猿の見る夢 の商品レビュー
主人公薄井は銀行出身、出向した会社は上場し財務担当の平取、上手く行けば常務、いや社長の椅子も…。そして妻と二人の子、10年の付き合いの愛人、親の土地をあてに二世帯住宅も視野に入れる。平均とは言えない多くのモノを持ちながら老後を考える59歳。これまで同様うまいことやっていこうとして...
主人公薄井は銀行出身、出向した会社は上場し財務担当の平取、上手く行けば常務、いや社長の椅子も…。そして妻と二人の子、10年の付き合いの愛人、親の土地をあてに二世帯住宅も視野に入れる。平均とは言えない多くのモノを持ちながら老後を考える59歳。これまで同様うまいことやっていこうとしていた人生の歯車が狂い始める。読めば読むほど嫌悪感を感じさせる主人公、読後もモヤモヤが。
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読んでいて痛々しいお爺さんが主人公。 あえてお爺さんと書きました。 無神経と馬鹿を煮詰めた感じ。 こういうジジイ、いくらでもいるんだろうな。 読んでて頭が痛くなります。
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最初は気分じゃないな〜と思ってたけど引き込まれていって一気読み。長峰を市原悦子に脳内変換してました。最後がいまいち…と思う部分も含めて星五つ。 あとで桐野夏生の「一番愛おしいと思う男を書いた」みたいな文章を見てふいた。桐野夏生って本当に好き。村上春樹の小説並みにパスタとワインが欲...
最初は気分じゃないな〜と思ってたけど引き込まれていって一気読み。長峰を市原悦子に脳内変換してました。最後がいまいち…と思う部分も含めて星五つ。 あとで桐野夏生の「一番愛おしいと思う男を書いた」みたいな文章を見てふいた。桐野夏生って本当に好き。村上春樹の小説並みにパスタとワインが欲しくなりました。楽しい読書だった!
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強い女性を書かせたら最高だと思うのに、今回出てくる女性たちは誰も魅力がない。 主人公の男に至っては信念も感じられず、ただただ金と女だけ。 終わりも中途半端で、かと言って余韻も感じられず何だかな~。
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*自分はかなりのクラスに属する人間だ。大手一流銀行の出身、出向先では常務の席も見えてきた。実家には二百坪のお屋敷があり、十年来の愛人もいる。そんな俺の人生の歪(ひず)みは、社長のセクハラ問題と、あの女の出現から始まった――。還暦、定年、老後――終わらない男”の姿を、現代社会を活写し続ける著者が衝撃的に描き切る!* ここまで来るともはや清々しいと思えるほどの下司野郎が主人公。目先の、己の欲望に忠実過ぎる姿はまさに猿。剥き出しのエゴが滑稽で可笑しくて哀しくて、なるほど愛おしいと思えなくも…ないかも。
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初出は『週刊現代』。 主人公の薄井は「オッサン」だ。 出世に意欲を燃やし、愛人と逢瀬を楽しみつつ、お手当は月3万というケチっぷり。 しかも平気で会長秘書にセクハラ発言はするし、母の財産をあてにして自分の住む戸建てを検討する。 ギラついた昭和のオヤジの悪いところをかき集めたような...
初出は『週刊現代』。 主人公の薄井は「オッサン」だ。 出世に意欲を燃やし、愛人と逢瀬を楽しみつつ、お手当は月3万というケチっぷり。 しかも平気で会長秘書にセクハラ発言はするし、母の財産をあてにして自分の住む戸建てを検討する。 ギラついた昭和のオヤジの悪いところをかき集めたような人物だ。 そんな薄井の人生が都合よく行くはずもない。 今までの報いが一気に降りかかってくる。 それを見てザマアミロ、と主人公に対しマイナスの感情を抱く。 長峰という女は家庭を侵食し、破壊する詐欺師なのか。 彼女のいうことはどこまで信用に値するものなのか。 もしやマインドコントロールなどされてはいまいか。 薄井は全て、あの婆さん、長峰のせいだと思っているが、実は全て自分が招いた災厄なのだ。 母の介護もせず、妻を顧みず、愛人にも美味しいところだけを求める。 なんだか「死ぬまでナントカ」ばかりのこの掲載紙に著者が痛烈なパンチを食らわせたような気がする。 見ざる、聞かざる、言わざる、せざる。 礼なきことはしてはいけない。 それを薄井は、いや、あなたたちオッサンは理解しておいでか。 彼は化かされたのではない。 己にだけ都合の良い夢から覚まされ、現実を直視させられただけに過ぎないのだ。 v
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猿の見る夢 50代後半のサラリーマン小説。愛人がいたり、遺産相続でもめたり。平凡な日常でのトラブルが描かれて、主人公の小物さとか鮮烈に浮き彫りになる。そういうもの鮮烈に見てもねえ...と読後の今なら思うが、これが惹きこまれて読んでしまう。それと、家に居付く妻の信頼する占い師の老女の怪しさが出色。
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なぜか続きを読みたくなって一気に読んでしまう。 だが、読んだ後は自分が主人公のような情けない男になったような気がしてしまって、気持ちよくは無い。
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不倫相手に甘えたメールを送りつつ会長秘書との甘い生活を想像しながら家に帰るとジャージを着た怪しい女性に振り回される。 桐野さんにしては珍しい?笑える話かと思った。 (ドラマ化されたら絶対笑えるとは思う) 主人公があっちこっちの女性にふらふら、そして胡散臭い占い師にも振り回され…どんどん先を読みたくなる内容ではあった。 でも、介護もせず財産だけはちゃっかりもらおうとする打算的な主人公。キケンと思いながらも美人秘書との妄想が止まらない馬鹿な面も。 これは人間臭いが憎めない、愛されキャラなのか? しかもなんでそんなにモテる前提なんだろう? 最後はバタバタで残念だった。 占い師をギャフン(笑)と言わせるとか、もうひとひねり欲しかったな。
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話の先が気になって一気に読んだ。最近では珍しいことだ。 桐野さんの小説にしては、ほとんどひねりがないし普通っぽいけど、これはこれで面白く読めたから良し。 主人公の優柔不断さ、自己保身、その場しのぎのウソ、愚かな策、女性の攻撃に対する腰の引け方など、リアルに感じた。 女性の内面の...
話の先が気になって一気に読んだ。最近では珍しいことだ。 桐野さんの小説にしては、ほとんどひねりがないし普通っぽいけど、これはこれで面白く読めたから良し。 主人公の優柔不断さ、自己保身、その場しのぎのウソ、愚かな策、女性の攻撃に対する腰の引け方など、リアルに感じた。 女性の内面の描き方のリアルさは桐野さんの小説の醍醐味だと思うが、男性については、他にどんな小説があったか。この小説を男性が読んでもリアルだと思えたろうか。 桐野さんの新刊の発売を1年知らなかった自分にショック。新聞をやめたのだが、本の情報は圧倒的に新聞に頼ってたことがやめてからわかった。書評と広告。映画に関してもそうかも。
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