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三の隣は五号室 の商品レビュー

3.4

51件のお客様レビュー

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2018/06/25

 この物語の主人公は、アパートの一室です。第一藤岡荘五号室。  この部屋に住んだ住人の生活の断片が時系列バラバラで描写されています。  ほとんどの住人が一般的な庶民で、特に大きな事件が描かれるわけでもありません。皆さんそれなりに一生懸命に終わりなき日常生活を送っておられます。退去...

 この物語の主人公は、アパートの一室です。第一藤岡荘五号室。  この部屋に住んだ住人の生活の断片が時系列バラバラで描写されています。  ほとんどの住人が一般的な庶民で、特に大きな事件が描かれるわけでもありません。皆さんそれなりに一生懸命に終わりなき日常生活を送っておられます。退去後のその後の人生はどうなったのでしょうか。一回り成長して幸せな人生を送っていてほしいものです。  思えば私も今まで幾つかの賃貸マンションで住んでいたことあります。  その時に住んでいた部屋から見ると私もこの小説の登場人物のようなもんですが。その後の私は……Orz    登場人物の中にただ一人、裏社会の住人のような方がいて、この方が登場早々、不穏な未来が予告されます。  それはいつ描かれるのか?  この方の存在が物語に緊張感を与えています。    本作品のタイトルは「三の隣は五号室」。  四号室の存在がキーとなっているのか!?   「隣室と自室の号数表記に疑問を抱いた初めての住人だった」 「後、藤岡荘にはちょっとしたリフォームが入った」   という記述があり、何らかの事件のために四号室の存在が無かったものとされたんだよ!な……何だってぇ~~~~! というミステリーな展開を期待したのですが、特にそんなことはありませんでした。  日本では四号室や九号室がないのはよくあることなんです。勿体つけるなっちゅーの!    http://d.hatena.ne.jp/nazegaku/20180624/p1

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2018/04/11
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面白かったです。 が、「どこが?」と聞かれると、はて…?と思う。 ドラマチックなことは何一つない…わけでもないような気もしてきたし、困ったぞ。 変な間取りの第一藤岡荘の5号室に住んだ歴代住人の暮らしぶりを、ゆるいつながりでもって書いてある。 本当なら定点観測と言っていいと思うのだけど、時系列がランダムなので、今一つ観測感がない。 しかし登場人物の誰ともひとしく距離を置きながら観察する語り手の視点は、まさしく神の視点。 本人たちが知らないことも、語り手は知っている。 語り手とは部屋そのものなのか? 直接声を出して語らないだけで、家はすべてを見てきているのだから。 1966年から50年ばかりの間に住んだ13人。 共通点は同じ部屋に住んだことだけ。 それだけの小説ですが、人物それぞれのおかしみや哀しみに、さわさわと心が揺れました。 最後は愛しさをも感じるくらい。 多分とぼけた調子の書きっぷりが、いい感じにワンクッションおいてくれたのだろう。 さて、変な間取りというのが住人各者の共通認識ですが、私が思うに、トイレと玄関の場所を逆にすれば実用的だったと思います。 玄関を入ってすぐ台所。 左側にトイレ、洗濯機置き場、お風呂の順にあれば、使いやすいでしょうが。 そしてお風呂のドアは、普通内開き。 なんて、間取りを見るだけでも、いろいろ妄想できて楽しかったです。

Posted byブクログ

2018/02/07
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アパートの一室に住んだ歴代住人の人生模様。構成として目新しいけど、物語に盛り上がりも盛り下がりもないので特に感想はない。特に悲劇が起きたわけでもないんだけど、何となくどの人も幸せでなさそうに思えた。

Posted byブクログ

2017/09/25
  • ネタバレ

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(2017/9/25読了) 長嶋さんの本は、面白いと感じる部分が自分のソレとピタッと合うとハマるのだけど、なんせ、この本はソレを探すのに時間があるかかりすぎた。 最初は部屋の間取りがわからなくて、見取り図のページを過ぎてからは、順不同に登場する住居人とそのエピソードを覚えておくことができず。これが全て五号室の住居人だとわかったのも、多分、他の読者より遅かったのではと思う。 住居人だけでなく、周りに住んでいる人、タクシーの運転手(→もしかしたら、最後の住居人と同一人物?)までも、伏線が張られ放題で、長嶋さんのユルさが好きな私は、ギブアップこそしなかったけど、結構時間がかかってしまった。 (内容) 傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。―そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。 今はもういない者たちの、一日一日がこんなにもいとしい。 傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。 病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、 どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。 ――そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。 小さな空間に流れた半世紀を描いて、 読む者の心を優しくゆさぶる 長嶋有、面目躍如の会心作、ここに誕生

