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紙の動物園 の商品レビュー

4

155件のお客様レビュー

  1. 5つ

    51

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    30

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

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2021/02/22

私にはちょっと苦手な話だった。 短編集なのでそれぞれ独立した話なんだが、全体的にやるせなさが漂ってて、読後感があまり良くないのが本音。 「文字占い師」は特に辛い。最後にこの話を置いてあるので余計にそう思うのかも。 その中でも「結縄」はまだ好き話かな。ハッピーエンドでは無いし、む...

私にはちょっと苦手な話だった。 短編集なのでそれぞれ独立した話なんだが、全体的にやるせなさが漂ってて、読後感があまり良くないのが本音。 「文字占い師」は特に辛い。最後にこの話を置いてあるので余計にそう思うのかも。 その中でも「結縄」はまだ好き話かな。ハッピーエンドでは無いし、むなしい感じはするけれど話の展開はとても面白かった。

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2021/02/15

伝統文化と科学技術って遠い位置関係にありそうですが、この本の中ではすごく近かったりします。 現実もそうだったらおもしろいなあと思います。 まさに歴史にはロマンがあるとはこのことですね。多分

Posted byブクログ

2021/02/13

 短編集。長らく話題になっていたが、ようやく読めた。以下、特に印象深いものだけ。 「結縄」 ナン族伝統の結縄を参考にして創薬に成功した開発者は、そのお礼として干ばつで困っていたナン族に種籾を与えるが…という話。原始的な民族に資本主義が導入される瞬間と、その民族にとって圧倒的不利...

 短編集。長らく話題になっていたが、ようやく読めた。以下、特に印象深いものだけ。 「結縄」 ナン族伝統の結縄を参考にして創薬に成功した開発者は、そのお礼として干ばつで困っていたナン族に種籾を与えるが…という話。原始的な民族に資本主義が導入される瞬間と、その民族にとって圧倒的不利な権利関係がいとも簡単に結ばれる"持つ者"たちの身勝手さ。きっとあらゆるところで搾取された先人の技術や知恵があるのだろうなと思った。 「太平洋横断海底トンネル史」 世界恐慌を受けた景気刺激策として上海、東京、北米を結ぶ海底トンネルが作られた。しかしその功績の裏には安価で使い捨てにされた労働力があるが、それは歴史の光の裏で抹殺されなかったことにされる。 「心智五行」 科学が発達しきった現代人が乗り込む宇宙船のバグで原始民族の星へ降り立つタイラ。無菌で無感情で機械みたいなタイラがその星の住人ファーツォンに介抱され触れ合ううちに変化が表れ…という話。SFラブはロマンがあってすごく好き。  全体を通して、中国政治や中国の歴史についての知識がもっとあればさらに深く読めたんだろうなと思う。 ・紙の動物園 ・月へ ★ ・結縄 ★★★ ・太平洋横断海底トンネル史 ★★ ・心智五行 ★★ ・愛のアルゴリズム ・文字占い師 ★

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2021/02/06

ようやくケン・リュウ読めた〜〜テッド・チャンに通じるものを感じつつ、より中国を始め日本や台湾といった東アジアへの意識が濃く出ている作品たちで、私はとても好きだ。ケン・リュウ短編集他に5冊出ているの読まねばー 日本人ではない作家による日本人/日本を題材にした作品というのを今まで読...

ようやくケン・リュウ読めた〜〜テッド・チャンに通じるものを感じつつ、より中国を始め日本や台湾といった東アジアへの意識が濃く出ている作品たちで、私はとても好きだ。ケン・リュウ短編集他に5冊出ているの読まねばー 日本人ではない作家による日本人/日本を題材にした作品というのを今まで読んだことがほとんどなく、どれも新鮮に思えた。日本が第二次世界大戦に突入してなかったらという歴史IF物の「太平洋横断海底トンネル小史」、面白かった。 その他「心智五行」とおよそSFっぽくないタイトルだが、収録作品の中では一番SFさがある作品も好きだった。ガットで考えると読んだ時に、ランカ?って思ったのは秘密。 「愛のアルゴリズム」はチャンの「ゼロで割る」に影響を受けたとのことだが、私は「予期される未来」の影響も感じられた。結末は暗い。 そう思ったら「文字占い師(リテロマンサー)」...!ニューロマンサー?なんて軽い気持ちで読んでずどんと落とされた。悲劇としか言いようがない。「悲情城市」も是非見てみたい。重かったけど、一番好きかもしれない。漢字が言語に組み込まれているのずっと感謝しているんですけど、これはまさに昔のそういう素朴な気持ちを思い出させてくれました(前半だけですけどね!!!) 表題作はそこまで私は刺さらなくて、むしろ後半4作品にやられました。「結縄」もチャンで似たようなの読んだなと思ったり笑 収録作品*** 紙の動物園 月へ 結縄 太平洋横断海底トンネル小史 心智五行 愛のアルゴリズム 文字占い師

