アウシュヴィッツの図書係 の商品レビュー
この物語はフィクションではなく、生還した元収容者の証言を元にできるだけ史実に沿って書かれたものである。 舞台は1944年アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所である。1944年は今から70年前の出来事であり、この主人公は14歳なので、私たちの母と同じ世代であり、そんなに遠い昔のこと...
この物語はフィクションではなく、生還した元収容者の証言を元にできるだけ史実に沿って書かれたものである。 舞台は1944年アウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所である。1944年は今から70年前の出来事であり、この主人公は14歳なので、私たちの母と同じ世代であり、そんなに遠い昔のことではない。 明日は生きられないかもしれない恐怖の中で、本の果たす役割は大きかったことだろう。そんな本を命がけで守ろうとした少女の話である。
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あのアウシュビッツに学校があったとは・・・ でも、プロパガンダを多用するナチスを考えると納得。 想像だにできない過酷な環境で希望を持ち続けた主人公。信じるもの(人)があると人はここまで強くなれるのか。 夜と霧とはまた違った印象だった。
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これが作り話だったらどんなにいいか。 過酷な環境の中でも「本を読む」こと、人間としての好奇心や想像力を守り抜いた、勇敢な女の子の「物語」だったらどんなによかったか。 ホロコーストに関する本を読めば読むほど知識は増え、リアリティを持ち、それに比例して信じたくない気持ちが増していく。...
これが作り話だったらどんなにいいか。 過酷な環境の中でも「本を読む」こと、人間としての好奇心や想像力を守り抜いた、勇敢な女の子の「物語」だったらどんなによかったか。 ホロコーストに関する本を読めば読むほど知識は増え、リアリティを持ち、それに比例して信じたくない気持ちが増していく。世界が、人間が、こんなに恐ろしいものだなんて嘘だと思いたい気持ちが、どうしてこんなことが起き得たのか理解しきれない気持ちが、本を手に取らせる。 自分がこの話のディタのような立場に置かれたとき、わたしはどんなふるまいができるだろう。人としての尊厳を守れるのか、誇りを持って生きられるのか。それでも「生きるのだ」と思えるのか。これが世界だと、これが人間だと、知って、この世界で、人間として、わたしはどう生きよう。
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アウシュヴィッツ収容所三十一号棟を中心とした生活が、フィクションで肉付けされ文学作品となった一冊。 三十一号棟に実在した秘密の図書係の少女ディタが主人公です。 収容生活の体験談から綴られているためにほぼノンフィクションであり、臭気を感じるくらい生々しい内容となっています。 教育や...
アウシュヴィッツ収容所三十一号棟を中心とした生活が、フィクションで肉付けされ文学作品となった一冊。 三十一号棟に実在した秘密の図書係の少女ディタが主人公です。 収容生活の体験談から綴られているためにほぼノンフィクションであり、臭気を感じるくらい生々しい内容となっています。 教育や読書が認められないユダヤ人は、レジスタンスでない者も文化的な面で戦っていました。 本は人の命を直接的に救えませんが、死ぬまでに現実を離れひと時の安らぎを与えられるだけでも価値があります。 戦争と平和の両面で発揮される本の力を再認識しました。
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別の世界の話じゃない。少し前に実際あって、しかも今も現実に同じようなことが起きていて、もしかしたら未来の自分にも起こりうるかもしれない話。恐ろしい。理不尽。人間ってなんなんだろう。なんでこんなことになるのかなあ。同じ人間なのに。運というにはあまりにも酷すぎるよなあ。守られた今の日...
別の世界の話じゃない。少し前に実際あって、しかも今も現実に同じようなことが起きていて、もしかしたら未来の自分にも起こりうるかもしれない話。恐ろしい。理不尽。人間ってなんなんだろう。なんでこんなことになるのかなあ。同じ人間なのに。運というにはあまりにも酷すぎるよなあ。守られた今の日々は当たり前じゃないんだよ。毎日の今の暮らしがどんなに恵まれているか、自分はもちろん子どもにも伝えていかないといけないなと思う。こんな世界でも恋や友情があって、本が豊かなものを与えてくれることが救いだった。子どもを守ろうとする人たちがいることが救いだった。こういうの読むとどんだけ自分がちっぽけで何にも考えてない人間かがわかる…。毎日の暮らしを慈しむ。ありがたし。
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『勇気がある人間と恐れを知らない人間は違う。……(中略)……が必要とするのは、震えても一歩も引かない人間だ。何を危険にさらしているか自覚しながら、それでも前に進む人間だ。……(中略)……勇気がある人間というのは、恐怖を克服できる人間だ。』 第二次世界大戦中、アウシュビッツの...
