宇喜多の捨て嫁 の商品レビュー
率直な感想として、この本の考え方、とても好きだ。 誰かにとっての「事実」は、他の誰かにとっては「真実」でないかもしれない。 「史実」では、そのいずれもが掻き消えてしまっているかもしれない。 記録である以上、「歴史」が人の心を書き残すのは難しい。 でも、だからこそ、「なぜ、そうなっ...
率直な感想として、この本の考え方、とても好きだ。 誰かにとっての「事実」は、他の誰かにとっては「真実」でないかもしれない。 「史実」では、そのいずれもが掻き消えてしまっているかもしれない。 記録である以上、「歴史」が人の心を書き残すのは難しい。 でも、だからこそ、「なぜ、そうなったんだろう」と思うことを、やめてはいけないのだと思う。
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インパクトのあるタイトルですが、中身も名前負けしておらずめちゃくちゃ面白かった。デビュー作での異例の直木賞候補入りも納得です。 1番に感心したのは連作の構成で、連作短編で登場人物や視点を切り替えて場面の転換を図るのは一般的な手法ですが、本作では時系列を絶妙の案配でずらすことで、...
インパクトのあるタイトルですが、中身も名前負けしておらずめちゃくちゃ面白かった。デビュー作での異例の直木賞候補入りも納得です。 1番に感心したのは連作の構成で、連作短編で登場人物や視点を切り替えて場面の転換を図るのは一般的な手法ですが、本作では時系列を絶妙の案配でずらすことで、読者は主人公である宇喜多直家の見え方が徐々に変化していく様を体験できます。恐らく最初の1編と最後の1編では読み終えたときの直家の印象は全然違うものになっているでしょう。単純に時系列通りに並べていたらこれほどの読後感は得られなかったと思います。まずそこがうまい。 次に、最新刊『敵の名は、宮本武蔵』を読んだ時も感じたのですが、生々しく凄惨な描写が続く話であってもなぜか読後感が悪くないのです。描き方に工夫があるのかもしれませんが正直理由はよく分かりません。でも著者の美点として挙げていいと思いました。 また、浦上家の人間を始めとした敵のキャラクターもいいですね。特に浦上宗景のヒールっぷりは素晴らしい。この人物によって作品の重厚さと緊張感が引き立ったように感じました。 まだ2作目ですが確信しました。木下さんは本物です。 これからもよろしくお願いします。
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よくできた歴史小説だった。宇喜多直家を絡めた短編の集まりかと思いきや、6話目で話が引き締まり全てが連なっていく。また、新しい書き手が現れて快哉!
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※このレビューにはネタバレを含みます
第一話でドンと現状が提示され、次の話では一気に時代を巻き戻し、そこから徐々に時計を進めつつ種が明かされていく…、という構造の連作集となっている。 その手法もさることながら、各章が読み物として充分な魅力を備えていて、掛け値なしの傑作と言えよう。 物語が進むにつれて、いい意味で期待や予測が裏切られ続けた。 古くは「藪の中」等を挙げるまでもなく、視座を変えることで多角的な考察を読者に示す創作物は数あろうが、その中でもこの作品はキャラクターの魅力という点で群を抜いている。 唾棄すべき卑劣な武将という第一印象をまず植え付けておきながら、以降でその人物像にまつわる様々な事実や周囲の状況を明らかにしていき、ラストでは突如、肉親の情愛にクローズアップして、読者の心を激しく揺さぶる。 そんな一見強引にも感じる筋書きを実にスムーズに、難なくこなしてしまうこの腕力はすごい。 明らかな日本語の誤用表現が散見されたのがいささか残念ではあるが、それが瑕疵にならないほどのクオリティー。
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『宇喜多の捨て嫁』文庫本が出版されました。単行本で受けた衝撃が忘れられず、戦国の世の謀略と暗殺のドロドロとした世界に浸るため、通勤電車で再読しました。 戦国、特に備前・備中や美作、播磨の武家に生まれたら 一、相手の不意打ちを警戒し、挨拶の時は頭を下げても決して目を外さ無い 一、...
『宇喜多の捨て嫁』文庫本が出版されました。単行本で受けた衝撃が忘れられず、戦国の世の謀略と暗殺のドロドロとした世界に浸るため、通勤電車で再読しました。 戦国、特に備前・備中や美作、播磨の武家に生まれたら 一、相手の不意打ちを警戒し、挨拶の時は頭を下げても決して目を外さ無い 一、嫁のたしなみとして、寝込みを襲われた時の用心に、枕元には目潰しの灰と護身の短刀を置く 一、いかなる時も油断は禁物、囲碁する時も婚礼の夜も… 等、今は無用な心がけが必要な世界です。 もう製作が開始されているかも知れませんが、是非映像化してもっと多くの人に知ってもらいたい快作です!あとがき代わりの高校生直木賞の選評も、面白いです。
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これは面白い。連作短編の形式にはなっているが、全体として宇喜多直家の一代記おしての長編になっている。しかもミステリー仕立てで、最初の表題作で提示された多くの謎が全編読むと全て解き明かされるという作りが素晴らしい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
“捨て嫁”の蔑ろなニュアンスを捨ておけなかったw そんな浅はかさが恥ずかしくなるほど、凶凶しい宿命に抗う於葉や血みどろの難き道を生きる宇喜多直家の姿は壮絶。一人の人間に様々な角度から光を当てる構成は見事で、一方的嫌悪だった直家の見方が話が進むごとに多面化していく。何というか…次々と不透明な感情が生まれて消え言葉にならない。最終的に、無意識のうちに自分を罰した生き方のように思えたな。 最終話で驚きと哀愁と涙を掻っさらっていったあの人の想いがこの作品を包み込んでいる全て。血なまぐさい時代であっても変わらないそれは、愚かでもあり優しくもある。
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とてもおもしろかったので、題名でグッと来た方はぜひ読んでほしい。 六つの短編、六つの視点から時系列入り乱れて語られる、血と膿みにまみれた宇喜多直家の生涯。タイトルにならう暗さと、反した温かさを同時に得られる読後感です。 読んでいる時は「五逆の鼓」は説明しすぎな気がして、途中で心...
とてもおもしろかったので、題名でグッと来た方はぜひ読んでほしい。 六つの短編、六つの視点から時系列入り乱れて語られる、血と膿みにまみれた宇喜多直家の生涯。タイトルにならう暗さと、反した温かさを同時に得られる読後感です。 読んでいる時は「五逆の鼓」は説明しすぎな気がして、途中で心配になった…けど、ちょっと時間を置いて考えてみれば、江見河原の身の上では母との繋がりという点で、一連の出来事を見てそれを言語化して納得する過程が彼の中では欠かせない事だったんだなと、梅の香りに至るまでには必要な説明だったんだと今は思う。
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【五冠達成! 驚異の新人、衝撃のデビュー作】戦国時代の備前の国で宇喜多直家は権謀術策を縦横無尽に駆使し、成り上がっていった。腐臭漂う、傑作ピカレスク歴史小説見参!
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