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紙の動物園 の商品レビュー

4

150件のお客様レビュー

  1. 5つ

    49

  2. 4つ

    53

  3. 3つ

    29

  4. 2つ

    7

  5. 1つ

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2021/06/10

どこか古い自分の頭に残っている『SF』というジャンルの堅苦しさ、難しさはそれほどない短編集でした。ファンタジーとも違う、近代の先にある技術や理論に裏打ちされた創造性のある設定がベースにあり、その世界線で交わされる、人々の情の交流と断絶が色濃く豊かに描かれた物語ばかりで、ひとつひと...

どこか古い自分の頭に残っている『SF』というジャンルの堅苦しさ、難しさはそれほどない短編集でした。ファンタジーとも違う、近代の先にある技術や理論に裏打ちされた創造性のある設定がベースにあり、その世界線で交わされる、人々の情の交流と断絶が色濃く豊かに描かれた物語ばかりで、ひとつひとつ違う形で胸に響くものがありました。 表題作がいちばん素直にだれしも切なさを受け取れる短編ではないかと思いました。親子の情が悲しくすれ違っていくさま、もう取り戻せないものへの遥かな思慕が、動く紙の動物たちというユニークでとっつきやすい設定も相まって、やわらかく心を打ちました。 そして「愛のアルゴリズム」もまた同系統の、けれどぐっとベクトルはより取返しのつかない方向へ離れてしまった愛情を描いた物語で、そのきっぱりとした断絶の清々しさが、鮮烈に後に残りました。 「文字占い師」は漢字という日本人にも馴染みやすいアイテムをベースに、少女と老人たちの暖かな交流と、残酷な物語を両面に描いています。文字へ託した想いと、そのものがあっけなく踏みにじられる非情。その酷さをさらりと描き、しっかりとアジアの歴史の一側面を思い知らせてきます。その重さは目を背けたくなるけれど、受け止めなくては、知らなくてはならない。 架空や創造を多分に含みながらも、人々はリアルに細やかに情を交わし、世界は非情な側面をむき出しにしている。短い話のなかで、しっかりとした芯の通った密度の高い世界が構築されていて、凄いと思わされるものばかりでした。 自分には初読みの作者さんでしたが、ほかの本もどんどん読んでみたいと思います。

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2021/04/11

ケン・リュウの短編7話。 ん?となるところもありつつ、いつの間にかストーリーに引き込まれてしまいます。 心智五行の話がお気に入りです。

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2021/04/01

中国現代のSFの旗手と言えば、なんといっても彼・・ケン・リュウ。15編の短編がみっしり収録されていて、読後感は何とも言えぬ豊饒感たっぷり、上手い。 初めて彼の名に触れたのは「三体」だった。自分としては今一つ未消化・不消化で彼の世界への入り口としては劣等生さながら。この作品を読み...

