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アウシュヴィッツの図書係 の商品レビュー

4.4

146件のお客様レビュー

  1. 5つ

    68

  2. 4つ

    44

  3. 3つ

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2018/08/17

終戦記念日の週に読了。日本の話ではないけど、やはり戦争は人間の何かを壊し、恐ろしい一面を晒す狂気だと思う。死の恐怖が日常的な世界で、その中でも恋があり、知識への欲求がある。人間は強いのか。それともこんな狂気を生み出してしまうほど弱いのか。淡々と戦時中を描いた本。フィクションだから...

終戦記念日の週に読了。日本の話ではないけど、やはり戦争は人間の何かを壊し、恐ろしい一面を晒す狂気だと思う。死の恐怖が日常的な世界で、その中でも恋があり、知識への欲求がある。人間は強いのか。それともこんな狂気を生み出してしまうほど弱いのか。淡々と戦時中を描いた本。フィクションだからか、全体が冷静な視点で描かれている分、リアリティがあるように思える。

Posted byブクログ

2018/08/17
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

史実と小説と。悲惨と文化への志向と。しんどいけれど。自殺のとらえ方の違いがひしひし。灰が降る話。脱走、解放後の清潔なシーツの上での母の死。

Posted byブクログ

2018/08/02

読後、言葉で表せない無常な気分になった。本の大切さも、命の大切さも、現実の理不尽さも、本を読んでいる間は目の前に突きつけられるような感じがしたのに、最後のページをめくった途端にそれが過去のものになったような気がした。まるで、昨日まで揺るぎない絆で結ばれていた友人がふと姿を消したよ...

読後、言葉で表せない無常な気分になった。本の大切さも、命の大切さも、現実の理不尽さも、本を読んでいる間は目の前に突きつけられるような感じがしたのに、最後のページをめくった途端にそれが過去のものになったような気がした。まるで、昨日まで揺るぎない絆で結ばれていた友人がふと姿を消したような気分だった。本で体験した物語の記憶は、現実と同じように時間が経つごとに薄れていく。本の世界と現実世界は常に隔てられているが、それでも自分たちは向こう側の世界に入り込んだり、そこから何かを学び取ったりする。とりわけ、現実世界において重要な過去の出来事についての本なら尚更だ。その過去は遠い出来事で、自分たちの生活に何も影響を与えないかもしれない。でも、それを知っているのと知っていないのとではやはり全く別物だ。なぜなら、何も影響を与えないというのはそう思っている人の単なる思い込みで、実際はその人が知らない間に現実世界がその埋没した過去によって支配されているかもしれないからだ。世の中には忘れてはならない出来事というものがある。なぜ忘れてはいけないのか。過去を顧みない人は、そうすることでどんなことが起こるのか一度考えてみるといいと思った。そういうことで、本を読んだ自分もその過去が体の一部になったとして生きていかなければならないと思った。

Posted byブクログ

2018/07/01

戦争は、人の心の中にある悪の部分をあぶり出すものだと思った。極限の状況の中でも人としての大切な部分を忘れずにいられる人と、そうでなくなってしまう人とは何が違うんだろう。 アウシュビッツに限らず、差別や悪意を特定の対象にぶつけることは昔も今も起き続けていて、その感情の芽は人間だれし...

戦争は、人の心の中にある悪の部分をあぶり出すものだと思った。極限の状況の中でも人としての大切な部分を忘れずにいられる人と、そうでなくなってしまう人とは何が違うんだろう。 アウシュビッツに限らず、差別や悪意を特定の対象にぶつけることは昔も今も起き続けていて、その感情の芽は人間だれしも持っているものなんだということを忘れてはいけないと感じた。もちろん自分自身も含めて。

Posted byブクログ

2018/06/20

ずっと読みたいと思っていて、ようやく手が出た積読本。 アウシュビッツでたった8冊の本を守った少女の話。 フィクションだけど、実話に基づいていて、かなり胸に迫る。 やはり当事者ではないので、「夜と霧」などにはかなわないけど。 アウシュヴィッツを出てからの方がキツイのがよくわか...

