JR上野駅公園口 の商品レビュー
"暗闇の中に一人で立っていた。光は照らすのではない。照らすものを見つけるだけだ。そして、自分が光に見つけられることはない。ずっと、暗闇のままだー" "自分は悪いことはしていない。ただの一度だって他人様に後ろ指を差されるようなことはしていない。ただ、...
"暗闇の中に一人で立っていた。光は照らすのではない。照らすものを見つけるだけだ。そして、自分が光に見つけられることはない。ずっと、暗闇のままだー" "自分は悪いことはしていない。ただの一度だって他人様に後ろ指を差されるようなことはしていない。ただ、慣れることができなかっただけだ。どんな仕事にだって慣れることができたが、人生にだけは慣れることができなかった。人生の苦しみにも、悲しみにも…喜びにも…" "あんたには在る。おれたちには無い。在るひとに、無いひとの気持ちは解らないよ" [市井の人]からの排除 在るひとと無いひとの対照的な人生 主人公の存在感が薄れていって消えていくのが本当に切なかった。 ありきたりだけれど、少し外に出るだけでこんなに対照的な生活をしている人がいるということを改めて感じた一方でやっぱりどうしても解らないとも思った。
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ちょっと私にはまだ難しかった。 多分この作品が賞賛されている部分を何一つ理解出来ていない それでも自分の知らない世界を知れたのは良かったしただただ苦しかった。ほんの些細なことがきっかけで誰もがホームレスになる可能性はあるわけで自分がもしそうなった時どうするかなって考えてしまった...
ちょっと私にはまだ難しかった。 多分この作品が賞賛されている部分を何一つ理解出来ていない それでも自分の知らない世界を知れたのは良かったしただただ苦しかった。ほんの些細なことがきっかけで誰もがホームレスになる可能性はあるわけで自分がもしそうなった時どうするかなって考えてしまった。
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主人公と、天皇家の人々。同じ時代にあっても、望むと望まないとにかかわらず、何もかもが違っている。 私がこれから天皇家に入る可能性はないけれど、家や仕事や家族を失う可能性はいくらでもある。ただ、その先に、この作品の当時の上野駅公園口は存在しない。読んでいる期間に都美術館に岡本太郎展...
主人公と、天皇家の人々。同じ時代にあっても、望むと望まないとにかかわらず、何もかもが違っている。 私がこれから天皇家に入る可能性はないけれど、家や仕事や家族を失う可能性はいくらでもある。ただ、その先に、この作品の当時の上野駅公園口は存在しない。読んでいる期間に都美術館に岡本太郎展を観に行ったが、公園改札前の道路さえなくなり、すっかり様変わりしていた。思わず写真を撮ってしまった。 オリンピックは、誘致時点の思惑とはまったく違う形ではあったが、開催された。ほんの数年前、これほどのパンデミックは想像もしない未来だった。 二、三十年前にはよく見かけた、あのホームレスの人たちの居場所はどこに移ったのだろう。そして、そんなことを考えなくてもいい世の中はいつか来るのだろうか。 2022年の読み納め。
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時代背景と方言と地域文化とが入り乱れるお話なので、正直難解なところもあり、、 あとがきによると、著者の取材と研究が行われているらしくなんだか半分くらいはドキュメンタリーなのかなあ思います。 あとがきを読んだあとだとまたひと味変わりますね。
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何度も戻りながら、薄い本にしてはかなり時間がかかった 見えないものはないものになる世の中 豊かに見えても豊かさの網から抜け落ちる人は必ずいる
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二人の人物の人生の対比を読者がどう受け止めるかにかかった一冊だと思いました! 正直なところ、読みにくいです笑。混雑する時系列、方言、専門用語等の難解ポイントがいくつも入っているため、読むのに力が入ります! ただ、日本の光と闇、幸せな眠りについて私は考えてみようかと本作が背中...
二人の人物の人生の対比を読者がどう受け止めるかにかかった一冊だと思いました! 正直なところ、読みにくいです笑。混雑する時系列、方言、専門用語等の難解ポイントがいくつも入っているため、読むのに力が入ります! ただ、日本の光と闇、幸せな眠りについて私は考えてみようかと本作が背中を押してくれた気がします。 読書中級者でも読みにくいため、上級者向けの一冊ですが、ぜひ一読してもらいたいと感じました!
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※このレビューにはネタバレを含みます
一読しただけではよく分からなかった。様々な書評を読んだら、そういうことだったのかなと思えてきた。 あまりにも絶望的な話みたいな扱われ方をしていることに驚く。主人公は色々先立たれたとは言え、妻も子供もいるし、自らの選択でホームレスになっただけなのに。こっちはホームレスでこそないけど、端から配偶者も子供もいないしねえ。一度手に入れた分だけ絶望が深いのかしら?手に入れていない自分は幸せなんだろうなあ。 とは言え、決して所謂ハッピーエンドではなく、極めて淡々と現実的なので、こういう作品をもっと見たいと思っていた。世の中成功譚ばかりで反吐が出る。一般人に成功者への追い銭を迫り、現実離れしたハッピーエンドがさもあり得ることのように錯覚させ、成功こそが絶対唯一の目指すべき道だと追い立てるような作品はもう懲り懲りだ。もっとありのままの世界が見たい。身近なあり得る物語が読みたい。そんな期待には応えてくれる作品。 所詮世界は確率論的決定論で存在している。努力も意思も関係ない。因果と偶然が連鎖しているだけ。主人公も天皇もそのように連鎖しただけだし、私もそのように連鎖しているだけなのだ。自然科学的反応に幸も不幸も希望も絶望もない。
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読み進めるに従って、『目を背けたい』と『見なければならない』という感情がせめぎ合った。 巻末の解説も見事。
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小説ではあるが、実人物がいそうな小説である。上野駅が日本の高度成長からバブルさらにバブルがはじけて不況まで、上野駅の公園口にいるホームレスを描いたものである。さらに、天皇の博物館訪問で山狩りが行われる状況も描いている。これが全米での賞の候補にあがったのはわかる気がする。あとは映画...
小説ではあるが、実人物がいそうな小説である。上野駅が日本の高度成長からバブルさらにバブルがはじけて不況まで、上野駅の公園口にいるホームレスを描いたものである。さらに、天皇の博物館訪問で山狩りが行われる状況も描いている。これが全米での賞の候補にあがったのはわかる気がする。あとは映画として撮影されることが望まれる。上野駅では戦後の浮浪者狩りにおける親を東京空襲で亡くした戦争孤児と東北からの集団就職の列車の到着驛として有名であるが、それだけでもないということを知らしめた功績は大きいい。
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※このレビューにはネタバレを含みます
男がホームレスになることを選んだのは不運がきっかけだった。それまでは裕福とはいえずともそれなりに安定していたのに。 ホームレスになれば、人を人と思わない扱いをされる。自分と同じ誕生日の平成の天皇、息子と同じ誕生日の当時の皇太子とも対比されて描かれる。 そして東日本大震災が孫娘の命を奪い、それが決定打となって男はついに自死を選.....んだのか? 上野駅に山手線が入ってくるところまでは書かれているが決定的な描写はない。 本文中で男が観察するホームレスたちや、美術館、公園を訪れた客たちの姿は、あたかも命を失ってからも上野公園に残った男の魂が見ているように書かれている。そういうことだろうか。 浄土真宗や曹洞宗の描写が出てきて死後の魂のゆくえについても書かれていた気がする。それとも関係あるのだろうか。 ともあれ切ない話であった。 文章は散文詩のようで美しい。
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