勉強の哲学 の商品レビュー
タイトルの印象だとふんわりした自己啓発本なのかなと思っていたが、がっちりと現代西洋哲学に裏付けられた明快な論理構成でとても読みやすく、実践的な哲学書であった。 「ノリ」「ボケ」「ツッコミ」そして来るべき「バカ」というキーワードで入り込みやすいのも○。 おそらく普段から勉強(といっ...
タイトルの印象だとふんわりした自己啓発本なのかなと思っていたが、がっちりと現代西洋哲学に裏付けられた明快な論理構成でとても読みやすく、実践的な哲学書であった。 「ノリ」「ボケ」「ツッコミ」そして来るべき「バカ」というキーワードで入り込みやすいのも○。 おそらく普段から勉強(といっていいのかわからないがとりあえず。周りの環境だけでなく本を読み思考し比較検討を怠らない、という意)している人は、ここに書かれている通りその場のノリに流されたり、言語を疎かにしたりしないなと。 そして勉強をし始めた頃にありがちな痛さや、知識がつくにつれて観念が固定されてしまうことの危険性もきちんと述べられていてとても良かった。自分の立場や専門を定めることは大切だけれど、それはあくまで「仮」の足場にとどめておくこと、それができていないと常に比較し、変化し続けることができないという部分はとても納得がいく。 明日から実践できるノウハウも盛り込まれているし、良書。 「その背後に小賢しさを畳み込んでいるバカ」になるべく、私も精進します。
Posted by
『可能性をとりあえずの形にする。言語はそのためにある。 文学という極端から逆に考えてみてほしいのですが、「私は上海で働く」とか「貧困に苦しむ人がいない世界」だって、詩じゃないでしょうか?まだ現実ではない可能性を形にしている。 夢や希望を抱くことができるのは、言語を環境から切り...
『可能性をとりあえずの形にする。言語はそのためにある。 文学という極端から逆に考えてみてほしいのですが、「私は上海で働く」とか「貧困に苦しむ人がいない世界」だって、詩じゃないでしょうか?まだ現実ではない可能性を形にしている。 夢や希望を抱くことができるのは、言語を環境から切り離して操作できるからである。 この勉強論では、社会学やプログラミングを実用的に身につけることと、文学の読み書き、詩的言語を操作できるようになることを、連続したものと捉える。』 勉強を言語と思考に引きつけて論じている作品。 哲学科卒的には懐かしいテイスト。14年前くらいに読んでいれば、もっと楽しめたかな。ドゥルーズ&ガタリ、ジャック・デリダ、ラカンあたりは不勉強な領域なので、いつか読みたいなぁ〜。 てか、永遠の積読『千のプラトー』『アンチ・オイディプス』『哲学とは何か』『差異と反復』はいつになったら読めるようになるのだろうか。この4冊だけで2万円超えてるんだよな。今思うと何のために買ったんだ!?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
納得!納得の一冊です。 やっぱり勉強好きは周囲から浮いてしまします。 欲しかったのはのりの悪い友とキモい友です。 自己目的的に語りたくなるのです! 最後まで読んでスッキリしました!
Posted by
難しく書きすぎな印象。ターゲットとした読者が現代思想界隈ならいいけど、一般向けには難しすぎではないか。バイヤールを引用したあたりの記述、読書で重要なのは、本の位置づけを知ること、ブックマップをつくることと記載しているあたりが、最も印象に残った。これは読書に限らず、色々な活動におい...
難しく書きすぎな印象。ターゲットとした読者が現代思想界隈ならいいけど、一般向けには難しすぎではないか。バイヤールを引用したあたりの記述、読書で重要なのは、本の位置づけを知ること、ブックマップをつくることと記載しているあたりが、最も印象に残った。これは読書に限らず、色々な活動において言えることで、俯瞰的な視点を持つことの重要性ともいえる。
Posted by
(01) 実用書,ビジネス書あるいはハウツー本のような体裁を保った(*02)哲学書であり,それは哲学書のようなタイトルの凡百の実用書などと好対照をなす. そして,勉強しきれていない読者の多くは,新たになのか,再びなのか,それとも三度四度なのか,とにかく本書の読後に勉強をしたくなる...
(01) 実用書,ビジネス書あるいはハウツー本のような体裁を保った(*02)哲学書であり,それは哲学書のようなタイトルの凡百の実用書などと好対照をなす. そして,勉強しきれていない読者の多くは,新たになのか,再びなのか,それとも三度四度なのか,とにかく本書の読後に勉強をしたくなるのではないだろうか.その点で本書のねらいは読者の中で遂げられている. そんな形容がなされているわけではないが,勉強には弊害があり,勉強は社会の害悪にもなりうる.それでも勉強が,今,そして未来に,有用で実用ともなる屁理屈が訥々と述べられている.とりたてて推奨されるものでもないし,逆張りでむやみに憎悪されるものでもない地平に勉強を見据え,価値論や実用論の先へと勉強そのものを進めている. (02) 頻繁な改行と豊富な行間,ゴシック体によるワードやセンテンスの強調と間歇的な読みを可能にする小さな章立てなど,体裁にも凝り,実用書への皮肉(アイロニー)を効かせている. 語り口や例証なども,やや予備校の講義や攻略本の方法を取り入れているようで,本書がより若い読者へと向けられたものであることが感じ取れる.卑近なコミュニケーションや労働や生活の実態にも即した哲学入門でもあり,学問の世界と日常の世界と,それぞれでの立ち振る舞いや言葉づかいのギャップにも触れられており,学問入門としても通用しそうな本でもある. つまり,学問と社会の関係をどのような身構えで臨んでいけばよいのか,初等教育(*03)の頃,小学生から中学生にかけて読んでも,面白い試みとなるだろう. (03) 教育論として本書がどのように位置づけられるのか.親や教師にも読んで聞かせたい一冊でもある.
Posted by
「勉強とはこれまでの自分の自己破壊である」というのはインパクトありましたね。 勉強というしくみを哲学した内容は結構難しいけどかみ砕いてかかれているので理解はしやすかったです。
Posted by
勉強するというのは、今までの自分と違った自分になることであら、それを来たるべきバカと衝撃的な言葉で言っているが、これまでの学習本と大差ない内容であった。ただ違うのは、その内容を著者の専門である現代フランス哲学で解説しているものだが、専門知識がないので、その解説についてはよく理解が...
勉強するというのは、今までの自分と違った自分になることであら、それを来たるべきバカと衝撃的な言葉で言っているが、これまでの学習本と大差ない内容であった。ただ違うのは、その内容を著者の専門である現代フランス哲学で解説しているものだが、専門知識がないので、その解説についてはよく理解が出来なかった。
Posted by
著者は,思考を展開するために」「ノリ」「ツッコミ」「ボケ」という親しみやすい言葉で表現しています。「深く」勉強することはノリが悪い。ノリのいい周りに合わせて動く生き方は深く勉強しないことなのだと。ノッていた自分をわざと破壊する、自己破壊に踏み込みたい人は手に取ってみてください。
Posted by
死ぬまで忘れちゃあかん、お勉強のやり方。アカデミックだけではなく、企画職にも、まんま転用できる思考法。
Posted by
ツッコミ(アイロニー)とボケ(ユーモア)。これは面白い。頁を手繰り寄せるように読み、あっという間に読了。この思考の疾走感が良かった。
Posted by