笑いのカイブツ の商品レビュー
■読んだ動機 最近ラジオを聴く様になって。ハガキ職人と呼ばれる人たちのハガキって面白いというところから、ハガキ職人についての本を読みたくなりこの本を手に取った。 ■あらすじ お笑いが好きと気付き、NHK「ケータイ大喜利」に採用されて「レジェンド」になりたいと思った15歳からお笑...
■読んだ動機 最近ラジオを聴く様になって。ハガキ職人と呼ばれる人たちのハガキって面白いというところから、ハガキ職人についての本を読みたくなりこの本を手に取った。 ■あらすじ お笑いが好きと気付き、NHK「ケータイ大喜利」に採用されて「レジェンド」になりたいと思った15歳からお笑いにのめりこむ人生が始まる。 日に2000個のボケを考える日々。 それは高校を卒業した就職せずに過ごした時代にも続く。 その後お笑いの世界、吉本の劇場作家になる。 しかし、お笑いにのめり込むことと引き換えに失っているコミュニケーション能力のせいで、評価はされない。 お笑い以外のコミュニケーション能力で出世する同僚とその世界に嫌気がさす。 そんな世界に嫌気がさしてもお笑いを考えることをやめられない、27歳までの人生お話。 ■感想 非常に面白い本でどんどん手が進んだ。 お笑いに真っ直ぐで、才能もあるが、なかなか評価されない人生の苦悩。 お笑いの世界は、『お前を死にたくてたまらない気分にさせるのは、いつだって世間やのに、皮肉にも、お前が人生を捧げた笑いは、その世間を楽しませるために存在しとる。』みたいなしんどい世界なんだなと。 この本の後半で登場する「ある人(オードリー若林)」さんとの出会い、その人がかけた言葉に自分も感動した。 「オドぜひ」や「あちこち」、「激レアさん」などで司会を務められている様に、マジョリティでない人に寄り添う、苦悩している人に寄り添える人なんだと改めて思った。 大喜利を日に2000個考えられる才能を持ちながらも、コミュ力のせいもあって世間に評価されない。それほどまでに社会で生きる上では、「最低限のコミュ力」は必要なんだと痛感した。 ■以下気なった言葉 もう福沢諭吉がどんな顔していたのかも思い出せない 死ぬことは言わば人間の卒業式だ。となると自殺は中退みたいなものだ。 誰にも見えない場所、そこでする努力。全部がこの社会では、やっていないこと同じなのだろうか。 僕は何をこんなに、一生懸命やっているんだ。 お前を死にたくてたまらない気分にさせるのは、いつだって世間やのに、皮肉にも、お前が人生を捧げた笑いは、その世間を楽しませるために存在しとる。 エンターテイメントだけが僕の神様だった。 キリストでもなく、ブッダでもない、僕が信じた神様は確かにその中にいた。 このままじゃ何も返せてないから、できるだけ長生きしてくれ。 ハガキ職人時代から、しょっちゅうされた職務質問。出くわすたびに、この世界にいて欲しくない人間だって言われているみたいだ。 正しさを一瞬でも濁した瞬間から今まで努力してきたことや、苦しんできたことさえ、ウソになってしまうような気がした。 あなたの代わりは2年経っても現れそうにない。だけど僕の代わりはいくらでもいるんだ。
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時系列がわかりにくかったが、 ツチヤさんのお笑いに対する情熱と狂気が伝わった。 すべては理解することができなかったが、 それがツチヤさんのお笑いなのだと思った。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
エネルギーがすごい。時系列が把握出来なくてもどかしさを少し感じたが、そこはそんなに問題じゃない。それよりただただ迸る熱量に圧倒されてしまう。 私小説と知らずに読んでいたが作者の本当の話と知りまたびっくり。
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笑いで成功しようと生活のすべてを賭け、 何もかも投げうって頑張っているのに、 周囲の人たちは評価してくれない。 評価されないから 余計に自分の世界に閉じこもり、 他人との交流をすべて断絶してしまう。 なお一層、あらゆるものを犠牲にして 笑いの世界だけに生きる。 そのサイクルの中で...
笑いで成功しようと生活のすべてを賭け、 何もかも投げうって頑張っているのに、 周囲の人たちは評価してくれない。 評価されないから 余計に自分の世界に閉じこもり、 他人との交流をすべて断絶してしまう。 なお一層、あらゆるものを犠牲にして 笑いの世界だけに生きる。 そのサイクルの中では、 打ち込めば打ち込むほど人は離れ、 自分の世界だけに先鋭化していくこととなる。 世の中には絶対的に正しいものはない。 善いか悪いかを判断するのも人だから、 そこには感情や想い、考えが間に入る。 だから人との交流を閉ざしている男の笑いは、 どんなにレベルが高くても 周囲の人たちはなかなか受け入れてくれない。 笑いを信じ、笑いにすべてを賭けているのに、 笑いを男を裏切る。 笑いの世界で踏みにじられる。 生活するためには、 お金を得る仕事もしなくてはいけない。 笑いの世界で必死になっている男には、 そこに意味を見い出せない。 そこでも心を閉ざす男はゴミ屑のように扱われ、 心は荒み生活は乱れる。 難しいのは時に光が見えたり、 成功する可能性がゼロではないからだ。 切ない。
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笑いに全てを捧げた人間の半生を描いたものだ。 笑いを追求する姿はまさに狂気の権化であり、その覚悟やとても凡人には理解出来ないし、真似も出来ないだろう。 ハガキ職人、構成作家として文章では弁が立つが、笑いのために対人関係を犠牲にしていまい、言葉では自分の気持ちを表出できない。 ...
