慈雨 の商品レビュー
過去に自分が関わった事件で冤罪を犯したかもかもしれない刑事がお遍路さんしながら過去そして冤罪によって引き起こされた新たな犯罪に向き合うストーリー。ぐっと熱くなって泣いてしまう。 この本を読んでいて柚月さんのお話しが好きな理由が分かった気がする。多分、刑事にしてもヤクザにしても柚...
過去に自分が関わった事件で冤罪を犯したかもかもしれない刑事がお遍路さんしながら過去そして冤罪によって引き起こされた新たな犯罪に向き合うストーリー。ぐっと熱くなって泣いてしまう。 この本を読んでいて柚月さんのお話しが好きな理由が分かった気がする。多分、刑事にしてもヤクザにしても柚月さんが描く人間は、苦しみながらも最後は救われる。苦しんで苦しんで苦しんだからこそ最後に救われるというあたりに、読んでいるこちらも救われるのかもしれない。 いや待てよ。弧狼シリーズは誰も救われないな。救われないシリーズを読んだ後に、これ読んだから感動したのかも。
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お遍路で四国八十八ヶ所巡り始めた定年退官したばかりの元刑事とその妻。なぜ、刑事はお遍路をしているのか。刑事が封印している過去の過ちと同時進行する幼児殺害事件が絡み合い、徐々に真実が明らかになっていく。というミステリ仕立ての警察小説。よく出来た筋立てでどんどん引き込まれるが、どうも感情移入しにくい。犯人以外、登場人物があまりにも正義感の強いいい人ばかりだからかもしれない。金儲けと保身に明け暮れる腹黒い人々ばかりを見ている昨今、現実味が欠けるのかもしれない。
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著者を知らずに読めば、まるで男性作家が書いた小説のような印象。そう、横山秀夫的な。 四国巡礼の手引書にもなりそうな本書。 結末ははっきり記されてはいないけど16年前の幼女誘拐殺人事件は冤罪だった。今回の愛里菜ちゃんを殺害した同一犯人だったってこと。 なんで、神野が娘(養女)の結婚相手の後輩刑事、人柄、優秀さにも申し分ない緒方に強固に結婚を反対しているのか、謎だったけど、自分と同じ苦労する刑事の嫁にさせたくないだけ、えっ、そんな理由?と思ってしまったよ。 冤罪を見逃した罪(といっても上からの命令でやむなく、しかも独自で調査もしていたというのに)を打ち明けて離婚もやむなしと考えるとこも?だったな。 香代子(妻)の性格からいって絶対そんなこと応じるわけないじゃん。 この作家のは今回、初めて読んだ。 次はないかな…。
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最初は正義感の強い元刑事が、正義感のあまり退職後に事件にも口出しをしているのかと思いきや、意外なところで線が繋がり… 最初はOBは引っ込むべきだと思っていたが、読み進むにつれて執着する理由が分かり、最後には主人公の気持ちに共感しながら事件を追いかけていた。
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『慈雨』という題名が素敵。退職した警官がお遍路しながら現在・過去の幼女殺人事件に思いを馳せる、人間ドラマ。ミステリー要素は少ない。自分がお遍路というものに『業をしょった人々の修行のような』イメージがあり、そこに悲惨な事件が絡むストーリーなので、中盤までは暗い気持ちが澱のように溜ま...
『慈雨』という題名が素敵。退職した警官がお遍路しながら現在・過去の幼女殺人事件に思いを馳せる、人間ドラマ。ミステリー要素は少ない。自分がお遍路というものに『業をしょった人々の修行のような』イメージがあり、そこに悲惨な事件が絡むストーリーなので、中盤までは暗い気持ちが澱のように溜まっていき...。ドンヨリした気分になった。後半からは人間ドラマが動き出し、「俺は死ぬまで刑事」という熱い警察官達の思いに心が灯った。こんなにも善人揃いなのだろうか...という疑問はあったが、感動の前には野暮だと打ち消した。
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警察官を定年退職し夫婦でお遍路の旅に出た神場。途中で幼女殺害事件を知り、過去に自分が携わった事件と酷似していることに気づき、かつての部下と電話で連絡を取る…。過去の事件に対する傷と悔恨もあり、ただひたすら第三の事件を起こすまいと考える神場と、彼を信じて動くかつての同僚と部下。こん...
