貘の耳たぶ の商品レビュー
極端な話ではあるが、気持ちがざわざわするのは、どこか共感できる部分があるからかもしれない。メインの話題である取り違え云々ではなく、人から接されるとき抱く感情について。自分の中にある迷いやその人との信頼関係、ひいては今まで自分を作って来た環境や考え方によって、その感情は、プラスにも...
極端な話ではあるが、気持ちがざわざわするのは、どこか共感できる部分があるからかもしれない。メインの話題である取り違え云々ではなく、人から接されるとき抱く感情について。自分の中にある迷いやその人との信頼関係、ひいては今まで自分を作って来た環境や考え方によって、その感情は、プラスにもマイナスにも持ち得るもの。一度すれ違えば、どんどんそれは合わなくなっていく。表向きは、普段通りに接していても。 特に、郁絵の心理描写については女性の気持ちが的確に表現されていて引き込まれた。 「そう言われてまず感じたのはひどい虚しさだった。この人は証拠がなければ璃空のことも信じられないのだと思うと、身体の芯が冷えていくのがわかった。私は、この言葉をきっと一生忘れないだろう。この人がいつか笑い話にして、私も表面上はそれに合わせて笑っても、このことを完全に許せる日は来ないだろう。」
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実の母による子供取り替え。何故そんなことをしたのか…衝動的だったとはいえ動機付けが弱すぎて終始繭子にイライラした。繭子の母が家を片付けられない(ゴミ屋敷)状態、というのも描かれてはいるわりに繋がりが希薄で、結局繭子の人格を疑うばかりに。旦那たちが理解的過ぎるのも、浮世離れしている...
実の母による子供取り替え。何故そんなことをしたのか…衝動的だったとはいえ動機付けが弱すぎて終始繭子にイライラした。繭子の母が家を片付けられない(ゴミ屋敷)状態、というのも描かれてはいるわりに繋がりが希薄で、結局繭子の人格を疑うばかりに。旦那たちが理解的過ぎるのも、浮世離れしている感じでリアリティから遠すぎる感じだった。
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なぜ「残念だったね」、帝王切開はママが赤ちゃん分のリスクも苦しみも全部引き受けてあげるのに、赤ちゃんのために病気でもないのに一生消えない傷を負うという捉え方。なぜ「DNA鑑定」、自分の子供をモノのように調べる今どきの考え方。そもそも子供を取り替える行為が、お腹を痛めた我が子を愛し...
なぜ「残念だったね」、帝王切開はママが赤ちゃん分のリスクも苦しみも全部引き受けてあげるのに、赤ちゃんのために病気でもないのに一生消えない傷を負うという捉え方。なぜ「DNA鑑定」、自分の子供をモノのように調べる今どきの考え方。そもそも子供を取り替える行為が、お腹を痛めた我が子を愛していないということ。4歳なら交換!ある意味ついている!ぼくだいじょうぶじゃないよ。ママとは呼ばず「おかあさん」。獏が悪い夢を食べてくれる。耳たぶの感触はおっぱいの先の固さと同じ。ひとつひとつの文章が深い意味を持つ。★5つ
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取り違えではなく、実の母、繭子による取り替え。 じぶんだったら、絶対黙ってはいられない。 自分だけの子ではない。夫にとっても子。 黙ったままの4年は重い。 そして実の子に会いたいに決まってる! 郁絵の気持ちも計り知れない。 そして、一番の被害者である子どもたち。 小説とはいえ腹立...
取り違えではなく、実の母、繭子による取り替え。 じぶんだったら、絶対黙ってはいられない。 自分だけの子ではない。夫にとっても子。 黙ったままの4年は重い。 そして実の子に会いたいに決まってる! 郁絵の気持ちも計り知れない。 そして、一番の被害者である子どもたち。 小説とはいえ腹立つやら、気の毒やら。
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あの人は、どうして子どもたちを交換したりしたのだろう。(郁絵) 本当にどうして繭子はあんな事してしまったんだろう… みんなが苦しんでしまう様子に読むのがキツかったけど続きが気になってしまう。そして、まさかの結末。 「それでも父になる」とはまた別の面白さがあった!
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自ら産んだ我が子を、自らの手で「取り替え」た繭子。 常に発覚に怯え、うまくいかない育児に悩みながらも、息子・航太への愛情が深まる。 一方、郁絵は「取り違えられた」子と知らず、保育士として働きながら、息子・璃空を愛情深く育ててきた。 それぞれの子が4歳を過ぎたころ、「取り違え...