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2017/09/22
  • ネタバレ

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ほかの方のレビューを読んで、登場人物が、入居していた順に、名前が「一、二、三、・・・」となってるのを知る。 ほ、ほんとだ! 何もないようで、「なにも起こらない」なんてことはない。 なんだろう、コレといった大きな出来事が起こるわけでもないのにおもしろいのは。 畳の凹みとか、障子の穴とか、鉢植えの跡とか、以前だれかがここにいた痕跡がよかった。 ここに、いた、っていうのが。

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2017/08/17

豊かな地味さとか、生活を「良く」したい気持ちとか、目新しくないけどちゃんと気づけてなかったものが描かれててハッとした。

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2017/06/02

かつて毎日を暮らした場所に、今は別の誰かの日常がある。新学期のたびに入れ替わる、学校の教室なんかがそんな場所だった。「ここ」を共有しているのは確かなのに、「今」が重なることはない不思議。まわりに級友がいた教室よりも、さらに個人を際立たせるのが、賃貸アパートの一室(単身向け)だ。 ...

かつて毎日を暮らした場所に、今は別の誰かの日常がある。新学期のたびに入れ替わる、学校の教室なんかがそんな場所だった。「ここ」を共有しているのは確かなのに、「今」が重なることはない不思議。まわりに級友がいた教室よりも、さらに個人を際立たせるのが、賃貸アパートの一室(単身向け)だ。 ひとり暮らしの中での気づきや感情の変化は、基本的にその人だけのものだ。他人に伝えるほどではない、ささいな事であればあるほど。しかし「今」という時間の制約をはずせば、「ここ」で同じ思いを抱く誰かがいるかもしれない。やたら響く雨音に囲まれて小舟を連想したり、どこからともなく漏れる浴槽に首を傾げたり。その偶然の一致を、お互いに知ることはないのに、個人的体験であることに変わりはないのに、ほんの少しだけ補強されたような気になる。 自分を生きるのは自分だけ。何が起きても(何も起こらなくても)、まっとうできるしたたかさを持っていると信じていい。

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2017/05/24

変な間取りの5号室に住む住人の変遷を,時代順に描くのでなく,思い出すにつれ連想されるままに取り留めなく書かれている,始めは住人たちがこんがらがっていたが,そんなことはどうでもよくなって,この独特の味わいが部屋を懐かしく包んでいた.懐かしさが主人公の物語のようだ.

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2017/05/06

第一藤岡荘、一階が一号室と二号室、二階が三号室と五号室と六号室のアパート。その五号室にまるで川に流れる水のように淡々と人が来て住み、去りまた人がやってきて住み去っていく、少しずつ痕跡を残しながら。 覚えやすいように? 一人目は大家の息子藤岡一平(66~70年) 二人目は二瓶敏夫...

第一藤岡荘、一階が一号室と二号室、二階が三号室と五号室と六号室のアパート。その五号室にまるで川に流れる水のように淡々と人が来て住み、去りまた人がやってきて住み去っていく、少しずつ痕跡を残しながら。 覚えやすいように? 一人目は大家の息子藤岡一平(66~70年) 二人目は二瓶敏夫・文子夫妻(70~82) 三輪密人(82~83) 四元志郎(83~84) 五十嵐五郎(84~85) 六原睦郎・豊子夫妻(85~88) 七瀬奈々(88~91) 八屋リエ(91~95) 九重久美子(95~99) 十畑保(99~03) 霜月未苗(04~08) アリー・ダヴァーズダ(09~12) 諸木十三(12~16)この時の大家は最初に住んでいた藤岡一平。

Posted byブクログ

2017/04/29

タイトルからてっきりミステリーだと思い込んでいた(今は、それほどミステリーっぽいタイトルかなと思うけど)。長嶋有さんミステリーお書きになったんだと。半分くらいまで、もうすぐ事件が起こるんだと身構えていた。

Posted byブクログ