ずっと読みたいと思っていて、ようやく手が出た積読本。 アウシュビッツでたった8冊の本を守った少女の話。 フィクションだけど、実話に基づいていて、かなり胸に迫る。 やはり当事者ではないので、「夜と霧」などにはかなわないけど。 アウシュヴィッツを出てからの方がキツイのがよくわかる。 読みやすいので、ぜひ。

Posted byブクログ

2018/05/28

死、恐怖、絶望が渦巻く、ナチス・ドイツのアウシュヴィッツ収容所。だが、たった8冊の本を守り続けた少女が実在した! 収容所には国際監視団の目をごまかすために名ばかりの学校が存在するが、実際のところ「本」の所有は禁止されていて、見つかれば最悪銃殺である。主人公は命懸けで本を隠し、...

死、恐怖、絶望が渦巻く、ナチス・ドイツのアウシュヴィッツ収容所。だが、たった8冊の本を守り続けた少女が実在した! 収容所には国際監視団の目をごまかすために名ばかりの学校が存在するが、実際のところ「本」の所有は禁止されていて、見つかれば最悪銃殺である。主人公は命懸けで本を隠し、読書による「想像」という世界を守る。 アウシュヴィッツ収容所の過酷で悲惨な現実も描かれるのだが、同性愛、SSとユダヤ人の恋愛、脱出劇などバリエーション豊富なストーリーで飽きさせない。 砂糖4粒がかかったアーモンド1個が景品というのがまた酷く悲しい...

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2018/05/26

『魔の山』『モンテ・クリスト伯』は挫折本。『兵士シュヴェイクの冒険』はタイトルは知っていたけど、全く未着手の本。それを読みたいと思わせてくれる。ヒルシュ自身はさほど本好きでもない、いわゆる体育会系なのに、子供達に本を読ませる大切さを理解している、素晴らしいリーダー。それだけに最後...

『魔の山』『モンテ・クリスト伯』は挫折本。『兵士シュヴェイクの冒険』はタイトルは知っていたけど、全く未着手の本。それを読みたいと思わせてくれる。ヒルシュ自身はさほど本好きでもない、いわゆる体育会系なのに、子供達に本を読ませる大切さを理解している、素晴らしいリーダー。それだけに最後が悲しい。殺人なのか、それとも硬い木ほど折れやすいということなのか。本は心の中に現実とは別の世界を作ってくれる。村上春樹がオウム信者は小説を読まないと言っていたのを思い出した。

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2018/05/20

初めの数ページを読んだだけで、名作だと思える本に出会うことがある。 その一冊が本書だ。 本書は、「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に送られた少女(中略)の実話をもとに書かれた小説」(訳者あとがきより)だという。 今は、「遠い過去」のあの時の物語.......。 その事実に...

初めの数ページを読んだだけで、名作だと思える本に出会うことがある。 その一冊が本書だ。 本書は、「アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に送られた少女(中略)の実話をもとに書かれた小説」(訳者あとがきより)だという。 今は、「遠い過去」のあの時の物語.......。 その事実に衝撃を受けた。 アウシュヴィッツといえば『アンネの日記』がすぐに思い出されるが、本書は、それに匹敵する。 たった8冊の図書館。 それから生きている「本」である先生たち。 それを守るため、主人公ディタは知恵を働かせ、勇気を持って駆け回る。 しかしそのよき日は決して永遠に続くわけではない。 心ある大人たちが守ってきた日々は、悪意を持って終わりを迎えさせられる。 人々は、焼却炉で、焼かれた。 ディタはその悲劇からは逃れた。 不合格になり、焼却炉送りのはずの母とともに。 助かった?いや、移送先はさらにひどい場所だった。 恐ろしい看守は元は美容師だった。 ディタは、もし戦争が起きなかったら、と想像する。 恐ろしい看守に「人」を見ていた。 恐怖の日々を終えたディタは、後世のために体験を伝えることにした。 アウシュヴィッツの、図書係として。 世界を見れば、残虐行為は今も続いている。 日本人だって、かつては人を殺した。 それを否定はできないし、目を背けるべきではない。 戦争とは、人を変えてしまうもの。 なぜ起きたのか、起こさないためにはなにをすべきか。 それを考えることなく、誰かに責任を押し付け、蔑み、自分と切り離そうとするならば何度でも同じ間違いを犯すだろう。 ドイツ人はきっとこれからも、過去の罪と向き合わざるを得ない。 それは、現代に生きている人々にとっては辛いことだろう。 時には、いつまで過去の亡霊に縛られなければならないのだ、と反感の気持ちも持つだろう。 私たちは、断罪すべきではない。 私たちがすべきことは、過去を学び、過去を知り、未来の礎を積むことなのだ。

