猿の見る夢 の商品レビュー
ゲスな男の物語。 多数派とは思わないが、優柔不断で、その場しのぎの対応を繰り返し、すぐに寝返り、気の多い男というのは、一定割合、確かに存在する。そういう意味で、ある程度、リアルに読み進められた。 薄井正明は取締役で、常務や、展開によっては社長の目もある。妻子と幸せな生活を送り、長...
ゲスな男の物語。 多数派とは思わないが、優柔不断で、その場しのぎの対応を繰り返し、すぐに寝返り、気の多い男というのは、一定割合、確かに存在する。そういう意味で、ある程度、リアルに読み進められた。 薄井正明は取締役で、常務や、展開によっては社長の目もある。妻子と幸せな生活を送り、長男と二世帯住宅の計画も着々と。つきあいの長い愛人がいるが、タイプの異なる会長秘書もすごく気になる……。 今後も恵まれた暮らしが続くと思いきや、会社も、家庭も、愛人関係もことごとく崩壊していく。 プライドの高い男は攻め込まれるともろく、覚悟を決めた女は強い(そして、怖い)。 夢で宣託をする謎の占い師?(詐欺師?)長峰栄子の「言葉」が物語を加速させる。彼女の存在は、最初から最後までずっと不気味だった。 会長秘書・朝川真奈のキャラクターもいい。
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1年以上ぶりに桐野先生の本。 銀行から出向してきた平取の主人公、薄井の節操のなさに不快感。セクハラパワハラについて徹底的に教育を受けてる元銀行員がここまでおおっぴらに鼻の下伸ばすか。 と思いつつ夢中で読了。 愛人のいるくらいいい男だという感じの、薄井の元銀行員らしい企業内でのカッコ良い仕事ぶりを見たかった。 うさん臭い長峰おばあには最後までドキドキさせられた。 結果いつもと同じ、むさぼるように一気読みだった。下世話本。夢中にさせてくれて桐野先生感謝。
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小説づくりは弁当づくりに等しいは桐野氏の持論。米五割肉三割野菜二割。昨夜の残りの焼き直し?見た目は違えど素材は同じ。どなたかが指摘された「渡鬼」感。主人公の姪っ子のえなりかずき感はぬぐい去れない。これはヴィアンサイドから描かれた渡鬼の焼き直しに他ならない。
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(2017.07.29読了) う〜ん。感動は、ありません。 後味も良くないです。 男、59歳、大手銀行出身。 現在は出向先の上場企業で財務担当役員。 愛人とのゴタゴタ、妹夫婦との相続問題のゴタゴタ、そして妻とのゴタゴタ…。 表紙の絵がぴったりはまります。
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デフォルメされた60歳直前のしょぼくれた元金融(現転出)の親父の生活。 あまりに自分の状況と似ているが、まあ、こんな親父もいるかな? こんな環境もあるかな?というレベル。 あえて読まなくてもよかったかなという徒労感だけが残った。
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表紙の人のルックスを主人公のルックスと思って見てしまう。人物評は一読した中では書かれてなかったと思ったので、ミスリードっぽい?裏切り者はいなかった(と理解)のに常に疑心暗鬼。しんどそうだけれど、身に覚えがなくもない。し猿、預言者が使いそう〜と思いつつも、弱っている時にされると間に受けてしまいそう。
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ダメダメ男のお話。人間臭さ、うまくかけているなあ。占い師と薄井、滑稽で哀れ、女のしたたかさ、目が離せなくて、一気。 最後は不思議だけれど、楽しく読めました。
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著者の作品は「バラカ」に続いて2冊目になる。 今作の登場人物はいずれもクセがありそれぞれ自分の事しか考えていない印象。どこか「渡る世間は鬼ばかり」を彷彿とさせる。 途中面白くなりかけて箇所もあったがどこか突き抜けない。 「バラカ」もそうだったが読後感はあまり爽快とはいえない。今作も長峰さんと田中さんのどちらが本当の事を言っていたのか結局最後まで明かされず物足りない印象。 全体としてはまあまあ。
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銀行からの出向先で次期社長を夢見る60間近の男性が、様々なトラブルに見舞われていく。 会社内のセクハラ、長年の愛人、実家の相続を巡る確執など、次から次へと下世話な問題が発生する。加えて、夢で未来を見るという老女を妻が家に連れてきたことから、ますますややこしくなってくる。 右往左...
銀行からの出向先で次期社長を夢見る60間近の男性が、様々なトラブルに見舞われていく。 会社内のセクハラ、長年の愛人、実家の相続を巡る確執など、次から次へと下世話な問題が発生する。加えて、夢で未来を見るという老女を妻が家に連れてきたことから、ますますややこしくなってくる。 右往左往する主人公を筆頭に、周囲の人たちも常識はずれな面が強調されていて、よくこれだけの面々を揃えたなというほど。 何より、主人公がことごとく情けない。 女性と見れば尻尾を振り、お金にも地位にもしがみつき、本人はすべて計算ずくのつもりが浅はかで失敗を重ね、でも反省もなく傷つかないから懲りない。 現実に側にいたら嫌悪感しかないが、そこは作者の懐の深さで、「これまでで一番いとおしい男」としてすべてを母性愛でくるんで、笑い飛ばしながらさばさばと描いている。 だから、最初はダメダメ振りにうんざりしていたけれど、徐々に作者の俯瞰する目線と同化して、しょうもない奴の結末を見届けてあげよう、という余裕が出てくるから不思議。 ある程度の年を重ね、魅力のない主人公を楽しむゆとりのある人向き。
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全て自業自得。人間の様々な弱さが表に出ている主人公です。 妻と成人した息子がいる59歳のとある会社役員、薄井。 10年以上付き合いのある愛人、巻き込まれる社長のセクハラ問題、それに関わる秘書へのやましい想い、そして亡くなった母親の遺産をめぐる実妹との確執。完全にドラマ化したら観入...
全て自業自得。人間の様々な弱さが表に出ている主人公です。 妻と成人した息子がいる59歳のとある会社役員、薄井。 10年以上付き合いのある愛人、巻き込まれる社長のセクハラ問題、それに関わる秘書へのやましい想い、そして亡くなった母親の遺産をめぐる実妹との確執。完全にドラマ化したら観入ってしまうストーリー。 主人公の薄井は、家庭の様々な問題から目を遠ざけて、言葉巧みに濁し・ごまかし、結論を先送りして、痛いところを突かれたら常識論や一般論で口撃する。あぁ…あまりにも人間的すぎる(笑) 帯に作者が寄せた「これまでで一番愛おしい男を書いた」との言葉通り。前述しましたが平日夜10時のドラマのようで先が気になり一気に読めました。
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