ときどき旅に出るカフェ の商品レビュー
タイトル通り、出てくるカフェは「ときどき旅に出るカフェ」だった。 オーナーの円が、行った旅先での味をカフェで提供する。それを月替わりで味わえるなんて、うらやましい。特にスイーツは美味しそう。 円は、若いながらも色々な経験をし、嫌な思いもしながら、強く生きている。簡単な言い方をすれ...
タイトル通り、出てくるカフェは「ときどき旅に出るカフェ」だった。 オーナーの円が、行った旅先での味をカフェで提供する。それを月替わりで味わえるなんて、うらやましい。特にスイーツは美味しそう。 円は、若いながらも色々な経験をし、嫌な思いもしながら、強く生きている。簡単な言い方をすれば「好きな事を仕事」にした芯の強い女性だ。 瑛子は、やりたいことを先延ばしにしている、円とは対照的だと自覚している。私はその場面を読んでハッとした。「そうこうしているうちに、観たい映画は終わり、行ってみたかった店は閉店してしまう」なんか分かるなぁ。 51
Posted by
円の店を潰すのだけが目的で、カフェ経営に興味もないのに、広い店舗を出せるって、新庄家はどれだけ富豪なんだ。それなのに円に遺産が入ったのが許せないって、金持ちであればあるほど、人は貪欲になるものか。家父長制の家で母に敵視される娘は辛いな。固定概念に囚われることの危険性がテーマの一つ...
円の店を潰すのだけが目的で、カフェ経営に興味もないのに、広い店舗を出せるって、新庄家はどれだけ富豪なんだ。それなのに円に遺産が入ったのが許せないって、金持ちであればあるほど、人は貪欲になるものか。家父長制の家で母に敵視される娘は辛いな。固定概念に囚われることの危険性がテーマの一つ。視野の狭さって現在日本の病巣の1つだよね。実は私もその病に罹っているぽいので、読みながら、大いに反省。グルメ小説としても単純に楽しめる。悪意にひやっとする部分もあるのは、いつもの近藤さんだけど。これはホワイト近藤さん。
Posted by
そこまで期待して読んだわけではなかったせいか、結構良かったな、と思えた。 最後に明かされたことの伏線はだいぶと分かりやすくて早々に察してしまったけど。 いつか続きがでるといいなぁ、と思います 2018.7.29
Posted by
旅先の料理は不思議なものだらけ。 「日常」という「普通」を離れれば、そこにあるのは、別の世界の「日常」であり「普通」。 自分が当然と思っているものが実は移ろいやすく、絶対ではないことに気付くことが旅の醍醐味だ。 さて、本作の料理はどれも美味しそうなものばかり。 いちごのスープは...
旅先の料理は不思議なものだらけ。 「日常」という「普通」を離れれば、そこにあるのは、別の世界の「日常」であり「普通」。 自分が当然と思っているものが実は移ろいやすく、絶対ではないことに気付くことが旅の醍醐味だ。 さて、本作の料理はどれも美味しそうなものばかり。 いちごのスープは昔料理本で見たことがある。 ロシア風チーズケーキはドイツのお菓子だって?! お茶好きとしては、凍檸茶、ユンヨン茶はいつか飲みに行きたい! 横浜の中華街だったら、あるかも! いかんいかん、つい食い意地が先に出る。 本作は、カフェ・ルーズを切り盛りする円(まどか)と元同僚、瑛子の二人が主人公。 日常の謎、そして日常の痛みが描かれる。 食べ物を通じて心の動きが表現されている。 「自分が当たり前と思っているけど、本当は苦しいこと。 自分が従わなくてはならないと思い込んでいること、全部、当たり前でもなんでもなくて」。 その言葉は日々の全てに当てはまる。 けれども著者が言いたかったのは、それだけではなくて、もっとカラフルな対人関係も含めてのことなのだろう。 それは最終話の結末を読めば、わかる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
会社の同僚の円がはじめたカフェに偶然出会った瑛子。 円が旅行先で出会ったおいしい異国の食べ物をお店で提供しているカフェ・ルーズは、 独身の瑛子にとって憩いの場となった。 苺のスープと会社の同僚の彼氏の嘘。 ロシア風チーズケーキと得意先の不倫状況。 消えた月餅の真相。 日持ちのするドボシュトルタと友人の旦那の怪しい行動。 セラドゥーラと円の知り合いの嫌がらせ。 鴛鴦茶と父が再婚する年頃の娘の心境。 ザッハトルテに添えられたホイップクリームの意味と、 円の店に対抗するカフェのオーナーの存在。 デザートプレートと円に恋心を寄せる青年。 甘いお菓子バクラヴァと円が抱えていた祖母と家族との不仲な関係。 セラドゥーラと円と確執のある兄との決着。 最後が急展開に傾いていたけど 異国の食べ物を通じて、自分たちが常識だと信じて疑わない観念をぶっ壊していく感じ。
Posted by
私にとっては『サクリファイス』の印象が強い作者だけれど、 自転車競技とはまったく異なる分野のお話もたくさん書かれていて、 出会う度にちょっとびっくりする。 今回は、店主が旅先で味わった記憶をシェアするような、 風変わりで魅力的なカフェの話。 主人公の瑛子の前に現れる謎に 店主...
