宇喜多の捨て嫁 の商品レビュー
宇喜多直家という人は、息子の秀家が外連味がない人柄なのに対して、外連味だらけで、人間的には最低だと思うけど、それぐらいでないと戦国時代を生き残れないのかもしれない。結局、直家は宇喜多家を戦国大名に成り上がらせたけど、秀家は潰してしまった訳だから。
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「梟雄」の代表格といっても過言でない宇喜多秀家本人や、その周囲の人々に焦点を当てた短編がまとめられており、同じ出来事に関しても、その背景や違う人物からの視点も描かれており、どんどん話に引き込まれていった。
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面白かった。宇喜多直家のイメージがあまりなかったので新鮮だった。宇喜多秀家が正義感が強いイメージなので、そのギャップも面白い。浦上氏も初めて知った。あとちょっとで星四つだったが
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垣根涼介の涅槃を読んだ後、もう少し宇喜多直家について知りたいと思いブクログでこの本の存在を知りました。同じ人物や歴史の出来事も物語が違う事で捉え方や表現の違いがあり、面白く読みました。 この作品は短編集ですが、全てが繋がっていて登場人物を多面的に理解でき、最初の短編の布石を次の短...
垣根涼介の涅槃を読んだ後、もう少し宇喜多直家について知りたいと思いブクログでこの本の存在を知りました。同じ人物や歴史の出来事も物語が違う事で捉え方や表現の違いがあり、面白く読みました。 この作品は短編集ですが、全てが繋がっていて登場人物を多面的に理解でき、最初の短編の布石を次の短編で回収するなど面白く読み進めました。
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人は、これほどにも他人の心の闇を描くことが可能なのか。その描写から、歴史を紡ぐことが可能なのか。内容にも、描写にも、構成にも、作者にも、衝撃を受けました。
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語り手や主人公が異なる短編が連なって、一人の強くて哀しい戦国武将を描きあげている。 捨て石、捨て駒、などの言葉と同列に使われる『捨て嫁』という呼称が、直家自身への呪詛となって生きながら腐敗させていく。 直家は悪人なのか?どのようにして直家が出来上がってきたのか?伏線を張り巡らせた...
語り手や主人公が異なる短編が連なって、一人の強くて哀しい戦国武将を描きあげている。 捨て石、捨て駒、などの言葉と同列に使われる『捨て嫁』という呼称が、直家自身への呪詛となって生きながら腐敗させていく。 直家は悪人なのか?どのようにして直家が出来上がってきたのか?伏線を張り巡らせたミステリーを読むような物語の先への期待が、最後まで途切れることなく続く。 いますぐ再読したい気持ちをあえて抑えて、時間をおいてもう一度楽しみたい作品。
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岡山市に約2年単身赴任していました。 宇喜多直家に興味があり、ゆかりの地を巡った記憶があります。 直家の悪虐ぶりは有名であるが、彼の境遇が、乱世の中、このような生き方をさせたのだろうと推測できる。宇喜多の捨て嫁は、作者の視点で直家像を作り、生き残った母らしい人物、もう一方の主人公...
岡山市に約2年単身赴任していました。 宇喜多直家に興味があり、ゆかりの地を巡った記憶があります。 直家の悪虐ぶりは有名であるが、彼の境遇が、乱世の中、このような生き方をさせたのだろうと推測できる。宇喜多の捨て嫁は、作者の視点で直家像を作り、生き残った母らしい人物、もう一方の主人公の四女、主君浦上宗景の性癖など、小説ならではの脚色を入れて物語に幅を持たせ、面白くさせている。 岡山にゆかりのある人は読んで頂きたい一冊である。
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戦国の梟雄、宇喜多直家を様々な視点から描く短編小説。人には多面性があり視点が変わるとその人への印象も異なるということを話の中でよく表しており、直家へ最初抱いていた印象も最後の方では変わっていた人も多かったのではと思う。最初に登場した人物が後の章でより説明が加えられた状態で登場する...
戦国の梟雄、宇喜多直家を様々な視点から描く短編小説。人には多面性があり視点が変わるとその人への印象も異なるということを話の中でよく表しており、直家へ最初抱いていた印象も最後の方では変わっていた人も多かったのではと思う。最初に登場した人物が後の章でより説明が加えられた状態で登場することでスムーズに伏線回収ができていたので読みやすく、「会津執権の栄誉」と構成が似てる。
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戦国時代の梟雄、宇喜多直家を描いた作品。 一般に梟雄と評価される直家を題材とし、梟雄と生きざるを得なかった直家の苛烈な生き様、悲哀が描かれる。 一冊が六篇で構成されており、それぞれ異なる人物の視点から直家が描かれるため、読みすすめるほど直家の新たな面が見えてくる。 視点人物を含...
