骨を彩る の商品レビュー
読み終わった後、ふわふわと浮つく気持ちと、身体が痺れるほどの衝撃とに打ちのめされる。うまく言葉には表せないけれど、良い。 あさのあつこさんのあとがきがまた、良い。 確かに、若返ったような、懐かしいような気分になる。まだこんな気持ちを理解できる自分がいたんだ、とか。 その人...
読み終わった後、ふわふわと浮つく気持ちと、身体が痺れるほどの衝撃とに打ちのめされる。うまく言葉には表せないけれど、良い。 あさのあつこさんのあとがきがまた、良い。 確かに、若返ったような、懐かしいような気分になる。まだこんな気持ちを理解できる自分がいたんだ、とか。 その人自身が捉える自分の人生と、他人から見たその人の人生って、全然違うものなんだ。それを丁寧に丁寧に教えてくれる。 言葉も然り。発した言葉と、受け取られた言葉。全然違っちゃう。言葉ってとても難しいのだ。 最近、無責任で、悪い意味で一元的な世論、ネット社会に嫌気がさしていたから、すごく良い薬になった。 「あの人、〇〇教徒なんだって。へー、距離おこう。」ってなるし、なっちゃうし。自分がその立場にないからこそ決めつけて、遠ざけて、はたまた強い言葉で否定して(本人に言わなくとも)。そうやって生きてるよなぁ。それ自体が悪いことではないのかもしれないけれど、それを自覚せずに生きてることは、なんって勿体無く、みっともなく、恥ずかしいことなんでしょう。 はぁ、また読もう。絶対読もう。
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人は皆、なにかが足りない、どこか満たされない、骨が疼くような「ない」を抱えて生きている…。緩やかに繋がる5つの物語の主人公たちは、それぞれ自分の中にある「穴」を埋めようともがいています。他人と比べてしまいがちですが、自分の中の「穴」は、自分にしか埋めることはできないのだ。静かな物...
人は皆、なにかが足りない、どこか満たされない、骨が疼くような「ない」を抱えて生きている…。緩やかに繋がる5つの物語の主人公たちは、それぞれ自分の中にある「穴」を埋めようともがいています。他人と比べてしまいがちですが、自分の中の「穴」は、自分にしか埋めることはできないのだ。静かな物語ですが、本書の美しい装丁のように柔らかな黄色い光が感じられ、読み終えたときに、私の「穴」も埋まったような暖かい気持ちになりました。とても良い作品でした。3話目が一番好き。タイトルと装丁も好き。
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章ごとに主人公がかわる群像劇。 最後の、母を幼くして亡くした小春と 家族ぐるみで新興宗教に入信していることでいじめられている葵のくだりが なかなか衝撃的だった。 立場を理解することの難しさ。 相手にアドバイスをするてのは 自分の都合、立場に相手を無理やり寄せようとすることでもあ...
章ごとに主人公がかわる群像劇。 最後の、母を幼くして亡くした小春と 家族ぐるみで新興宗教に入信していることでいじめられている葵のくだりが なかなか衝撃的だった。 立場を理解することの難しさ。 相手にアドバイスをするてのは 自分の都合、立場に相手を無理やり寄せようとすることでもあるんだな。 美しい終わり方をする。 いい本だった。
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5人は緩く繋がっている 繋がっているけれど、それぞれに見えている景色は全く違うしそれぞれの世界を持っている 謝りたい人変な人家族になりたい人大人になりたい人素直に生きたい人 人が思ってるより色んな悩みがあって性格も違う 3つ目の話が最後の台詞にとてもほっこりして好き 美しい景色と...
5人は緩く繋がっている 繋がっているけれど、それぞれに見えている景色は全く違うしそれぞれの世界を持っている 謝りたい人変な人家族になりたい人大人になりたい人素直に生きたい人 人が思ってるより色んな悩みがあって性格も違う 3つ目の話が最後の台詞にとてもほっこりして好き 美しい景色と雰囲気が浮かんできて心地良い、最初と繋がったとても素敵なラストで、晴れ晴れとした気分になれました
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彩瀬まるの話は、胸がえぐられるけど最後にふんわり希望を残してくれる。 登場人物がゆるりと繋がっているから、前作での印象がガラリと変わって面白い。 他人から見られている自分って全然一致しない。
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新進気鋭の女流作家が描く喪失感を湛えた人の姿を描いた5つの連作短編はどれもただ寂しいだけに終わらないのが好印象でした。最初とラストとのシンクロ具合が読後の清涼感を誘います。感動溢れるとは言えないものの、そこがいい、お薦めの一冊です。
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十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。 そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ…。 彼女はどんな気持ちで死んでいったのか-。 わからない、取り戻せない、どうしようもない。 心に...
十年前に妻を失うも、最近心揺れる女性に出会った津村。しかし罪悪感で喪失からの一歩を踏み出せずにいた。 そんな中、遺された手帳に「だれもわかってくれない」という妻の言葉を見つけ…。 彼女はどんな気持ちで死んでいったのか-。 わからない、取り戻せない、どうしようもない。 心に「ない」を抱える人々を痛いほど繊細に描いた代表作。 津村から始まり、連作短篇の形を取りつつ、周りの人々を描き、巡り巡って、物語は津村のもとに戻ってくる。 読んでる間、痛くて、切なくて、苦しくて、困ったなと思ってたんだけど、そのままで終わらなくてよかった〜。 久々に、じんわりと心に沁みたわ〜〜!!!
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短編集。もやもやーっとした捉えがたい不足感みたいなものを消化していく話。明るすぎず、重すぎず、帰り道に読むといい感じに染みる。
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読み始めてから最後の「やわらかい骨」の途中まで、失敗したなと思っていた。 ページを開いた時の文字の詰まり具合が読みにくかったし、暗くて陰気な雰囲気が漂っているようで、全然面白いと感じられなかった。 でも、「やわらかい骨」を読んでいるうちに、この本自体、良いかもって思えてきた。 し...
読み始めてから最後の「やわらかい骨」の途中まで、失敗したなと思っていた。 ページを開いた時の文字の詰まり具合が読みにくかったし、暗くて陰気な雰囲気が漂っているようで、全然面白いと感じられなかった。 でも、「やわらかい骨」を読んでいるうちに、この本自体、良いかもって思えてきた。 しっかりしているようで不安定な小春、葵、2人がとても瑞々しくて懐かしかった。 自分はどんな出来事や人で形作られているんだろう?
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二作目、読みやすい。 登場人物は、辛い悲しいところもあるけど皆いい人たち。宗教の話は興味深い。チャットしながらゲームする描写があったが、それがただの一つの要素として描かれるほど、何年か前から一般的なことだったのかとびっくりした。 船の上にて
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