作「家守奇譚」の続編。   「家守奇譚」が、あの世界で暮らす綿貫征四郎の日常的エッセイだったのに反し、今作の「冬虫夏草」には一貫した目的があります。   ゴローを探せ!   綿貫征四郎は姿を見せなくなった犬のゴローを探しに、鈴鹿の山中を駆け巡ります。   いや、半分は旅行気分、物見遊山といった体ですが。   途中途中で村人たちとの交流あり、もちろん人以外のものたちとの交流もあり。   キキョウとマツムシソウの話が良かったな。   ラストも良い!   ああ、続きが読みたいなぁ。

Posted byブクログ

2021/12/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

前作の家守綺譚に続き、どこか現実で無いような、でも何処かに確かに有りそうな世界の物語。ゆったりと世界に浸って、いつまでも読んでいたくなるような感覚は、この著者の世界を見る目と、言葉の選び方から来るのだろう。 美しい日本語、というのはあまり好きでは無い言い方なのだが、この小説に出てくる言葉達は、確かに美しい。亡くなる、を、はかなくならはる、と言う。秋が長引くことを、秋が老いた、と言う。ほんの少し前まで、持っていた感覚を呼び覚ましてくれるような言葉遣いが、実に心地よい。 特に好きなエピソードは、キキョウとマツムシソウ。初めて読んだ時はよく繋がりが分からなかったが、再読して、何と美しい話だろうと思った。故郷を離れた山奥に強制的に嫁がされた孤独な老女の魂が、時を越えて主人公の優しさに救われたのだと思う。「おなつかしい」の一言には、どれ程の思いが込められていたことか。 あとは、杉のエピソード。追われた虫もかわいそうでっしゃろ、と言う言葉が、どこまでも優しく、美しい。イワナの話もそうなのだが、生まれは選べない以上、今いる場所で精一杯生きていく、周りはそれを支え、受け入れてあげれば良い、と言う姿勢は、(情けない話だが)昨今からするとひどく貴重なものに思える。このあたり、理解は出来なくても、受け入れることは出来る、と言う、「春になったら苺を摘みに」にある精神にも通じるように感じる。 ゴローが見つかるようでみつからず、このままずっと旅が続いて行くのか、と思わせられていたら、最後で急にゴローの姿を認める展開は、最初読んだときは唐突な感もあったが、何度も読むとこれで良いのだと思える。ついゴローの手がかりが徐々に見つかり、ややもすると竜の洞の冒険を経てゴローと感動の再開をするような展開を想像するが、それは結局、こちらの独りよがりと言うものかもしれない。ゴロー失踪の理由、河桁のこと、竜の洞のことが分からなくても、それはそれで良い。わからないものがある、と言う事も、たまには受け入れるべきなのかも知れない。分かるべき事なら、いつかは自然と紐解かれることもあろう。名を付け、理解しないと気が済まない、というのは、時には悪癖ともなり得る。結局、「手に負えぬ煩いは放っておけ」というのも、また大事なのではなかろうか。

Posted byブクログ