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三の隣は五号室 の商品レビュー

3.4

51件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    18

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    2

  5. 1つ

    4

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2020/10/25

ひとつの部屋を舞台に時系列だけが前後するのが新鮮でした。 時代があっちへ行き、こっちへ行きするのでこの人は何の人だったかと混乱しそうになりながらも人々の家時間を覗き見するのは楽しかったです。

Posted byブクログ

2020/06/21

第一藤岡荘・第五号室の五十年間を切り取ったお話。単身赴任の人もいれば失恋した人も夫婦も、そこで生まれた人も、やもめ暮らしの人もいて、部屋だけがそこにある。部屋だけが、同じ。 劇的なことは決してないのに、平凡な日常の尊さをじわじわと感じる。 賃貸ならではの「前の人」の置き土産?や痕...

第一藤岡荘・第五号室の五十年間を切り取ったお話。単身赴任の人もいれば失恋した人も夫婦も、そこで生まれた人も、やもめ暮らしの人もいて、部屋だけがそこにある。部屋だけが、同じ。 劇的なことは決してないのに、平凡な日常の尊さをじわじわと感じる。 賃貸ならではの「前の人」の置き土産?や痕跡を、ひとりぐらしの時にもっと想像してみたら良かったかも。

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2020/04/29

「三の隣は五号室」読む。 藤岡荘五号室に住んだ多くの人達の「何でもない日々」50年の歴史。視点と着想が面白い。時代が今昔入り乱れつつ話は進む。柱に打たれた釘一本にもそれを刺した人がいる。その後も使う人がいる。邪魔に思う人もいる。障子に開いた穴にさえ物語はある。そういうことを気付か...

「三の隣は五号室」読む。 藤岡荘五号室に住んだ多くの人達の「何でもない日々」50年の歴史。視点と着想が面白い。時代が今昔入り乱れつつ話は進む。柱に打たれた釘一本にもそれを刺した人がいる。その後も使う人がいる。邪魔に思う人もいる。障子に開いた穴にさえ物語はある。そういうことを気付かせてくれる本だった。谷崎潤一郎賞。

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2020/02/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

仕事や家庭のことで考えることいっぱいの今の自分にとっては登場人物が多すぎました。あまり考えないように読み進めましたが、さくさくとは進めないです。 自分の一人暮らしの生活を思い出しました。印象に残ったのは、単身赴任の人が、ここでは「俺の」生活をしたというところ。飼猫が来た不思議な話を家族にしなかったというところ。それと、赤ん坊の頭を撫でたあと、なぜか前に進めた女の人の話。 長嶋さんの本は、全体的に淡々としてるんだけども最後にふつふつ静かに盛り上がるところが好きなのです。

Posted byブクログ

2020/01/27

木造モルタル瓦屋根の2階建ての「第一藤岡荘」。1966年から2016年まで、五号室に住んだ歴代住人のなんでもない日々の営みを描いた、50年にわたる「定点観察」小説。それぞれの生活を頭に思い浮かべながら、じっくりと時間をかけて楽しみました。 部屋が主役ともいえるこの話、時の流れに...

木造モルタル瓦屋根の2階建ての「第一藤岡荘」。1966年から2016年まで、五号室に住んだ歴代住人のなんでもない日々の営みを描いた、50年にわたる「定点観察」小説。それぞれの生活を頭に思い浮かべながら、じっくりと時間をかけて楽しみました。 部屋が主役ともいえるこの話、時の流れに沿うのではなく、それぞれの住人の間取りの使い方、シンクにまつわるあれこれ、風邪と雨音の関係、同居人あるいは来客、停電と闇、テレビとラジオ、住人とタクシーといった切り口で時代を縦断して描かれるユニークな構成。 二瓶さんが貼った「水不足!」のシール、六原さんが網戸代わりに貼った外廊下の窓の網、浴槽の水漏れ、リエが放置していったガス栓のゴム、アリーが開けた障子の穴・・・そんなちいさなエピソードが後の住人のところで思わずニヤリとする仕掛けとして生きてくる。 大きなことは何も起こらない。その時その時の空気を言葉に置き換えたような文章も心地いい。 人生ってそんなささいな時間の積み重ねだし、人の数だけそういう時間があるということ、泣いたり笑ったりした過去を「懐かしい」という簡単な言葉ひとつで思い出せることが何より幸せなのだと気付かせてくれた作品でした。楽しかった~

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2019/05/21

「誰かが次に住むということは、前の人は出て行ったということだ。このように五号室に全員がやってきて、去った」(200 ページ)

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2019/05/19

図書館で借りたもの。 傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。―そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。 初読みの作家さん。 変な間取りの第一藤岡荘・五号室の、1966~2016年の話。 ...

