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骨を彩る の商品レビュー

4.2

82件のお客様レビュー

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2025/02/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

こういう時、なんて返すべきだろう。なるべく端的に、物事の核心を突いた返答を探す。正しい事はいつも短い。(136p) 短編かと思い読み進めると…すべて繋がります。 家族、友達、恋人。そして自分。どうしてもそれぞれ世界があって、傷付いたり、傷付けたり、誤解ができたり、和解できたり。他者と関わることによって、全て分かり合う事はできないかもしれないし、少し分かるようになれる、歩み寄ることができる。読んだあと、すこし心が温かく、さみしい気持ちになれます。素敵でした。読めて良かった。

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2025/01/10

とても良い作品だった。短編ですがどれもゆるりと繋がっているのにその主人公だけの物語がそこには在るという感じ。骨という言葉が死・繋がり・成長などいろんな意味で表現されていて興味深かった。指のたよりから始まってやわらかい骨で終わるところ、最後の文章が良かった。誰に合わせても何処に溶け...

とても良い作品だった。短編ですがどれもゆるりと繋がっているのにその主人公だけの物語がそこには在るという感じ。骨という言葉が死・繋がり・成長などいろんな意味で表現されていて興味深かった。指のたよりから始まってやわらかい骨で終わるところ、最後の文章が良かった。誰に合わせても何処に溶け合っても自分を形作る骨は自分の中にあってその骨は染まらない。だから他の人にはなれないし、自分は自分を救って抱きしめてあげなければならないんだと強く思った。

Posted byブクログ

2024/11/10

本屋で偶然出会った一冊。 いまはいない大切な人への一筋縄ではいかない思いが溢れている短編集で、どれもとても透明感のある物語で、よかった。

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2024/08/30

前の話に登場した人が次の話で語り手になる。 こういう話、好きです。 語り手から脇役になると印象が変わるのが不思議。 どの話もしんと染みてよかったです。

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2024/07/30

すべてに満ち足りて生きている人はいない。この連作短編集で思ったことだ。 亡くなった家族のことに想いを巡らせながら生きている人。拠り所を見つけて、何事もないかのように生きている人。自分にないものを持っている人に、嫉妬したり、関わりを絶ったりして、今の自分を正当化して生きている人。...

すべてに満ち足りて生きている人はいない。この連作短編集で思ったことだ。 亡くなった家族のことに想いを巡らせながら生きている人。拠り所を見つけて、何事もないかのように生きている人。自分にないものを持っている人に、嫉妬したり、関わりを絶ったりして、今の自分を正当化して生きている人。表向きはうまくやってるようでも、本当は辛いことを秘めている人。本当の自分を出せない人。自分を守るために人を蔑んでいる人。自分ではどうしようもないことを抱えている人。この登場人物達のことを知るにつれて、誰もが自分にないものを抱え、悩みながら生きていることについて考えた。 読後、改めて見ると、キラキラしたイチョウの葉っぱが降る表紙が、この物語を包んでいるように思えた。

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2024/07/11

本編も当然ですが、最近解説を読んで、作家先生は、言葉を形にするのが凄く上手なんだと改めて実感します。当たり前ですが。 解説であるように、物語それぞれが「寡黙」ではあるが、それでいて「鋭利」であり「優しい」。読んでよかったです。 桐野夏生さんの「日没」からの、振れ幅、最高かよ。

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2024/06/28

一話一話読み進めるごとに書かれている感情が、より生々しく感じた。 育ってきた環境の違いで、わかりたいのにわかりあえない。 そういう経験は自分もあったし、ズキズキと古傷が痛む感じがした。 自分の経験としては、いつもカッターシャツがシワだらけで、名字が3年で3回かわった子とか、日常会...

一話一話読み進めるごとに書かれている感情が、より生々しく感じた。 育ってきた環境の違いで、わかりたいのにわかりあえない。 そういう経験は自分もあったし、ズキズキと古傷が痛む感じがした。 自分の経験としては、いつもカッターシャツがシワだらけで、名字が3年で3回かわった子とか、日常会話はしつつも深く踏み込めなかったもどかしさがある。 確かにその子からしても踏み込めなさを感じていたのかもしれない。 どこまで踏み込むのか、大人になっても迷うことは多々ある。 子供がそういう問題に直面していたら声をかけるのか、どうしようかと考えてしまった。

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2024/06/06

なんて繊細な物語なんだろう。 主人公を変えつつもクロスオーバーしていく物語。 心に何かしら「ない」を抱えた人たちの物語は他人事とは思えず、心に響く。 どの話にも自分の欠片を見つけた。 人間の外側から見える姿と本質の部分って同じようで少し違うんだと思う。 外側から見える姿は角度を変...

なんて繊細な物語なんだろう。 主人公を変えつつもクロスオーバーしていく物語。 心に何かしら「ない」を抱えた人たちの物語は他人事とは思えず、心に響く。 どの話にも自分の欠片を見つけた。 人間の外側から見える姿と本質の部分って同じようで少し違うんだと思う。 外側から見える姿は角度を変えると全く違って見えるけれど、本質の部分って見えないけれど確固としたものなのではないだろうか。本質=骨なのかな…と私は思った。 彩瀬まる作品、読まなきゃ。

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2024/05/14

言葉を選び、選びながら寡黙に テーマは“喪失” 10年前に妻であり母親を亡くした、父娘を中心とした連作短編集 「指のたより」 妻を亡くした後、娘との生活を大切に暮らしてきた父親に心惹かれる女性が現れる 妻の日記に残された言葉 誰もわかってくれない 亡くなる前の記憶と妻の出てくる...

言葉を選び、選びながら寡黙に テーマは“喪失” 10年前に妻であり母親を亡くした、父娘を中心とした連作短編集 「指のたより」 妻を亡くした後、娘との生活を大切に暮らしてきた父親に心惹かれる女性が現れる 妻の日記に残された言葉 誰もわかってくれない 亡くなる前の記憶と妻の出てくる夢が交差する 最後の「やわらかい骨」 こちらは、高校生の娘の視線 父親との生活に過不足はないものの、自分では気が付かないほど本来の母親の不足 宗教家一家の転校生との短いけれど篤い交流 この章は、若くも深い感情が静かに描写されていて、若い世代にお勧めしたい 「古代のバームロール」 父親と親しくなりそうだった女性 彼女の高校時代の友人達の現在 「ばらばら」 前作の女性の友人 器用に生きていそうな彼女の子育ての悩み 育った家庭のトラウマ 旅先で甘え上手な少女と出会う 「ハライソ」 前作の少女とゲーム内の友人の大学生 架空の世界の友人との現実世界の相談 それぞれは、短編なのにきちんと物語が変わる 繋がってはいくけれど、別の喪失に観点が変わる 描ける世界が広いなと思いました

Posted byブクログ

2024/02/03

そのまま描かれている訳ではないのに、なぜか心にストレートに響くみたいな、そんな小説でした。 みんな黒を抱えてる、わざわざ見せないし、だから他の人のそれにも気づかない、そしてそれを忘れちゃうから羨んでしまったり、憎んでしまったり、踏み込んでしまったり。どっちが悪いとかじゃない、違う...

そのまま描かれている訳ではないのに、なぜか心にストレートに響くみたいな、そんな小説でした。 みんな黒を抱えてる、わざわざ見せないし、だから他の人のそれにも気づかない、そしてそれを忘れちゃうから羨んでしまったり、憎んでしまったり、踏み込んでしまったり。どっちが悪いとかじゃない、違う部分にはあまり触れず、加減しながら付き合っていくのが利口。それが全てではないと思うけど、とても良いお話でした。

Posted byブクログ