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貘の耳たぶ の商品レビュー

3.7

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    8

  2. 4つ

    23

  3. 3つ

    18

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

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2024/03/03

この作者は本当に人の心の機微を書くのがうまい。どんどん主人公の中に自分が入り込んでいく。 取り違えという、滅多におこらないであろう事を題材にしながらも、本当にそれを経験したかのようなリアルな描写に胸を締め付けられる。子どもの動き、言葉が突き刺さってくる。繭子の動機がいまいち理解に...

この作者は本当に人の心の機微を書くのがうまい。どんどん主人公の中に自分が入り込んでいく。 取り違えという、滅多におこらないであろう事を題材にしながらも、本当にそれを経験したかのようなリアルな描写に胸を締め付けられる。子どもの動き、言葉が突き刺さってくる。繭子の動機がいまいち理解に苦しんで、初めは物語に入り込めなかったが、郁絵のターンになって一気読みだった。

Posted byブクログ

2024/02/14

また、また面白い作家さんに出会ってしまった 一気読み後、じっくり読み中 出産前に読みたくない内容 育児中の新米ママの不安や辛さが抉られるように描かれていて、赤ちゃん取り替え関連のサスペンス以外に、その内容にすごく胸が締め付けられた 誘拐犯なのだけれど、この女性を心から糾弾する気...

また、また面白い作家さんに出会ってしまった 一気読み後、じっくり読み中 出産前に読みたくない内容 育児中の新米ママの不安や辛さが抉られるように描かれていて、赤ちゃん取り替え関連のサスペンス以外に、その内容にすごく胸が締め付けられた 誘拐犯なのだけれど、この女性を心から糾弾する気持ちになれないというか、深く感情移入して読むタイプのため、取り返しのつかないことをしでかしてしまった彼女の状態を考えるに 親に幸せにしてもらえなかった、自尊心が育たなかった→不幸を自分から求めに行くタイプ 自分を大切にできない、アダルトチルドレン、ホストにハマる女の子などもこの負のループだろうと 見出しの日付の進行とともにどんどん成長する子ども それが我が子でないとしたら、どれだけ苦しいだろうか 主人公は誰かに救いを求めるべきだった あと、私は救いを求められない人と結婚しちゃ駄目だと思っている。パイロットだろうが医師だろうが資産家だろうが 最後、二人とも手離さざるを得なくなったところで、こんな結末を望んでいたわけではないだろうに、という哀れみ?と、二人ともを引き取ろうと決めたご夫婦、特に父親を尊敬する気持ちとで 感情がどちらにも振れてすごい何とも言えない読後感 ワーママの辛さもめっちゃわかるし 保育士さんママはこういう感じなのかな、と思いを馳せたりした そして今回もやはり元凶は毒親だった 子どもが手を離れていないうちは、たとえどんなにどんなに辛いことがあっても、精神を病んではいけない、と感じた。それが親としての責任 2012年生まれ設定で古すぎるのでは?と感じたのが、 泣いている子どもをバシャバシャ写真撮影する両家(節分に父親が鬼の仮装、一升餅で転倒) 無痛分娩拒否、それどころか帝王切開忌避や母乳神話 価値観が古すぎ 田舎はこんなもんなのか?…いやこれ首都圏の話だ それとも、その後の5年でものすごい革新があったのか?

Posted byブクログ

2023/07/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

母親学級で出会った2人の母親、繭子と郁江の、2人が主人公。初めは繭子視点から。この人は精神的にとても不安定で、産後うつとかいうレベルではなく、おそらく介助が必要なレベルだと思う。繭子の母親もそうだったのだが、その母親に育てられたから、という訳ではなく遺伝かな、と思う。 一方、郁江は繭子より4歳年下の保育士。普通の人で、読む側は郁江の気持ちがスッと入ってくると思う。 自分が郁江の立場ならどうするだろう? 自分の子どもが赤ちゃんだった時、保育園の時、どんな感じだったかな、思い出しながら読んだ。忘れてしまっている事ばかりだと思った。 2度とは戻ってこない、あの瞬間。どこかに出かけたとかでもなく、ただの日常生活、意識しなければどんどん流れていってしまうけれど、忘れたくなかった。 その時は、永遠に続く気がするけど絶対に終わりは来る。 この本は乳児取り替えの話だけど、今ある一瞬一瞬は永遠じゃない、かけがえないもの、後から手を伸ばしても決して触れられないものなんだよなっていう感想でした。

Posted byブクログ

2023/03/13

新生児室を一瞬でも無人にしてしまったり、外れるようなタグを付けた病院にも落ち度がある。 産後、何気無い一言に自信をなくしてダメな母親かもと思い悩む心理状態。凄くわかる。だからと言って自分の子とママ友の子を取り替えるのは異常過ぎるけど。 両親、祖父母、両方の子ども。誰もが辛い思いを...

