残り者 の商品レビュー
半年前からお世話になっているパート先の人間関係に苦しむ私にとって、素晴らしい指南書になりました。女ばかりの職場って、独特なんですよ、ホント。キャリア20数年で仕事ができるか知らんがとにかく偉そうな人に、不機嫌ハラスメント受け続けていて、私は今、辞めたくて仕方ない。でも、その人の心...
半年前からお世話になっているパート先の人間関係に苦しむ私にとって、素晴らしい指南書になりました。女ばかりの職場って、独特なんですよ、ホント。キャリア20数年で仕事ができるか知らんがとにかく偉そうな人に、不機嫌ハラスメント受け続けていて、私は今、辞めたくて仕方ない。でも、その人の心理も少し分かる気がしてきました。呉服之間の“りつ”を見習って、オンナの中で必要な賢さを磨かなければ。
Posted by
”大奥”と聞けば、「お鈴廊下」や将軍の寵を競り合う女たちの正室と側室をめぐる抗争劇のような陰湿なイメージがあった。男性の目により描かれた多くのメディアの影響からだろうが、固定観念に縛られていた自分が恥かしい。今までの大奥物語を払拭する作品を送りだしてくれた作者に感謝したい。 当時...
”大奥”と聞けば、「お鈴廊下」や将軍の寵を競り合う女たちの正室と側室をめぐる抗争劇のような陰湿なイメージがあった。男性の目により描かれた多くのメディアの影響からだろうが、固定観念に縛られていた自分が恥かしい。今までの大奥物語を払拭する作品を送りだしてくれた作者に感謝したい。 当時大奥では1000人の女たちが働き、大奥女中は江戸時代の女性たちのあこがれの職業だったという。武家はもとより大店の町人まで、娘たちを大奥に送り込み、娘の出世や引いた後の良縁を望んだともあった。 物語には江戸城明渡しの日に居残った5人の女たちが登場する。「残り者」とは、官軍の襲来を恐れ大奥女中たちが我先にと脱出する中、大奥にとどまった5人の女。呉服之間のりつ、御膳所のお蛸、御三之間のちか、御中臈(おちゅうろう)のふき、呉服之間のもみぢ。彼女らはそれぞれの事情で大奥に働き、お針子や賄いなどの仕事にプロ意識を持っていた! 自立していたのだ! 技能集団でもあった大奥は、給金を支払い組織化されていたと今更ながら知り驚く。 彼女らが居残った理由を読んでいる間に、江戸幕末の明渡しの時代背景や大奥の様子などが分り面白い。 生活に貧窮しているりつの母が、大奥で働く伯母を「姉上もお寂しい事。誰にも嫁することなく子の一人もお産みにならずに」と、評しているのにも、今も昔も変わらない複雑な女の心境に納得できた。 りつには緊張すると頬が強張り、見方によっては笑っているようにみえる癖があった。この癖が与えられたことで、りつは一大事にも冷静沈着に判断できると信頼を勝ち得たのだろうなぁ~。 久しぶりに息子にも似た癖があったのを思い出した。部活の先輩や上司に注意された時「お前、反省しているか!」と、彼らの感情を逆なでして困ると愚痴っていた。 今あの癖はどうなったのだろうか?
Posted by
りつ、ひき、ちか、お蛸、もみぢの5人の残り者。 明け渡し前日に江戸城の残った女性たちのそれぞれの思いを描く。 軽快なタッチで読みやすかった。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ブログに感想書きました。 https://blog.goo.ne.jp/luar_28/e/571b10ae7441fef743c8bbf0cd0a2bc9
Posted by
菅野美穂主演の『大奥』を思い出しましたね。だけど、予想に反して、主人公は下働きの者たち。それなりに面白かったのだけれど、物語の中心に据えるには、ちょっと弱いかな。
Posted by
内容紹介 時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。 官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みる中、大奥に留まった五人の「残り者」がいた。 なにゆえ残らねばならなかったのか。 それぞれ胸の内を明かした彼女らが起こした思いがけない行動とは―― 直木賞受賞作『恋歌』と対を...