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2021/01/21

著者の、「自分に流れる血」への思いが伺えるような、ひと息によむには勿体なさすぎる短篇集に感じて、少しずつ大切に読んだ。(私見だが、「民族」ということばはいまこの本に用いるにはなまぐさすぎる)葛藤と、敬愛と、歴史とが深々と詰まっているように思われる。私たちが「日本人」とひとくくりに...

著者の、「自分に流れる血」への思いが伺えるような、ひと息によむには勿体なさすぎる短篇集に感じて、少しずつ大切に読んだ。(私見だが、「民族」ということばはいまこの本に用いるにはなまぐさすぎる)葛藤と、敬愛と、歴史とが深々と詰まっているように思われる。私たちが「日本人」とひとくくりに呼ばれえないように、かれらも「チャイナ」などとひとからげにされたくないだろうと、改めて考えさせられた。もともとの一冊の分冊版とのことなので、つぎの『もののあはれ』も大事に読んでいきたい。

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2021/01/28

オーディブルは今日からケン・リュウの短編集「紙の動物園」。表題作と「月へ」の2編を聞く。短編は1編終わるごとに頭を切り替えないと話が入り混じって混乱することがわかったので、次の話が始まるタイミングで一時停止し、しばらく待ってから次の話を聞くことにした。ながら聞きには、長編のほうが...

オーディブルは今日からケン・リュウの短編集「紙の動物園」。表題作と「月へ」の2編を聞く。短編は1編終わるごとに頭を切り替えないと話が入り混じって混乱することがわかったので、次の話が始まるタイミングで一時停止し、しばらく待ってから次の話を聞くことにした。ながら聞きには、長編のほうが合ってるかな。 「結縄」:特許で保護された種子はお金を払って買わなければ盗みになるが、先祖代々受け継がれてきた知識は盗み放題で、それをもとに新たな特許を取得すれば大儲けできる。誰かから種子を盗めば、その人の手元には種子がなくなるから、盗んではいけないという理屈はわかるが、知識は分け与えてもその人の手元に残る。減らないのに「盗む」とか「所有する」というのはどういうことか。知識のオープン化は知的探求を加速させるが、そうしてできた成果は知的財産として囲い込む。囲い込まなくても、考えた人に報いる仕組みがあれば、人類発展のスピードはもっと速くなるのではないだろうか。 「太平洋横断海底トンネル」:「秘密をほんの少しだけ守りにくくしている。それは十分価値のあることなの」 「愛のアルゴリズム」:チューリングマシン・タラ。ジョン・サールの中国人の部屋。AIは幻想か。思考は幻想か。「もし私たちがタラとまったく同じだとしたら。もし私がいまあなたに話していることは、単に事前に決められた反応にすぎなかったとしたら。心のない物理の結果だとしたら」「日常の心慰むルーティーン。アルゴリズムは確定されたコースを走る。我々の思考は、そのアルゴリズムに次々と従う。軌道上の惑星と同じように機械的で予想可能だ」 最後の短編「文字占い師」。漢字や英単語の要素分解と語源分析。「アメリカ=美国」。そういえば日本が「美しい国」だといった保守派の首相がいたね。あれはなにかのジョークだったのだろうか。

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2021/01/24

ずっと気になっててやっと読めた! 表題作を電車で読んでたら涙が出てしまった。 心智五行も良かったな。 タイラとアーティの掛け合いが好き。

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2020/12/29

中国系アメリカ人のSF作家。 近年話題になることも多く、気になっていた。 とはいえ、そもそも私はSF読みではない。 読み通せるか不安に思いながら、読み始めた。 けれど、当初の恐れは杞憂だった。 表題作はSFというより、ファンタジーの要素を感じる。 アメリカでマイノリティとして生...