警察官を定年退職し夫婦でお遍路の旅に出た神場。途中で幼女殺害事件を知り、過去に自分が携わった事件と酷似していることに気づき、かつての部下と電話で連絡を取る…。過去の事件に対する傷と悔恨もあり、ただひたすら第三の事件を起こすまいと考える神場と、彼を信じて動くかつての同僚と部下。こんなに重い話なのに読後感じるのは、とにかくたくさんの人たちの正義感と優しさ。お遍路の旅の途中で出会う人々からのハッとする言葉の数々。奥様の強さ。ラストシーンに、そして「慈雨」という題名に納得の物語でした。
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「小雨でもいい。空が少しでも泣いてくれれば、身体に纏わりつく黒い澱みが、わずかでも流れ落ちそうな気がする」 慈雨…それは万物を潤す雨であり、待望の恵みの雨。 自ら犯した過ちを長年に渡り秘かに抱える元刑事の澱んだ心に、慈しむような優しい雨が降り注ぐ。 膿んだ心の古傷も後悔の念も綺麗さっぱり流してくれる。 16年間決して忘れることのなかった幼女殺害事件。 刑事を定年退職した神場は、被害にあった幼女の惨たらしい姿を片時も忘れたことはない。 新たに起こった同様の幼女殺害事件をきっかけに、過去の事件を照らし合わせ、元同僚の刑事達と共に暗礁に乗り上げた難事件に再び挑む。 16年間に及ぶ苦しみの決着をつけた神場だったけれど、事件を解決できたのは刑事達、男だけのお陰ではない。 側で支えた妻の慈愛に満ちた手の温もりも決して忘れてはならない。 ラストは大地に優しさがじんわりと染み渡るような穏やかな気持ちになれる物語だった。
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犯人を捕まえたとしても 犯罪がおきなかったことには、ならないってことが悲しかった。スッキリせず、嫌な気持ちが続いてしまうんですね。 それと警察内部の問題もあったりして 冤罪の可能性があってもそれを言えなかったりと 読んでいて苦しかったです。(-_-;) お遍路のたいへんさや 楽し...
犯人を捕まえたとしても 犯罪がおきなかったことには、ならないってことが悲しかった。スッキリせず、嫌な気持ちが続いてしまうんですね。 それと警察内部の問題もあったりして 冤罪の可能性があってもそれを言えなかったりと 読んでいて苦しかったです。(-_-;) お遍路のたいへんさや 楽しさも伝わってきました。 いい本でした。
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いい本に巡り合いました。こんなにも感動したのは久々です。読後、感動の余韻が続きそうです。柚月裕子 著「慈雨」、2016.10発行です。警察官を定年退官し、夫婦で巡礼の旅に出るという設定で、現役警官の幼女殺人事件解決の糸口を探しつつ、警察官と人間、上司と部下、親と子、夫と妻、恋人同...
いい本に巡り合いました。こんなにも感動したのは久々です。読後、感動の余韻が続きそうです。柚月裕子 著「慈雨」、2016.10発行です。警察官を定年退官し、夫婦で巡礼の旅に出るという設定で、現役警官の幼女殺人事件解決の糸口を探しつつ、警察官と人間、上司と部下、親と子、夫と妻、恋人同士、旅で袖すり合う者、いろんな人間関係の心の内が丁寧に描かれています。愛すべき人間たちへの讃歌です。正義感に溢れ、優しく、正直でストイックな人間たちに拍手を!
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久しぶりに泣けた一冊でした。 が、犯人がより大きいトラック等に犯行車を積み込む手法などは警察くらいならすぐに気づき検問時に発見しやすいと思うのに、種明かし的にはいまひとつすっきりしない。
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