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服従 の商品レビュー

3.4

43件のお客様レビュー

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2019/07/07

ユイスマンス カップルとは一つの世界、独立して閉じられた世界であって、もっと広い一つの世界の真ん中を、傷つけられたりすることなく移動できるのだ。 人間の絶対的な幸福が服従にあるということは、それ以前にこれだけの力をもって表明されたことがなかった。

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2019/04/14

会話の中で登場するフランス文学や哲学を織り交ぜたストーリーは、消化不良であった。 しかし、主人公のユダヤ人の彼女・愛人がイスラエルへ避難したり、徐々にパリの街並みがイスラム教色に染まっていく風景に、ただ流されるだけの主人公の小説。 そして、思慮深いがノンポリな主人公が、環境適...

会話の中で登場するフランス文学や哲学を織り交ぜたストーリーは、消化不良であった。 しかし、主人公のユダヤ人の彼女・愛人がイスラエルへ避難したり、徐々にパリの街並みがイスラム教色に染まっていく風景に、ただ流されるだけの主人公の小説。 そして、思慮深いがノンポリな主人公が、環境適応するために、イスラム教へ改宗し服従するという文学的な作品。 観光や仕事で、パリを観た事がある私にとって、憧れのヨーロッパ的風景であるパリが、イスラム色に染まっていく本作のストーリーは衝撃的だった近未来小説。

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2019/04/16

え?え?と驚いているうちに、状況がどんどん変化していく。 リアリティは半端ない。 背景として人口増と共にイスラム教徒が世界で増加していることもあって、背筋が凍る思いがするディストピア小説だった。とくにジェンダーをめぐっては皮肉と真剣さがない交ぜになって、深く考えさせられる。 最...

え?え?と驚いているうちに、状況がどんどん変化していく。 リアリティは半端ない。 背景として人口増と共にイスラム教徒が世界で増加していることもあって、背筋が凍る思いがするディストピア小説だった。とくにジェンダーをめぐっては皮肉と真剣さがない交ぜになって、深く考えさせられる。 最後にソ連崩壊後の世界に触れた佐藤優の解説もよい。 ただ、イスラムへの偏見は感じる。

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2019/02/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2022年、フランスがイスラム政権下に置かれ、潤沢なオイルマネーに懐柔されてソルボンヌ大学が買収され、女性はブルカを被り、労働を禁止され、イスラム教国になっていく。主人公の文学部の教授は改宗しなければ、教授を続けられずついに改宗し妻を娶るのだった。 世界をリードし、どこまでも個人主義を推し進めた西洋文明が自殺をとげ、人口減少、経済衰退の中、イスラム教を取り込むことでかつてのローマ帝国を復活させようと試みる。

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2018/12/08

原書名:Soumission 著者:ミシェル・ウエルベック(Houellebecq, Michel, 1958-、フランス、小説家) 訳者:大塚桃(翻訳家) 解説:佐藤優(1960-、東京都、作家)

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2018/11/25

"2017年に行われたフランス大統領選では、中道政党であるアン・マルシェのエマニュエル・マクロン候補と、極右政党である国民戦線のマリーヌ・ル・ペン候補の決選投票となり、39歳のエマニュエル・マクロン氏が選ばれ、フランス大統領となった。 本書「服従」では、極右政党と移民系...

"2017年に行われたフランス大統領選では、中道政党であるアン・マルシェのエマニュエル・マクロン候補と、極右政党である国民戦線のマリーヌ・ル・ペン候補の決選投票となり、39歳のエマニュエル・マクロン氏が選ばれ、フランス大統領となった。 本書「服従」では、極右政党と移民系イスラーム政党の決選投票となり、イスラーム政権が誕生するシナリオ。2022年でも極右政党党首は、マリーヌ・ル・ペンさんであり、現実感あるストーリー展開。中盤のパリを離れる主人公の周りで起こっている出来事は、現在テロが頻発するフランスの様子を見事に描き出している。 一つの可能性を提起した小説で、世界中で翻訳され、話題になっているらしい。"

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2018/07/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

近い未来、フランスでイスラムが政権を勝ち取ったらどうなるのか、というお話し。もともとキリスト教信者だった人たちも最初は疑いつつもアッベスから発せられる口当たりの良い言葉を聞いて安心させられているうちに労働のあり方や家族のあり方、教育までいつの間にかイスラムを基とした形に変わっていってしまう。でも考えてみたら当たり前の話しだ。宗教や信仰はその人の進むべき指針や考え方に大きく影響するのだから。この本が発売された時フランスには激震が走ったというが日本だっていつ同じ状況になってもおかしくないと怖くなりました。 服従とは「あるがままを受けいれること」と述べられていて主人公もいつの間にかイスラムになっていく。紹介された妻は形ばかりの服従の姿勢を見せるかもしれないけど、主人公が望む「あるがままを受けいれてくれる」とは思えないなと感じる後味の悪い小説でした。