中国系アメリカ人のSF作家。 近年話題になることも多く、気になっていた。 とはいえ、そもそも私はSF読みではない。 読み通せるか不安に思いながら、読み始めた。 けれど、当初の恐れは杞憂だった。 表題作はSFというより、ファンタジーの要素を感じる。 アメリカでマイノリティとして生きる人――この作品では中国人花嫁としてやってきた女性の孤独が、こんなにも繊細に描かれているとは。 主流派の文化的支配力との緊張関係をモチーフにしている作品もあった。 ミャンマーに伝わる結縄の複雑な構造を読み解き、再現する卓抜な能力を持つソエ=ボが、アメリカの製薬会社に利用されていく様を描く「結縄」。 代償として干ばつにも耐える、遺伝子組み換えをした稲の苗を提供されるが、それは結局、その地の農業に根本的なダメージを与えるものとなる。 グローバリズムの影を感じさせる。 東洋的な知性を体現した甘老人とアメリカ人の少女、リリーとの交流の、悲劇的結末を描いた「文字占い師」も印象深い作品だった。 アメリカ人がアジア系の人を差別していう「グーク」という言葉が、実はアメリカ人自身を指す韓国語「ミーグッ」から来ていることを少女に教え、ここに自分に向けられた攻撃を払う魔法があるという彼の教えは示唆的だ。 解説で知ったことだが、台湾の2・28事件を背景としているそうだ。 ずっと厳しい情報統制下にあった件だそうだが、それも知らなかった自分にも驚く。 ケン・リュウの作品でも、きっと親しみやすいものをそろえた一冊なのだろう。 科学だけではなく、歴史、文化の広大なバックグラウンドを感じさせるいい作品だと思う。 ちょっと人に薦めたくなってきちゃった。

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2020/11/28

泣ける小説でおすすめされ、表題作だけ読んでくれたらいいからと文庫本をプレゼントされました。 ……だけれど泣けなかった。。純粋さが足りないのかもしれない。表題作以外の作品も読みましたが、どれもずしりと重い。時事が濃い。短編なので読み進みにくいということはなかった。最終話文字占い師を...

泣ける小説でおすすめされ、表題作だけ読んでくれたらいいからと文庫本をプレゼントされました。 ……だけれど泣けなかった。。純粋さが足りないのかもしれない。表題作以外の作品も読みましたが、どれもずしりと重い。時事が濃い。短編なので読み進みにくいということはなかった。最終話文字占い師を朝に読んでしまったのですが厳しい描写、どれも朝には適さない気がします。

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2021/01/24

あの史上初の三冠受賞作「紙の動物園」など7つの短編を読む。父さんは香港で出会った母さんを米国に連れて帰り僕が生まれた。母さんが折る折り紙の動物たちは皆命を吹き込まれて動き出す。彼らだけがずっと僕の友達だった。ファンタジーのようだが描かれるのはすれ違いがもたらす悲しみと母の愛。世界...

あの史上初の三冠受賞作「紙の動物園」など7つの短編を読む。父さんは香港で出会った母さんを米国に連れて帰り僕が生まれた。母さんが折る折り紙の動物たちは皆命を吹き込まれて動き出す。彼らだけがずっと僕の友達だった。ファンタジーのようだが描かれるのはすれ違いがもたらす悲しみと母の愛。世界は相対的で文化の違う者同士は共感し合えるものではない。そのくせ対立する考えは一方でよく似ている。西洋と東洋の考え方の違い、いや同じ東でも考えは違う。母の愛、でも愛とLoveは違う。そんなテーマを丁寧に描き投げかけてくる。中国では翻訳できない話も書く。ケン・リュウはカズオイシグロばりに子供の頃にアメリカに移民した中国人で天才的な話を書く作家だ。要マーク。

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