妻が椎茸だったころ の商品レビュー
5つの『偏愛』短編。 すべて不思議で少しドキッとするようなお話。 なんとなく神秘的な雰囲気が漂っているのは、 大体のお話に植物や食物、動物の存在が特別なものに使われているからかな…と思った。 人の台詞よりその存在こそがこのお話たちを形作っているような気がする。 もしかして、それ...
5つの『偏愛』短編。 すべて不思議で少しドキッとするようなお話。 なんとなく神秘的な雰囲気が漂っているのは、 大体のお話に植物や食物、動物の存在が特別なものに使われているからかな…と思った。 人の台詞よりその存在こそがこのお話たちを形作っているような気がする。 もしかして、それらと人間の違いなんてないのかもしれないと思う。
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消し去りたい過去の恋も 渦中にあっては幸福で満たされていた そういった記憶から生まれる物語もあるだろう たとえば異種婚姻譚 結ばれなかった恋人たちがみんな 自然界の化身だったということにしてしまえば それはやはり美しい物語である ときには狩人のように 食ってしまうこともあったかも...
消し去りたい過去の恋も 渦中にあっては幸福で満たされていた そういった記憶から生まれる物語もあるだろう たとえば異種婚姻譚 結ばれなかった恋人たちがみんな 自然界の化身だったということにしてしまえば それはやはり美しい物語である ときには狩人のように 食ってしまうこともあったかもしれないけれど
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短編集。 どの話も「で、続きは?」と思うものだった。 後は読者が色々想像してね、ということなのかもしれない。 「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」が一番面白かった。 「妻が椎茸だったころ」も面白かった。お料理教室の先生がいつかどこかでといったのは最後の一文の寄り添っ...
短編集。 どの話も「で、続きは?」と思うものだった。 後は読者が色々想像してね、ということなのかもしれない。 「リズ・イェセンスカのゆるされざる新鮮な出会い」が一番面白かった。 「妻が椎茸だったころ」も面白かった。お料理教室の先生がいつかどこかでといったのは最後の一文の寄り添って揺れる椎茸のことなのかなぁ?
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ちょっと不思議な余韻の漂う短編5作品。 どれもラストでドキリとしたりヒヤリとしたり。短編ながらも中身は濃い。 一番印象深いのは、タイトルがインパクト大の表題作。 亡き妻のレシピ帳で見つけた謎のメモ。 不思議に思った夫は、妻のレシピ帳により今まで知らなかった妻を発見する。 レシピ帳を読みながら妻の姿を追い妻に寄り添う夫の姿に、読んでいて優しい気持ちになる。 そしてラストの一行には泣けた。 彼の妻は「椎茸」だったけれど、では私は何かな、とふと考える。 …私は若布かな。海の中をゆらゆら漂いながら海上の柔らかい光を感じたい。
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面白かったです。不思議でかわいい短編集でした。表題作は再読でしたが、再読でも旦那さんがかわいくて好きです。わたしは何だっただろう、と考えたりしました。1番初めのお話と、ハクビシンのお話も好きでした。1番初めのお話は、最後に物語の世界が変わって驚きました。これまでクスクス笑いながら...
面白かったです。不思議でかわいい短編集でした。表題作は再読でしたが、再読でも旦那さんがかわいくて好きです。わたしは何だっただろう、と考えたりしました。1番初めのお話と、ハクビシンのお話も好きでした。1番初めのお話は、最後に物語の世界が変わって驚きました。これまでクスクス笑いながら読んでいたのは何だったのだろう…怖い。なんだか白昼夢を見ていたような読後感でした。好きな空気です。
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中島京子さん「妻が椎茸だったころ 」読了。中島さん独特の不思議感が満載の5つの短篇。この感覚好きです。☆4つです。性的なエピソードも、不思議なテイストになり、いい感じ。あっ、第42回泉鏡花賞受賞作か‥なるほど
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※このレビューにはネタバレを含みます
どれも癖のある短編で、逆に表題作だけほっこりとした終わり方をしていて違和感を覚えてしまって面白かった。この本のタイトルを知ったとき、「妻が椎茸だったころ、私は○○だった」というフレーズを頭の中で反復してしまっていたが、その答えはジュンサイだった。ジュンサイ。料理をしないからそれが何か分からない。 この短編集に一貫したテーマがあるとすれば、食べる女、だろうか。ラフレシアナは自分が喪女なのもあって読後感がしんどかった。
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全体から漂う雰囲気最高だなあ。表題の「妻が椎茸だったころ」と「ハクビシン」の話が一番よかったな。妻に先立たれた夫が料理と出会う。初めは文句たらたら。でも妻の料理日記を読んで行くうちに知らなかった妻の一面が分かるようになって、もういないけれどうんと愛情を感じるようになって。椎茸にな...
全体から漂う雰囲気最高だなあ。表題の「妻が椎茸だったころ」と「ハクビシン」の話が一番よかったな。妻に先立たれた夫が料理と出会う。初めは文句たらたら。でも妻の料理日記を読んで行くうちに知らなかった妻の一面が分かるようになって、もういないけれどうんと愛情を感じるようになって。椎茸になっても寄り添っているなんてステキだよ。「ハクビシン」、おそらくみんな思っていると思うけれど、彼もおじさんもハクビシンだったんだろう。相手が動物でもさ、心通わせて生活できるなら幸せだよね。しかもその情は子孫にまで伝承されるんだから。
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17/05/21 ちょっと怖くて愛おしい、とあるけれど、ちょっと怖いがほぼで、愛おしさを感じるのは2/5。リデル通りの話、猿宿の話がよかった。
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興味深いタイトルに思わず衝動買い。なるほどそういう意味か。僕も自分が椎茸だったころを思い出していた。そして今度、妻が椎茸だったころの話を聞いてみたいと思った。 あらすじ(背表紙より) 亡き妻のレシピ帖に「私は椎茸だった」という謎のメモを見つけた泰平は、料理教室へ。不在という存在を...
興味深いタイトルに思わず衝動買い。なるほどそういう意味か。僕も自分が椎茸だったころを思い出していた。そして今度、妻が椎茸だったころの話を聞いてみたいと思った。 あらすじ(背表紙より) 亡き妻のレシピ帖に「私は椎茸だった」という謎のメモを見つけた泰平は、料理教室へ。不在という存在をユーモラスに綴る表題作のほか、叔母の家に突如あらわれ、家族のように振る舞う男が語る「ハクビシンを飼う」など。日常の片隅に起こる「ちょっと怖くて愛おしい」五つの「偏愛」短編集。泉鏡花賞受賞作。
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