図書館で借りたもの。 傷心のOLがいた。秘密を抱えた男がいた。病を得た伴侶が、異国の者が、単身赴任者が、どら息子が、居候が、苦学生が、ここにいた。―そして全員が去った。それぞれの跡形を残して。 初読みの作家さん。 変な間取りの第一藤岡荘・五号室の、1966~2016年の話。 賃貸物件には自分の前の住人、後の住人がいる。当たり前のことだけど、改めて意識する。 (小説のように前住人の痕跡は残ってなかったけどね) 前住んでたアパートの前を通って、自分が住んでた部屋のベランダに洗濯物が干してあるのを見て、少し寂しくなったりしたなぁ。

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2019/01/06

久々の長嶋有。 長嶋有は、たしか自分と同い歳なんだけど、やっぱりある程度長い時間を生きてくると、こういう小説を書いたり読んだりすることが心地よくなってくるんだよな、きっと。 主役は、郊外の古アパートの、奇妙な間取りの一室。 この間取りは、実際に著者が暮らしたことのある部屋をモ...

久々の長嶋有。 長嶋有は、たしか自分と同い歳なんだけど、やっぱりある程度長い時間を生きてくると、こういう小説を書いたり読んだりすることが心地よくなってくるんだよな、きっと。 主役は、郊外の古アパートの、奇妙な間取りの一室。 この間取りは、実際に著者が暮らしたことのある部屋をモデルにしているという。 1966年に建てられ2016年に取り壊されるまでの半世紀、計13組の住民たちがこの部屋で暮らした生活の断片を紡いでいく。 13組の住民たちの素性は様々だ。 単身者(学生、OL、単身赴任者から、裏稼業の逃亡者まで)が多いが、中には夫婦や家族もいる。 この部屋で生を受けたり、息を引き取った者もいる。 最後の方にはイラン人留学生まで出てくる。 だが、物語の主役は彼らではない。 彼らがこの部屋の変な間取りに戸惑いながらも、その生活環境と折り合っていく様。 部屋の一部に手を入れ、それが後の住民の生活にも影響を与えていく様。 物語はあくまで部屋を軸に展開される。 だから、時系列には進まず、時代を行ったり来たりする。 半世紀もの時間があれば、街の様子も、人々の生活習慣も、少しずつ変わっていく。 住民も入れ替わる。 が、アパートの一室だけはずっとそこにある。 そしてだんだんと老いていって、最期を迎える。 なんとフラットで、ニュートラルな眼差しなんだろう。 人の世の忙しなさに疲れたときに、読むべき小説。

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2018/10/07

1966年から2016年までに13人の人が暮らした部屋。 誰もが変な間取りと言っている都内に建つ第一藤岡荘の五号室の50年間。 … 不思議な話。 ひとつの部屋の歩みを描いていますが、時系列はバラバラ、タクシーや障子の穴など、ささいな物事でつながり、それぞれのエピソードが綴られる...

1966年から2016年までに13人の人が暮らした部屋。 誰もが変な間取りと言っている都内に建つ第一藤岡荘の五号室の50年間。 … 不思議な話。 ひとつの部屋の歩みを描いていますが、時系列はバラバラ、タクシーや障子の穴など、ささいな物事でつながり、それぞれのエピソードが綴られる。 時系列を自分で書き出して並べてみようかと思いましたが、それをしてしまったら、このお話の魅力はなくなりそうでやめました。 第一話を読んで、どんなふうに変な間取りなんだろうと紙に描いてみました。 そしたらなんと!第二話の前に間取り図がある! 描いたものとほぼ一緒でした。(笑) 著者の作品は、自分と時間にに余裕のあるときの方がいいかも。 絶対好きな作風なのに、疲れていた時だったせいか、読みながら何度も居眠りしてしまいました。 充分楽しめていないようで勿体なかったと反省してます。

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2018/09/27

団地とアパートは似ているけれど何かが違う なんでしょう 団地・アパートとマンションは違うのに 通過地点なのだろうか 多くの人にとっては 私も小学校低学年まで団地に住んでいた アパートは知らんな… イメージできないけれど、私たち家族が住む前にも誰かが住んでいて 私たちがいなくなっ...

団地とアパートは似ているけれど何かが違う なんでしょう 団地・アパートとマンションは違うのに 通過地点なのだろうか 多くの人にとっては 私も小学校低学年まで団地に住んでいた アパートは知らんな… イメージできないけれど、私たち家族が住む前にも誰かが住んでいて 私たちがいなくなった後も誰かが住んでいた 今も誰かがいる ある時 団地全体が綺麗にリフォームされたらしくて、見に行った 昔住んでた部屋は、外から見ると白くてお洒落なレースカーテンが揺れてた 触るとパラパラ溢れた砂壁や、立て付けの悪い窓に、そのサッシに挟まっていた蛍の死骸 公園が見える景色、そこに向かって投げた乳歯 庭には当時飼ってた亀を二匹 埋めた もういい加減骨もない 怖かった仏間があって、その部屋は一人で行けなかった 西陽がさしてあついくらいの 私たちの住んでいた亡霊が今なおあの部屋にあるだろうか、私たち以前の人々の以後の人々の亡霊が それは生霊だったりもするけど、死霊でもあるんだろうな さびしいね

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