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パリ行ったことないの の商品レビュー

3.5

99件のお客様レビュー

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2021/10/02

2部構成で、第1部は11人の女性が「パリに行きたいなあ」と思ったりしながら結局行かないで平凡な毎日を過ごしている。彼女たちの多くの毎日が、何となく社会や他人や男性に遠慮したり我慢しながらの日々。勝手に我慢したり遠慮して不満をためず思いどおりやればいいじゃんというのは簡単だけど身も...

2部構成で、第1部は11人の女性が「パリに行きたいなあ」と思ったりしながら結局行かないで平凡な毎日を過ごしている。彼女たちの多くの毎日が、何となく社会や他人や男性に遠慮したり我慢しながらの日々。勝手に我慢したり遠慮して不満をためず思いどおりやればいいじゃんというのは簡単だけど身もふたもないもので、実際のところ、こんなふうなしなくていいはずのそこはことない我慢を重ねながら日常を過ごしている女性って多いだろうなと思った(そして、何となく男性の我慢は彼らの勝手さに対してすべき我慢や、彼らがすきな鍛えるとか修行的なものと連動したり打算混じりの主体的な我慢のように思う)。 第2部では、そんな11人の彼女たちが偶然に、フランスらしい何もしないバカンスを過ごすツアーに参加し、「前世で同じ村の民」だったんじゃないかってくらい交流を深める。 ところが、こんないい感じのまま終わらず、最後のところであゆこさんが一人ふと思うことが響いてくる。 あゆこさんっていうのは、第1部の最初の物語で、パリ好きでいながら何となく一度も行かないまま不満混じりの平凡な毎日を送っていた人であり、第1部の最後の物語で、友人を前にパリ旅行のみやげ話や写真を勝手に披露したあげくパリに住むと宣言した人であり、第2部ではパリで小さな旅行会社に勤め、11人が集まるツアーを企画した人だから、いわば全編とおしてのキーパーソン的な人。 パリに来て調子よくやっているけど本質的には日本でくすぶってた頃と変わらないんじゃないか。日本でうまくやれなかったから出口を求めて来ただけ。逃げた先でどうにかなってるだけで、戻ればまた同じように行き詰まっちゃうんじゃないか。ひとしきりこう思ったあゆこさんは、「でも」とパリに来て覚えた煙草を吹かしながらこうも思う。 でも、ここまでたどり着いたなんて、よくやったじゃない。 わたしにしたら上出来よ、がんばった方だわ。 自分のことをちょっとは褒めてあげてもいいんじゃない? その気になったらニューヨークだって行けるし、 日本に帰ってももちろん大丈夫。 都会でも田舎でも、どこでだって、きっとわたしはやっていける(p.173) そして煙草をパリの人っぽくポイ捨てして……思い直して吸い殻を携帯灰皿に収める。 暗中模索中の自分にとっては、しんみりしながらも静かに決心している人のようでカッコよく、さり気ないけど長く心に残りそうなエンディングだった。 解説のカヒミ・カリィが書いていたパリに住む日本人とニューヨークに住む日本人の違いというのがなかなかさもありなんという感じ。パリに来る人はやりたいことや夢が具体的にあり、ニューヨークに来る人は何となく来たような人が多い気がするというもの。 プチプチを「エアクッション」と書いてあったり、忘れちゃったけどほかにも、ああこれってこういう言い方あるんだというようなカッコいい名称が書いてあって勉強になった(……ようでいて忘れたから勉強になってない)。

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2021/09/30

最初読み始めたとき、パリに行きたい人たちの思いを綴る短編集なのかな?と思ってたけど、第二章で全員が同じ南仏ツアーに参加していて、おお〜となった。みんな今の生活に満足してなかったり、心が元気なくなったり、それぞれで不安があるけど、パリという街に憧れを持って、パリ旅行に行けるように努...

最初読み始めたとき、パリに行きたい人たちの思いを綴る短編集なのかな?と思ってたけど、第二章で全員が同じ南仏ツアーに参加していて、おお〜となった。みんな今の生活に満足してなかったり、心が元気なくなったり、それぞれで不安があるけど、パリという街に憧れを持って、パリ旅行に行けるように努力していく中で希望に満ち溢れた生活を取り戻していく姿に感動した。私も行きたいな

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2021/09/18

パリに行きたい10人の女性のお話。 30歳になると人生の選択肢がどんどん狭まっていくのを感じるけど、年齢や生活環境関係なく行動を起こすことが大事なんだろうね。 和子さんの「一生に一度なんて言わずに年金つぎ込んで何回でもパリに行けばいいのよ」っていう思い切りの良さ素敵。 第1部...

