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人類と気候の10万年史 の商品レビュー

4.4

65件のお客様レビュー

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2019/10/22

北京から蘇州へ向かう高速鉄道の車内で読み始める。 著者は古気候学という分野の専門家。 初めて読む人だなあ、と思っていたら、福井県の水月湖のボーリング調査をしたチームの一人。 堆積物の中に含まれる花粉の化石の分析を専門とする。 師匠が安田喜憲さんと知って、おおっ、と思い出した。 ...

北京から蘇州へ向かう高速鉄道の車内で読み始める。 著者は古気候学という分野の専門家。 初めて読む人だなあ、と思っていたら、福井県の水月湖のボーリング調査をしたチームの一人。 堆積物の中に含まれる花粉の化石の分析を専門とする。 師匠が安田喜憲さんと知って、おおっ、と思い出した。 安田さんの文章は、たしか中学の教科書に載っている。 今、花粉分析は少し下火になりつつある研究方法だとのことだが、放射性炭素年代測定(アメリカには分析の専門会社がある!)の限界について、初めて知った。 炭素14の最初の存在量からの減少で測るのに、最初の存在量がわからないため、千年単位の誤差が出るという。 地球温暖化にかかわる議論に、新しい視座を与えてくれる。 既に氷期に入っていておかしくない地球が未だに暖かい時期にあるのは、農業開始による二酸化炭素増加という説がある。 かなり今の温暖化の議論の布置が変わってしまいそうな話だ。 現在、大局的には気候変動はマイルドだが、突然予想外の大きな変化をする。 複雑な系には、安定相と周期相、そして乱雑な相があることによるのだそうで、そういわれると納得だ。 天候の変動での災害は、あの東日本大震災の人的被害と比べても桁違いの被害をもたらすが、今の人類の力でそれに対策することは難しい。 古代文明でも一年程度の気候災害に対応する備えはあったが、では現在ではといえば、大きく水準は変わっていないらしい。 人口が少ない時代には、狩猟採集生活のほうが、予想外の気象変動にうまく対応できるという話も驚く。 結局、社会としてどこまでのコスト負担に耐えられ、どのような在り方をしたいのかを問い直す必要がありそうだ。

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2019/09/02

水月湖に行ってきました。宿泊は湖畔の水月花という旅館です。水月湖は静かな神秘的な湖で、夜になると周りにほとんど明かりが見えません。満月の時には、美しい月が湖面に映ります。もちろん、年縞博物館にも行きましたよ。たまたま中川毅氏がいて、雑誌の取材を受けていました。ぜひ、読んでください...

水月湖に行ってきました。宿泊は湖畔の水月花という旅館です。水月湖は静かな神秘的な湖で、夜になると周りにほとんど明かりが見えません。満月の時には、美しい月が湖面に映ります。もちろん、年縞博物館にも行きましたよ。たまたま中川毅氏がいて、雑誌の取材を受けていました。ぜひ、読んでください、感動します。世界基準ですよ。中川氏の写真は、インスタに載せました。

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2019/08/08

事象の分析では無い、 地球の、人々の営みの姿を気象から読み取ろうとする試みは素敵だなと思った。 その裏にあるのはあたりに地味な作業とイノベーション。 ライフワークってこういうことかなと羨ましい。

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2019/07/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

今言われている温暖化などを含め、20万年前の地球はどうだったのか、氷期と間氷期の繰り返しに起きていたこと、温暖化・寒冷化などなど、20年前ぐらいからメディアで取り上げられている地球温暖化を、根拠のある情報で説明してあり、自分の持っていた価値観の変化を気づかせてくれる内容でした。 とくにこの本が注目している「年縞」という、堆積物を時間軸の基準として過去のことを調べ、未来を考察していく流れは、なるほどなーと思いました。しかも、ここ日本にある、福井県水月湖の年縞が世界的に観ても最高レベルの標準時計になっているとは!まったく知識がなかったけど、とても面白いなと感じました。もっと年縞について知りたいと思いました。また、水月湖が世界的にも最高レベルというのが日本人として、誇りを持てるなと感じました。