中国現代のSFの旗手と言えば、なんといっても彼・・ケン・リュウ。15編の短編がみっしり収録されていて、読後感は何とも言えぬ豊饒感たっぷり、上手い。 初めて彼の名に触れたのは「三体」だった。自分としては今一つ未消化・不消化で彼の世界への入り口としては劣等生さながら。この作品を読みはじめるにあたり、ずるいテクとして用いた「お勧めレヴュ―」を先取り・・「結繩」「紙の動物園」「「良い狩りを」の順で読みはじめ、あとはじっくり噛みしめる様な耽読型で。 この3作(他もそうだけれど)は単にSFというカテゴリーにとどまらず、人間哲学ともいえる深いどろりとする底流を味わえる。1行1行読み飛ばすには惜しく掌で温め、ほのかな温度を慈しみたくなるような。 筆者の生きてきた軌跡・・中国で生まれアメリカで文化の華やぎを感じ‥が随処で伺える。 「結繩」に綴られるアジアや南米での文化の深淵が興味深かった。 「紙の動物園」で幽かな≪中国人母が秘めている古い風習≫が揺らめくのが面白かった。 個人的に一番好きだったのは「「良き狩りを」文体の情感が途中から#⇒♭に変わる美妙感が素敵。「生き延びるために学ぶのよ」という妖女の言葉、英国人中国現代のSFの旗手と言えば、なんといっても彼・・ケン・リュウ。15編の短編がみっしり収録されていて、読後感は何とも言えぬ豊饒感たっぷり、上手い。 初めて彼の名に触れたのは「三体」だった。自分としては今一つ未消化・不消化で彼の世界への入り口としては劣等生さながら。この作品を読みはじめるにあたり、ずるいテクとして用いた「お勧めレヴュ―」を先取り・・「結繩」「紙の動物園」「「良い狩りを」の順で読みはじめ、あとはじっくり噛みしめる様な耽読型で。 この3作(他もそうだけれど)は単にSFというカテゴリーにとどまらず、人間哲学ともいえる深いどろりとする底流を味わえる。1行1行読み飛ばすには惜しく掌で温め、ほのかな温度を慈しみたくなるような。 筆者の生きてきた軌跡・・中国で生まれアメリカで文化の華やぎを感じ‥が随処で伺える。 「結繩」に綴られるアジアや南米での文化の深淵が興味深かった。 「紙の動物園」で幽かな≪中国人母が秘めている古い風習≫が揺らめくのが面白かった。 個人的に一番好きだったのは「「良き狩りを」文体の情感が途中から#⇒♭に変わる美妙感が素敵。「生き延びるために学ぶのよ」という妖女の言葉、英国人と中国人の対比・・プライド、卑屈感、心中の温度などのないまぜが巧い

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2021/03/30

微妙。苦手な部類かも。 7篇の短編集、理系文系ないまぜな感じ。 表題作はとても良かった、折り紙がオリエンタルに感じるだろうし、日本人には身近だし、母子の愛、アメリカ移住の迫害、被害も想像できる。 「結縄」ひたすら読みにくい 最後の「文字占い師」に関しては目を瞑りたくなる描写...

微妙。苦手な部類かも。 7篇の短編集、理系文系ないまぜな感じ。 表題作はとても良かった、折り紙がオリエンタルに感じるだろうし、日本人には身近だし、母子の愛、アメリカ移住の迫害、被害も想像できる。 「結縄」ひたすら読みにくい 最後の「文字占い師」に関しては目を瞑りたくなる描写があり、最後だけに読後最悪… 歴史に基づき、大切な話である事はわかるので☆3 個人的にはケンリュウはもう満腹…

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2021/03/07

もし私がハーフだったり、違う国で暮らしていたら、自分のアイデンティティに対して深く考えるのかな。 どのお話も重いです。皆が幸せには決してなれない…生きるって苦しかったり、せつなかったりするんだ。

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2021/02/22

私にはちょっと苦手な話だった。 短編集なのでそれぞれ独立した話なんだが、全体的にやるせなさが漂ってて、読後感があまり良くないのが本音。 「文字占い師」は特に辛い。最後にこの話を置いてあるので余計にそう思うのかも。 その中でも「結縄」はまだ好き話かな。ハッピーエンドでは無いし、む...

私にはちょっと苦手な話だった。 短編集なのでそれぞれ独立した話なんだが、全体的にやるせなさが漂ってて、読後感があまり良くないのが本音。 「文字占い師」は特に辛い。最後にこの話を置いてあるので余計にそう思うのかも。 その中でも「結縄」はまだ好き話かな。ハッピーエンドでは無いし、むなしい感じはするけれど話の展開はとても面白かった。

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2021/02/15

伝統文化と科学技術って遠い位置関係にありそうですが、この本の中ではすごく近かったりします。 現実もそうだったらおもしろいなあと思います。 まさに歴史にはロマンがあるとはこのことですね。多分

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2021/02/13

 短編集。長らく話題になっていたが、ようやく読めた。以下、特に印象深いものだけ。 「結縄」 ナン族伝統の結縄を参考にして創薬に成功した開発者は、そのお礼として干ばつで困っていたナン族に種籾を与えるが…という話。原始的な民族に資本主義が導入される瞬間と、その民族にとって圧倒的不利...

