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人類と気候の10万年史 の商品レビュー

4.4

65件のお客様レビュー

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2022/02/23

地球は温暖化が進みつつあるが、果たして100年後の気候がどうなっているかは誰にも分からない。 本書はそれを想像するヒントを与えてくれる。 水月湖の特殊性や世界基準となった経緯、数万年単位の気候変動など初めて知る事が多く、知的好奇心も満たしてくれる。 この先の気候変動がどうなる...

地球は温暖化が進みつつあるが、果たして100年後の気候がどうなっているかは誰にも分からない。 本書はそれを想像するヒントを与えてくれる。 水月湖の特殊性や世界基準となった経緯、数万年単位の気候変動など初めて知る事が多く、知的好奇心も満たしてくれる。 この先の気候変動がどうなるかは分からないが、氷期も生き延びた人類の賢さと多様性が今後ますます問われると思う。

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2023/01/26

普段の自分から程遠い話題、論点から自分自身の身近に急に着地する展開はアツい。 前半へぇと思いつつ淡々と読み進めていくうちに、後半にきてタイトル回収し出す展開。 狩猟採集から農耕への変化、多様性の話へと展開していくが、前段の気候の話からの論理展開までスッと入ってきた感覚があった。

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2021/12/07

数万年という過去を探りだすという気が遠くなる作業。エジプトやシリアなどに砂漠があるのも、ヨーロッパが平野になったのも森林を焼き尽くしたからだし、この100程度のエネルギー革命が気候の変動も起こしている。 しかし地球の歴史からいえばほんの刹那。 日々の営みを見返すことから始めよう。

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2021/10/16

2021年のノーベル物理学賞を真鍋氏が受賞したことで、二酸化炭素の温室効果による地球温高にあらためて注目が集まっています。 ですが、地球の気候変動を考えると、現在の「地球温暖化」問題が実は産業革命のはるか前、8000年前から起こっていたとも言え、さらにはその「人類による地球気候の...

2021年のノーベル物理学賞を真鍋氏が受賞したことで、二酸化炭素の温室効果による地球温高にあらためて注目が集まっています。 ですが、地球の気候変動を考えると、現在の「地球温暖化」問題が実は産業革命のはるか前、8000年前から起こっていたとも言え、さらにはその「人類による地球気候の影響(温暖化)」によって、本来であれば到来するはずであった氷期(人類文明の危機)を回避しすることができたとも言えるのです。 さらに、この後の世界で「地球温暖化」が進むのか、あるいは「氷期」が再来するのか、その分析を過去の地球の天候の歴史を紐解くことで分析しよう、というのが本書の内容です。 未来を予測することは難しく、想定することも対策を考えることも困難を極めますが、それでも私たちは生きてゆかねばなりません。 結論としてはいささか物足りないところもありますが、個人レベル・社会レベルでどのような姿勢でこれからの気候変動を考え、臨むべきなのかを考えるきっかけになりました。

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2021/09/26

なかなか1000年前という過去ですら実感を持った想像が難しい人類からみて、万年、億年、という単位の地球の歴史は、なかなか自分ごととして想像できない。 そんなスケールの話を、「1度の気温があがっても大したことがないように感じる。けれど、平均1度あがるということはすごい。例えば1週間...

なかなか1000年前という過去ですら実感を持った想像が難しい人類からみて、万年、億年、という単位の地球の歴史は、なかなか自分ごととして想像できない。 そんなスケールの話を、「1度の気温があがっても大したことがないように感じる。けれど、平均1度あがるということはすごい。例えば1週間のうち6日平年並の気温なら、7日目は7度あがること」など、なるほど、それはすごい、といちいち実感させてくれる例をあげて語るので、「お勉強」ではなく、趣味の読書として楽しく読めた。 過去の寒冷期と生態系の多様性。狩猟生活と農耕生活。何万年という単位の変遷を地質で見るということは、どこでも見れるものではない、ということ。 最初から最後まですべて興味深く、わかりやすく読める本。

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2021/08/28

何千年、何十万年という過去の気候変動についてどのような研究で理解が進んできたのか、そこに日本が重要な役割を果たしてきたことなど、エピソードを交えて丁寧に書かれてる。たいへん興味深く面白く読んだ。将来的な気候変動を冷静に論じるためにも理解しておきたい。

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2021/05/08

気候変動や気温の上昇は、人間の活動によるところが大きいという点が現在クローズアップされています。本書では、地球規模の気候変動のより長期のサイクルが存在し、それが10万年単位で楕円と円に変形する地球の公転軌道であったり(ミランコビッチ理論)、2万3千年ごとに変わる地軸の傾きの変化(...

