犯罪小説集 の商品レビュー
ミステリではありません 後味の悪いお話、5編 面白いかどうかという類いの作品ではありません 犯罪に至る描写が巧みで、どれもどこかで見たような事件でした
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犯罪小説集と銘打った一冊のなかに5編の小説。さすが吉田修一で5編ともそれぞれ違った視点から描かれた物語。そして「犯罪」って何だろうと思わされる。 犯罪って端的にいえば、触法だろうか。たとえば、1編目の「青田Y字路」の豪士は、おそらく触法という意味での犯罪を犯しているけど、周囲の彼...
犯罪小説集と銘打った一冊のなかに5編の小説。さすが吉田修一で5編ともそれぞれ違った視点から描かれた物語。そして「犯罪」って何だろうと思わされる。 犯罪って端的にいえば、触法だろうか。たとえば、1編目の「青田Y字路」の豪士は、おそらく触法という意味での犯罪を犯しているけど、周囲の彼を疑う人たちもまた、触法ではないけれど罪を犯しているような気がする。そして周囲の人たちはそのことにまったく自覚的でない。一方、2編目「曼珠姫午睡」の英里子など、罪にもならないちょっとした秘めごとを罪と感じているのでは。法に触れれば罪、自分がそう思えば罪、そして無自覚なままに犯される罪もある……。 「青田Y字路」で特に感じたんだけど、三人称で書かれていながらときどきふわっと視点が変わるような違和感があって、なるほど、三人称で書くってけっしてニュートラルな立場ではないんだなと思った。よくある書き方だと、三人称で書いていても、たとえば主人公を中心に据えていたり、一定の固定された視点から語っているものだと思う。それが豪士寄りだったり別の登場人物寄りだったりと定点が変化する。この書き技をもって、犯罪って何だろう、だれが罪を犯した人なのだろうと考えさせる吉田修一の巧みさよ。
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実際にあった事件を元にした犯罪小説短編集。どちらかというと犯罪者の視点からの描写の多い。その話も何とも言えない哀しさが残る。 犯罪には様々な背景や事情があるものの誰も幸せにはしない。
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終わりを読者に投げる締め方なので、この後どうなったの?どういう意味?ともやもやした。私の読解力の無さゆえですが。
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2020.07.25 どのお話も読んでいてなんとも言えず暗い気持ちになる話ばかりだった。 最後にスッキリするわけでもなく読み手にモヤッとその後を委ねる感じがなんともイヤミスな…。 読んだ後に知りましたがどれも実際に起こった事件がモチーフということで読後感にモヤモヤが残るのはさ...
2020.07.25 どのお話も読んでいてなんとも言えず暗い気持ちになる話ばかりだった。 最後にスッキリするわけでもなく読み手にモヤッとその後を委ねる感じがなんともイヤミスな…。 読んだ後に知りましたがどれも実際に起こった事件がモチーフということで読後感にモヤモヤが残るのはさもありなんという感じ。 「青田Y字路」は結局偽ブランド品親子の息子が犯人なのか?とよくわからなかった。社会的弱者だから疑われた?それで息子がキレた? 「白球白蛇伝」がお話としていちばん上手くまとまってたと思う。 野球が上手い少年は加害者家族としてこれから苦難の道を歩むんだろうなと思うと切ない。 次は逃亡小説集を読みます。
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『横道世之介』のような楽しい小説があるかと思えば『悪人』や『怒り』のように切ない小説もある吉田修一の小説は「人生小説」と位置づけている。 今回は映画『楽園』の原作であるということもあり読了。前三作と比べると少し落ちるがやはり「人生小説」集だった。
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20/01/01読了 kindle unlimitedで年末年始に読んだ本。これで年を越し新年を迎えてよかったのか。 やりきれないほうの吉田修一節でした。映画 楽園の原作とは知らなかった。
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この作者の奥行きの深さを感じさせます。いろんな色合いの違う作品を紡ぎ出す力量に感服します。個人的には「横道世之介」のような作品が好きですが。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
やっぱりこの人、巧い。 ドロドロしてたり不気味だったり救いのない話を書いたと思えば、希望の持てる話を書いたり。 短編集だけど、それぞれひとつの単行本(長編)としても十分通用するのではないかという深みのある作品だった。
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実際の事件をモチーフにした5編。こんなに重いとは思いませんでした。第三者視点から、嫌になるほどリアルな表現で語られる出来事に、登場人物と同じように感じ同じように経験したように背筋から嫌な汗が流れます。例えば「曼珠姫午睡」の子供のころのテニスの試合。息遣いや罵声、空気まで伝わってく...
実際の事件をモチーフにした5編。こんなに重いとは思いませんでした。第三者視点から、嫌になるほどリアルな表現で語られる出来事に、登場人物と同じように感じ同じように経験したように背筋から嫌な汗が流れます。例えば「曼珠姫午睡」の子供のころのテニスの試合。息遣いや罵声、空気まで伝わってくるほど表現が巧みです。他に「百家楽餓鬼」「万屋善次郎」が特にリアルで印象的でした。どれも絶対に許せない。でもどれもが別世界の出来事ではない。一ページごとに足元がずぶずぶと泥にはまっていくような怖さとやりきれなさが残りました。
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