パリに行きたい10人の女性のお話。 30歳になると人生の選択肢がどんどん狭まっていくのを感じるけど、年齢や生活環境関係なく行動を起こすことが大事なんだろうね。 和子さんの「一生に一度なんて言わずに年金つぎ込んで何回でもパリに行けばいいのよ」っていう思い切りの良さ素敵。 第1部:10人の話を読む 第2部:パリで一堂に会したのを読む (第3部):10人がそれぞれパリ行けたかなって各話を読み返す という楽しみ方が出来て良い。 第2部でラナだけ何度読んでも見当たらなかったんだけど、ちゃんとパリに行けたのかな、それとも見落とし? 俺もいつかパリに行きたい。

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2021/09/14

パリにまつわる話を集めた短編集。 それぞれの物語の主人公の、リアルな悩みや生活に共感しながらも、パリへの想いを知る。 私自身、パリに行ったことがない&そこまでパリへ思い入れがないが、読んでいたら一度は行ってみたくなった。

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2021/09/08

色んな境遇の女性たちがそれぞれパリに憧れ、一歩を踏み出す物語。描き出された女性像に自分を重ねてみてしまう。 2部構成は面白いなと思った。 皆が揃っての食事会の場面を微笑ましく感じる一方で、(8月のパリは凄惨だとしても)パリではなく南仏に集まったことに違和感を感じた自分もいた。 ...

色んな境遇の女性たちがそれぞれパリに憧れ、一歩を踏み出す物語。描き出された女性像に自分を重ねてみてしまう。 2部構成は面白いなと思った。 皆が揃っての食事会の場面を微笑ましく感じる一方で、(8月のパリは凄惨だとしても)パリではなく南仏に集まったことに違和感を感じた自分もいた。 残念だったのは、出てくる男性たち、それから表紙のデザイン。私が手に取った本には別のデザインのカバーがかけられていたが、元の絵だったら買わなかったと思う。

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2021/09/06
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※このレビューにはネタバレを含みます

三十五にもなって、まだ十代みたいなことを言っている自分。五年後は四十歳なのに。そのうち死ぬのに。 わたし、パリにすら行かずに、死んでもいいと思ってたの? 髪を振り乱して好きなことに没頭し、自分の世話さえもろくにせず好き勝手に振る舞う。そんな自由な女の子の寿命は、おそろしく短い。白井先生も担任もまいの母親も、みんなそれを痛いほど知っている。彼女たちは実のところ、なにもかもわかっていて、だからそこまいのことが不憫で、心配でたまらなかった。 あゆことの付き合いがいちばん長いけど、本当に仲良くしていたのは同じクラスになった高校時代だ。そのときは本物の親友で、いつも最高に楽しかった。けど、卒業後はちょっとずつ道が逸れて、話も噛み合わなくなった。あゆこが好きなフランス文化の話にも、全然ついていけない。 あゆことこんなに真剣な話をしたのは、本当に久しぶりだった。もしかして、それこそ十七歳以来かもしれない。将来のことを考えて、あーだこーだと夢を膨らませたり、憂えてみたりしていた、十七歳のあたしたち。高校生のころ、ファストフード店に居座って、生意気な口を利いていた遠い時代を思い出す。そしてあのころ自分が想像していたような“将来”とか“未来”なんて、結局どこにもなかったんだなぁと思った。あるのはただ、“現在”のみだ。 「あたしにはなにもないから。だからどこにでも行けるんだよ」 その只中は目の前のことしか見えず、深く考える間もなく通り過ぎて行くけれど、あとあと記憶に残り思い出として刻まれる、特別な時間というのがある。日々起こるたいていのことは忘れていく。でも人生の中にぽつりぽつりとそういう特別な時はあって、ふとした瞬間に思い出し、しばし心を奪われた。毎日は駆け足で明日へ明日へと進むけれど、そういう記憶に残った思い出たちが、飛び石みたいに自分の来し方をしっかりとマークしてくれているのだ。これがあなたなんだよ、と。

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2021/08/29

やっぱりパリに行ったからといって嫌なことがぜーんぶ変わるわけではない ただ自分自身が変われるんだろうなぁ

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2021/08/26
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※このレビューにはネタバレを含みます

環境も年齢も違うたくさんの女性がパリに憧れて、パリに行くという短編集。 一番印象的だったのは、第二部で再び登場する「あゆこ」の物語。 第一部では夢・憧れはあるけど、今の生活が一番自分らしく、自然でしっくりくると現実に満足しているあゆこ。でも、一本の映画をきっかけに積極的に動き出し、第二部ではすっかりパリの住人と化している!! 結末だけみると(現実は小説みたいにうまくはいかない)と以前の自分なら思うけれど、山内さんが書くから(現実はそんなものかもしれない)と思えた気がする。 山内まりこさんは、物事や心情を美化せず、ありのままを文章に起こす作家さんだと感じた。

Posted byブクログ

2021/08/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

素敵だなと思った。ジャケ買いしてなんとなく読み進めたけど、最後の文章が胸に響いた。 ロケーションは違うけど、私も彼女と同じように行動したから。ドキッとさせられたし、救われた気もした。 『パリに来てどうにか仕事に就き、調子よくやっているけれど、わたしは本質的にはいまもあのころも、何にも変わっていないんじゃないか。スクリーンのディディーヌが合わせ鏡のようにわたしを映し、「日本でうまくやれなかったから、そこを飛び出してパリにやって来たけれど、それでめでたしめでたしというわけではないんだよ」と言われている気がした』 ~中略~ 『でも、ここまでたどり着いたなんて、よくやったじゃない。わたしにしたら上出来よ、がんばった方だわ。~中略~ 都会でも田舎でも、どこだって、きっとわたしはやっていける。』

Posted byブクログ

2021/08/16

いろんな人のパリでのお話。お姉ちゃんに薦められて読んだ本。読んだのがだいぶ前だからはっきり覚えていないけど、よかった気がする!

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