Posted byブクログ

2018/11/12

ふと気になって買ってみたら、年縞という初めて聞く言葉と、そこから見える、過去の気候、植生の変化。 花粉研究から古気候研究。 花粉がものすごく硬い物質でできてるのにも驚いた。 続けて、年縞調べの科学者の物語の本も買ってしまった。楽しみ。

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2018/10/13

??冬休みに読みたい三冊?? 「読まなくてもいい本」の読書案内知の最前線を5日間で探検する(橘 玲 著 筑摩書店 1600円税別 2015年11月刊行) 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新の医学知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガ...

??冬休みに読みたい三冊?? 「読まなくてもいい本」の読書案内知の最前線を5日間で探検する(橘 玲 著 筑摩書店 1600円税別 2015年11月刊行) 気楽に読める一般向けの本で、アンダーライティングに役立つ最新の医学知識をゲットしよう。そんなコンセプトでブックガイドしています。査定歴20年の自称査定職人ドクター・ホンタナ(ペンネーム)です。 今年(2017年)最後のブックガイドになりました。気楽な本を選んでいるとはいえ、医学がからんでいるものばかり。でも保険って社会的側面も大きいですよね。そこで今回は年末スペシャル、医学から離れました。・・・ここ半年の間に読んだ医学系ではない本の中から、一見保険とは無関係に見えますが意外に仕事に役立ちそうという3冊を選んでみました。 まずは橘玲「「読まなくてもいい本」の読書案内」。これはおすすめです。複雑系・進化論・ゲーム理論・脳科学・功利主義の分野で読むべき入門書を示しつつ、トンデモ本を一刀両断。ネット社会以前の学問、とくにポストモダンとか精神分析とか・・・ほとんど陳腐化してしまいました。ネット社会以降の日本の文系学問(大学でやっている法学・経済学・文学・教育学 etc.)はすべからく古いパラダイムから脱出できず、文系大学の廃止は当然・・・。まあ痛快ではあります。アンダーライティング部門で科学的な思考をしても、保険会社って、ま、古い文系パラダイムが主流だからな〜というグチをいいがちですが、そんな人も溜飲がさがるという一冊。因みにドクター・ホンタナのブックガイドは、読まなくてもいい本は「まあまあ」とか「〜には役立つ」程度の表現を使っています。読むべき本は絶賛していますので、ご参考に。 2冊目は中川毅「人類と気候の10万年史」。気候と保険・・はかなり離れていそうですが・・・。成長トレンドにせよ下向トレンドにせよ、普段の日常は(保険業にせよ、人生にせよ)ゆっくりと変動するトレンドを前提にしていますよね。ところが、予測できない激変があってガラガラポンになり、またそこからトレンドになる。このガラガラポンをPhase change(相転移)と呼びます。特に、気候学では、温暖化・寒冷化のPhase changeのしくみがかなり詳しく明らかになっています。われわれのアンダーライティング環境もいつPhase changeに見舞われるかわかりません。トレンドを追うだけではなくPhase changeに備える、そんな視点の重要性を教えてくれる、これも絶賛の一冊です。 最後はちょっとタイトルは微妙ですが、片山杜秀「国の死に方」。この本が保険と関係あるとは思わずに読んでいたのですが、関東大震災の時の保険金不払問題(地震免責)が詳しく書かれていて驚きでした。このときのさまざまの出来事が保険金不払い問題とからんでいたらしいです。地震による火災ではなく放火だという強弁などなど。結局政治主導で約款を超えた支払を強要されたらしいです・・・いやあ、勉強になりますよ。「歴史は繰り返す。一度目は悲劇として、二度目は喜劇として(マルクス)」ですね。 年末年始は5連休以上の会社が多いのではないでしょうか。この3冊、こたつでぜひ読んでみてください。それではみなさんよいお年を。(査定職人 ホンタナ Dr. Fontana 2017年12月)

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2018/10/19

過去の気候変動はどのようだったのか?10万年ごとに繰り返す氷期。ミランコビッチ理論は地球の公転周期が変動するためという。楕円から真円へ、そしてまた楕円に。しかし線形予測はいつも正しいとはいえない。グリーンランドの地中をボーリングして採取した氷の層から気候変動を調べる。また、福井県...