内容紹介 時は幕末、徳川家に江戸城の明け渡しが命じられる。 官軍の襲来を恐れ、女中たちが我先にと脱出を試みる中、大奥に留まった五人の「残り者」がいた。 なにゆえ残らねばならなかったのか。 それぞれ胸の内を明かした彼女らが起こした思いがけない行動とは―― 直木賞受賞作『恋歌』と対をなす、激動の時代を生きぬいた女たちの熱い物語。 令和元年9月1日~3日
Posted by
時は幕末、明け渡しが決まった江戸城に残る大奥の女たち5人の長い一日の話。 大奥で務める女達の働き様がリアルに伝わってきて、まあ色々あったと思いますが、ここ(大奥)は間違いなく彼女たちの“居場所”であったのですよね・・。 ラストの、維新後の5人の姿が生き生きしていて、爽やかな気持ち...
時は幕末、明け渡しが決まった江戸城に残る大奥の女たち5人の長い一日の話。 大奥で務める女達の働き様がリアルに伝わってきて、まあ色々あったと思いますが、ここ(大奥)は間違いなく彼女たちの“居場所”であったのですよね・・。 ラストの、維新後の5人の姿が生き生きしていて、爽やかな気持ちで読み終えました。
Posted by
明治維新の江戸城明け渡しには物語があるということをみつけたのは、浅田次郎氏の『黒書院の六兵衛』だけか(?)と思っていたらまた巡り合ったこのエンターテインメントストーリー。 こんどは江戸城大奥が舞台で、登場人物も侍ではなく、大奥の女性たち、作者も女性。 時代に舞台を取って描く...
明治維新の江戸城明け渡しには物語があるということをみつけたのは、浅田次郎氏の『黒書院の六兵衛』だけか(?)と思っていたらまた巡り合ったこのエンターテインメントストーリー。 こんどは江戸城大奥が舞台で、登場人物も侍ではなく、大奥の女性たち、作者も女性。 時代に舞台を取って描く小説の人間性は、その書かれた時代の思潮に色濃く染まって、というのがある。このエンタメもしかり。 組織でも団体でも縁の下の力持ち的な働き手、手に職があるもの、生きていくための手段でも、さまざまな性格と力量によって変化していく。 お針の得意なヒロインが「呉服之間」という職場で活躍していても、いざその職を解かれるとどうしてよいかわからなくなる。キャラクターがはっきりしたそれぞれの職種「御三之間」「御膳所」の女性たちもそうであり、うろうろする描写が続く。 ちょっとそこら返はくどいかな。いつの時代も職場替えや転職やらは、一大事なことなのであるけれど。 それをまとめるのが、大奥の組織図から言うと上役の「御中臈」の女性らしい、ということが分かってきたところから物語の展望がよくなる。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
慶応4(1868)年4月10日、江戸城明け渡し。天璋院篤姫(13代将軍・徳川家定の正室)と大奥の女達は西丸を出て一橋邸へ…のはずが、ここで一晩を過ごした女達がいた。 決して歴史の流れが変えられるわけじゃない。でも、女児や少女の頃から大奥を出ずに暮らしてきた女達が、問答無用で世間に放り出される。女が腕一つで身を立てられた数少ない場所が消え、新しい時代が来る。 お猫様を探したり、「御針競べ」をしたり、身の上を語ったりして、一夜を過ごす。そして明け渡しを見届けて、味噌壺を手に一歩を踏み出した。 5人の16年後が麗しいものであって良かった。
Posted by
2018/2/19 913.6||アサ (3階日本の小説類) きっと、こんな人たちがいたかもしれない。 今のように情報のない中、大奥という特別な場所から去る不安は大きかっただろう。 徳川家・江戸城の明け渡し、「ゆるゆると、急げ」と大奥を去ることになったその日、密かに御殿に残...
2018/2/19 913.6||アサ (3階日本の小説類) きっと、こんな人たちがいたかもしれない。 今のように情報のない中、大奥という特別な場所から去る不安は大きかっただろう。 徳川家・江戸城の明け渡し、「ゆるゆると、急げ」と大奥を去ることになったその日、密かに御殿に残る5人の女中たちがいた。 それぞれの思いや、その後が描かれている。
Posted by