犯罪小説集 の商品レビュー
犯罪に手を染めてしまった人たちの物語。ジャンル的にはミステリと言えるかもしれないけれど。「あの人が犯人だったのか!」という驚きとは無縁。そして犯人は決して特殊な人というわけでもなく。いったい何があって、どのように犯行に走ってしまったか、の物語は、重くも悲しい雰囲気に満ち溢れていま...
犯罪に手を染めてしまった人たちの物語。ジャンル的にはミステリと言えるかもしれないけれど。「あの人が犯人だったのか!」という驚きとは無縁。そして犯人は決して特殊な人というわけでもなく。いったい何があって、どのように犯行に走ってしまったか、の物語は、重くも悲しい雰囲気に満ち溢れています。もちろん本人に責任がないわけではないのだけれど。それでもやりきれない感がひしひしと襲い来る印象でした。 お気に入りは「曼珠姫午睡」。この本の中でもっとも第三者目線から語られている物語なのですが、逆に犯罪そのものを身近に感じられた気もしました。犯罪者と言っても特別な人間ではなく、一歩踏み外せばそちらの境界を越えてしまうのかも、という危うさを感じさせられます。
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5つの犯罪の物語。 読みながらこれはあの事件がモチーフなんだな、とか、これはあの人がモデルだな、とか思いながら読む。 犯罪はそれがどんなものであっても、どんな理由があったとしても、許されるものじゃない。でもこの5つの物語を読むと一つの犯罪が行われるまでにはいくつかの分岐点といくつ...
5つの犯罪の物語。 読みながらこれはあの事件がモチーフなんだな、とか、これはあの人がモデルだな、とか思いながら読む。 犯罪はそれがどんなものであっても、どんな理由があったとしても、許されるものじゃない。でもこの5つの物語を読むと一つの犯罪が行われるまでにはいくつかの分岐点といくつかの偶然と、そしていくつかの扉があったのにな、と思う。誰かがどこかの時点でその犯罪への道を変えることができたはずなのに、とそう思ってしまう。許されないことだし許してはいけないことだとは思うけれど。やりきれない思いで溺れそうだ。
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人間の本性が出るということなの、犯罪って!? 我慢のできる人なら罪を犯すことなく平穏に日々を過ごせるということか……。
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5つの事件と、それらが起こった背景、人間模様、人の心の内、見た目からは想像つかない裏の顔、嫌な面をあぶり出すかのようである。村社会独特の閉塞感、スナックママの痴情による悲惨な事件、元プロ野球選手の金銭がらみによって栄光から地位、名誉が一気に堕ちた事件、社長がバカラによる罪、そこに...
5つの事件と、それらが起こった背景、人間模様、人の心の内、見た目からは想像つかない裏の顔、嫌な面をあぶり出すかのようである。村社会独特の閉塞感、スナックママの痴情による悲惨な事件、元プロ野球選手の金銭がらみによって栄光から地位、名誉が一気に堕ちた事件、社長がバカラによる罪、そこに至るまでに、過去を掘り下げ、心の闇を映し出していて、後味の悪さ、救われないものを感じてしまう。ちょっとしたことが制御が効かなくなったことで、幸福そうな生活、地位、名誉が一瞬で無になってしまう恐ろしさを精巧に表現されている。
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2005年 今市女児殺害事件 台湾出身 骨董商手伝い 2009年 首都圏連続不審死事件 木嶋佳苗 2011年 大王製紙事件 カジノ 2013年 山口連続殺人放火事件 「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」村八分 2016年 清原和博覚せい剤取締法違反
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短編ながらも、いずれも読み応えのある五編でした。いつもながら、細かい所まで気が利くというか、人の気持ちを文章にするのが上手いなぁと感じます。どれも印象深いですが、「百家楽餓鬼」が良かった。
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人間の内側、 自分さえも気づかない機微を描いてゆく様が鋭い。転がしてしまうのは神か悪魔か。 短編集。どの話もありがちな人間のありがちな日々。なのにどうして『犯罪』と呼ばれるものに一歩踏み出すことになるのか、読んでいて悲しく切ない。 「白球白蛇伝」では、蚊帳の外のはずの私も号泣。
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著者は長編の人だなと思った。 全部の短編がまだまだストーリーがありそうで。 バチもののブランドバッグを売ってるフィリピンの親子の話し。(青田Y字路) 蜂蜜を作ってるは心優しい大男、誤解が誤解をよんで村八部になり、凄惨な村人殺しまで発展してしまう話(万屋善次郎)心に残った。
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人が殺人を犯すほどの闇を育てる過程を描いた短編集。育った家庭の事情、環境、生まれながらの性質、誤解や病…そして復讐。様々な原因があるけれど、どんな理由であれ殺してしまったらもう取返しがつかない。自分だけでなく家族も周囲も巻き込まれ、何より被害者遺族の苦しみは計り知れない。絶対悪、...
人が殺人を犯すほどの闇を育てる過程を描いた短編集。育った家庭の事情、環境、生まれながらの性質、誤解や病…そして復讐。様々な原因があるけれど、どんな理由であれ殺してしまったらもう取返しがつかない。自分だけでなく家族も周囲も巻き込まれ、何より被害者遺族の苦しみは計り知れない。絶対悪、最悪の罪。でもその原因の中には、悲しい現実もあった。そうせざるを得なかった罪人もまた、哀れな一面がる。人が壊れて行く過程を見せつけられるような、少し不気味な短編集でした。
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2016/12/3 罪を犯した人たちのお話。 なぜこうなってしまったのか、仕方ないと思う人もいれば、罪を犯す羽目になって可哀想に思う人もいた。 元の事件があるのでは?と検索してしまいそうになるくらい、リアリティがありすぎてなんだか気が塞ぐ。と思ったら実際にあった事件を題材にして...
2016/12/3 罪を犯した人たちのお話。 なぜこうなってしまったのか、仕方ないと思う人もいれば、罪を犯す羽目になって可哀想に思う人もいた。 元の事件があるのでは?と検索してしまいそうになるくらい、リアリティがありすぎてなんだか気が塞ぐ。と思ったら実際にあった事件を題材にしてるみたい!気になる!
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