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2018/05/09

尊敬する平野啓一郎さんがウエルベックが好きだというので『地図と領土』と本書を読んでみたが、……うーん。 女性の登場人物の描き方が酷い。童貞の脳内から飛び出してきたような、男にとって都合のいい存在としてしか描かれてない。 「現実にありえるかも」と思わせる物語の構成は巧みだと思うが、...

尊敬する平野啓一郎さんがウエルベックが好きだというので『地図と領土』と本書を読んでみたが、……うーん。 女性の登場人物の描き方が酷い。童貞の脳内から飛び出してきたような、男にとって都合のいい存在としてしか描かれてない。 「現実にありえるかも」と思わせる物語の構成は巧みだと思うが、評判のとおり、イスラームの描き方にも差別的なものを感じる。 あまり愉快な読書ではなかった。

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2018/01/15

2018/1 読了。 2022年のフランス大統領選において、国民戦線とイスラーム政党が争い、既存の右派左派政党がEU離脱を掲げる国民戦線を嫌ってイスラーム政党を支持してムスリムの大統領が誕生する。大学教授の主人公は最終的にイスラームに帰依して教授の職を得る。 現実には既にフランス...

2018/1 読了。 2022年のフランス大統領選において、国民戦線とイスラーム政党が争い、既存の右派左派政党がEU離脱を掲げる国民戦線を嫌ってイスラーム政党を支持してムスリムの大統領が誕生する。大学教授の主人公は最終的にイスラームに帰依して教授の職を得る。 現実には既にフランス大統領選は中道のマクロンの勝利で幕を閉じた。しかし、小説と同じところとしては、国民戦線が大きく標を伸ばし、従来の左派、右派は大きく崩れた。 この小説は、EU統合の失敗とヨーロッパにおけるムスリムの増加(すでにこれは現実のものとなっている)の側面から語られることが多いが、ニーチェによって確立された独立した個人を是とするヨーロッパ近代哲学によって生み出された個人主義と家庭感の限界を示しているのではなかろうか。

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2018/01/03

2022年のフランスでイスラム主義政党が国政を掌握するという、一見あり得ないだろうそんな事、と思いがちだけど、よく考えるとあり得なくもないのか実は、と思ってしまう、現在のフランス及びヨーロッパ諸国の激動を描いた作品でした。 著者はこの本の中で、ヨーロッパは資本主義を推し進める中で...

2022年のフランスでイスラム主義政党が国政を掌握するという、一見あり得ないだろうそんな事、と思いがちだけど、よく考えるとあり得なくもないのか実は、と思ってしまう、現在のフランス及びヨーロッパ諸国の激動を描いた作品でした。 著者はこの本の中で、ヨーロッパは資本主義を推し進める中でヨーロッパの良さを自ら放棄してヨーロッパを自殺に追い込んでいる、そしていまそこに残っているのは疲弊だけだ、と語っています。 そのヨーロッパの大国フランスで行われる2022年の大統領選で、移民の完全排除を掲げ内向きなフランスを目指す極右政党と、穏健派のイスラム主義政党との一騎打ちとなり、疲弊した国民がイスラム主義政党を勝たせてしまいます。 すると何が起きたか? 学校や企業から女性の姿がなくなります。女性は街を歩くときにイスラム教の伝統的な衣装を身にまとい肌の露出が一切なくなります。一夫多妻制が認められます(認められるどころか、世の中の人口構造に着目した場合、一夫多妻制により弱い雄が自然淘汰されることがイスラム教の摂理に基づく自然な結論だとされています)。 そして恐ろしいのが、既存のシステムに疲弊していたフランス国民は女性も男性もこのイスラム政権が繰り出す政策に次第に順応していき、主人公のフランソワを含め多くの人がイスラム教に改宗し、イスラム政権の下で新たな社会活動を築こうとしていく点です。著書のタイトル通りまさに「服従」です。 この本は2015年に刊行されたものですが、著者はこの本の中でEUの崩壊について言及しています。EUからの離脱を模索する国が現われたり、それとは逆にEUに取り入ろうとするイスラム系国家の台頭に触れていて、2016年のイギリスのEU離脱の決定を予言しているかのような内容で、恐ろしくも読み応えのある作品でした。

Posted byブクログ