1,800円以上の注文で送料無料

サピエンス全史(下) の商品レビュー

4.4

388件のお客様レビュー

  1. 5つ

    204

  2. 4つ

    103

  3. 3つ

    34

  4. 2つ

    8

  5. 1つ

    1

レビューを投稿

2021/09/05

この書の物言いに苛立ちを覚えたり、挑発のニュアンスを感じた人はそれを筆者の主張と取り違えているのかもしれない、と章の途中で思った。かくいう自分がこの思考に陥りそうになったからである。たとえば有神論の宗教と自然法則の宗教を同一に考える箇所がある。『不快に感じる読者もいるかもしれない...

この書の物言いに苛立ちを覚えたり、挑発のニュアンスを感じた人はそれを筆者の主張と取り違えているのかもしれない、と章の途中で思った。かくいう自分がこの思考に陥りそうになったからである。たとえば有神論の宗教と自然法則の宗教を同一に考える箇所がある。『不快に感じる読者もいるかもしれない』などとわざわざ書いているあたり、かなり意図的な挑発に思えるだろう。実際、「サピエンス史」そのものがそういった構成になっていて、事実というエッセンスを使って「〜とも言える」とか「〜だろう」という若干歯切れの悪い論法が使われがちであるからだ。だが、これを読み進めるうちにふと気づいたのだが、この書物はそもそも事実を言い切るためのものではなくて、むしろいま現在ある想像上の秩序を分解して読者に吟味させるためにあるのだ。だから別々の概念をごっちゃに捉えられた!と怒る人もいるのかもしれない。とはいえ、そういった作業をしなければ我々ホモサピエンスが取りこぼしたかもしれない重大な罪や、想像上の秩序とさえ気づいていない概念を人間の届かない場所から引きずり落とすことは叶わないのだ。我々が我々を理解する。そのためにこの書物は必要だと感じた。

Posted byブクログ

2021/08/20

ー 利益は浪費されてはならず、生産に再投資すべきであるとする実業家の資本主義の価値体系と、消費主義の価値体系との折り合いを、どうすればつけられるか?じつに単純な話だ。過去の各時代にもそうだったように、今もエリート層と大衆の間には分業がある。中世のヨーロッパでは、貴族階級の人々は派...

ー 利益は浪費されてはならず、生産に再投資すべきであるとする実業家の資本主義の価値体系と、消費主義の価値体系との折り合いを、どうすればつけられるか?じつに単純な話だ。過去の各時代にもそうだったように、今もエリート層と大衆の間には分業がある。中世のヨーロッパでは、貴族階級の人々は派手に散財して賛沢をしたのに対して、農民たちはわずかのお金も無駄にせず、質素に暮らした。今日、状況は逆転した。豊かな人々は細心の注意を払って資産や投資を管理しているのに対して、裕福ではない人々は本当は必要のない自動車やテレビを買って借金に陥る。 資本主義と消費主義の価値体系は、表裏一体であり、二つの戒律が合わさったものだ。富める者の至高の戒律は、「投資せよ!」であり、それ以外の人々の至高の戒律は「買え!」だ。資本主義・消費主義の価値体系は、別の面でも革命的だ。以前の倫理体系の大半は、人々にずいぶんと厳しい条件を突きつけてきた。人々は楽園を約束されたが、それは思いやりと寛容さを養い、渇望と怒りを克服し、利己心を抑え込んだ場合に限られた。ほとんどの人にとって、これはあまりに難し過ぎた。倫理の歴史は、誰も達成できない素晴らしい理想の悲しい物語だ。キリスト教徒の大半はキリストを真似ず、仏教徒の大半はブッダに倣えず、儒者の大半は孔子に癇癪を起こさせただろうような振る舞いを見せた。 それとは対照的に、今日ではほとんどの人が資本主義・消費主義の理想を首尾良く体現している。この新しい価値体系も楽園を約束するが、その条件は、富める者が強欲であり続け、さらにお金を儲けるために時間を使い、一般大衆が自らの渇望と感情にしたい放題にさせ、ますます多くを買うことだ。これは、信奉者が求められたことを実際にやっている、史上最初の宗教だ。だが、引き換えに本当に楽園が手に入ると、どうしてわかるのか?それは、テレビで見たからだ。 ー 自分が何を望んでいるかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか? 「私たちは何になりたいのか?」ではく「私たちは何を望みたいのか?」を問う作品。 「幸福?」 であるならば、人類史を通じて、なぜ我々はこうも幸福ではなく不幸をあまりにも生み出してきたのか? この謎を解かなければ、未来は開けない。