Posted byブクログ

2018/05/08

 恥ずかしい話だが、私はこれまで『アウシュビッツ』や『ナチス』といった言葉はなんとなくは知っていたが、きちんと理解していなかった。  この本を読むにあたって、背景を掴まないことにはしっかりと内容が入ってこないので、自分なりに調べてみた。すると、そこには目を背けたくなるような恐ろし...

 恥ずかしい話だが、私はこれまで『アウシュビッツ』や『ナチス』といった言葉はなんとなくは知っていたが、きちんと理解していなかった。  この本を読むにあたって、背景を掴まないことにはしっかりと内容が入ってこないので、自分なりに調べてみた。すると、そこには目を背けたくなるような恐ろしい現実があった。常に死が目の前にある現実。  そんな現実の中で、本書に登場する少女ディタ。彼女は小さな図書館の図書係をしている。蔵書は8冊。その8冊を監視に見つからないように管理している。見つかれば容赦ない仕打ちが待っている。もしかしたら殺されるかもしれない恐怖に向かい合いながら、心の栄養を提供していた。  ここの図書館では、この8冊の本以外に『生きた本』がある。それは、先生たちが語ってくれる物語だ。  明日死ぬかもしれない状況で、こうした本たちはどれほど心の救いになったことだろう。  本書にはあまりにも悲惨な現実が綴られている。しかし、読者が暗くならずに向き合えるのは、ディタの真っ直ぐで前向きな姿勢が希望を感じさせてくれるからだろう。 それにしても、今から約75年前の世界でこのような残虐なことが起こっていたとは信じられない。そこでは、およそ東京の人口くらいの人が殺されている。ただ殺されるだけではなく、重労働を強いられ、1日にパンのかけらと水っぽいスープを与えられるだけの生活。寝るのもシラミだらけの布団と、上から排尿やらが垂れてくるベッドに知らない者同士で重なり合うように寝る。殺されるまでもなく、病気や過労死、栄養失調などによる死も多い。人間が、同じ人間にそのような生活を強いる。ただ、ユダヤ人というだけで。 これは、ノンフィクションに少しだけ肉付けされて出来上がった小説である。この小説を読んだ方は、必ずあとがきまで読んでいただきたい。もう一つの物語に愕然とし、涙することになるだろう。 この小説を世に送り出し、英雄であるフレディ・ヒルシュの名誉を守った著者に精一杯の拍手を送りたい。

Posted byブクログ

2018/05/02

私はナチスのユダヤ人政策に詳しくない。ただばくぜんとナチスはなぜユダヤ人を殲滅するために収容所を作ったりしたのだろうと思っていた。粗末なものだとしても建物を作ったり食料をあたえたり。・・この本で、とあるSS隊員が戦後自分の行ったことを「選別で多くのユダヤ人を合格の列に送ることによ...

私はナチスのユダヤ人政策に詳しくない。ただばくぜんとナチスはなぜユダヤ人を殲滅するために収容所を作ったりしたのだろうと思っていた。粗末なものだとしても建物を作ったり食料をあたえたり。・・この本で、とあるSS隊員が戦後自分の行ったことを「選別で多くのユダヤ人を合格の列に送ることによって、彼らを死から救ったのだ」と語っていたということを知った。あの夢にみそうな収容所は、ナチスの良心であった可能性があるのだなあと思った。

Posted byブクログ