過去の気候変動はどのようだったのか?10万年ごとに繰り返す氷期。ミランコビッチ理論は地球の公転周期が変動するためという。楕円から真円へ、そしてまた楕円に。しかし線形予測はいつも正しいとはいえない。グリーンランドの地中をボーリングして採取した氷の層から気候変動を調べる。また、福井県の三方五湖の水月湖から貴重な「年縞」を取り出して、過去15万年の気候変動を推定する。これから人類が向かうのは、地球温暖化か、それとも次の氷期か。すでに氷期に入る年数は過ぎているという。

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2018/10/09

読了。 途轍もなく長い時間軸で話が進み、10万年などあっと言う間の出来事として語られるのは何とも刺激的。 寒期と間氷期が凡そ10万年のサイクルで交互に繰り返している事が、最新の古気候学/地質年代学から明らかになっており、 地球の公転軌道のサイクルによって気象現象の変化が起きるとい...

読了。 途轍もなく長い時間軸で話が進み、10万年などあっと言う間の出来事として語られるのは何とも刺激的。 寒期と間氷期が凡そ10万年のサイクルで交互に繰り返している事が、最新の古気候学/地質年代学から明らかになっており、 地球の公転軌道のサイクルによって気象現象の変化が起きるというミランコビッチ理論が、実データで証明されつつある。 人類の歴史は僅か25万年であり(諸説あり)、前回の氷河期で僅かに生き残ったホモ・サピエンスの子孫が、現在”たまたま”暖かい時代に暮らしているということになる。 我々人類が、必ず訪れるであろう次の氷河期を生き残れる保証はない。 壮大な地球の歴史の中では、生物の栄枯盛衰など一瞬の出来事に過ぎないことが分かる。

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2018/10/01

福井県水月湖湖底のボーリングにより、十万年分の気候データを入手し研究したという話 地球の公転軌道と自転軸が何万年もかけて周期的に変化することが気候を周期的にするミランコビッチ理論 それでは説明できないカオス的な振る舞い 苦労話と情緒的な表現多め

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2018/04/14

古気候学の専門家である中川毅氏の著書、福井県にある水月湖を通じて日本や世界中で起こった気候変動について解説する作品。 中川氏は水月湖の湖底に堆積する、約15万年分の「年縞」を研究しているのだが、他の湖と比較するととても綺麗な縞模様をしている。なぜなら水月湖は年間の水温が安定して...

古気候学の専門家である中川毅氏の著書、福井県にある水月湖を通じて日本や世界中で起こった気候変動について解説する作品。 中川氏は水月湖の湖底に堆積する、約15万年分の「年縞」を研究しているのだが、他の湖と比較するととても綺麗な縞模様をしている。なぜなら水月湖は年間の水温が安定して対流が少ない事、また深部の酸素濃度が低いため湖底をかき回す生物がいない事、そしてプレート活動の影響によって、堆積のスピード以上に地盤が下がっており、決して干上がらない事が要因らしい。 地球は太陽の周りを公転しているのだが、他の天体からの重力の影響により、軌道が真円になったり楕円になったりするそうだ。また地軸の傾き自体も数万年のサイクルで変化しており、これらはミランコビッチ理論と呼ばれ氷河期到来の原因と考えられてきた。今までは理論上の結果だったものが、水月湖の年縞を分析することによって、物理的な証拠との因果が証明される様子は非常に興味深い。 実は現代は氷河期と氷河期の間の「間氷期」と呼ばれる安定した時代なのだが、そろそろ間氷期も終わり次の氷河期に向う時期らしい。人類が生んだ温暖化が氷河期への進行を遅らせているという説もあるのだが、いつかそのツケが急激に回ってくると考えたら…チョット恐ろしい気がする。

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