Posted byブクログ

2021/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ホモサピエンスの歴史が学べる。その歴史に宗教(イスラム、仏教、共産主義等)がはたした役割や、何故、ヨーロッパが、一時期、世界を制していたか、資本主義の地獄を教えてくれる。また、現代の平和の成り立ちも興味深かった。

Posted byブクログ

2021/08/07

びっくりした。てっきり現代史までで終わるのかと思いきや、サピエンスの終焉と、攻殻機動隊の[ネットは広大だわ]の果てしないところまで垣間見てしまった。私たちは何を望みたいのか。。

Posted byブクログ

2021/08/07

面白かった。宗教に始まり、科学革命、資本主義、産業革命、そしてこれからとホモサピエンスの道が分かった。事実の記載だけでなく要所要所問いが入っており、考えさせられた。勉強なったな。

Posted byブクログ

2021/07/29

・文化、自体が精神的な寄生体。ミーム学 ・グリニッジ 鉄道から ブッダ・幸福は感情とは無関係 特定の感情を渇望するのをやめる 内なる感情の追及もやめる

Posted byブクログ

2021/07/06

分かりやすくさらっとまとまっているため、要点を掴めた気になる。 歴史の繋がりがきちんと実感できる本。

Posted byブクログ

2021/07/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 下巻では科学の発展と帝国の繁栄の関係について語られる。スペインやオランダが他の大陸を制圧していったのに対して、中国は国内や隣国との争いに終始してしまったことなど。またヨーロッパの反映はイギリスによるインドへの進出や中国とのアヘン取引などを通じて支配が決定的なものとなる。問題はなぜヨーロッパの国にはそれができて、中国にはできなかったのか?ということ。ここで語られていたのはスペインやオランダによる他国の支配は科学の発展や知識の獲得もモチベーションとなっていたということである。また資本主義が宗教にかわる人々にとっての神話となっていくと、アヘンの取引によってよってひどい状態になるとか、奴隷の過酷な労働によって利益がもたらされているという仄暗い事実には目を向けようとしなくなる、ということも語られる。  終盤は人類にとっての幸福とは何なのかということにテーマが移っていく。核爆弾をもった人類にとって他国を侵略する手段としての戦争はタブーとなった。遺伝子の操作が可能になり自分たちよりも優れた人間を恣意的に生み出せるような段階に到達点している。それは行っていいことかどうか自省することなく技術は発展する。病気を治すことはいいことだということを口実に。いずれ人は人類を越える生物を生み出すのかもしれない。シンギュラリティへの到達である。 人類がたどってきた道はどれ一つとして必然ではなく、自らが望んだものを選び取ってきている。これまでの歴史を振り返って語られるそのメッセージの意味は重く、また未来は今生きている人類の選択次第であると気づかされる。

Posted byブクログ

2021/06/19

殖えるため。 遺伝子的には全てはそこに繋がる。 繋ぐため。 でも、人間は幸せを求める。 主観的で不安定な幸せを。 求めても求めても得られようもない幸せを。 誰かの幸せが、誰かの不幸となる幸せを。 それは遺伝子にそそのかされているのか、考える人間としての意思なのか。 それにしてもブ...

殖えるため。 遺伝子的には全てはそこに繋がる。 繋ぐため。 でも、人間は幸せを求める。 主観的で不安定な幸せを。 求めても求めても得られようもない幸せを。 誰かの幸せが、誰かの不幸となる幸せを。 それは遺伝子にそそのかされているのか、考える人間としての意思なのか。 それにしてもブッダのすごさよ。 真似できないけどなあ。

Posted byブクログ

2021/06/11

ここ一年でまた大きく世界が変わった。これまでの歴史の中で本当に変わったのは何なのか、私たちが歴史から学ぶべきものは何だったのかを教えてくれる本。

Posted byブクログ