『勇気がある人間と恐れを知らない人間は違う。……(中略)……が必要とするのは、震えても一歩も引かない人間だ。何を危険にさらしているか自覚しながら、それでも前に進む人間だ。……(中略)……勇気がある人間というのは、恐怖を克服できる人間だ。』 第二次世界大戦中、アウシュビッツの強制収容所内には秘密の図書館があった。蔵書はたった8冊、もしナチスの親衛隊に見つかれば命はない。その本の管理を任されたのは14歳の少女だった。死と隣り合わせの絶望の淵にあっても、本を守り、「生きた本」として自分の記憶する物語を聞かせる人々が、収容所の子どもたちに夢と生きる希望を与え続けた。悲惨な現実の中でわずかな喜びを見出しつつ、勇気を持って生き続けようとした人々の実話に基づいた話。 戦争の悲惨さ、命と自由の大切さを痛感する。 ペンネーム:natural color
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★SIST読書マラソン2017推薦図書★ 【所在・貸出状況を見る】 http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11630177
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読むのが辛い場面もあるが、どんなに過酷な状況に置かれても、読書が希望を与える、つかの間辛い現実を忘れられることが救いだった。これが史実に基づいているなんて、ついこの間の現実だなんて。。
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ふー やっぱりハードな本だった。 読み始めると終わりまでいかなきゃ続きが気になるからなあ。 主人公が今も生きていらっしゃることに驚き、敬意を表し、様々な人の強さに頭の下がる思い。 本は希望だ。
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「戦争なのよ、エディタ。戦争なの」 ごく当たり前の生活が、滑り台を滑るように地に落ちていく。骸骨や幽霊の昔話を怖がる子供時代は突然に終わり、生きた人間を恐れるようになる。 死んだ者はもう苦しむことはない。それだけが救い。しかし残された自分たちに、あとどれだけ苦しみが待ち受けてい...
「戦争なのよ、エディタ。戦争なの」 ごく当たり前の生活が、滑り台を滑るように地に落ちていく。骸骨や幽霊の昔話を怖がる子供時代は突然に終わり、生きた人間を恐れるようになる。 死んだ者はもう苦しむことはない。それだけが救い。しかし残された自分たちに、あとどれだけ苦しみが待ち受けているのかは、誰にもわからない。 ガス室で、飢餓で、伝染病で、処刑で。あらゆる死で溢れかえるアウシュヴィッツ=ビルケナウ絶滅収容所。国際赤十字の目をごまかすために設けられた家族収容所の一角に、秘密の図書館があった。蔵書はたった8冊だけの小さな図書館。その本を大人たちから託され、監視の目から守り、隠していたのは一人の年長の女の子・エディタ(ディタ)だった。 ブラウスの裏地にポケットを縫い付けてそこに本を隠し持ち、本を必要とする人たちに届け、回収し、本を毎日違う場所へと隠す。 昨日まで一緒に過ごしていた隣人たちがどこかへ去ってゆき、今日、灰となってディタたちの上に降り注ぐ。地獄のような日々のなかで、本だけがここではないどこか、物語の国へとディタや子供たちを連れて行ってくれる。地図帳を開けば、そこには故郷の国、まだ見知らぬ国を見つけ、思いを馳せることができるのだ。 そのひとときには、飢えも寒さも、恐怖も忘れることができる。 戦争が終わったら行ってみたい場所、帰りたい故郷――。赤十字の監視団が、私たちに起こっていることに気づいてくれたら――。連合軍が来てくれたら――。有刺鉄線で閉ざされた、この収容所から出ることができたら――。 「いつも前に進み続けること、あきらめないこと」という約束を残して謎の死を遂げる青年ヒルシュ。「自分自身を信じなさい」と教えてくれたモルゲンシュテルン先生。ディタを冷ややかに監視するSS、メンゲレ医師。本を愛するディタの戦いと、彼女を取り巻くユダヤ人・ドイツ人たちの生と死を、モデルとなった実在の女性へのインタビューと取材から描く、事実をもとにしたフィクション。 戦争は終わり、秘密の図書館の物語は幕を閉じるが、実はチェコ系ユダヤ人であるディタ(モデルとなった女性)の物語はその後も続いている。 読んでいる方が心折れるような、再建と喪失を繰り返す人生だが、彼女は鉄のように強く、いつだって笑顔を絶やさない。 人はここまで残酷なことができる、と同時に、ここまで強くなれるということを教えてくれる良書。
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