 短編集。長らく話題になっていたが、ようやく読めた。以下、特に印象深いものだけ。 「結縄」 ナン族伝統の結縄を参考にして創薬に成功した開発者は、そのお礼として干ばつで困っていたナン族に種籾を与えるが…という話。原始的な民族に資本主義が導入される瞬間と、その民族にとって圧倒的不利な権利関係がいとも簡単に結ばれる"持つ者"たちの身勝手さ。きっとあらゆるところで搾取された先人の技術や知恵があるのだろうなと思った。 「太平洋横断海底トンネル史」 世界恐慌を受けた景気刺激策として上海、東京、北米を結ぶ海底トンネルが作られた。しかしその功績の裏には安価で使い捨てにされた労働力があるが、それは歴史の光の裏で抹殺されなかったことにされる。 「心智五行」 科学が発達しきった現代人が乗り込む宇宙船のバグで原始民族の星へ降り立つタイラ。無菌で無感情で機械みたいなタイラがその星の住人ファーツォンに介抱され触れ合ううちに変化が表れ…という話。SFラブはロマンがあってすごく好き。  全体を通して、中国政治や中国の歴史についての知識がもっとあればさらに深く読めたんだろうなと思う。 ・紙の動物園 ・月へ ★ ・結縄 ★★★ ・太平洋横断海底トンネル史 ★★ ・心智五行 ★★ ・愛のアルゴリズム ・文字占い師 ★

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2021/02/06

ようやくケン・リュウ読めた〜〜テッド・チャンに通じるものを感じつつ、より中国を始め日本や台湾といった東アジアへの意識が濃く出ている作品たちで、私はとても好きだ。ケン・リュウ短編集他に5冊出ているの読まねばー 日本人ではない作家による日本人/日本を題材にした作品というのを今まで読...

ようやくケン・リュウ読めた〜〜テッド・チャンに通じるものを感じつつ、より中国を始め日本や台湾といった東アジアへの意識が濃く出ている作品たちで、私はとても好きだ。ケン・リュウ短編集他に5冊出ているの読まねばー 日本人ではない作家による日本人/日本を題材にした作品というのを今まで読んだことがほとんどなく、どれも新鮮に思えた。日本が第二次世界大戦に突入してなかったらという歴史IF物の「太平洋横断海底トンネル小史」、面白かった。 その他「心智五行」とおよそSFっぽくないタイトルだが、収録作品の中では一番SFさがある作品も好きだった。ガットで考えると読んだ時に、ランカ?って思ったのは秘密。 「愛のアルゴリズム」はチャンの「ゼロで割る」に影響を受けたとのことだが、私は「予期される未来」の影響も感じられた。結末は暗い。 そう思ったら「文字占い師(リテロマンサー)」...!ニューロマンサー?なんて軽い気持ちで読んでずどんと落とされた。悲劇としか言いようがない。「悲情城市」も是非見てみたい。重かったけど、一番好きかもしれない。漢字が言語に組み込まれているのずっと感謝しているんですけど、これはまさに昔のそういう素朴な気持ちを思い出させてくれました(前半だけですけどね!!!) 表題作はそこまで私は刺さらなくて、むしろ後半4作品にやられました。「結縄」もチャンで似たようなの読んだなと思ったり笑 収録作品*** 紙の動物園 月へ 結縄 太平洋横断海底トンネル小史 心智五行 愛のアルゴリズム 文字占い師

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2021/01/21

著者の、「自分に流れる血」への思いが伺えるような、ひと息によむには勿体なさすぎる短篇集に感じて、少しずつ大切に読んだ。(私見だが、「民族」ということばはいまこの本に用いるにはなまぐさすぎる)葛藤と、敬愛と、歴史とが深々と詰まっているように思われる。私たちが「日本人」とひとくくりに...

著者の、「自分に流れる血」への思いが伺えるような、ひと息によむには勿体なさすぎる短篇集に感じて、少しずつ大切に読んだ。(私見だが、「民族」ということばはいまこの本に用いるにはなまぐさすぎる)葛藤と、敬愛と、歴史とが深々と詰まっているように思われる。私たちが「日本人」とひとくくりに呼ばれえないように、かれらも「チャイナ」などとひとからげにされたくないだろうと、改めて考えさせられた。もともとの一冊の分冊版とのことなので、つぎの『もののあはれ』も大事に読んでいきたい。

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