笑いに全てを捧げた人間の半生を描いたものだ。 笑いを追求する姿はまさに狂気の権化であり、その覚悟やとても凡人には理解出来ないし、真似も出来ないだろう。 ハガキ職人、構成作家として文章では弁が立つが、笑いのために対人関係を犠牲にしていまい、言葉では自分の気持ちを表出できない。 この本は、そんな当時お世話になった人たちへの感謝の手紙なのかもしれない。 章ごとに、時期が前後して、更に感情の起伏も乱高下するため、著者がどのような感情で過ごしたかを時系列で追うことは難しい。 終始、濃い霧の中を不安と共に進むような感覚で読み進める必要があり、人によっては落ち込んでしまうかもしれない。 当時の著者の精神的な弱点を指摘するのは簡単だが、そのようなものではないのであろう。 まさに「カイブツ」のもがいた経緯そのままである。暗いがとても人を惹きつける文章で、一気に読んでしまった。
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狂気。努力の天才を突き抜けたら人は狂気になるのか、そう学べた。一日1000個のボケ、凄いでは片づけられない。僕も馬鹿力でネタ投稿したことあるが、1日10個でヒーヒー言う。その作業を1000回ですから、相当凄いし、日本で一番お笑いを考えていると思う。 お笑いに魅せられ、お笑いに移...
狂気。努力の天才を突き抜けたら人は狂気になるのか、そう学べた。一日1000個のボケ、凄いでは片づけられない。僕も馬鹿力でネタ投稿したことあるが、1日10個でヒーヒー言う。その作業を1000回ですから、相当凄いし、日本で一番お笑いを考えていると思う。 お笑いに魅せられ、お笑いに移行する人は多い。お笑いが命の恩人であったり、なんの取り柄もない人が面白いを発信するだけでヒーローになったりする。 でもツチヤさんは、ヒーローにはならずカイブツになってしまった。
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夢を掴むチャンスはいくらでもあった。 あとは自分でモノにするかどうかだと思った。 ツチヤさん絶対幸せになってほしい。
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笑いに全てを捧げた伝説のハガキ職人ツチヤタカユキ氏の私小説。 実写化するということでおそらくオススメに出てきたのでリトルトゥースの私としては読まざるをえませんでした。 この作品を読むときはぜひ精神的に体調の良い時にしましょう。とにかくカオスな勢いに塗れた作品です(決して悪口で...
笑いに全てを捧げた伝説のハガキ職人ツチヤタカユキ氏の私小説。 実写化するということでおそらくオススメに出てきたのでリトルトゥースの私としては読まざるをえませんでした。 この作品を読むときはぜひ精神的に体調の良い時にしましょう。とにかくカオスな勢いに塗れた作品です(決して悪口ではありません)。 文字通り自分の全てを笑いに捧げ、笑いに生きるという生活を送り、対人コミュニケーション力はない。 その思考は「普通の人」からみたらありえない幼稚さだろう。おもしろければ、おもしろさだけがあれば芸人、作家の世界では万事問題ないという考えは理解し難いが彼はそれに固執してしまった。 それは彼の性質なのかもしれない、家庭環境なのかもしれない、人間関係なのかもしれない、それは全てひっくるめてのことなんだろう。 「彼は懸命に生きたのだ」とか「○○の被害者だ」とかまったくそういうことを言うつもりはない。彼は彼の環境の中で自分がそうしたいことをした結果、今の現状にいるというだけだ。 それが可能な環境が彼の元にあっただけ。周りの人のせいにしてただけ。成功できなかっただけ。努力が必ず報われるなんてことは最近では創作物の中でも否定される。 得たものは限りなく少なく、失った(元から持ってないから微妙な表現かもしれない)ものは非常に大きい。 でも彼には手助けしてくれる人が現れている。それを拒絶してしまったのはなんだろう。巨大化した自意識、対人関係不得手。 綺麗な話ではない。決して面白い話ではない。こういう人もいる。こういう人生もある。 そういうことでいいんじゃないかな
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言葉が終始汚く、読む人をかなり選ぶ。 文体はライトなためさくっと軽く読めるが、 鬱々しい内容のため万人にはおすすめ出来ない。
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過去のオードリーのオールナイトニッポンで ツチヤタカユキを知り、若林の書籍でツチヤタカユキをもっと知った。 興味が湧いたのでKindle Unlimitedにて拝読。 心にカイブツを飼うアラサーの童貞ツチヤ。 お笑いか0か、というところがすごく好き。 お笑いを辞めたら死ぬことと...
過去のオードリーのオールナイトニッポンで ツチヤタカユキを知り、若林の書籍でツチヤタカユキをもっと知った。 興味が湧いたのでKindle Unlimitedにて拝読。 心にカイブツを飼うアラサーの童貞ツチヤ。 お笑いか0か、というところがすごく好き。 お笑いを辞めたら死ぬことと同義で、私も通ずるところがあって好き。 かなり過激な表現があったり、読んでてしんどくなるものもあります。 でも、私はドキドキしながら読めたし、 あっという間に一冊終わりました。 若林との関係がすごく好きだし、 若林の良さが伝わってきてほっこり。 リトルトゥースは絶対に読むべき一冊。 逆にリトルトゥース以外の人が読んだら 「あの人って?」となる感じ。 (この本を読む人は皆リトルトゥースだから必要ないのか?) 読みづらかった点が二点。 時間軸があまりにバラバラで、順序が難しい。 もう一つは最後の表現が馬鹿には分からなかった。 この2つがあっても、もっと理解したい作品になったので またがある時に読み返せたらと思う。 (現在落語をやっている件については触れない方向だった。)
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