気候変動や気温の上昇は、人間の活動によるところが大きいという点が現在クローズアップされています。本書では、地球規模の気候変動のより長期のサイクルが存在し、それが10万年単位で楕円と円に変形する地球の公転軌道であったり(ミランコビッチ理論)、2万3千年ごとに変わる地軸の傾きの変化(歳差運動)によることが説明されています。加えて、火山活動、大陸の移動、人類の活動によるメタンや二酸化炭素の排出など、複数の要因が関連しあって気候や気温に変化を与えているわけですが、こうした複数要因の関連性により、二重振子運動の軌道を予測することが不可能であるように、初期条件のわずかな違いが増幅されてカオスを発生させるような状態にあるため、気候や気温の変化を予測することが不可能であることが説明されている点に蒙を啓かれた思いがしました。 また南氷床のボーリング試料に含まれる空気を分析することにより、メタンや二酸化炭素の大気の含有量の変遷を分析することが行われた結果、人類の経済活動が活発化した近年では、ミランコビッチ理論で予測される含有量を超えてメタンや二酸化炭素が増加しており、これがアジアの水田耕作やヨーロッパの森林破壊によるところが大きいと分析されていることが紹介されています。長期サイクルでは、現代の間氷期は既に終わり、むしろ氷河期を迎えつつ局面にあるも、大気中のメタンや二酸化炭素が増加していることにより、気温の低下が抑制されている可能性に関する件を読んだ時には、現在議論されている気候変動に別の視点を与えてくれている思いがしました。 そして記憶に新しい1993年の日本のコメ不足。その2年前のピナツボ火山の大噴火によって引き起こされた記録的な冷夏による米不作によるものでしたが、気候変動が大きい際には農耕より寧ろ狩猟の方が生存に有効と説明しています。それは実に狩猟が多様な自然環境から食料を得ることによるのですが、これも昨今良く耳にするダイバーシティに通じる考え方と感じました。 本書で一番感銘を受けたのは、著者である中川毅氏の研究グループにより福井県の水月湖から採取された年縞が、7万年もの長きにわたる気候変動の証跡を含んでいるという件です。年縞に途切れがないため、炭素14を用いた放射性炭素年代測定のグローバルなものさしとして採用されている、といいます。是非一度現地を訪れて年縞博物館を見学してみたいものだ、と思いました。

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2021/04/11

今、気候変動と言われていることはなんなのか、これからどのようになるのか。 その疑問に応えるために、過去の地球の気候が研究されてきた。 どんな証拠を人類が手にしており、そこからどんな技術で何がわかるのか。気候研究の携わる多くの研究者が必死で研究した結果、分かったのは「今起きているこ...

今、気候変動と言われていることはなんなのか、これからどのようになるのか。 その疑問に応えるために、過去の地球の気候が研究されてきた。 どんな証拠を人類が手にしており、そこからどんな技術で何がわかるのか。気候研究の携わる多くの研究者が必死で研究した結果、分かったのは「今起きていることは、これまでの歴史の中にはなかったことだが、今後何が起こるのかわからない」ということ。 その、わからなさについて丁寧に説明されており、とてもわかりやすい。 わからないからどうでもいいのではなく、わからないからこそ、いろいろ考えて暮らさないといけないと感じる。

Posted byブクログ

2021/01/15

水月湖から話は始まる。 ボーリング調査自体は知っていたし、とても地道で時間がかかるが大事な作業もあるということも認識していたが、そこから何が、どこまでわかるのかという点は、読んで知るものがとても多かった。炭素ではなく、花粉での分析もそれだ。 こういった派手ではない多くの調査が、今...

水月湖から話は始まる。 ボーリング調査自体は知っていたし、とても地道で時間がかかるが大事な作業もあるということも認識していたが、そこから何が、どこまでわかるのかという点は、読んで知るものがとても多かった。炭素ではなく、花粉での分析もそれだ。 こういった派手ではない多くの調査が、今の科学を支えているということを改めて実感した。

Posted byブクログ

2020/12/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

何億年という長い縮尺で地球の気温変化を見たとき、今は寧ろ寒冷な時代にいる。何万年というスケールまで落としてみると、温暖な時代と寒冷な時代を約10万年ごとのサイクルで繰り返しており、今は温暖な気候「間氷期」にいる。長いサイクルで見ると、いま騒いでいる地球温暖化も大したことがないことだと思えるかもしれないが、困ったのは、今いる間氷期は安定して気候にあるが、氷期は気候の不安定さが増すということだ。すなわち今の農耕を基本とした生活スタイルでは安定した食料供給が難しくなる。かと言って気候に対して柔軟性のある狩猟採集スタイルも、温暖な気候で爆発して人口を賄うことは不可能。。 これからの気候変動では、人間の大脳をフル活用して、知恵で生き延びていくしかない。

Posted byブクログ