新生児室を一瞬でも無人にしてしまったり、外れるようなタグを付けた病院にも落ち度がある。 産後、何気無い一言に自信をなくしてダメな母親かもと思い悩む心理状態。凄くわかる。だからと言って自分の子とママ友の子を取り替えるのは異常過ぎるけど。 両親、祖父母、両方の子ども。誰もが辛い思いを抱えなきゃいけない切な過ぎる話しだった。 読了後の余韻が辛すぎるが、新しい家族で子供達が幸せを感じられる日が来る事を願う。

Posted byブクログ

2022/07/08

産後鬱に陥った母親がふと魔が差して自分の赤ちゃんとママ友の赤ちゃんを入れ替えてしまい、そのまま4歳まで育てるが、取り替えの事実が発覚してしまい、関わってきた人がみな傷ついていく話。 映画「そして父になる」と同じテーマ、我が子だと思って育ててきた自分の大切な子が他人の子だとわかっ...

産後鬱に陥った母親がふと魔が差して自分の赤ちゃんとママ友の赤ちゃんを入れ替えてしまい、そのまま4歳まで育てるが、取り替えの事実が発覚してしまい、関わってきた人がみな傷ついていく話。 映画「そして父になる」と同じテーマ、我が子だと思って育ててきた自分の大切な子が他人の子だとわかったらどうするか。考えても考えても答えは出ない、引き裂かれるような苦しみになると思う。 産後鬱状態や初めての子育てに困惑し悩んでいる姿が自分の子育てと重なり苦しい。苦しかったけどもう二度と戻ってこないんだよな、と寂しくも思う。 じゃあ他にどうすれば?とも思うけど、ラストはこうなるのか… 複雑な気持ち。

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2023/07/15

産後うつになった母親が自分の赤ん坊と他人の赤ん坊を取り替える話。出産することを希望のように描く物語が多い中、この本は子どもを産んだことに対して母親が絶望してしまう。 妊娠中は育児のことを考えて不安になったけど、子どもを産めば母親の自覚が芽生えるはず!って思っとった主人公。けど現...

産後うつになった母親が自分の赤ん坊と他人の赤ん坊を取り替える話。出産することを希望のように描く物語が多い中、この本は子どもを産んだことに対して母親が絶望してしまう。 妊娠中は育児のことを考えて不安になったけど、子どもを産めば母親の自覚が芽生えるはず!って思っとった主人公。けど現実はそうじゃなかった。子どもを取り替えた罪は重すぎるけど、この本を読み終わると彼女を一方的に責めることはできない気持ちになる。 けどやっぱり、大切に育てた我が子が"実は赤の他人でした"って、そんなの絶望的すぎる。無かったことにならないし、みんなの人生が狂うし、誰も幸せになれない。

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2024/07/18

 狂気を描こうとしたのか。尋常ならざる精神状態が招いた悲劇。  けれど、繭子がタグ取り替えに至った理由に無理があるように思いました。  育ってきた家庭環境や夫との関係と、帝王切開での出産によるショックをやや深刻そうに並べていましたが、果たしてそれだけであんな大それたことをしでか...

 狂気を描こうとしたのか。尋常ならざる精神状態が招いた悲劇。  けれど、繭子がタグ取り替えに至った理由に無理があるように思いました。  育ってきた家庭環境や夫との関係と、帝王切開での出産によるショックをやや深刻そうに並べていましたが、果たしてそれだけであんな大それたことをしでかすでしょうか。疑問を感じずにはいられません。  物語の収め方には納得できましたが、出だしの引っかかりが尾を引いてしまい、☆3つにしました。

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2021/06/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

自分の子供を取り替えようと思うなんて、それだけ出産直後の母親は混乱するということなんだろうか。マタニティブルーは聞いたことあるけど、出産後もそんなに不安定なんだろうか。産んだことも妊娠したこともないからわかんないけど、確かに子供を育てるって大仕事だろうなとは思う。みんな子育てしながら仕事もして、すごいよなー。子育ての大変さ、取り替えが発覚してからのこと、子供の可愛さ健気さ。ほんと子供の苦しむことを繭子はどう思っているのか。ゴミ屋敷になった繭子の母親の話も切ないけど、何つーか小説的にはオチがないというか、ここで終わるの?って感じだった。繭子のその後も明かされないし。やっぱ初期のやつは何かいまいちだよな。

Posted byブクログ

2021/06/08

芦沢央さんの巧みな文章にただただ引き込まれる。とても面白かった。でも全然スッキリしない。やるせなさがいつまでも心に残る。

Posted byブクログ

2021/05/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

芦沢央9冊目。今回もイヤな汗を出しながら一気に読み終えた。主人公の石田繭、不安が強く子どもを産めるのか、育てていけるのか自信がない。繭と母親との微妙な関係性がさらに自信欠如を助長する。出産後、自分の子どもの出生体重が軽いためママ友の子どもと交換してしまう。子ども交換が4年後に発覚し、2家族を巻き込む問題に。繭の子どもとママ友の子どものやるせない気持ちと、子ども2人の人生を大きく変えてしまった繭の責任はあまりにも大きい。繭の生い立ち、母親との確執から自己を持てない・幼稚な女性を表現し、終始ゾワゾワでした。

Posted byブクログ