私にとっては『サクリファイス』の印象が強い作者だけれど、 自転車競技とはまったく異なる分野のお話もたくさん書かれていて、 出会う度にちょっとびっくりする。 今回は、店主が旅先で味わった記憶をシェアするような、 風変わりで魅力的なカフェの話。 主人公の瑛子の前に現れる謎に 店主の円(まどか)が手がかりを与えるという、 安楽椅子探偵ものタイプの短編集。 読者には提示されていない手がかりも多く、 推理小説ではなく謎解きを見届けるお話だった。 37歳勤続15年の会社員・瑛子が世界で一番好きな場所は、 中古で買った一人暮らし1LDKマンションの 二人掛けソファ(オットマン付きの結構いいやつ)。 両親とは距離をおいており、 恋人や子どもはおらず欲しいとも思わず、 趣味もない。 勤め先の会社に女性は多いが育休社員や退職者の補充はなく、 リストラされる不安もなくはない。 その設定でうっすら予想できる彼女の少し憂鬱な毎日が、 カフェに通い始めたことで変わっていく。 ドラマにありそうな状況で読み口も軽いが、 大切なことがあちこちに挟み込まれている。 生きていると少しずつ響いてくる、大切なこと。 忘備録みたいだ。 でも、自然な流れで描かれていて、 おしつけがましくはない。 子どもの頃に知っていたら、少し違った人生だっただろうなと思う。 その知識が今すぐ役に立つのは、 登場人物たちと同じ女性なのだろうけれど、 私はこの本を、男性に読んでほしいと思った。 パワハラとかセクハラとか、介護とか年齢とか。 自分はそういう話題とは関係ないと思っている男性に、読んでみてほしい。 出てくるメニューは本当に様々で、知っているものもいくつかあった。 温かいココナッツミルク、嫌いじゃないけど、 私も飲むなら冷たい方だなあとか。 (お豆やさつまいも入りのぜんざいみたいなココナッツミルクって、 甘いものというよりごはんのおかずっぽくて、 お茶を飲むときには選ばない) 激甘の中東のお菓子、昔食べたなあとか。 (あの頃はなにも考えず、 ただ、出してくれた人を喜ばせたくてたくさん食べた……。 どれだけのカロリー……。 若いって素晴らしすぎる) 円の恋人の件で、予想があたったのが自慢! で、瑛子は円に、ちゃんと謝ったの?
Posted by
こういうお店が近くにあったら… と、思わずにはいられません。 あるいは、自分がこんなお店を持てたらいいなぁ。 初めて聞く名前のスィーツは、検索しながら読みました。 あぁーカフェに行きたくなる本です。
Posted by
旅に出た気分になれるカフェ、いいなぁ。 カフェで食べて気に入ったら、今度は現地で食べてみるために旅に出るとかしたいもんだ。 個人経営でこじんまりしていて、ゆったり過ごせそうなカフェが近所にないかしら? むむ、田舎すぎて喫茶店自体目にすることが少ないのにカフェは無理かぁ。 しばらく...
旅に出た気分になれるカフェ、いいなぁ。 カフェで食べて気に入ったら、今度は現地で食べてみるために旅に出るとかしたいもんだ。 個人経営でこじんまりしていて、ゆったり過ごせそうなカフェが近所にないかしら? むむ、田舎すぎて喫茶店自体目にすることが少ないのにカフェは無理かぁ。 しばらく経ってから、また読みたい本。
Posted by
連作短編集。 カフェルーズ近くに欲しい・・ そこの女店主と元同僚の常連客の日常。 ちょっとした謎解きもあり最後はちょっとびっくりだけど全体的にほのぼの。 私も各国のスイーツ旅に出た気分で食べてみたいなあ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
図書館より。 楽しく、さらりと読了。連続短編は読みやすくていいね。 こんな素敵なカフェがあったら1度はいってみたい!そしてデザートプレートを頼みたい!(笑) 結婚して、子どもがいる人生もいいけど、お一人様も悪くないと思う。どっちもどっちで無い物ねだりになるかな。そんな心境を淡々と、でもちゃんと伝わるように書いてくれてる作者様の力量ってスゴいよね。 ご馳走さまでした。
Posted by