戦国時代の梟雄、宇喜多直家を描いた作品。 一般に梟雄と評価される直家を題材とし、梟雄と生きざるを得なかった直家の苛烈な生き様、悲哀が描かれる。 一冊が六篇で構成されており、それぞれ異なる人物の視点から直家が描かれるため、読みすすめるほど直家の新たな面が見えてくる。 視点人物を含む、直家に関わる人物たちの存在感も大きく、一つの群像劇としても楽しめた。 文章は明快ながらおどろおどろしい、独特の空気感があって個人的には好み。 読んでいて情景が浮かんでくるというのもあるが、場面場面で感じられる「臭い」が印象的。 直家を取り巻く不穏な腐臭や血生臭さ、戦場の泥臭さ、人々の汗の臭い、それから梅の花の香り。 各小篇で紡がれた物語が最終篇で集約され、きれいに終着するのは秀逸。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
非常に良くできた作品だと思います。 意外にも5編からなる短編集でした。 一般的な短編集とは違い、全てが宇喜多直家を中心とした宇喜多家に纒わる物語。 表題である「宇喜多の捨て嫁」とは直家の四女・於葉の事であり、巻頭に収められていますが、本作は直家を中心にその周りの人にフォーカスを当てていきます。 「人」を描いた作品だと強く感じました。 正直、時代物って得意でもないし、好きでもありませんでしたが、冲方丁氏の「天地明察」で時代物の面白さ、楽しさを知りました。 とは言え、まだまだ読解力が未熟な私には本作の構成は時間軸が一方通行ではない事もあり、軽く混乱しながら読み終えましたが、私の地元や学生時代を過ごした地域の歴史に触れる事が出来、個人的には大満足の一冊でした。 本作は高校生直木賞の受賞作でもありますが、正直、高校生達が本作を受賞作に選べる程に読み込んだ事にただただ拍手を贈りたいと思います。 説明 内容紹介 表題作は、権謀術数によって勢力拡大を図った戦国大名・宇喜多直家によって、捨て駒として後藤勝基に嫁がされた四女・於葉の物語。 乱世の梟雄を独自の視点から切り取った鮮やかな短編は時代作家として、高い評価を集めている。本書ではその他に五編の短編を収録。 いずれも戦国時代の備前・備中を舞台に、昨日の敵は味方であり明日の敵、親兄弟でさえ信じられないという過酷な状況でのし上がった、梟雄・宇喜多直家をとりまく物語を、視点とスタイルに工夫をこらしながら描いた力作揃いだ。 直家の幼少時の苦難と、彼でしか持ちえない不幸な才能ゆえの大罪(「無想の抜刀術」)、若く才能あふれる城主として美しい妻を迎え子宝にも恵まれた直家に持ちかけられた試練(「貝あわせ」)、直家の主・浦上宗景の陰謀深慮と直家の対決の行方(「ぐひんの鼻」)、直家の三女の小梅との婚姻が決まった宋景の長男の浦上松之丞の捨て身の一撃(「松之丞の一太刀」)、芸の道に溺れるあまり母親をも見捨てて直家の家臣となった男(「五逆の鼓」)と、いずれも直家のほの暗い輪郭を照らしながら、周囲の人々の様々な情念を浮かび上がらせていく――。 第152回直木賞候補作にして第2回高校生直木賞受賞。 内容(「BOOK」データベースより) 娘の嫁ぎ先を攻め滅ぼすことも厭わず、権謀術数を駆使して戦国時代を駆け抜けた戦国大名・宇喜多直家。裏切りと策謀にまみれた男の真実の姿とは一体…。ピカレスク歴史小説の新旗手ここに誕生!!第92回オール讀物新人賞をはじめ、高校生直木賞など五冠を達成した衝撃のデビュー作。特別収録・高校生直木賞ルポ。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 木下/昌輝 1974年奈良県生まれ。近畿大学理工学部建築学科卒業。ハウスメーカーに勤務後、フリーライターとして関西を中心に活動。2012年「宇喜多の捨て嫁」で第92回オール讀物新人賞を受賞し、14年『宇喜多の捨て嫁』で単行本デビュー。同作は直木賞候補となり、15年高校生直木賞、歴史時代作家クラブ賞新人賞、舟橋聖一文学賞を受賞。同年咲くやこの花賞も受賞した。2作目の『人魚ノ肉』は山田風太郎賞の候補、3作目『天下一の軽口男』が吉川英治文学新人賞候補(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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