自ら産んだ我が子を、自らの手で「取り替え」た繭子。 常に発覚に怯え、うまくいかない育児に悩みながらも、息子・航太への愛情が深まる。 一方、郁絵は「取り違えられた」子と知らず、保育士として働きながら、息子・璃空を愛情深く育ててきた。 それぞれの子が4歳を過ぎたころ、「取り違え」が発覚。 元に戻すことを拒む郁絵、沈黙を続ける繭子。 そして一心に「母」を慕う幼子たちの行方は…。 切なすぎる「事件」の慟哭の結末・・・。 福山雅治主演の映画「そして父になる」を彷彿とさせますが、ラストはもっともっと、子供を思う『母』の心を考えさせられます。 というか、突きつけられる感じかなー。 子供を産んだからって『母』になれるわけではないのよね。 子供の成長と共に、親も親として成長していくのよね。 読み終わってみると、なーんで取り替えちゃったかねぇ・・・と、やるせない気持ちばかりでありますが。 やっぱり、取り返しのつかないことってあるわけで、よたよたしながらでも、自分の道を一歩一歩進んでいくしかないのよね。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新生児を取り替えたのは、 出産直後の実の母親だった…。 帝王切開で出産した繭子は、我が子を 同じ日に生まれた母親学級で一緒だった郁絵が産んだ子供と取り替えてしまう。 とんでもないことをしてしまった、正直に告白しなければ、いや、すぐに発覚するに違いない…。 逡巡するが、発覚することなく退院の日を迎える。 「航太」と「璃空」 思いがけないラストだった。 途中の母親の心の揺れ動き方は、読んでて辛くなるほど。何年も前の自分の子どもを育てていた頃を、思い出した。
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2017.11.6.帝王切開で産んだことをひけめに感じる石田繭子は思わず同日に生まれた平野郁恵の子供と取り替えてしまう。郁恵は保育士で3日苦しんだものの自然分娩、子供の扱いに慣れていて何から何まで自分より優れた母親であるように思えた。4年後、産院による取り違えとして、子供の入れ替...
2017.11.6.帝王切開で産んだことをひけめに感じる石田繭子は思わず同日に生まれた平野郁恵の子供と取り替えてしまう。郁恵は保育士で3日苦しんだものの自然分娩、子供の扱いに慣れていて何から何まで自分より優れた母親であるように思えた。4年後、産院による取り違えとして、子供の入れ替わりが判明し、双方の両親が苦しむ中、子供の交換ということで決着をみようとするのだが…。 あらすじを書評で読んでまず、帝王切開で産んだからといってなぜひけめに感じないといけないのか…そこに全く共感できないまま、好きな芦沢央さんの作品であるということで読み始め、当初の主人公の感覚に共感できないことは変わらないものの引き込まれ一気に読んでしまった。育児のスペシャリストであると自他共に認める郁恵に対する複雑な気持ちは非常に共感した。なぜか育児に一言も二言もある人は私はすごく苦手だったので…。 繭子の母親の存在など消化不良の感はあるもののとても読み応えがある作品だった。 あと、産院での赤ちゃんの管理だが、私が産んだ時には二人、別の病院であったものの両院足の裏に直接マジックで〜babyと書いてあったと思い出し、簡単に取り替えられるタグなんかで管理する産院てあるのかなあと素朴に疑問を持った。 あと、乳首と耳たぶは同じ硬さで断乳した後耳たぶを触って落ち着く乳幼児がいるという記述があり私の娘もそうだったんだと今さらわかった。 、
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芦沢さんの本、3冊目。 とても気になる作家さんとなった。 こんな話を書く芦沢さんはどんな人なのか。 他の作品も読み知りたくなった。 人の心の中はほんとのところ分からない。 どんなに穏やかそうに見えたって、どんなに強そうに見えたって、その内実にはいろんな葛藤や妬みや嫉み、自己否定...
芦沢さんの本、3冊目。 とても気になる作家さんとなった。 こんな話を書く芦沢さんはどんな人なのか。 他の作品も読み知りたくなった。 人の心の中はほんとのところ分からない。 どんなに穏やかそうに見えたって、どんなに強そうに見えたって、その内実にはいろんな葛藤や妬みや嫉み、自己否定、諦め、絶望…いろんな思いを抱えている。 みんなそうなのだ。 自分だけじゃない。 みんなもがいて生きている。 そしてなんとか生きている。 絶対あり得ないと思う事件だけれど、主人公の心の叫びは伝わってきた。辛かった。 一線を越えるか越えないかの差はなんであるのか。 向こうへ落ちてしまわないように、踏ん張れる何かを持っていたい、そう思った。
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産院で生まれたばかりのわが子を知人の子と取り換えてしまった母親。周囲にばれることなく数年過ぎていったが、もちろんそのままで暮らしていけるはずがなく、あるとき真実は脆くも露見した… 何故母親は取り替えてしまったのか? その根本的な彼女の心理がとても闇深く、彼女の半生や性格、親の影...
産院で生まれたばかりのわが子を知人の子と取り換えてしまった母親。周囲にばれることなく数年過ぎていったが、もちろんそのままで暮らしていけるはずがなく、あるとき真実は脆くも露見した… 何故母親は取り替えてしまったのか? その根本的な彼女の心理がとても闇深く、彼女の半生や性格、親の影響があることもわかるのだけれど、それにしたって、という思いが強くて、なかなか読み始めはしんどいものでした。 取り換えられてしまった母親のパートに移ってからもまた別の意味で子供を思う、思わざるを得ない愛情の重さが息苦しいほどで、彼女の仕掛けた悪戯を知って読む身としてはやはりきついものがありました。 取り換えられた彼女が最後のほうで独白する台詞こそが本当に最初から最後まで仕掛けた母親へ言いたいことで、それが出来なかった以上、彼女にはむごい言い方かもしれないけれど、母親となる資格はなかったのだ、と言いたくなりました。 子どもを持つ、育てる、ともに生きる、ということはつまりそういう気持ちもなければいけない、とそう感じるから。 かなり緻密に母の気持ちが描かれていて、重苦しさに覆われているものの、同時にその重苦しさをもはねとばそうともする愛情の尊さをも感じた物語でした。
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